ゼレンスキー大統領と国連事務総長会談へ 市民避難実現なるか
2022-04-28 03:23:17

停戦の見通しが立たない中、国連のグテーレス事務総長は、28日にウクライナでゼレンスキー大統領と会談する予定で、マリウポリに取り残された市民の避難の実現などについて話し合うことにしています。
ロシア軍は、ウクライナの東部や南部で攻勢を強めていて、ロシア国防省は27日、ウクライナ軍の指揮所や対空ミサイルシステムをミサイルなどで破壊したと発表しました。
東部の要衝マリウポリにとどまるウクライナ海軍歩兵部隊の指揮官を務めるセルヒー・ボリンスキー氏は27日、SNSに投稿した動画で「部隊には600人の負傷者がいるが、手当てができる状況ではない。われわれと一緒にいる数百人の市民の中には数十人の子どもや障害者、高齢者も含まれる。水も食料も不足し、事態は切迫している」と述べ、ロシア軍に包囲されている中、市民や兵士の救出に向けて各国に支援を訴えました。
マリウポリでは、ロシア軍が市民の遺体を埋めたとみられる「集団墓地」が、これまでに3か所見つかったとされています。
目撃した人を取材したウクライナ人ジャーナリストは、NHKに対し「遺体はロシア軍のダンプカーから直接、穴に放り込まれ、人間ではなく、木材を扱うようだったと話していた」と述べました。
また、南部ヘルソンでは、ロシアが占領を正当化するために住民投票を実施することへの懸念が強まっています。
27日には、住民投票に反対してデモを行った人々に対し、ロシア軍が催涙弾やせん光弾を使って鎮圧したとみられています。
一方、ロシアのプーチン大統領は、27日の演説で「進行中の作戦に外部から干渉しようとするなら、ロシアにとって容認できない戦略的脅威であり、電撃的な対抗措置をとる」と述べ、欧米メディアなどは、プーチン大統領が核兵器の使用も辞さない構えを示したという見方も伝えています。
これに対して、アメリカ国防総省のカービー報道官は記者会見で「核の対立が起きるのではないかと不安にさせるのは無責任だ。この戦争がこれ以上エスカレートするのも、核の領域に達するのも、誰も見たくはないし、そうすべき理由もない」と非難しました。
こうした中、国連のグテーレス事務総長は、26日にロシアでプーチン大統領と会談したのに続き、28日にはウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領やクレバ外相と会談する予定です。
グテーレス事務総長は、プーチン大統領との会談で、マリウポリに取り残された市民の避難に国連が関与することで原則的に合意していて、ゼレンスキー大統領との間で市民の避難の実現などについて話し合うことにしています。