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相次あいつ医療いりょう機関きかんへのサイバー攻撃こうげき 対策たいさくガイドライン改定かいてい あつろうしょう

2022-04-10 01:27:53

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医療いりょう機関きかんへのサイバー攻撃こうげき相次あいついでいることをけ、厚生こうせい労働ろうどうしょう医療いりょう機関きかんのセキュリティー対策たいさくのガイドラインを改定かいていし、公表こうひょうしました。
データ暗号あんごうされて使つかえなくなる「ランサムウエア」とばれるコンピューターウイルスによる被害ひがいなど想定そうていした対策たいさくあら盛り込もりこんでいます。

厚生こうせい労働ろうどうしょうは、医療いりょう機関きかんへのサイバー攻撃こうげき相次あいついでいることをまえ、医療いりょう機関きかん情報じょうほうセキュリティーに関にかんするガイドラインの改定かいていおこない、このほど公開こうかいしました。

改定かいていでは、データ暗号あんごうされて使つかえなくなる身代金みのしろきん要求ようきゅうがたのコンピューターウイルス「ランサムウエア」への対策たいさくを、喫緊きっきん課題かだいとしてあげています。

具体ぐたいてきには、バックアップのかたについて、バックアップのデータまで被害ひがい拡大かくだいすることのないよう、媒体ばいたい種類しゅるいやとる回数かいすうやしたり、媒体ばいたいをネットワークなどから切り離きりはなしてオフラインで保管ほかんすることなどをあげています。

また被害ひがいけたときすみやか対策たいさくれるよう、医療いりょうシステムに関にかんする構成こうせい責任せきにんしゃのリストなど事前じぜん整備せいびしておくことももとめています。

また外部がいぶとのリモート接続せつぞく攻撃こうげき入り口いりくちになりやすいことから、外部がいぶ業者ぎょうしゃがリモートでシステムのメンテナンスをおこなさいは、かならログ=記録きろくをとったり、終了しゅうりょう医療いりょう機関きかん責任せきにんしゃ確認かくにんしたりすることなどもとめています。

厚生こうせい労働ろうどうしょうは「医療いりょう機関きかん規模きぼなどによってセキュリティーにかけられる予算よさんちがため、一律いちりつおな対策たいさくもとめることはできないが、それぞれ事情じじょうわせてさまざまな対策たいさく組み合くみあわせてほしい」とはなしています。

サイバー攻撃こうげきけた病院びょういんではおおきな被害ひがい

ことし1つきに「ランサムウエア」によるサイバー攻撃こうげきけた愛知あいちけん病院びょういんがNHKの取材しゅざいおうじ、復旧ふっきゅうすうせんまんえん費用ひようかかるなどおおきな影響えいきょうがあったことをあきらかにしました。

愛知あいちけん春日井かすがいある春日井かすがいリハビリテーション病院びょういん」では、ことし1つき12にち電子でんしカルテなど保管ほかんするサーバーがサイバー攻撃こうげきけました。

病院びょういんによりますと、午前ごぜん0すぎに「電子でんしカルテ突然とつぜん閲覧えつらんできなくなった」と看護かんごから連絡れんらくがあり、サーバーを管理かんりするパソコン確認かくにんしたところ、画面がめんじょう英語えいごで「おめでとう!」というタイトル文面ぶんめん表示ひょうじされたということです。

このなかには、英語えいごで「ファイル暗号あんごうした。復元ふくげんさせたければきんはらえ」などかれていて、連絡れんらくさきとして相手あいてのメールアドレスも記載きさいされていました。

情報じょうほうセキュリティー会社かいしゃ依頼いらいしてくわしく調しらべたところ「ランサムウエア」が使つかわれていたことがかったということです。

病院びょういんでは、金銭きんせん要求ようきゅうおうじないことをめましたが、この攻撃こうげきおよそ5まんにん患者かんじゃ情報じょうほう記録きろくされた電子でんしカルテにアクセスできなくなったうえ、オンライン管理かんりしていたバックアップデータ暗号あんごうされました。

その結果けっか入院にゅういん患者かんじゃおよそ250にんのカルテについておよそ1か月かげつにわたって手書てがでの対応たいおう余儀よぎなくされたほか外来がいらい患者かんじゃについてもカルテが閲覧えつらんできないため、いちにんいちにんをしなければならず、診察しんさつ時間じかん長引ながびなど影響えいきょうたということです。

また病院びょういん会計かいけいシステムおよそ1か月かげつかん使つかえない状態じょうたいつづきました。

今回こんかいのサイバー攻撃こうげきでは「VPN」とばれる外部がいぶ接続せつぞくサービスぜい弱ぜいじゃくせいがねらわれた可能かのうせいたかということで、病院びょういんではあら電子でんしカルテシステム導入どうにゅうして復旧ふっきゅうすすめていますが、これまでにすうせんまんえん費用ひようがかかったほか、完全かんぜん復旧ふっきゅうには、まだ1か月かげつ以上いじょうかかる見通みとおだということです。
春日井かすがいリハビリテーション病院びょういんだい川内かわうちさとしつよし総務そうむ課長かちょうは「医療いりょう機関きかんでランサムウエアによる被害ひがい相次あいついでいることは把握はあくしていたが、まさかわたしたちの病院びょういん攻撃こうげきけるとはおもっていなかった。患者かんじゃへの影響えいきょう最小さいしょうげんおさえられたものの、病院びょういんとスタッフにとってはおおきな負担ふたんとなった。今後こんごはセキュリティーをつね最新さいしん状態じょうたいにするとともに、患者かんじゃ情報じょうほうについてはバックアップデータ複数ふくすう保管ほかんするなど対策たいさく強化きょうかしていきたい」とはなしていました。

相次あいつ医療いりょう機関きかんでのサイバー攻撃こうげき

身代金みのしろきん要求ようきゅうがたのコンピューターウイルス「ランサムウエア」によるサイバー攻撃こうげきでは、医療いりょう機関きかん被害ひがいけるケースも相次あいついでいます。

2018ねんには奈良ならけん宇陀うだ市立しりつ病院びょういん患者かんじゃ一部いちぶ診療しんりょう記録きろくられなくなるなど影響えいきょうほか去年きょねんは、徳島とくしまけんつるぎまち町立ちょうりつ病院びょういん電子でんしカルテ会計かいけいシステムデータなどが暗号あんごうされ、およそ2か月かげつにわたり、産科さんかなどをのぞいて新規しんき患者かんじゃ受け入うけい停止ていしする事態じたいとなりました。

専門せんもん医療いりょう機関きかんでは一般いっぱんよりたか対策たいさくを」

ガイドラインの改定かいていかかわった国立こくりつ情報じょうほうがく研究所けんきゅうじょ高倉たかくら弘喜ひろき教授きょうじゅ医療いりょう機関きかんのセキュリティー対策たいさくについて「医療いりょう機関きかんいちにちでも機能きのうまることはゆるされず、一般いっぱんてき対策たいさくえるレベルのたかいものがもとめられている」と指摘してきしています。

そのうえで「医療いりょう現場げんばでは診療しんりょう機器ききなどのシステム複雑ふくざつ連携れんけいしていて、1つがまるどこ波及はきゅうするか、はっきりとわからないこともおお。ガイドラインを参考さんこうに、なにからをつけてどこ解決かいけつしていくのか。全部ぜんぶいち整理せいりして、順番じゅんばん対策たいさくこうじていくことがもとめられる」としています。

データのバックアップについては「オフラインでもバックアップを定期ていきてきにとることや、データを遠隔えんかく保管ほかんすることももとめられる」としています。

また被害ひがいおおが、外部がいぶとのリモート接続せつぞくのセキュリティーのぜい弱ぜいじゃくせいがねらわれた結果けっかだとして「リモート接続せつぞくシステムだれ責任せきにんって管理かんり運用うんようしているかしっかり把握はあくしておくことが重要じゅうようだ」としています。

厚生こうせい労働ろうどうしょうは、ホームページに最新さいしんのサイバー攻撃こうげき動向どうこうそれわせた対策たいさくなど随時ずいじ公開こうかいすることになっているということで、高倉たかくら教授きょうじゅは「日々ひびわる攻撃こうげきに対にたいしてどうそなえていくか、つね対策たいさく見直みなおしていってほしい」とはなしています。
ソース:NHK ニュース