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福島ふくしまだいいち原発げんぱつ処理しょりすい 放出ほうしゅつ計画けいかく「おおむね了承りょうしょう原子力げんしりょく規制きせい

2022-04-15 09:07:01

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福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょにたまりつづけるトリチウムなど放射ほうしゃせい物質ぶっしつふく処理しょりすいうみなが東京とうきょう電力でんりょく計画けいかくについて、原子力げんしりょく規制きせい委員いいんかいは15にち会合かいごうでおおむね了承りょうしょうし、はやければ来月らいげつ事実じじつじょう合格ごうかくしめ審査しんさしょあんりまとめることになりました。

福島ふくしまだいいち原発げんぱつにたまりつづける処理しょりすいについて政府せいふは、基準きじゅん下回したまわ濃度のうどうすめたうえで来年らいねんはるごろからうみなが方針ほうしんで、原子力げんしりょく規制きせい委員いいんかいは、東京とうきょう電力でんりょく方針ほうしんに従にしたがって策定さくていした実施じっし計画けいかく審査しんさしてきました。

審査しんさ去年きょねん12つきから13かいにわたっておこなわれ、あらにつくる設備せつび安全あんぜんせい放出ほうしゅつする時点じてんでのトリチウムの濃度のうど上限じょうげん自然しぜん災害さいがいなど緊急きんきゅう対応たいおう処理しょりすいうみ放出ほうしゅつした場合ばあい周辺しゅうへん環境かんきょうひとへのばくによる影響えいきょうなどが議論ぎろんされました。

そして、15にち審査しんさ会合かいごう規制きせいちょう担当たんとうしゃが「論点ろんてんとして議論ぎろん不十分ふじゅうぶんなものはのこっていない」とべ、東京とうきょう電力でんりょく計画けいかくはおおむね了承りょうしょうされました。

規制きせい委員いいんかいは、はやければ来月らいげつ事実じじつじょう合格ごうかくしめ審査しんさしょあんりまとめることにしています。

東京とうきょう電力でんりょくは、計画けいかく規制きせい委員いいんかいみとめられ、福島ふくしまけん地元じもと自治体じちたい同意どういたうえで、処理しょりすい海水かいすいうすめる設備せつび海底かいていトンネルなど工事こうじ本格ほんかくてき着手ちゃくしゅし、来年らいねん4つき中旬ちゅうじゅんごろの工事こうじ完了かんりょう目指めざしています。

ただ漁業ぎょぎょうしゃ中心ちゅうしん風評ふうひょう被害ひがい懸念けねんするこえ根強ねづよく、政府せいふ東京とうきょう電力でんりょく関係かんけいしゃ理解りかいどういくかが課題かだいとなっています。

処理しょりすい」とは

東京とうきょう電力でんりょく福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょでは「メルトダウン」をこした1号機ごうきから3号機ごうき原子げんし内部ないぶちたあと、かたまったかく燃料ねんりょうがいまものこったままです。

このかく燃料ねんりょうやすための注水ちゅうすい継続けいぞくしていることにくわえ、建屋たきのやない地下ちかすい雨水あまみず流入りゅうにゅうつづいているため、放射ほうしゃせい物質ぶっしつふく汚染おせんすいいちにち、およそ150トンのペースで発生はっせいしています。

これら汚染おせんすいは「ALPS」=核種かくしゅ除去じょきょ設備せつびおくられ、薬液やくえきによる沈殿ちんでん処理しょり活性炭かっせいたんなど放射ほうしゃせい物質ぶっしつ吸着きゅうちゃくする素材そざいにより、大半たいはん取り除とりのぞかれます。

ただみずなかのこってしまうのが、水素すいそ一種いっしゅ「トリチウム」です。

「トリチウム」は、放射ほうしゃせい物質ぶっしつの1つで、自然しぜんかいでも生成せいせいされるため、大気たいきちゅう水蒸気すいじょうき雨水あまみず海水かいすい水道すいどうすいにもふくまれています。

みず一部いちぶとして存在そんざいし、トリチウムだけを分離ぶんりするのが現在げんざい技術ぎじゅつではむずかしく、ALPSなど設備せつび大半たいはん放射ほうしゃせい物質ぶっしつ基準きじゅん以下いかまで浄化じょうか処理しょりできますが、トリチウムは除去じょきょできずのこります。

このみずが「トリチウムなど放射ほうしゃせい物質ぶっしつふく処理しょりすい」、いわゆる処理しょりすい」となります。

処理しょりすい」は、福島ふくしまだいいち原発げんぱつ構内こうない大型おおがたタンクで保管ほかんされています。

現在げんざい敷地しきちない大型おおがたタンクは1000あま設置せっちされ、容量ようりょうおよそ137まんトンありますが、4つき7にち時点じてんで、9わり以上いじょう処理しょりすいたされ、ことしのあき以降いこう満杯まんぱいなる見通みとおです。

敷地しきちないにはスペースもありますが、政府せいふ東京とうきょう電力でんりょくは、今後こんごちたかく燃料ねんりょう使用しよう燃料ねんりょう一時いちじ保管ほかん施設しせつなどを建設けんせつする必要ひつようあるため、タンクをやしつづけることはできないとし、去年きょねん4つき基準きじゅん以下いかうすめるなどしてうみ放出ほうしゅつする方針ほうしんめました。

うみへの放出ほうしゅつにあたって政府せいふは、処理しょりすいうみ放出ほうしゅつするさいのトリチウムの濃度のうどについて、基準きじゅんの40ぶん1となる1リットルたり1500ベクレルを下回したまわ水準すいじゅんまでうすめることにしています。

また、1年間ねんかん放出ほうしゅつするトリチウムのりょうは、事故じこまえ福島ふくしまだいいち原発げんぱつ通常つうじょう運転うんてんをしていたときに目安めやすとされていた、22ちょうベクレルを下回したまわ水準すいじゅんなるようにしています。

政府せいふは、来年らいねんはるごろをめどに処理しょりすいうみ放出ほうしゅつする方針ほうしんで、東京とうきょう電力でんりょく海底かいていトンネルを通をとおして原発げんぱつの1キロほど沖合おきあいから放出ほうしゅつする計画けいかくしめしています。

審査しんさ論点ろんてん

東京とうきょう電力でんりょく政府せいふ方針ほうしんに従にしたがって策定さくていした、福島ふくしまだいいち原発げんぱつにたまる処理しょりすいうみなが計画けいかくについて、原子力げんしりょく規制きせい委員いいんかいは、去年きょねん12つきから審査しんさはいり、13かい会合かいごうひらかれました。

1 放出ほうしゅつ濃度のうど設定せってい

審査しんさ論点ろんてんになったのは、処理しょりすいふくまれる放射ほうしゃせい物質ぶっしつ「トリチウム」の濃度のうどを、どこまでうすめて放出ほうしゅつするかというてんです。

政府せいふ方針ほうしんでは、くに基準きじゅんの40ぶん1に当にあたる1リットルたり1500ベクレル未満みまんとしていて、規制きせい委員いいんかい東京とうきょう電力でんりょくに対にたいこの方針ほうしんまもための手法しゅほう明示めいじするようもとめました。

東京とうきょう電力でんりょくは、トリチウムの分析ぶんせき結果けっかや、混ぜ合まぜあわせる海水かいすいりょうなどにばらつきがことを考慮こうりょし、処理しょりすい海水かいすいうすめたあとの濃度のうどを1リットルたり1500ベクレルよりもひくくし、さらに余裕よゆうたせた設定せってい検討けんとうすると説明せつめいしました。

2 緊急きんきゅう対応たいおう

またうみ放出ほうしゅつする設備せつび具合ぐあいがあった場合ばあいなど緊急きんきゅう対応たいおう論点ろんてんとなり、規制きせい委員いいんかいは、対策たいさく明示めいじするようもとめました。

東京とうきょう電力でんりょくは、みずなが瞬時しゅんじ遮断しゃだんする「緊急きんきゅう遮断しゃだんべん」を、処理しょりすいとお配管はいかんに2か所かしょもうけ、流量りゅうりょうけい放射線ほうしゃせんはか装置そうちなど故障こしょうした場合ばあいでもうみ流れ出ながれでないように設計せっけいするとしました。

また震度しんど5じゃく以上いじょう地震じしん津波つなみ注意ちゅういほう竜巻たつまき注意ちゅういほう高潮こうちょう警報けいほうされたさいには、設備せつびこわれるリスクを考慮こうりょして、うみへの放出ほうしゅつ即座そくざ停止ていしする方針ほうしんしめしました。

そのうえで、設備せつび管理かんりする人員じんいん常駐じょうちゅうさせ、これ以外いがいにも異常いじょう兆候ちょうこうがあれば放出ほうしゅつ停止ていしするとしています。

3 周辺しゅうへん環境かんきょうへの影響えいきょう評価ひょうか

さらに、処理しょりすいうみ放出ほうしゅつした場合ばあい周辺しゅうへん環境かんきょうや、ひとへのばく影響えいきょうどう評価ひょうかするかについても議論ぎろんわされました。

規制きせい委員いいんかいは、東京とうきょう電力でんりょくしめした評価ひょうかについて「想定そうていしたケース極端きょくたんで、国際こくさいてきにみても受け入うけいれられない」などとして、より現実げんじつてき評価ひょうかおこなよう修正しゅうせいもとめました。

東京とうきょう電力でんりょくは、通常つうじょうほか設備せつび不具合ふぐあい処理しょりすい場合ばあいなど、より現実げんじつてき想定そうてい評価ひょうかなおしたうえで、ひと環境かんきょうへのばく影響えいきょういずれきわめてちいさく、国際こくさいてき基準きじゅん範囲はんいない十分じゅうぶんおさまるとしました。

さらに、データ拡充かくじゅうさせながら評価ひょうか継続けいぞくてき見直みなおしていく説明せつめいしました。

今後こんご見通みとお

東京とうきょう電力でんりょく政府せいふ方針ほうしんに従にしたがって策定さくていした、福島ふくしまだいいち原発げんぱつにたまる処理しょりすいうみなが計画けいかくについて、原子力げんしりょく規制きせい委員いいんかいは15にち会合かいごうでおおむね了承りょうしょうし、今後こんご事実じじつじょう合格ごうかくしめ審査しんさしょあん作成さくせいします。

原子力げんしりょく規制きせいちょうによりますと、5つきちゅうにも審査しんさしょあんをまとめる見通みとおで、その後そのご一般いっぱんから意見いけんつのパブリックコメントなどて、正式せいしき審査しんさ合格ごうかくは、はやければ、ことし6つきになるとみられます。

東京とうきょう電力でんりょくは、計画けいかく規制きせい委員いいんかいみとめられ、福島ふくしまけん地元じもと自治体じちたい同意どういたうえで、処理しょりすい海水かいすいうすめる設備せつびや、海底かいていトンネルなど工事こうじ本格ほんかくてき着手ちゃくしゅしたいかんがで、来年らいねん4つき中旬ちゅうじゅんごろの工事こうじ完了かんりょう目指めざしています。

東京とうきょう電力でんりょくは、計画けいかく実施じっし必要ひつよう工事こうじ費用ひようとして、およそ350おくえん見込みこんでいます。

ただ処理しょりすい放出ほうしゅつをめぐっては、地元じもと中心ちゅうしん風評ふうひょう被害ひがい懸念けねんするこえ根強ねづよく、政府せいふ東京とうきょう電力でんりょくが、漁業ぎょぎょう関係かんけいしゃ全国ぜんこく消費しょうひしゃなど関係かんけいしゃ理解りかいどういくかが引き続ひきつづ課題かだいとなっています。
ソース:NHK ニュース