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地下鉄サリン事件から27年 現場で遺族や被害者が追悼
2022-03-20 03:57:19

14人が死亡し、およそ6300人が被害に遭ったオウム真理教による「地下鉄サリン事件」から20日で27年です。
現場の1つ、東京の地下鉄 霞ケ関駅では遺族などが犠牲者を追悼しました。
現場の1つ、東京の地下鉄 霞ケ関駅では遺族などが犠牲者を追悼しました。
27年前の平成7年3月20日、通勤客などが無差別にねらわれた地下鉄サリン事件では、都内を走る3つの路線に猛毒のサリンがまかれ、14人が死亡、およそ6300人が被害に遭いました。
東京 千代田区の霞ケ関駅では、発生時刻とほぼ同じ午前8時に職員が黙とうをささげました。
駅の構内に設けられた献花台には遺族や被害者、それに利用客などが訪れ、花を供えて手を合わせ、犠牲者をしのびました。


霞ケ関駅の助役だった夫を亡くした、高橋シズヱさんも献花に訪れ、「若い世代からは『事件のことは知っているが実感がない』と聞くので、被害者や遺族の気持ちを伝えていきたいです。電車内での事件が相次いでいますが、 地下鉄サリン事件当時の危機感が薄れていると感じます。わが身に引き寄せて考えてほしいです」と話していました。
オウム真理教による一連の事件では、4年前(平成30年)、元代表の麻原彰晃、本名・松本智津夫 元死刑囚ら13人に死刑が執行されました。
公安調査庁によりますと、教団の複数の後継団体は今も活動を続け、「アレフ」は若い世代への勧誘を活発に行っているということです。
オウム真理教による一連の事件では、4年前(平成30年)、元代表の麻原彰晃、本名・松本智津夫 元死刑囚ら13人に死刑が執行されました。
公安調査庁によりますと、教団の複数の後継団体は今も活動を続け、「アレフ」は若い世代への勧誘を活発に行っているということです。
若い世代に事件と影響を語り継ぐ取り組み

地下鉄サリン事件を知らない若い世代に事件とその後の影響を語り継ごうという取り組みが始まっています。
これは被害者の支援を続けるNPOがことしから始めたもので、今月5日に行われたオンラインの会議には国内外に住む18歳から26歳までの大学生と社会人合わせて23人が参加しました。
参加者はいずれも事件のあとに生まれた若者たちで、少人数のグループに分かれて被害者5人からそれぞれ当時の話を聞きました。
通勤中に地下鉄の日比谷線の小伝馬町駅で被害にあった森瀬郁乃さん(49)は、「駅のホームはサリンの液体でびちゃびちゃにぬれていて複数の人が倒れていました。何が起きたのかわからず、そこを歩いて地上に出たら呼吸が苦しくなり病院に運ばれました。今も体調不良に悩まされ、医師からはサリンの影響かもしれないと言われています。今でも満員電車には恐怖心があり、乗ると冷や汗をかくので避けています」と話しました。
同じ小伝馬町駅で被害にあった62歳の男性は、「私は軽症でしたが、どういう後遺症があるか分からないのがいちばん不安でした。多くの人にとって事件は過去の話ですが、被害者にとってはいろいろな形で続いていて決して忘れることはありません」と話しました。
若者たちは真剣な表情で話を聞き、被害者に対して「事件のことを自分の子どもに話しましたか」、「不安はどれくらい続きましたか」といった質問を投げかけていました。
参加した23歳の女性は、「話を聞いて被害にあった人にとっては今も支援は重要で、誰かが事件のことを忘れず、少しでも覚えていることには意味があるのだと知りました」と話していました。
また、19歳の女子大学生は「自分の体にサリンの被害がどう影響するのか分からず、不安に感じる気持ちは新型コロナに感じる不安感と共通点があるようにも感じました」と話していました。
企画したNPO「リカバリー・サポート・センター」の下村健一理事は、「事件は特別な人に起こる特別な出来事ではなく、突然、自分も含めた普通の人に起こるんだということを若者たちに感じてもらえたと思う。これまで被害者の支援を続けてきたが、今後は語り継ぐことも新たなミッションと考えてサリン事件があったことを自分事としてリアルに捉えてもらえるよう伝えていきたい」と話していました。
これは被害者の支援を続けるNPOがことしから始めたもので、今月5日に行われたオンラインの会議には国内外に住む18歳から26歳までの大学生と社会人合わせて23人が参加しました。
参加者はいずれも事件のあとに生まれた若者たちで、少人数のグループに分かれて被害者5人からそれぞれ当時の話を聞きました。
通勤中に地下鉄の日比谷線の小伝馬町駅で被害にあった森瀬郁乃さん(49)は、「駅のホームはサリンの液体でびちゃびちゃにぬれていて複数の人が倒れていました。何が起きたのかわからず、そこを歩いて地上に出たら呼吸が苦しくなり病院に運ばれました。今も体調不良に悩まされ、医師からはサリンの影響かもしれないと言われています。今でも満員電車には恐怖心があり、乗ると冷や汗をかくので避けています」と話しました。
同じ小伝馬町駅で被害にあった62歳の男性は、「私は軽症でしたが、どういう後遺症があるか分からないのがいちばん不安でした。多くの人にとって事件は過去の話ですが、被害者にとってはいろいろな形で続いていて決して忘れることはありません」と話しました。
若者たちは真剣な表情で話を聞き、被害者に対して「事件のことを自分の子どもに話しましたか」、「不安はどれくらい続きましたか」といった質問を投げかけていました。
参加した23歳の女性は、「話を聞いて被害にあった人にとっては今も支援は重要で、誰かが事件のことを忘れず、少しでも覚えていることには意味があるのだと知りました」と話していました。
また、19歳の女子大学生は「自分の体にサリンの被害がどう影響するのか分からず、不安に感じる気持ちは新型コロナに感じる不安感と共通点があるようにも感じました」と話していました。
企画したNPO「リカバリー・サポート・センター」の下村健一理事は、「事件は特別な人に起こる特別な出来事ではなく、突然、自分も含めた普通の人に起こるんだということを若者たちに感じてもらえたと思う。これまで被害者の支援を続けてきたが、今後は語り継ぐことも新たなミッションと考えてサリン事件があったことを自分事としてリアルに捉えてもらえるよう伝えていきたい」と話していました。
今も残る賠償問題 10億円余が教団から支払われず
オウム真理教による一連の事件で、被害者や遺族が受けた損害は38億円余りに上り、今も10億円余りが教団から支払われないままとなっています。
平成7年に麻原彰晃、本名・松本智津夫元死刑囚らオウム真理教の幹部が逮捕されると、国や被害者などは教団の破産を申し立て、裁判所が選んだ管財人のもとで資産の処分が進められました。
破産手続きで、地下鉄サリン事件や松本サリン事件など一連の事件の被害者や遺族が申し出た損害の額は38億円余りにのぼり、教団の土地などの売却によって、15億円余りが賠償にあてられました。
平成21年に破産手続きが終了した後は、被害者や遺族を支援する「オウム真理教犯罪被害者支援機構」が支払いを請求できる債権を管財人から引き継ぎ、オウム真理教から名前を変えた「アレフ」や、そこから分裂した「ひかりの輪」に対して残りの賠償金の支払いを求めています。
こうした中、課題となっているのが教団の資産の特定です。
支援機構によりますと、「アレフ」からの賠償金は平成29年以降、支払われなくなりました。
支援機構が起こした裁判では、おととし「アレフ」に10億円余りの支払いを命じた判決が最高裁判所で確定しましたが、教団の資産の特定が難しく、支援機構が差し押さえられたのは、およそ4200万円にとどまっています。
「アレフ」は、「団体規制法」によって3か月ごとに資産などを報告することが義務づけられていますが、公安調査庁によりますと、おととし2月以降、資産に関する内容の一部を報告書に記載しなくなり、去年2月からの半年分は報告書を提出しませんでした。
公安調査庁は去年10月、団体規制法に基づいて教団施設の使用や信者の勧誘などを一定期間禁止する「再発防止処分」の適用を公安審査委員会に初めて請求しました。
その後、2週間余りで報告書が提出されたため、公安審査委員会の判断が示される前に請求を撤回しましたが、教団の収益事業に関する預貯金や現金など資産に関する内容の一部は記載されないままで、報告されたものだけを見ると、ことし1月末時点では2億円程度になっているということです。
3年前の1月末の時点では、12億8600万円の資産を保有していたとみられ、それに比べ大幅に少ないということです。
公安調査庁は、今後も「アレフ」に対して資産に関する報告をすべて行うよう指導を継続しながら、対応を検討していく方針です。
一方、「ひかりの輪」からの賠償は継続的に行われていて、支援機構によりますと、先月までにおよそ5300万円が支払われているということです。
平成7年に麻原彰晃、本名・松本智津夫元死刑囚らオウム真理教の幹部が逮捕されると、国や被害者などは教団の破産を申し立て、裁判所が選んだ管財人のもとで資産の処分が進められました。
破産手続きで、地下鉄サリン事件や松本サリン事件など一連の事件の被害者や遺族が申し出た損害の額は38億円余りにのぼり、教団の土地などの売却によって、15億円余りが賠償にあてられました。
平成21年に破産手続きが終了した後は、被害者や遺族を支援する「オウム真理教犯罪被害者支援機構」が支払いを請求できる債権を管財人から引き継ぎ、オウム真理教から名前を変えた「アレフ」や、そこから分裂した「ひかりの輪」に対して残りの賠償金の支払いを求めています。
こうした中、課題となっているのが教団の資産の特定です。
支援機構によりますと、「アレフ」からの賠償金は平成29年以降、支払われなくなりました。
支援機構が起こした裁判では、おととし「アレフ」に10億円余りの支払いを命じた判決が最高裁判所で確定しましたが、教団の資産の特定が難しく、支援機構が差し押さえられたのは、およそ4200万円にとどまっています。
「アレフ」は、「団体規制法」によって3か月ごとに資産などを報告することが義務づけられていますが、公安調査庁によりますと、おととし2月以降、資産に関する内容の一部を報告書に記載しなくなり、去年2月からの半年分は報告書を提出しませんでした。
公安調査庁は去年10月、団体規制法に基づいて教団施設の使用や信者の勧誘などを一定期間禁止する「再発防止処分」の適用を公安審査委員会に初めて請求しました。
その後、2週間余りで報告書が提出されたため、公安審査委員会の判断が示される前に請求を撤回しましたが、教団の収益事業に関する預貯金や現金など資産に関する内容の一部は記載されないままで、報告されたものだけを見ると、ことし1月末時点では2億円程度になっているということです。
3年前の1月末の時点では、12億8600万円の資産を保有していたとみられ、それに比べ大幅に少ないということです。
公安調査庁は、今後も「アレフ」に対して資産に関する報告をすべて行うよう指導を継続しながら、対応を検討していく方針です。
一方、「ひかりの輪」からの賠償は継続的に行われていて、支援機構によりますと、先月までにおよそ5300万円が支払われているということです。
ソース:NHK ニュース