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“2つの職場しょくばストレス自殺じさつ男性だんせい労災ろうさい認定にんてい

2024-12-15 21:10:43

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岐阜ぎふ大学だいがく研究けんきゅういんつとめながら、測量そくりょうなどおこな会社かいしゃはたらいていた60さい男性だんせい自殺じさつしたのは、大学だいがく上司じょうし相談そうだん適切てきせつおうじなかったり会社かいしゃから責任せきにんおも仕事しごとを1にんわされたりしたことが原因げんいんだったとして、労働ろうどう基準きじゅん監督かんとくしょが2つの職場しょくばでのストレス総合そうごうてき判断はんだんして労災ろうさいみとめたことがわかりました。

労災ろうさい認定にんていけたのは、岐阜ぎふ大学だいがくと、都内とない本社ほんしゃある測量そくりょうなどおこな会社かいしゃで、いずれも2019ねん12つきからはたらはじめ、2021ねん5つき自殺じさつした愛知あいちけんの60さい男性だんせいです。

遺族いぞく代理人だいりにん弁護士べんごしによりますと男性だんせい大学だいがくでは研究けんきゅういんとして国際こくさい貢献こうけんのプロジェクトにたずさわっていましたが、くなる直前ちょくぜんまでの1か月かげつあま上司じょうし相談そうだん適切てきせつおうじずきびしい指導しどうけ、会社かいしゃでは技術ぎじゅつしゃとして2021ねん2つきごろまでの半年はんとしあまりのに74か所かしょきょうりょう点検てんけんする事業じぎょうデータ処理しょりからとりまとめまで1にんおこない、すべての責任せきにん立場たちばにあったということです。

こうした状況じょうきょうから名古屋なごやきた労働ろうどう基準きじゅん監督かんとくしょは、2つの職場しょくばでのストレス原因げんいん男性だんせいうつ病うつびょう発症はっしょうしていたものと判断はんだんし、ことし4つき労災ろうさいみとめました。

遺族いぞくは「きょうりょう専門せんもんとして知識ちしきたくさんあり、将来しょうらい海外かいがいこれまでの経験けいけんかす仕事しごとがしたいとゆめていたがくなりくやしい二度にどおなようなひとないよう、大学だいがく会社かいしゃ責任せきにんみとめて、職場しょくば環境かんきょう改善かいぜんしてほしい」とはなしています。

一方いっぽう岐阜ぎふ大学だいがくは「労働ろうどう基準きじゅん監督かんとくしょから直接ちょくせつてき指導しどうなどはなく、詳細しょうさい承知しょうちしていません。職場しょくばでの負荷ふかについては就労しゅうろう環境かんきょうなどふくめて改善かいぜん周知しゅうちおこなっている」とコメントし、会社かいしゃは「個人こじん情報じょうほうやプライバシーの問題もんだいふくため回答かいとうひかえたい」としています。


あつろうしょう研究けんきゅうかい 副業ふくぎょう兼業けんぎょう通算つうさんでの労働ろうどう時間じかん管理かんり 廃止はいし検討けんとう

独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん労働ろうどう政策せいさく研究けんきゅう研修けんしゅう機構きこう」が2022ねん実施じっしした調査ちょうさでは、「仕事しごとをしている」とこたえた18まん8980にんのうち仕事しごとは2つ以上いじょう副業ふくぎょうをしている」とこたえたひとは、6%にあたる1まん1358にんでした。

このうち副業ふくぎょうする理由りゆうについては「収入しゅうにゅうやしたい」が54.5%でもっとたかく「1つの仕事しごとだけでは収入しゅうにゅうすくなくて、生活せいかつ自体じたいができない」が38.2%、「自分じぶん活躍かつやくできるひろげたい」が18.7%などとなっています。

こうしたなか厚生こうせい労働ろうどうしょう研究けんきゅうかいは12つき企業きぎょうがわ副業ふくぎょう兼業けんぎょうをするひと割増わりまし賃金ちんぎん支払しはらためおこな通算つうさん労働ろうどう時間じかん管理かんり廃止はいしするあんしめしました。

現状げんじょう制度せいどでは、割増わりまし賃金ちんぎん本業ほんぎょう副業ふくぎょう兼業けんぎょうさき労働ろうどう時間じかん通算つうさんして支払しはらことになっていて、労働ろうどう時間じかんを1にちごとにこまかく管理かんりする必要ひつようがあり、企業きぎょうから負担ふたんおおきく副業ふくぎょう兼業けんぎょう受け入うけいれるのがむずかしいというこえがっていたためです。

その一方いっぽうで、はたらひと健康けんこう確保かくほするため労働ろうどう時間じかん合計ごうけいを1か月かげつや1ねん単位たんい把握はあくするルール引き続ひきつづ必要ひつようだとしていて、研究けんきゅうかいあんでも「割増わりまし賃金ちんぎん通算つうさん対応たいおう必要ひつようとしなくするぶん健康けんこう確保かくほについてはこれまで以上いじょう万全ばんぜんくす必要ひつようある」としています。

厚生こうせい労働ろうどうしょう研究けんきゅうかい報告ほうこくしょをまとめたあと労使ろうし参加さんかする審議しんぎかいにこのあんしめし、議論ぎろんすることにしています。


複数ふくすう職場しょくばでのストレス評価ひょうかした労災ろうさい認定にんていはじめて

厚生こうせい労働ろうどうしょう複数ふくすう職場しょくばはたらひと労災ろうさいについて、このうちの1か所かしょでの仕事しごと内容ないようをみて個別こべつ評価ひょうかして判断はんだんしていましたが、副業ふくぎょう兼業けんぎょうをするひとえていることをまえて2020ねん法律ほうりつ改正かいせいしたうえで、はたらくすべての職場しょくばでの仕事しごと内容ないよう総合そうごうてき評価ひょうかして労災ろうさいどう判断はんだんするようにしました。

遺族いぞく代理人だいりにんつとめる立野たての嘉英よしひで弁護士べんごし法律ほうりつ改正かいせい複数ふくすう職場しょくばはたらいていたひと労働ろうどう時間じかん合算がっさんすることで労災ろうさいみとめられたケースあるものの、今回こんかいのように複数ふくすう職場しょくばでのストレス全体ぜんたいてき評価ひょうかして自殺じさつ労災ろうさいとしてみとめたケースはこれまでに確認かくにんされていないとしています。

立野たての弁護士べんごしは「くに副業ふくぎょう兼業けんぎょう推進すいしんし、普及ふきゅうすすんでいるが、複数ふくすう職場しょくばからしょうじるストレス蓄積ちくせきについてどのように健康けんこう管理かんりすることができる議論ぎろんをさらにふかめる必要ひつようある労働ろうどうしゃ自己じこ申告しんこくにのみたよのは危険きけんで、上司じょうしらによる健康けんこう状態じょうたい把握はあく不可欠ふかけつだ」とはなしています。


専門せんもん企業きぎょう副業ふくぎょう兼業けんぎょう念頭ねんとう労働ろうどうしゃ対話たいわを」

職場しょくばのメンタルヘルスにくわしい産業さんぎょう医科いか大学だいがく江口えぐちしょう教授きょうじゅは「人手ひとで不足ふそくなかで、自分じぶん会社かいしゃだけではたらいてもらうというよりも、これから特定とくてい時間じかんだけべつ会社かいしゃはたらいてもらう機会きかいえてくるとおもいままでの企業きぎょう健康けんこう管理かんりは1つの会社かいしゃだけではたらいているという前提ぜんていだったが、これから副業ふくぎょう兼業けんぎょうをしているかもしれないということを念頭ねんとうにおいてコミュニケーションをとることが大事だいじだ」と指摘してきします。

具体ぐたいてき取り組とりくについて江口えぐち教授きょうじゅは「つき残業ざんぎょう時間じかんが45時間じかんえるのう心臓しんぞう疾患しっかんやメンタルヘルス不調ふちょうのリスクがたかまってくる。はたらひとはそれぞれの会社かいしゃ出勤しゅっきん時間じかん退勤たいきん時間じかんきちんと記録きろくし、自分じぶん健康けんこうまもっていくことが大切たいせつだ。また会社かいしゃがわ労働ろうどうしゃとしっかり話し合はなしあい、場合ばあいによっては労働ろうどう時間じかん制限せいげんするなど留意りゅういしていく必要ひつようあるのではないか」とはなしています。

ソース:NHK ニュース