脱炭素の実現に向けて政府が導入拡大を目指している洋上風力発電をめぐり、外務政務官で自民党の秋本真利 衆議院議員側が東京の風力発電会社側から多額の資金提供を受けていた疑いがあるとして、東京地検特捜部は収賄の疑いで東京 千代田区の衆議院第一議員会館にある秋本議員の事務所を捜索し、強制捜査に乗り出しました。
提供された資金の総額は数千万円に上るとみられ、特捜部は不透明な資金の流れについて実態解明を進めるものとみられます。
捜索を受けているのは東京 千代田区の衆議院第一議員会館にある秋本真利議員(47)の事務所で、午前11時すぎ、東京地検特捜部の係官数人が事務所に入りました。
関係者によりますと、秋本議員側は政府が導入拡大を目指している洋上風力発電をめぐり、東京 千代田区に本社がある風力発電会社「日本風力開発」側から多額の資金提供を受けた収賄の疑いがあるということです。
「日本風力開発」は、政府が3年前からおととしにかけて入札を実施した洋上風力発電のプロジェクトなどへの参入を目指していましたが、落札することができなかったということです。
この入札について、秋本議員は去年2月に国会で質問し、次のプロジェクトの公募から入札の評価基準を見直すよう求めていました。
秋本議員は、2017年8月から翌年10月まで国土交通政務官を務め、2019年4月に施行された洋上風力発電の導入を促進する「再エネ海域利用法」の法案作成に関わったほか、去年8月からは外務政務官を務めています。
関係者によりますと、秋本議員に会社側から提供された資金の総額は数千万円に上るとみられ、特捜部は捜索で押収した資料を分析し、不透明な資金の流れや趣旨などについて実態解明を進めるものとみられます。
NHKの取材に対し日本風力開発は「当社が、国会議員ほか公務員に対し、贈賄をした事実は一切なく、この点を立証できる客観的な証拠が数点存在しています」とコメントしています。
また秋本議員は3日夜、海外の訪問先から帰国しましたが、報道陣の問いかけには応じませんでした。
松野官房長官「
現時点で
報道に関して報告は
受けていない」
松野官房長官は記者会見で「現時点で報道に関して秋本政務官から報告は受けていない。捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、本人に報告を求めることは考えていない」と述べました。
西村経済産業相「
コメントは
差し控えたい」
西村経済産業大臣は4日、経済産業省で記者団の取材に応じ「事実関係を承知していないのでコメントは差し控えたい」と述べました。
その一方で、洋上風力発電について入札で事業者を選ぶ基準が去年10月に見直されたことについて「秋本議員が事務局長を務めている再エネ議連から提言をもらったことはあるが、見直しのプロセスは外部有識者を含む審議会で議論をして、パブリックコメントを経て決定したものだ」と述べ、基準の見直しは適切に行われたという認識を示しました。
公明 石井幹事長「
事態の
進展と
本人の
対応見守りたい」
公明党の石井幹事長は記者会見で「捜査当局が捜査をしているという報道があるが、まだ正確な動きは承知していないので、今後の事態の進展と本人の対応を見守りたい」と述べました。