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アルツハイマーびょう新薬しんやく べい承認しょうにん 国内こくない受け止うけとめは

2021-06-08 10:33:29

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国内こくない認知にんちしょうひとは600まんにん以上いじょう推計すいけいされていて、今後こんご高齢こうれいすすにつれて、患者かんじゃかずえるかんがえられています。2025ねんにはおよそ700まんにんとなるという推計すいけいもあります。国内こくないでは全体ぜんたいの60%から70%がアルツハイマーびょうだとみられています。アメリカのFDA=食品しょくひん医薬品いやくひんきょくが「アデュカヌマブ」をアルツハイマーびょう治療ちりょうやくとして承認しょうにんしたことについて、国内こくない受け止うけとめです。

東京とうきょう大学だいがく 岩坪いわつぼ教授きょうじゅ認知にんちしょう根本こんぽん治療ちりょうにつながる第一歩だいいっぽ

日本にっぽん認知にんちしょう学会がっかい理事りじちょう東京とうきょう大学だいがく岩坪いわつぼたけし教授きょうじゅは、「アルツハイマーびょう発症はっしょうメカニズムにそくして、根本こんぽんてき病気びょうき原理げんりはたらきかけるくすりはじめて画期的かっきてきだ。FDAの判断はんだんは、データには十分じゅうぶんではないところがのこにせよ、根本こんぽんてき治療ちりょうやくがないなかである程度ていど科学かがくてき証拠しょうこられたので、まず臨床りんしょう現場げんば使つかってみて、さらによいものにつなげようという精神せいしんおこなわれた判断はんだんだとおも今後こんご、さらによいくすり続々ぞくぞく開発かいはつされて、認知にんちしょう根本こんぽん治療ちりょうにつながる第一歩だいいっぽとして、非常ひじょうおおきな判断はんだんになったとおも」とはなしていました。

今後こんご患者かんじゃ医療いりょう現場げんばあたえる影響えいきょうについては、「今回こんかいくすりは、認知にんちしょう発症はっしょうしたばかりの状態じょうたいからその後そのご進行しんこうスピードおさえるもので中等ちゅうとうしょう重症じゅうしょうなるまでの時間じかんばすことでより生活せいかつたかレベルで維持いじすることができる期待きたいされる。症状しょうじょうかる段階だんかいなるべくながつづけば介護かいご負担ふたんすくなく、本人ほんにん自分じぶんらしい生活せいかつおくれるようになるメリットは非常ひじょうおおきいおも一方いっぽうくすり使つかえるどうかを診断しんだんするためにはのうにアミロイドβべ-たがたまりアルツハイマーびょう初期しょき段階だんかいということを調しらべる特殊とくしゅ装置そうち必要ひつようなる。さらにのう局所きょくしょてきなむくみがなど副作用ふくさようへの対応たいおう必要ひつようで、専門医せんもんい専門せんもん施設しせつ準備じゅんびすることがもとめられるのではないか」と指摘してきしました。

また薬価やっか高額こうがくなるという指摘してきについては、「バイオジェンしゃ予測よそくする価格かかくでは、つきに1かい投与とうよに50まんえん以上いじょう薬代くすりだい相当そうとうたかこれどうやって負担ふたんするのかは世界せかい各国かっこくどこでもおおきな問題もんだいなるおもかり国内こくない実用じつようされることになるならば現在げんざい医療いりょう保険ほけん制度せいどえてあたらしいさまざまな工夫くふうをして負担ふたん軽減けいげんすることも必要ひつようになるかもしれない」としました。

また日本にっぽんでの承認しょうにん見通みとおについては、「FDAの審査しんさ結果けっか日本にっぽんでの判断はんだんにもおおきく参考さんこうにされるのではないか。ただ、FDAは患者かんじゃへの有効ゆうこうせいについてはさらに追加ついか検証けんしょう必要ひつようとしていて、今後こんご日本にっぽん追加ついか試験しけんどのようなかたちでとられるかはおおきな課題かだいだとおも日本にっぽんでも比較的ひかくてきはや段階だんかいのアルツハイマーびょうひと非常ひじょうかずおおく、公的こうてき保険ほけん制度せいどなか財政ざいせいてき課題かだいかんがえるくすり効果こうかもっと期待きたいできるひとしぼって投与とうよできるよう専門医せんもんいただしく判断はんだんすることも大事だいじなる」とはなしていました。

国立こくりつ精神せいしん神経しんけい医療いりょう研究けんきゅうセンター 中村なかむら手放てばなではよろこべない」

また国立こくりつ精神せいしん神経しんけい医療いりょう研究けんきゅうセンターの中村なかむらおさむみやび臨床りんしょう研究けんきゅう支援しえん部長ぶちょうは「アルツハイマーびょう医療いりょうニーズがたかのに治療ちりょう選択肢せんたくしすくなく、あたらしい治療ちりょうやく待望たいぼうされていた。今回こんかいくすりは、症状しょうじょう緩和かんわ目指めざしたこれまでのくすりとはことなり、原因げんいんせまり、なおせるかもしれないという期待きたいもあり、患者かんじゃ家族かぞく介護かいごしゃ、それ医療いりょうしゃにとっては希望きぼうなる」とはなしています。

その一方いっぽうで「このくすり治験ちけんかならずしも成功せいこうしておらず、去年きょねん11つき専門せんもん会議かいぎでは否定ひていてき見解けんかいていることもあり、専門せんもんなかでも承認しょうにんについて賛否さんぴかれている。アルツハイマーびょう治療ちりょうのニーズがたかこともあり、今回こんかい完全かんぜんには有効ゆうこうせいかっていないなか迅速じんそく承認しょうにんとなっていて、FDAは今後こんごだい規模きぼ治験ちけんおこなことをもとめている。手放てばなではよろこべず、本当ほんとう有効ゆうこうくすりなのかどうか、そしてどのような患者かんじゃさんに対にたいして使つかべきなのかといったてん今後こんご注意ちゅういはらべきだ」と指摘してきしています。

日本にっぽんでの審査しんさのめどは

新薬しんやく審査しんさおこなPMDA=医薬品いやくひん医療いりょう機器きき総合そうごう機構きこうでは、個別こべつくすり審査しんさ状況じょうきょうについては公表こうひょうできないとしています。

そのうえで、通常つうじょう新薬しんやくについては申請しんせいから1ねん目標もくひょう厚生こうせい労働ろうどうしょう承認しょうにんするかどうかの判断はんだんできるよう審査しんさすすめているということです。

若年じゃくねんせい認知にんちしょう家族かぞくかい もり代表だいひょう日本にっぽんでもはや承認しょうにんされるよう」

若年じゃくねんせい認知にんちしょう家族かぞくかい、「いろどりぼしかい」のもり義弘よしひろ 代表だいひょうは「アルツハイマーびょう原因げんいん物質ぶっしつとされる『アミロイドβべ-た』の蓄積ちくせき確認かくにんされた30だい、40だいはや段階だんかいからくすり投与とうよして、発症はっしょうおさえることができれば、『若年じゃくねんせいアルツハイマー』ということば自体じたいくなるのではないかと期待きたいしている」とはなしています。

アメリカでの承認しょうにんで、患者かんじゃへの有用ゆうようせいについては今後こんご検証けんしょう必要ひつようとされたことについて「有用ゆうようせい確認かくにんされることをねがっているが、患者かんじゃおおくすりによる副作用ふくさようがなければ、かり効果こうかがなくても使つかってみたいはずだ。これまであたらしいくすり候補こうほ開発かいはつ断念だんねんされたという情報じょうほうはいたびに患者かんじゃ残念ざんねんおもをしてきたので、アメリカ治療ちりょうやくとして承認しょうにんされたことにはとても期待きたいしている。日本にっぽんでもはや承認しょうにんされるようねがっている」とはなしていました。
ソース:NHK ニュース