高橋選手は引退を決めた理由について、シングル時代に大けがを負った右ひざの状態が良くないことをあげ「僕自身の右ひざが限界を感じていた。パフォーマンスをするうえでまだ限界は感じていないが、練習を積んで技のレベルを取っていく部分で努力ではどうしようもできないところに来てしまった。体がついていかないところが一番の大きな理由」と説明しました。
高橋選手自身はシーズン中に引退することを決めていて、ことし2月にアメリカで行われた四大陸選手権が終わり、休暇でフロリダのテーマパークを訪れたあと、日本食の焼き鳥屋で食事をした際、村元選手に引退の意思を伝えたということです。
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【詳しく】高橋大輔「右ひざに限界感じた」引退会見で明らかに
2023-05-02 08:04:45

フィギュアスケートのアイスダンスで、今シーズンかぎりでの引退を決めた高橋大輔選手と村元哉中(むらもと・かな)選手が記者会見を開きました。高橋選手は「僕自身の右ひざが限界を感じていた。十分にやりきった」と引退を決断した理由を語りました。
※記事後半では記者会見の様子を詳しくお伝えしています。
※記事後半では記者会見の様子を詳しくお伝えしています。
“かなだい”の愛称で親しまれた37歳の高橋選手と30歳の村元選手は、1日、公式のSNSで今シーズンかぎりでの引退を発表し、2日午後2時から東京都内で記者会見を開きました。


村元選手は「大ちゃんが号泣していたので自分ももらい泣きした。ただ覚悟していたので、驚きはなかった。自分も限界は感じていないが、これ以上に最高のパートナーはいないと思い、新しいパートナーを探すという選択肢は出てこなかった。高橋選手にアイスダンスをやろうと声をかけてよかったし、本当に感謝している」と話しました。
2人は、競技の第一線は退きますが、今後もカップルを組んでアイスショーに出るほか、表現者として、それぞれ個人としても活動していくということです。
2人は、競技の第一線は退きますが、今後もカップルを組んでアイスショーに出るほか、表現者として、それぞれ個人としても活動していくということです。
高橋選手は「シングルの時は、すっきりしない引退だったが、いまは次にやりたいことも明確にあって十分にやりきった気持ちだ。新たなスタートがここから始まる。スケートを軸にしていろんな形でエンターテイメントに関わりたい。アイスダンスを始めて“できない自分”も受け入れられるようになり、ちょっとしたことでも自分をほめ、前向きになっていくことができた。生きていくうえで何があっても大丈夫かなと思う」と気持ちを新たにしていました。
村元選手は「“かなだい”として、引退してもいろいろな作品を作っていけるという楽しみがある。25年間、スケートしかしてこなかった人生なので、ほかにもいろいろなことをしていきたい」と話していました。
村元選手は「“かなだい”として、引退してもいろいろな作品を作っていけるという楽しみがある。25年間、スケートしかしてこなかった人生なので、ほかにもいろいろなことをしていきたい」と話していました。

高橋大輔 中学時代までの恩師「夢を与えてくれた」
高橋選手を小学2年生から中学生まで指導した岡山県倉敷市にある「倉敷フィギュアスケーティングクラブ」の佐々木美行監督は「アイスダンスで復活してやり切って、自分の意思で引退を決意したと感じています。これまでよく頑張ってきたし、たくさんの勇気をもらい、夢を与えてくれました。競技者としての締めくくりですが、これで終わりではなく、自分の経験をいかして今後もスケート界をけん引してほしいです」と話していました。
《会見詳しく》
14:00 “かなだい”引退会見始まる
フィギュアスケートのアイスダンスで、名前から“かなだい”の愛称で親しまれ、今シーズンかぎりでともに現役を引退することを発表した高橋大輔選手と村元哉中選手の会見が、午後2時すぎから都内のホテルで始まりました。

村元「引退することを言えたので すっきり」
記者会見の冒頭で村元哉中選手は「3シーズン目を終えていろいろな経験して競技から引退することを決めました」と話しました。そのうえで「引退するということを世界に対して言えたのですっきりしている。まだ、実感はないが、ついに競技生活を終えたんだなと感じています」と話しました。
高橋「新たなスタートがここから始まる」

記者会見の冒頭で高橋大輔選手は「発表できてすっきりしている。1日たって、新たなスタートがここから始まるんだなと考えている」と話しました。
村元「次のステージを楽しみにしている」

記者会見で村元哉中選手は「高橋選手から今シーズンをもって引退したいと聞いた時、まずは2年スタートと決めていたので、いつ引退とすると聞いても覚悟していたので、自分の中で驚きはなかった」と高橋選手から引退を切り出されたときの心境を語りました。そして「自分も限界は感じていないが、これ以上に最高のパートナーはいないと思い、新しいパートナー探すという選択肢は出てこなかった。自分の中では目標にしていた記憶に残る演技ができたので次のステージを楽しみにしている」と話しました。
高橋「右ひざに限界を感じた」
引退については、高橋選手から村元選手に、ことし2月の四大陸選手権のあとに伝えていたということで、理由について高橋選手は「右ひざに限界を感じた。練習に体がついていかないところが、まず1番大きなところで、そこを今シーズン感じてしまった。そのことを払拭することができずに続けていっても、今後の成長はできないと思った」と話しました。
村元「今後も表現者としての活動をしていければ」

村元哉中選手は今後の活動について「高橋選手から引退すると聞いたあと、まだ“かなだい”としてパフォーマンスをしていきたいと聞いて、私もそういう思いがあった。引退しても高橋選手といろいろな作品を作っていけるという楽しみがある。25年間スケートしかしてこなかった人生なので、ほかにもいろいろなことをしたいし、スケーターとして表現者としての活動をしていければ」と話していました。
高橋「今後はスケートを軸にしたいと思った」
高橋大輔選手は今後について「競技の時からスケートを軸にしたいと思った。いろんな形でエンターテイメントに関わりたい」と話しました。
村元「高橋選手に声をかけてよかった」
村元哉中選手は「自国開催の世界選手権で、初めて自分の滑りに感動した。高橋選手に声をかけてよかったし、アイスダンスをしてくれて本当に感謝している」と話していました。
高橋「最後に決められて うれしくて涙」

ことし3月の世界選手権で『オペラ座の怪人』を演じたあと涙を流したことについて、高橋大輔選手は「引退を決めていたあとだったがフリーでようやくいい演技ができて最後に決められてうれしくて涙が出ました」と話しました。
高橋 村元「お互いの魅力は…」

お互いのスケーターとして魅力について高橋大輔選手は「アイスダンスをするようになり村元選手は本当に自分が好きなスケートをする選手だと思った。いろいろなジャンルをこなせるスケーターはあまりいないので、魅せる力を持っているのが魅力だと思う」と話しました。
村元哉中選手は「音楽の捉え方や、表情、全身で音楽を捉えるのが高橋選手のいちばんの魅力だと思う。本当にクリエーティブで誰もが思いつかないようなアイデアを持っていて、その世界観に魅力を感じている」と話しました。
村元哉中選手は「音楽の捉え方や、表情、全身で音楽を捉えるのが高橋選手のいちばんの魅力だと思う。本当にクリエーティブで誰もが思いつかないようなアイデアを持っていて、その世界観に魅力を感じている」と話しました。
高橋 “印象に残った試合は今季の国別対抗戦”
高橋大輔選手は、印象に残った試合について今シーズンの国別対抗戦をあげ「フリーはめちゃくちゃ緊張していた。この景色をもう見ることないと実感し、ゆっくり会場を見回した。そんなふうに挑んだのは初めてで、結果、いい演技ができてガッツポーズできたので思い出深い試合です」と話しました。
高橋「次にやりたいことも明確にあり 十分やりきった」
高橋大輔選手は「シングルは自分の中ですっきりしない形で引退した。特に最後の2年間は自信をなくして引退する形になってしまった。復帰して、いまは次にやりたいことも明確にあり、1度引退したから心の準備もできた。十分やりきった、さすがにペアはできないので自分の中ではやりきった気持ちだ」と笑顔で話しました。
高橋「哉中ちゃんに感謝している」

高橋大輔選手は、村元哉中選手に対し「アイスダンスをやっていなかったら、こんなにすっきりした気持ちで引退できていなかった。これは哉中ちゃんが誘ってくれなかったら、こんな気持ちにはなれていないので感謝している」と話していました。
高橋「大変なことでもプラスに考えられるように」
高橋大輔選手は「アイスダンスを始めたことで、できない自分を受け入れることができるようになり、ちょっとしたことでも自分をほめることができるようになった。大変なことでもプラスに考えられるようになって、生きていくうえで何があっても大丈夫だと思えるようになった」と話しました。
高橋 村元「応援してくれてありがとう」

ファンに向けて村元哉中選手は「『大ちゃんをアイスダンスに誘ってくれてありがとう』という声をたくさん聞けたので、声をかけてよかったと思う。これが終わりではなく、これからがスタートという目で見てほしい」と話していました。
高橋大輔選手は「いろいろなことがあった中で応援してもらいありがたかった。新しい世界に行っても、ファンの人をびっくりさせられればいい。長い間、競技生活を応援してくれてありがとうございました」と話し、2人は花束を贈られたあと、笑顔で記者会見を終えました。
高橋大輔選手は「いろいろなことがあった中で応援してもらいありがたかった。新しい世界に行っても、ファンの人をびっくりさせられればいい。長い間、競技生活を応援してくれてありがとうございました」と話し、2人は花束を贈られたあと、笑顔で記者会見を終えました。
《“かなだい”これまでの経緯》
5月1日 SNSで引退発表

高橋選手と村元選手。
名前から“かなだい”の愛称で親しまれる2人は、5月1日午後5時すぎに公式のSNSに動画をアップしました。
このなかで高橋選手は「今シーズンをもって競技生活から引退することを決断した」と述べたほか、村元選手は「2人でいろいろ話し合って決めた」と述べて、今シーズンかぎりでともに現役を引退することを発表していました。
名前から“かなだい”の愛称で親しまれる2人は、5月1日午後5時すぎに公式のSNSに動画をアップしました。
このなかで高橋選手は「今シーズンをもって競技生活から引退することを決断した」と述べたほか、村元選手は「2人でいろいろ話し合って決めた」と述べて、今シーズンかぎりでともに現役を引退することを発表していました。
高橋大輔選手とは

高橋大輔選手は岡山県出身の37歳。
10代から20代にかけては男子シングルで世界屈指の表現力とスケーティング技術を持ち味に、全日本選手権で5回の優勝を果たすなど日本男子の第一人者として活躍しました。
国際舞台では2006年、19歳のときにトリノオリンピックに初出場し、2010年のバンクーバー大会で男子シングルでは、日本選手初のメダルとなる銅メダルを獲得しました。
10代から20代にかけては男子シングルで世界屈指の表現力とスケーティング技術を持ち味に、全日本選手権で5回の優勝を果たすなど日本男子の第一人者として活躍しました。
国際舞台では2006年、19歳のときにトリノオリンピックに初出場し、2010年のバンクーバー大会で男子シングルでは、日本選手初のメダルとなる銅メダルを獲得しました。

そして、その直後に行われた世界選手権の男子シングルで日本選手初の優勝を果たす快挙を成し遂げました。
競技人生の集大成と位置づけた2014年のソチ大会で6位となったあと一時現役を退きましたが2018年に復帰し、シングル選手として最後の出場となった2019年の全日本選手権は12位でした。
競技人生の集大成と位置づけた2014年のソチ大会で6位となったあと一時現役を退きましたが2018年に復帰し、シングル選手として最後の出場となった2019年の全日本選手権は12位でした。

その年、高橋選手は「自分のスケートの価値観を広げたい」と、33歳で男子シングルからアイスダンスへの転向を表明し、2020年からは村元哉中選手とカップルを組んでアメリカ・フロリダ州を拠点に活動してきました。
結成当初はアイスダンス特有の相手にあわせる動きのほか、ステップやリフトに苦しみましたが、年齢を重ねても豊富な練習量で技術を磨き、厳しい筋力トレーニングも欠かさず行うことで、アイスダンサーとして急成長しました。
結成当初はアイスダンス特有の相手にあわせる動きのほか、ステップやリフトに苦しみましたが、年齢を重ねても豊富な練習量で技術を磨き、厳しい筋力トレーニングも欠かさず行うことで、アイスダンサーとして急成長しました。
村元哉中選手とは

村元哉中選手は兵庫県出身の30歳。
2014年のシーズンに女子シングルからアイスダンスに転向し、2015年にクリス・リードさんとカップルを結成しました。
その年から2017年にかけて全日本選手権3連覇を達成し、翌年のピョンチャンオリンピックでは日本勢の過去最高に並ぶ15位に入りました。
その後、リードさんとのカップルを解消し2020年からは男子シングルで長年活躍していた高橋大輔選手をみずから誘って新たにカップルを結成しました。
2014年のシーズンに女子シングルからアイスダンスに転向し、2015年にクリス・リードさんとカップルを結成しました。
その年から2017年にかけて全日本選手権3連覇を達成し、翌年のピョンチャンオリンピックでは日本勢の過去最高に並ぶ15位に入りました。
その後、リードさんとのカップルを解消し2020年からは男子シングルで長年活躍していた高橋大輔選手をみずから誘って新たにカップルを結成しました。

結成当初からアイスダンス特有の動きに苦しむ高橋選手をサポートし、みずからは華麗なスピンやステップなどアイスダンサーとしての豊富な経験を生かして、海外勢が優勢なアイスダンスで日本のレベルを高めました。
“かなだい”カップルの歩み

“かなだい”の愛称で親しまれたアイスダンスの村元哉中選手と高橋大輔選手は、今シーズンがカップル結成から3シーズン目でした。
2人は2020年、北京オリンピック出場を目標に掲げて新たにカップルを結成し、アメリカのフロリダ州を拠点に活動を続けてきました。
当初は、高橋選手がアイスダンス特有の相手に合わせる動きに苦戦するなど、大会ではスピンやリフトにミスが続きました。
それでも2年目のシーズンは飛躍的に技術が向上して、リズムダンスでは日本の『ソーラン節』をベースとしたプログラムが高く評価されるなど日本勢の過去最高得点をマークするまで成長しました。
2021年の全日本選手権はライバルの小松原美里選手と尊選手のカップルに敗れて2位となり、目標の北京オリンピック出場はなりませんでしたが、2022年1月の四大陸選手権では2位に入るなど国際大会の舞台でも着実に実績を残しました。
3年目のシーズンに向けてはカップルを継続するかどうか悩んだものの、最終的に続行を決断し、厳しいトレーニングを積んできました。
今シーズンのフリーダンスのプログラムには、高橋選手が男子シングル時代にも演じた『オペラ座の怪人』を選び、その世界観を2人で描くことに力を注いできました。
2人は2020年、北京オリンピック出場を目標に掲げて新たにカップルを結成し、アメリカのフロリダ州を拠点に活動を続けてきました。
当初は、高橋選手がアイスダンス特有の相手に合わせる動きに苦戦するなど、大会ではスピンやリフトにミスが続きました。
それでも2年目のシーズンは飛躍的に技術が向上して、リズムダンスでは日本の『ソーラン節』をベースとしたプログラムが高く評価されるなど日本勢の過去最高得点をマークするまで成長しました。
2021年の全日本選手権はライバルの小松原美里選手と尊選手のカップルに敗れて2位となり、目標の北京オリンピック出場はなりませんでしたが、2022年1月の四大陸選手権では2位に入るなど国際大会の舞台でも着実に実績を残しました。
3年目のシーズンに向けてはカップルを継続するかどうか悩んだものの、最終的に続行を決断し、厳しいトレーニングを積んできました。
今シーズンのフリーダンスのプログラムには、高橋選手が男子シングル時代にも演じた『オペラ座の怪人』を選び、その世界観を2人で描くことに力を注いできました。

そして、去年12月の全日本選手権では念願の初優勝を果たして世界選手権の切符をつかみ、ことし3月、さいたま市で行われた大会ではこだわり続けてきた『オペラ座の怪人』のプログラムを華麗にミスなく演じきって世界選手権では日本勢過去最高に並ぶ11位に入りました。
演技の直後、2人はリンク上で涙を流して喜び、「満足の演技ができた」と達成感を語りました。
その後、シーズン最終戦となる4月の世界国別対抗戦に出場し、現役を続けるのか、2人の決断が注目されていました。
演技の直後、2人はリンク上で涙を流して喜び、「満足の演技ができた」と達成感を語りました。
その後、シーズン最終戦となる4月の世界国別対抗戦に出場し、現役を続けるのか、2人の決断が注目されていました。

ソース:NHK ニュース