【詳くわしく】「私わたしは警察けいさつに拘束こうそくされた」ロシア人じんたちの反戦はんせんの声こえ

「軍事ぐんじ侵攻しんこうに反対はんたいしたら拘束こうそくされました」

こう話はなすのはロシアで暮くらす男性だんせいです。ロシアでは、厳きびしい弾圧だんあつの中なか、SNSなどで反戦はんせんの声こえをあげ続つづけている人ひとたちがいて、この男性だんせいもそうしたひとりです。

拘束こうそくされた経緯けいい、生活せいかつへの影響えいきょう、そして、声こえをあげ続つづける理由りゆうについて、話はなしを聞きかせてもらいました。

拘束こうそくされたときの状況じょうきょうを教おしえてください

【拘束こうそくされたアレクセイさん：仮名かめい】

私わたしが住すんでいる街まちには広場ひろばがあって、そこで毎週まいしゅう土曜どよう日びに集あつまりがあります。公おおやけの場所ばしょで許可きょかのないデモが禁止きんしされてしまったので、みんなでそこに集あつまって意見いけん交換こうかんをしているだけなのですが、警察けいさつは毎回まいかい、来きます。

そこで私わたしが、ロシア軍ぐんを支持しじするシンボルの「Z」のマークに×印しるしをつけたプラカードを掲かかげたところ、すぐに警察けいさつが来きてプラカードを取り上とりあげ、私わたしをパトカーに連つれて行いきました。

彼かれらは抗議こうぎを見みつけたら、すぐに拘束こうそくするように指示しじされているのでしょう。

私わたしがプラカードを掲かかげる時間じかんもなかったくらいです。

警察けいさつの対応たいおうはどうでしたか？

パトカーで警察けいさつ署しょに連つれて行いかれました。そこで調書ちょうしょをとられました。何なにをしたのか、どの法律ほうりつに抵触ていしょくするのかなどを詳くわしく書き込かきこんでいました。

警察官けいさつかんの態度たいどは、普通ふつうな感かんじのような気きもしますが、一部いちぶの警察官けいさつかんは彼かれらの仕事しごとを増ふやしたことを迷惑めいわくそうにしていました。

また私わたしがロシアの裏切り者うらぎりものだと思おもっている警察官けいさつかんもいて、汚きたない言葉ことばで私わたしを罵ののしって侮辱ぶじょくしたり、暴力ぼうりょくをふるうと脅おどしたりしてきます。

警察けいさつ署しょにいた時間じかんは2、3時間じかんくらいでした。ロシアでは3時間じかん以上いじょう拘束こうそくしてはいけないことになっています。その後そのご、釈放しゃくほうされました。

まだ、決定けっていは出でていませんが、ロシア軍ぐんの信用しんようを失墜しっついさせたとして、罰金ばっきんが科かせられることになるでしょう。

通常つうじょうは3万まんルーブル（日本にっぽん円えんでおよそ5万まん円えん／4月つき23日にち時点じてん）ほどですが、私わたしは脚あしの障害しょうがいがあるので、1万まん5000ルーブル（日本にっぽん円えんで2万まん5000円えん／4月つき23日にち時点じてん）ほどになると思おもいます。

（ロシア人じんの平均へいきん月収げっしゅうは5万まん6000ルーブルほど／2021年ねん時点じてん）

暮くらしや生活せいかつに影響えいきょうは？

実じつは、プーチン政権せいけんを批判ひはんしていた地元じもとの知事ちじが逮捕たいほされた2020年ねんから、私わたしは、政権せいけんに対にたいする抗議こうぎ活動かつどうをしてきました。

政権せいけん批判ひはんをして、これまでにも何なん度どか拘束こうそくされ、罰金ばっきんを科かせられたこともあります。政府せいふに抗議こうぎの声こえを上あげ始はじめてから、友達ともだちが私わたしのことを避さけるようになりました。

長年ながねん一緒いっしょに勉強べんきょうをしたクラスメイトが、私わたしをSNSの友達ともだちのリストから削除さくじょしていました。理由りゆうを聞きいても答こたえてくれませんでしたが、トラブルに巻き込まきこまれるのではないかと心配しんぱいしているようです。

彼かれ一いち人にんだけではありません、ほとんどの友達ともだちが私わたしとのつながりを断たちました。

だから昔むかしの友達ともだちとは話はなしをしなくなってしまいました。

抗議こうぎ活動かつどうとはどういうもの？

広場ひろばに集あつまって知事ちじの逮捕たいほが不当ふとうで解放かいほうすべきだと訴うったえたり、SNSで政権せいけんを批判ひはんする情報じょうほうなどを発信はっしんしたりしてきました。

今いまほどではありませんが、以前いぜんから、政府せいふ批判ひはん、抗議こうぎの声こえをあげるのはリスクがありました。職場しょくばを解雇かいこされたりボーナスを減へらされたり学校がっこうを退学たいがくさせられたりなどリスクが。

それでも公おおやけに、抗議こうぎ活動かつどうをする人ひとたちがいます。

一方いっぽうで、リスクが大おおきいため、声こえをあげたくても、あげられない人ひとたちがたくさんいます。そうした人ひとたちは、私わたしたちのように公おおやけに抗議こうぎ活動かつどうをする人ひとたちに、寄付きふや支援しえんすることで、自分じぶんたちの考かんがえや意見いけんを示しめしています。

当局とうきょくの取り締とりしまりが厳きびしいロシアでは多おおくの人ひとがこうして抗議こうぎに参加さんかしているのです。

寄付きふは、だいたい1人にんあたり100～300ルーブル（日本にっぽん円えんで150～500円えん程度ていど／4月つき23日にち現在げんざい）ほどですが、多おおくの人ひとたちが活動かつどうに共感きょうかんし寄付きふをしてくれます。

侵攻しんこう後ご、政府せいふの規制きせい、取り締とりしまりはどう変化へんか？

最もっとも影響えいきょうがあったのは、政府せいふがインスタグラム、ツイッター、フェイスブックなどのSNSを閲覧えつらんできないようにしたことです。

抗議こうぎ活動かつどうでは、こうしたSNSを通をつうじて情報じょうほうを発信はっしんし共感きょうかんを得えていたので、SNSを使つかえなくなったことで、抗議こうぎの声こえをあげたり、つながったりすることが難むずかしくなりました。支援しえんの声こえも減へりました。

政府せいふの弾圧だんあつもありますが、これらのSNSが使つかえなくなったことで、以前いぜんより抗議こうぎの声こえが見みつけにくくなった気きがします。

今いまはテレグラムというロシアのSNSやユーチューブなどで情報じょうほうを発信はっしんしていますが、それをブロックされてしまったり、情報じょうほうを削除さくじょされてしまうことが今いま、最もっとも恐おそれていることです。

人々ひとびとが本当ほんとうのことを言いえなくなり、情報じょうほうが発信はっしんできなくなり、抗議こうぎの声こえは抑おさえられてしまうでしょう。

政府せいふの言論げんろん統制とうせいにどう対抗たいこう？

警察けいさつなど当局とうきょくに拘束こうそくされないように、抗議こうぎの意志いしを示しめしたりつながったりしています。

たとえば、ウクライナへの連帯れんたいを示しめす（黄色きいろと青あおを混まぜた色いろである）緑みどりのリボンを街まちのあちこちに結むすんで、政府せいふへの抗議こうぎを示しめす人ひともいます。

また、あえて、政府せいふのプロパガンダのチラシを街まちなかで配布はいふしながら抗議こうぎの意志いしを示しめす人ひとまでいます。

プラカードを掲かかげるなどすると、すぐに当局とうきょくに見みつかって、拘束こうそくされたり罰金ばっきんを科かされたりしてしまうので、みんな、さまざまな方法ほうほうを探さぐっています。

みんなで集あつまって抗議こうぎの声こえをあげることもありますがその場合ばあいは、短時間たんじかんで場所ばしょを変かえながらやるようにしています。

当局とうきょくもすべては追跡ついせきできませんので。

抗議こうぎの声こえを上あげることで、政権せいけんが変かわると思おもいますか？

ロシア国内こくないでの抗議こうぎの声こえによって、政権せいけんを変かえることができるのがベストですが、残念ざんねんながら今いまのロシアでは、それは難むずかしいでしょう。

政府せいふに影響えいきょうをもたらすことができる方法ほうほうは海外かいがいからのアクションです。多おおくの人ひとがそう思おもっていると思おもいます。

まずはもちろんプーチンを変かえないといけないと思おもいますが、プーチンがいなくなっても、また彼かれのような独裁どくさい者しゃがあらわれて、同おなじことを繰り返くりかえすことになる運命うんめいにあると思おもいます。

彼かれらをすべて変かえればなりません。

リスクがあるのになぜ声こえを上あげ続つづけるの？

この状況じょうきょうを黙だまって見みていることはできないし、放はなっておくことはできません。少すくなくとも私わたしは、ただ家かにいて何なにもしないということはできません。

ウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうを「戦争せんそう」と呼よぶだけで拘束こうそくされるなんておかしいと思おもいませんか。ウクライナのブチャの惨状さんじょうを見みて、こんなことが起おきているのに、抗議こうぎしないと言いうことはできません。

ロシア国内こくないの人ひとたちに私わたしが作つくったプラカードを見みせて、他たの人ひとが抗議こうぎの声こえを上あげられるように呼よびかけたいです。

独立どくりつ系けいのメディアの記者きしゃが広場ひろばに来きて、私わたしが拘束こうそくされたところを撮影さつえいし、インターネットで拡散かくさんしてくれました。

プラカードを持もって立たっていると、すぐに警察けいさつが来きて拘束こうそくされてしまいます。なのでメディアを通をつうじて、多おおくの人ひとたちに見みてもらうことが大事だいじなのです。

真実しんじつを広ひろめるために。

「モスクワのこだま」のような大おおきな独立どくりつ系けいのメディアは閉鎖へいさに追い込おいこまれました。あまり知しられていないメディアは残のこっていますが、いつまで耐たえられるかわかりません。

彼かれらが閉鎖へいさに追い込おいこまれないように、それまでにもっと活動かつどうできるように祈いのるしかないのです。

ソース：NHK ニュース