「両親りょうしんにうつして、申し訳もうしわけない」20代だい大学生だいがくせいが悔くやむ家庭かてい内ない感染かんせん

「両親りょうしんにうつしてしまって、すごく心配しんぱいで、心苦こころぐるしかった」

札幌さっぽろ市しに住すむ20代だいの大学生だいがくせいの男性だんせいは、ことし4月つき、新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしました。

その後そのご、同居どうきょする両親りょうしんにも感染かんせんが広ひろがり、父親ちちおやは重症じゅうしょう化かして入院にゅういん、母親ははおやは高熱こうねつにうなされ続つづけました。

「自分じぶんだけでなく、家族かぞくのためにも、対策たいさくの徹底てっていは欠かかせない」

家庭かてい内ない感染かんせんの怖こわさを身みを持もって知しった男性だんせいからのメッセージです。

けん怠けんたい感かんに襲おそわれ、熱ねつは38度ど超ちょう

札幌さっぽろ市内しないで両親りょうしんと暮くらすコウタさん（仮名かめい）20歳さいは、4月つき中旬ちゅうじゅん、大学だいがくから家いえに帰かえると、ひどいけん怠けんたい感かんに襲おそわれました。

熱ねつを測はかると、38度どを超こえていました。

ちょうど、札幌さっぽろ市内しないで感染かんせん者しゃが急増きゅうぞうしはじめていた頃ころでした。

コウタさん
「帰かえってきて、まずはお風呂ふろに入はいり、親おやが用意よういしてくれたご飯ごはんを食たべようと思おもったのですが、非常ひじょうに強つよい倦怠けんたい感かんがあって。結局けっきょく食たべられず、すぐにベッドに横よこになってしまうような状況じょうきょうでした」

「どこで感染かんせんが起おきたのか、本当ほんとうにわからない」

コウタさんは身近みぢかに感染かんせん者しゃはおらず、マスクの着用ちゃくようや手て指ゆびの消毒しょうどくなど、基本きほん的てきな感染かんせん対策たいさくもしていたので、新型しんがたコロナウイルスではないと思おもっていました。

ところが翌日よくじつになっても、熱ねつは下さがりません。

頭痛ずつうの症状しょうじょうだけでなく、目めを動うごかしただけでも痛いたみを感かんじるようになりました。

両親りょうしんと相談そうだんし、検査けんさを受うけると、感染かんせんがわかりました。

コウタさん
「感染かんせんがわかったときは、『やってしまった』という思おもいと、信しんじたくないという気持きもちがすごく強つよかったです。周まわりにすごく迷惑めいわくをかけてしまうのではないかと不安ふあんにもなりました。保健所ほけんじょとも感染かんせん経路けいろの精査せいさをしましたが、なかなか洗あらい出だせず、どこで感染かんせんが起おきたのか、本当ほんとうにわからないような状況じょうきょうでした」

両親りょうしんの感染かんせんが相次あいつぎ判明はんめい 不安ふあんが現実げんじつに

幼おさない頃ころからぜんそくを患わずらっていたコウタさんは、発症はっしょうから4日にち後ご、宿泊しゅくはく療養りょうようのホテルに入はいりました。

症状しょうじょうは幸さいわいにも軽かるかったものの、心配しんぱいしていたことが起おきてしまいました。

両親りょうしんの感染かんせんが相次あいついで判明はんめいしたのです。

「若わかくはない両親りょうしんに感染かんせんを広ひろげたら嫌いやだな」

コウタさんは感染かんせんした当初とうしょから、そんな思おもいがありました。

それが現実げんじつになってしまったのです。

父ちちは重症じゅうしょう化か 母ははも高熱こうねつにうなされ

60代だいの父親ちちおやは、療養りょうようのため男性だんせいと同おなじホテルに入はいりました。

ところが症状しょうじょうが悪化あっかし、その5日にち後ごに急きゅうきょ病院びょういんに搬送はんそうされ、入院にゅういんすることになりました。

自宅じたくでの療養りょうようとなった50代だいの母親ははおやも、38度ど台だいの高熱こうねつにうなされ続つづけました。

コウタさんは、ホテルでの療養りょうようが続つづいていたため、両親りょうしんと会あうことができません。

電話でんわでも簡単かんたんには連絡れんらくがとれず、不安ふあんは募つのる一方いっぽうでした。

コウタさん
「すごく心配しんぱいな気持きもちでした。特とくに重症じゅうしょう化かした父ちちは、体調たいちょうが良よいのか、それとも悪わるいのかを自分じぶんから伝つたえられるような状態じょうたいではなく、父ちちがホテルから搬送はんそうされて入院にゅういんしたことも母ははを通をつうじて知しりました。詳くわしい状況じょうきょうがわからないなか、両親りょうしんもそんなに若わかいわけではないので、体力たいりょく的てきな面めんで苦くるしいところもあるのではと本当ほんとうに不安ふあんでした」

「家族かぞくのためにも自分じぶんが感染かんせんしないことが重要じゅうよう」

自分じぶんから両親りょうしんに感染かんせんを広ひろげる「家庭かてい内ない感染かんせん」を引き起ひきおこしてしまった。

コウタさんは、申し訳もうしわけない気持きもちでいっぱいでした。

コウタさん
「自分じぶんがかかって症状しょうじょうが出でる分ぶんにはそんなに心配しんぱいはなくて、実際じっさいにつらかったのも数すう日にちでした。でも両親りょうしんの場合ばあいは万が一まんがいちのこともありえました。だから両親りょうしんにうつしてしまって申し訳もうしわけないと言いう気持きもちでいっぱいになりました。家族かぞくのためにも自分じぶんが感染かんせんしないことが本当ほんとうに重要じゅうようなのだと痛感つうかんしました」

コウタさんと両親りょうしんは、いまは回復かいふくし、元もとの生活せいかつに戻もどりました。

ただ、両親りょうしんはいまも味覚みかくや嗅覚きゅうかくに違和感いわかんがあります。

自分じぶんのためだけでなく、周まわりにいる、大切たいせつな人ひとたちのため。

コウタさんは、同おなじ世代せだいの若者わかものたちに伝つたえたいことがあります。

コウタさん
「感染かんせんを完全かんぜんに防ふせぐことは難むずかしいかもしれません。でも次つぎは誰だれかにうつさないよう、手洗てあらいやマスクの着用ちゃくようを徹底てっていすることが、いかに重要じゅうようであるかを改あらためて思おもわされる経験けいけんでした。自分じぶんがかからないため、と言いうよりは、他たの人ひとにうつさないために、自分じぶんがかからないようにする。その心こころがけが本当ほんとうに大事だいじなのだと思おもいます」


（取材しゅざい:札幌さっぽろ拠点きょてん放送ほうそう局きょく 記者きしゃ 浅井あさい優奈ゆうな）

ソース：NHK ニュース