年神としがみさま

どこでも断ことわられますが、ある貧まずしい夫婦ふうふ（元もとは長者ちょうじゃ）が「何なにもありませんが」と喜よろこんで泊とめてあげる。当然とうぜん、神様かみさまから二人ふたりに福ふくが授さずけられるのですね。「金欲かねほしいか？歳若としわかさ欲ほしいか？」っていう問といに「歳若としわかさ」と答こたえます。「川かわで七度しちど、水みずを浴あびよ」との仰おおせに従したがうと二人ふたりは若返わかがえりました。

そのことを知しった金持かねもち夫婦ふうふが、神様かみさまを強引ごういんに家いえに引ひっ張ぱりこんで歓待かんたい、神様かみさまは同おなじようにお礼れいはどちらがいいか聞ききます。金持かねもち夫婦ふうふも「歳若としわかさ！」。ところが、一族いちぞくを引ひき連つれて川かわに入はいった金持かねもちは、全員ぜんいん「猿さる」になってしまう。神様かみさまは若返わかがえった二人ふたりに、これからは金持かねもちの家いえで暮くらすようにと言いって去さっていきます。

けれど、怒いかった猿達さるたちが毎日まいにち、元もとの我わがが家いえの周まわりでわめき続つづけるので、二人ふたりは困惑こんわく。すると、夢ゆめに神様かみさまが現あらわれて「門もんの前まえの敷石しきいしを焼やいておきなさい」というお告つげ。そのようにすると、猿達さるたちがいつものようにやってきた。不思議ふしぎなことに全員ぜんいんが一度空中いちどくうちゅうに持もち上あげられて、一気いっきに敷石しきいしの上うえに尻しりから落おとされる。ジューッ！！猿さるは逃にげ、二度にどと現あらわれなかった。そうです、以来いらい、お猿さるの尻しりは真まっ赤かになったのさ。

ソース：NHK ニュース