天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいか 退位たいい前ぜん最後さいごの国体こくたい開会かいかい式しきに

国体こくたい＝国民こくみん体育たいいく大会たいかいの開会かいかい式しきが、29日にち、天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかも出席しゅっせきされて福井ふくい市しで開ひらかれました。来年らいねん４月しがつの天皇てんのう陛下へいかの退位たいいを前まえに、両りょう陛下へいかが臨のぞまれる最後さいごの国体こくたいとなりました。

福井ふくい国体こくたいの開会かいかい式しきは、福井ふくい市しの県営けんえい陸上りくじょう競技きょうぎ場じょうで両りょう陛下へいかも出席しゅっせきされて開ひらかれ、雨あめの降ふる中なか、全国ぜんこく47の都道とどう府県ふけんの選手せんしゅ団だんおよそ4000人にんが南みなみから順じゅんに入場にゅうじょう行進こうしんしました。

このあと、オリンピックの聖火せいかに当あたる炬火きょか（きょか）が会場かいじょう内ないでリレーされて炬火きょか台だいにともされると、１いち万まん人にん近ちかくの観客かんきゃくから大おおきな拍手はくしゅが送おくられました。

そして、いずれも福井ふくい県けん代表だいひょうの、陸上りくじょうの北川きたがわ貴たか理り選手せんしゅとなぎなたの渡辺わたなべ啓あきら乃選手せんしゅが「しあわせ・元気げんきを全国ぜんこくに届とどけられるように、競技きょうぎに全力ぜんりょくを尽つくすことを誓ちかいます」と選手せんしゅ宣誓せんせいをしました。

式典しきてんの前まえには集団しゅうだん演技えんぎも行おこなわれ、子こどもからお年寄としよりまで2000人にん以上いじょうが参加さんかして、さまざまなスポーツの動うごきを取り入とりいれたダンスなどを披露ひろうし、両りょう陛下へいかは盛さかんに拍手はくしゅを送おくられていました。

国体こくたいは、来月らいげつ９きゅう日にちまで福井ふくい県内けんないの各地かくちで開ひらかれ、２に万まん人にん以上いじょうが参加さんかして37の競技きょうぎで熱戦ねっせんが繰り広くりひろげられます。

両りょう陛下へいかは30日にち、フェンシングの競技きょうぎを観戦かんせんしてから帰京ききょうする予定よていでしたが、台風たいふうの影響えいきょうで特別とくべつ機きが運航うんこうできないおそれがあるほか、自治体じちたいや警察けいさつも対応たいおうに備そなえる必要ひつようがあるため、開会かいかい式しきのあとの予定よていをとりやめて29日にち夜よる、帰京ききょうされることになりました。

来年らいねん４月しがつの天皇てんのう陛下へいかの退位たいいを前まえに、両りょう陛下へいかが国体こくたいに臨のぞまれるのはことしが最後さいごとなり、来年らいねん以降いこうは新あらたに即位そくいされる皇太子こうたいしさまと雅子まさこさまが出席しゅっせきされることになります。

天皇てんのう陛下へいかと国体こくたい

国体こくたいは、終戦しゅうせんの翌年よくねんの昭和しょうわ21年ねん、スポーツの普及ふきゅうや選手せんしゅの育成いくせいなどを目的もくてきとして、戦火せんかを免まぬかれた京都きょうと市しを中心ちゅうしんに最初さいしょの大会たいかいが開ひらかれ、その後そのごは毎年まいとし、各かく都道とどう府県ふけんの持ち回もちまわりで開ひらかれてきました。

天皇てんのう陛下へいかは、昭和しょうわ天皇てんのうから受け継うけつぐ形かたちで、即位そくい後ご、毎年まいとし、皇后こうごうさまと秋あきの国体こくたいに臨のぞまれてきました。
皇太子こうたいしだった当時とうじも含ふくめると、73回かいの大会たいかいのうち58回かいにわたって足あしを運はこばれたことになります。

そして、天皇てんのうとして、平成へいせい20年ねんの大会たいかいまで開会かいかい式しきに寄よせるおことばを述のべられました。
この中なかで天皇てんのう陛下へいかは、選手せんしゅを激励げきれいするとともに、国体こくたいが戦後せんごのスポーツの普及ふきゅうと振興しんこうに果はたした役割やくわりに触ふれ、関係かんけい者しゃに対にたいする敬意けいいやねぎらいの気持きもちを繰り返くりかえしあらわされました。

戦後せんご60年ねんの平成へいせい17年ねんに開ひらかれた大会たいかいでは、国体こくたいが、戦争せんそうによる荒廃こうはいの中なかで、スポーツの復興ふっこうを願ねがう人々ひとびとの熱意ねついによって生うまれたとしたうえで、「厳きびしい状況じょうきょう下か、さまざまな困難こんなんを乗り越のりこえての開催かいさいであり、かかわった先人せんじんの努力どりょくはいかばかりであったかと察さっせられます」と述のべられています。

天皇てんのう陛下へいかは、皇后こうごうさまとともに開会かいかい式しきに出席しゅっせきしたり競技きょうぎを観戦かんせんしたりする一方いっぽうで、大会たいかいの役員やくいんが集あつまる懇談こんだん会かいにも出席しゅっせきするなど、スポーツの振興しんこうに取り組とりくむ人ひとたちとの交流こうりゅうも大切たいせつにされてきました。

元もと説明せつめい役やく「特別とくべつな感謝かんしゃ状じょう お渡わたししたい気持きもち」

国体こくたいの開会かいかい式しきなどでの両りょう陛下へいかへの説明せつめい役やくを10年ねんにわたって務つとめた日本にっぽんスポーツ協会きょうかいの泉いずみ正文まさふみ副ふく会長かいちょうは「両りょう陛下へいかから、スポーツは国くににとって非常ひじょうに重要じゅうようだというお言葉ことばを端々はしばしで伺うかがうとともに、開会かいかい式しきのあとでいつも『ことしもとってもいい開会かいかい式しきでしたね』とねぎらって頂いただき、励はげみになりました」と振り返ふりかえりました。

そのうえで、「毎年まいとし大会たいかいに出席しゅっせきして頂いただいたことで、開催かいさいに向むけた力ちからをもらい、スポーツの普及ふきゅうの大おおきな礎いしずえになったように感かんじています。国体こくたいでは、30年間ねんかん参加さんかした人ひとを功労こうろう者しゃとして表彰ひょうしょうしていますが、これだけ長ながくご出席しゅっせき頂いただいた両りょう陛下へいかには、特別とくべつな感謝かんしゃ状じょうをお渡わたししたい気持きもちです」と話はなしていました。

ソース：NHK ニュース