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暗号資産投資トラブル “自殺は違法勧誘が原因” 母親が提訴
2022-11-02 07:10:39

暗号資産の運用をうたう投資グループに出資していた20代の女性が自殺したのは、違法な勧誘で財産を失ったことが原因だとして、女性の母親がグループのメンバーなど3人に対し、損害賠償を求める訴えを2日、東京地方裁判所に起こしました。

訴えを起こしたのはおととし、22歳で亡くなった大阪府の会社員、川上穂野香さんの母親で、2日、都内で会見を開きました。
母親や弁護士によりますと、穂野香さんは「暗号資産をAIで運用し多額の利益が得られる」などとうたう投資グループに150万円の借金をして出資しましたが、配当がなく、出資金も返還されない状況で、およそ1か月後にみずから命を絶ったということです。
このため「元本割れなどの具体的なリスクを説明せず、確実に利益が出るように思わせる違法な勧誘によって財産を失い、自殺に追い込まれた」と主張して、投資グループのメンバーなど3人に対し、合わせて1200万円余りの損害賠償を求めています。
この投資グループは全国からおよそ650億円を集めたとみられていて、国に無登録で投資を募った金融商品取引法違反の疑いで複数のメンバーが警察に摘発されています。
母親の佐永子さん(55)は「相手の気持ちを考える優しい娘で、無念を晴らしたいと思い裁判を起こしました。同じようなトラブルに遭った人は、1人で抱え込まず、すぐに周囲の人に相談してほしい」と話していました。
このため「元本割れなどの具体的なリスクを説明せず、確実に利益が出るように思わせる違法な勧誘によって財産を失い、自殺に追い込まれた」と主張して、投資グループのメンバーなど3人に対し、合わせて1200万円余りの損害賠償を求めています。
この投資グループは全国からおよそ650億円を集めたとみられていて、国に無登録で投資を募った金融商品取引法違反の疑いで複数のメンバーが警察に摘発されています。
母親の佐永子さん(55)は「相手の気持ちを考える優しい娘で、無念を晴らしたいと思い裁判を起こしました。同じようなトラブルに遭った人は、1人で抱え込まず、すぐに周囲の人に相談してほしい」と話していました。
女性の出資の経緯

川上穂野香さんがこの投資グループに出資したのは、大学を卒業し、社会人になったばかりの22歳のときでした。
おととし8月、大学の同級生だった友人のインスタグラムを見て、「投資に興味がある人?」というアンケートに興味を示すと、その同級生から“高校の同級生”だという男を紹介されました。
男から投資先と説明されたのは、海外に拠点を置いているという会社で、「AIを駆使して暗号資産を運用するので、投資すれば多額の配当が出る」とうたっていました。
穂野香さんは「マルチ(商法)ですか?」と疑いましたが、男はそれを否定したうえ、考える時間を与えないかのように現金を早く用意するよう迫りました。
貯金のなかった穂野香さんは「引っ越し代金という理由にすれば消費者金融で借りられる」と指示され、3社から合わせて150万円を借りて男に渡してしまいました。
しかし、投資グループが別の出資者と返金をめぐってトラブルになっていることが分かったため、返金を求めましたが断られたということです。
その後、心療内科を受診し、「うつ病」と診断されるなど精神的に不安定な状態が続き、おととし10月、みずから命を絶ちました。
母親に宛てた遺書には「投資詐欺の件で沢山迷惑をかけ、心配をかけてしまって本当にごめんなさい」などと記されていました。
穂野香さんは2歳のときに両親が離婚し、父親から養育費がほとんど払われない中、母親の苦労を見ながら育ったといいます。
社会人になり、自身の奨学金400万円の返済も始まる予定でした。
母親は、投資は自己責任だとしたうえで、決して裕福ではなかった家庭環境の中で、少しでもお金を得たいという気持ちがあり、そこにつけ込まれたのかもしれないと話しました。
穂野香さんが亡くなってからおよそ1年後、警視庁がグループの強制捜査に乗り出し、国に無登録で投資を募ったとして金融商品取引法違反の疑いで50代のメンバーらが逮捕され、その後、執行猶予付きの有罪判決を受けました。
また、穂野香さんを勧誘した20代の男も刑事告発され、金融商品取引法違反の罪で略式起訴されました。
おととし8月、大学の同級生だった友人のインスタグラムを見て、「投資に興味がある人?」というアンケートに興味を示すと、その同級生から“高校の同級生”だという男を紹介されました。
男から投資先と説明されたのは、海外に拠点を置いているという会社で、「AIを駆使して暗号資産を運用するので、投資すれば多額の配当が出る」とうたっていました。
穂野香さんは「マルチ(商法)ですか?」と疑いましたが、男はそれを否定したうえ、考える時間を与えないかのように現金を早く用意するよう迫りました。
貯金のなかった穂野香さんは「引っ越し代金という理由にすれば消費者金融で借りられる」と指示され、3社から合わせて150万円を借りて男に渡してしまいました。
しかし、投資グループが別の出資者と返金をめぐってトラブルになっていることが分かったため、返金を求めましたが断られたということです。
その後、心療内科を受診し、「うつ病」と診断されるなど精神的に不安定な状態が続き、おととし10月、みずから命を絶ちました。
母親に宛てた遺書には「投資詐欺の件で沢山迷惑をかけ、心配をかけてしまって本当にごめんなさい」などと記されていました。
穂野香さんは2歳のときに両親が離婚し、父親から養育費がほとんど払われない中、母親の苦労を見ながら育ったといいます。
社会人になり、自身の奨学金400万円の返済も始まる予定でした。
母親は、投資は自己責任だとしたうえで、決して裕福ではなかった家庭環境の中で、少しでもお金を得たいという気持ちがあり、そこにつけ込まれたのかもしれないと話しました。
穂野香さんが亡くなってからおよそ1年後、警視庁がグループの強制捜査に乗り出し、国に無登録で投資を募ったとして金融商品取引法違反の疑いで50代のメンバーらが逮捕され、その後、執行猶予付きの有罪判決を受けました。
また、穂野香さんを勧誘した20代の男も刑事告発され、金融商品取引法違反の罪で略式起訴されました。
投資グループとのやり取りの音声公開

穂野香さんの母親は、投資グループの男らとのやり取りの音声を公開しました。
穂野香さんが150万円を渡したあと、知人の男性とともにグループの男らに対し、「誰が誰にお金を渡して、どういうルートで入っているか」などと言い、出資した証拠を預かり証など、書面の形で提示するよう求めています。
しかし男らは、「領収書は入金したら運営会社が出すもので、自分たちにはできない」などと言って応じません。
知人の男性が「金の流れが不透明すぎる」として穂野香さんが出資した全額を返金するよう求めますが、「なんで?」と笑いながら答えています。
そして男らは「穂野香さんは自分自身でいろいろな人に話を聞いたうえで、確信をもって、透明性を自分で判断した」と述べていました。
穂野香さんが150万円を渡したあと、知人の男性とともにグループの男らに対し、「誰が誰にお金を渡して、どういうルートで入っているか」などと言い、出資した証拠を預かり証など、書面の形で提示するよう求めています。
しかし男らは、「領収書は入金したら運営会社が出すもので、自分たちにはできない」などと言って応じません。
知人の男性が「金の流れが不透明すぎる」として穂野香さんが出資した全額を返金するよう求めますが、「なんで?」と笑いながら答えています。
そして男らは「穂野香さんは自分自身でいろいろな人に話を聞いたうえで、確信をもって、透明性を自分で判断した」と述べていました。
専門家「楽してもうかる“うまい話”は存在しない」
投資トラブルに詳しい杉山雅浩弁護士は「相手は巧みな話術を駆使するプロなので、社会経験の少ない若者が正体を見抜くのは難しい。そもそも本当に簡単にもうかる話なら他人に教えるわけがない。楽してもうかる“うまい話”は存在しないことをしっかりと認識し、被害に遭わないように注意してほしい。お金をとられた人たちのほとんどが泣き寝入りの状態になっている。今の制度では出資したお金を回収する方法が限られているので、詐欺などの犯罪行為で得た収益をはきださせるため、口座などを調べてすべて差し押さえ、出資者に分配するなどの制度を設けるべき」と話していました。
【消費者トラブルの相談窓口】
消費者トラブルに巻き込まれたり、契約に関して困ったりしたことがあれば、「消費者ホットライン」の「188」(いやや)にかけると、最寄りの消費生活センターなどを案内してもらえます。
また、法律に関する問い合わせは「日本司法支援センター=法テラス」でも受け付けています。
連絡先は0570-078374(おなやみなし)です。
また、法律に関する問い合わせは「日本司法支援センター=法テラス」でも受け付けています。
連絡先は0570-078374(おなやみなし)です。
【心の悩みに関する相談窓口】
厚生労働省が示している、心の悩みに関する相談窓口です。
<電話の相談窓口>
「日本いのちの電話」
▽ナビダイヤル 0570-783-556
午前10時~午後10時
▽フリーダイヤル 0120-783-556
午後4時~午後9時
※毎月10日は午前8時~翌日午前8時
「#いのちSOS」
▽フリーダイヤル 0120-061-338
午前8時~深夜0時
※月曜日と木曜日のみ24時間対応
「チャイルドライン」
▽フリーダイヤル 0120-99-7777
午後4時~午後9時
<電話の相談窓口>
「日本いのちの電話」
▽ナビダイヤル 0570-783-556
午前10時~午後10時
▽フリーダイヤル 0120-783-556
午後4時~午後9時
※毎月10日は午前8時~翌日午前8時
「#いのちSOS」
▽フリーダイヤル 0120-061-338
午前8時~深夜0時
※月曜日と木曜日のみ24時間対応
「チャイルドライン」
▽フリーダイヤル 0120-99-7777
午後4時~午後9時
ソース:NHK ニュース