News
Show Furigana

くわしく】北朝鮮きたちょうせん なぜこんなにミサイル新型しんがたとは 思惑おもわく

2022-03-25 09:29:42

avatar
ことしにはいり、かつてないペースでミサイル発射はっしゃつづける北朝鮮きたちょうせん。3つき24にち発射はっしゃした弾道だんどうミサイルについて、25にち新型しんがたのICBM=大陸たいりくかん弾道だんどうミサイル「火星かせい17がた」の発射はっしゃ実験じっけん成功せいこうしたと発表はっぴょうしました。北朝鮮きたちょうせん弾道だんどうミサイルなどしょうたい発射はっしゃしたのは、ことしにはいって、ロケットほうのぞいて11かいです。

相次あいついでミサイルを発射はっしゃする北朝鮮きたちょうせん思惑おもわくとは。
世界せかい最大さいだいきゅう移動いどうしきICBM」とわれる「火星かせい17がた」とは。

くわしく解説かいせつします。

ことしにはいってどれだけ発射はっしゃ

北朝鮮きたちょうせんはことしにはいって15はつ弾道だんどうミサイルを発射はっしゃしています。キム・ジョンウン(きむただしおんそう書記しょき父親ちちおやのキム・ジョンイル(きむ正日じょんいるのときに発射はっしゃした弾道だんどうミサイルが17年間ねんかんで16はつだったのをみても、いかにおおかがかります。(※現在げんざいきむただしおん体制たいせいになってからの通算つうさんでは100はつあまのぼります。)

25にち北朝鮮きたちょうせん朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとう機関きかん労働ろうどう新聞しんぶん」は1めんで、「きのう、キム・ジョンウンそう書記しょき立ち会たちあのもと、新型しんがたのICBM『火星かせい17がた』の発射はっしゃ実験じっけん成功せいこうした」と発表はっぴょうしました。北朝鮮きたちょうせんが「火星かせい17がた」の発射はっしゃ発表はっぴょうしたのは、これはじめてです。

4ねんもなかったICBMきゅう本格ほんかくてき発射はっしゃ たん期間きかん相次あいつ

このICBMきゅう弾道だんどうミサイルの発射はっしゃじつ一時いちじられなくなっていました。2017ねんの7つきから11つきにかけては、いずれもICBMきゅうの「火星かせい14がた」2はつ(2017ねん7つき4にち、7つき28にち)と「火星かせい15がた」1はつ(11つき29にち)が発射はっしゃされました。

このあとよんねんあま、ICBMきゅう発射はっしゃはありませんでしたが、北朝鮮きたちょうせんはことしの2月末げつまつから3つきにかけて、今回こんかいの「火星かせい17がた」をふくめてよんかいにわたって発射はっしゃしました。

1かいは2つき27にち首都しゅとピョンヤン郊外こうがいのスナン付近ふきんから弾道だんどうミサイル1はつ発射はっしゃし、北朝鮮きたちょうせん翌日よくじつ(28にち)「偵察ていさつ衛星えいせい開発かいはつのための重要じゅうよう実験じっけんおこなった」と発表はっぴょうしました。

2かいその6にちの3つき5にちおなスナン付近ふきんから弾道だんどうミサイル1はつ発射はっしゃし「ふたた偵察ていさつ衛星えいせい開発かいはつのための重要じゅうよう実験じっけんおこなった」と発表はっぴょうし、防衛ぼうえいしょういずれも、ICBMきゅうだったと分析ぶんせきしています。

つづいて3かいは3つき16にちでした。おなスナン付近ふきんから弾道だんどうミサイルと推定すいていされるしょうたい発射はっしゃしましたが、直後ちょくご空中くうちゅう爆発ばくはつして失敗しっぱいしたとみられていて、韓国かんこくぐんは、ICBMに関連かんれんした発射はっしゃだった可能かのうせいがあるとの見方みかたしめしていました。

そして今回こんかいで4かい発射はっしゃです。北朝鮮きたちょうせん短期間たんきかんで4かいものICBMきゅう弾道だんどうミサイルを発射はっしゃしたことになります。

新型しんがたICBM「火星かせい17がた」の発射はっしゃにはどんな意味いみあるの?

今回こんかい発射はっしゃされた「火星かせい17がた」は、専門せんもんから「世界せかい最大さいだいきゅう移動いどうしきICBM」とわれています。

これまで北朝鮮きたちょうせん最大さいだいのミサイルは、2017ねん11つき29にち日本海にほんかいけて発射はっしゃしたICBMきゅうの「火星かせい15がた」でした。
片側かたがわ9りん移動いどうしき発射はっしゃだいから発射はっしゃされ、北朝鮮きたちょうせんは「53分間ふんかんにわたって飛行ひこうして、高度こうどは4475キロたっし、飛行ひこう距離きょりは950キロだった」と発表はっぴょうしていました。韓国かんこく国防省こくぼうしょうは、射程しゃてい最大さいだいで1まん3000キロえ、アメリカ首都しゅとワシントンまで到達とうたつ可能かのうだと分析ぶんせきしていました。

また、2017ねん7つき発射はっしゃされたICBMきゅうだとする「火星かせい14がた」は、移動いどうしき発射はっしゃだい片側かたがわ8りんです。
今回こんかいの「火星かせい17がた」は、片側かたがわ11りん移動いどうしき発射はっしゃだいから発射はっしゃされ、北朝鮮きたちょうせんは「最高さいこう高度こうどは6248.5キロたっし、1090キロの距離きょりを1時間じかん7ふん32びょう飛行ひこうした」と発表はっぴょうしています。
防衛ぼうえいしょうは、弾頭だんとうおもさにもよりますが、1まん5000キロえる射程しゃていで、アメリカひがし海岸かいがんふくめた全土ぜんど射程しゃていふくまれる可能かのうせいがあると分析ぶんせきしています。専門せんもん北朝鮮きたちょうせんアメリカ圧力あつりょくをかけていると分析ぶんせきしています。

なぜアメリカ圧力あつりょくかけるの?

北朝鮮きたちょうせん非核ひかくをめぐるアメリカと北朝鮮きたちょうせん交渉こうしょう行き詰いきづまっていることが背景はいけいにあります。

史上しじょうはつべいちょう首脳しゅのう会談かいだんのち北朝鮮きたちょうせん非核ひかく措置そちすすめる見返みかえ経済けいざい制裁せいさい緩和かんわすること、そしてべいかん合同ごうどう軍事ぐんじ演習えんしゅう中止ちゅうしなど敵視てきし政策せいさく」を撤回てっかいすることをもとめてきました。

しかし、バイデン政権せいけん対話たいわ再開さいかいびかけつつもこうした北朝鮮きたちょうせん要求ようきゅうにはおうじず、1つき12にちにはかく・ミサイル開発かいはつなどかかわったとされる北朝鮮きたちょうせん機関きかん関係かんけいしゃに対にたいするあら制裁せいさい発表はっぴょうしました。

こうした姿勢しせい北朝鮮きたちょうせん反発はんぱつつよめ、ことし1つき19にち朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとう政治せいじきょく会議かいぎでは、ICBMの発射はっしゃ実験じっけんかく実験じっけん中止ちゅうしについて、見直みなお検討けんとうすることを示唆しさしていました。

北朝鮮きたちょうせんは、アメリカとの史上しじょうはつ首脳しゅのう会談かいだんまえにした2018ねん4つきにICBMの発射はっしゃ実験じっけんかく実験じっけん中止ちゅうし表明ひょうめいしていましたが、今回こんかいのICBMきゅう本格ほんかくてき発射はっしゃは2017ねん11つきの「火星かせい15がた以来いらいとなります。北朝鮮きたちょうせん示唆しさしたとおり、ICBMの発射はっしゃ実験じっけん中止ちゅうし見直みなおしたことが明確めいかくになったかたちです。

北朝鮮きたちょうせんのねらいは?

北朝鮮きたちょうせん政治せいじ専門せんもん慶應義塾けいおうぎじゅく大学だいがく礒崎いそざきあつしじん教授きょうじゅは、北朝鮮きたちょうせん相次あいついでミサイルを発射はっしゃしている背景はいけいについて「3かいもの首脳しゅのう会談かいだんおこなったトランプ政権せいけんわり、現在げんざいのバイデン政権せいけんどうやら北朝鮮きたちょうせん問題もんだい関心かんしんがないとわかってきた。北朝鮮きたちょうせんとしては、なにに対にたいして遠慮えんりょすることなく軍事ぐんじりょく強化きょうかすすめているとかんがえられる」として、アメリカに対にたいする抑止よくしりょく強化きょうかすることが目的もくてきだとしています。
そして、「国防こくぼうりょく強化きょうかかかげる北朝鮮きたちょうせんにとっては既定きてい路線ろせん行動こうどうだ」と指摘してきしたうえで、去年きょねん1つき打ち出うちだされた「国防こくぼう5か年かねん計画けいかく」に沿って今後こんご発射はっしゃ実験じっけん継続けいぞくして、かく・ミサイル開発かいはつ強化きょうかしていくとする見方みかたしめしました。

今回こんかいの「火星かせい17がた」の発射はっしゃについて、キムそう書記しょきは「強力きょうりょくかく戦争せんそう抑止よくしりょくしつりょうともに持続じぞくてき強化きょうかする。アメリカ帝国ていこく主義しゅぎとの長期ちょうきてき対決たいけつ徹底てっていして準備じゅんびしていく」とべ、アメリカをつよけん制けんせいしています。

ウクライナ情勢じょうせい影響えいきょうも?

また礒崎いそざき教授きょうじゅは、ロシアによるウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうとの関連かんれんについて、「北朝鮮きたちょうせんはウクライナ情勢じょうせい非常ひじょう注意深ちゅういぶか観察かんさつしている」とする見方みかたしめしています。

そのうえで「核兵器かくへいきち、軍事ぐんじりょく強化きょうかしてこそ、国外こくがいからの侵略しんりゃくから自国じこくまもことができるとのおもつよくしたことは間違まちがない」とべ、ウクライナ情勢じょうせい北朝鮮きたちょうせん軍事ぐんじりょく強化きょうか姿勢しせい一層いっそう後押あとおしていると指摘してきしました。

どんなミサイルを開発かいはつしているの?

北朝鮮きたちょうせん去年きょねん1つきとう大会たいかいで、「最強さいきょう軍事ぐんじりょく確保かくほしなければならない」として「国防こくぼう5か年かねん計画けいかく」を打ち出うちだしました。それもとづいて、新型しんがた兵器へいき開発かいはつすすめ、ことしにはいってさまざまな種類しゅるいのミサイルを発射はっしゃしました。
※「戦術せんじゅつ誘導ゆうどうだん」だとする短距離たんきょり弾道だんどうミサイル(1つき14にち・17にち・27にち発射はっしゃ

従来じゅうらいのミサイルより高度こうどひくく、変則へんそくてき軌道きどう飛行ひこうし、迎撃げいげきするのがむずかしい指摘してきされています。
1つき14にち発射はっしゃは「鉄道てつどう機動きどうミサイル連隊れんたい」による列車れっしゃからの発射はっしゃで、移動いどうしき発射はっしゃだいではむずかしい山岳さんがく地帯ちたいなどからも発射はっしゃできるようになります。
長距離ちょうきょり巡航じゅんこうミサイル(1つき25にち発射はっしゃ

放物線ほうぶつせんえが弾道だんどうミサイルとはことなり、低空ていくうかつ飛行ひこうちゅう経路けいろえることができる命中めいちゅう精度せいどきわめてたかミサイルです。

1つき25にち発射はっしゃでは内陸ないりくから相当そうとう距離きょり飛行ひこうしたとされていて、北朝鮮きたちょうせんは「2時間じかん32ふん17びょう飛行ひこうし、1800キロさき目標もくひょうしま命中めいちゅうした」と発表はっぴょうしました。
※「ごくちょう音速おんそくミサイル」と主張しゅちょうする弾道だんどうミサイル(1つき5にち・11にち発射はっしゃ

ごくちょう音速おんそくミサイルとは音速おんそくの5ばいにあたるマッハ5以上いじょう東京とうきょう大阪おおさかかんをおよそ5ふん移動いどうするはやさで飛行ひこうできるミサイルです。

長時間ちょうじかんひく軌道きどうコースえながらため、探知たんち迎撃げいげき困難こんなんになり、アメリカ中国ちゅうごく、ロシアなど開発かいはつにしのぎをけずっています。
韓国かんこくぐんによる初期しょき分析ぶんせきでは、去年きょねん9つきはじめて発射はっしゃ実験じっけんおこなったときは飛行ひこう距離きょりは200キロたず、速度そくどもマッハ3前後ぜんごにとどまったとみられています。

しかし1つき5にちのミサイルはマッハ5以上いじょう韓国かんこくメディアつたえたほか、1つき11にちのミサイルについては最高さいこう速度そくどマッハ10前後ぜんご飛行ひこう距離きょりも700キロ以上いじょうだったとして、韓国かんこくぐんは「技術ぎじゅつてき進展しんてんしている」としています。
中距離ちゅうきょり弾道だんどうミサイル「火星かせい12がた

液体えきたい燃料ねんりょうもちいるとみられ、北朝鮮きたちょうせんが「アメリカ太平洋たいへいようぐん司令しれいあるハワイと、アラスカを射程しゃていおさめている」と主張しゅちょうするなか距離きょり弾道だんどうミサイルです。

防衛ぼうえいしょう射程しゃてい最大さいだいで5000キロたっする分析ぶんせきしています。

今後こんごもミサイル発射はっしゃつづの?

北朝鮮きたちょうせんは、4つき11にちにキムそう書記しょき朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとうトップへの就任しゅうにん10ねん、4つき15にちにはキムそう書記しょき祖父そふキム・イルソン(きむ日成いるそん主席しゅせき生誕せいたん110ねんなど重要じゅうよう節目ふしめひかえています。

さらに北朝鮮きたちょうせん反発はんぱつするべいかん合同ごうどう軍事ぐんじ演習えんしゅうちかおこなわれる見通みとおです。

3つき11にちの「労働ろうどう新聞しんぶん」は、キムそう書記しょき北西ほくせいトンチャンリにある「ソヘ衛星えいせい発射はっしゃじょう」を視察しさつし、偵察ていさつ衛星えいせいなどを「大型おおがた運搬うんぱんロケット」で打ち上うちあげられるよう、施設しせつ改修かいしゅう拡張かくちょう指示しじしたとつたえました。
北朝鮮きたちょうせんが2018ねん5つき坑道こうどうなど爆破ばくは閉鎖へいさしたとしていた北東ほくとうプンゲリ(ゆたかけいさと)のかく実験じっけんじょうについて、アメリカ専門せんもんは、3つき4にち撮影さつえいされた衛星えいせい写真しゃしん分析ぶんせきした結果けっかあら建物たてもの建設けんせつするなど復旧ふっきゅう作業さぎょうとも受け取うけとれるうごせていると指摘してきしています。

これらのことから、北朝鮮きたちょうせんが「偵察ていさつ衛星えいせい打ち上うちあげ」としょうしてICBMきゅうのさらなる発射はっしゃなど強行きょうこうする可能かのうせい指摘してきされていて、関係かんけいこく警戒けいかい一段いちだんつよまっています。
ソース:NHK ニュース