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警察署から逃走 逮捕の男 自転車で愛媛県庁訪れる
2018-10-04 08:49:38

大阪の警察署から逃走し、逮捕された樋田淳也容疑者が、逃走から12日後に自転車で愛媛県庁を訪れ、サイクリングを支援する部署で「日本一周中」と書かれたプレートを作ってもらっていたことがわかりました。警察は、周到に計画して自転車の旅行を装った可能性があると見て調べています。
ことし8月、大阪の富田林警察署から逃走した樋田淳也容疑者(30)は、先月29日、山口県周南市の道の駅で食料品を万引きしたとして逮捕され、その後、加重逃走の疑いでも逮捕されました。
これまでの調べで、樋田容疑者は自転車で日本一周をしている旅行者を装って、ほかの男性とともに四国から広島を経由して山口まで移動していたことがわかっていますが、逃走から12日後の8月24日に、1人で愛媛県庁を訪れていたことが、関係者などへの取材で新たにわかりました。
県庁では、サイクリングを支援する自転車新文化推進課で地図をもらったうえ、県のイメージキャラクターのイラストつきの「日本一周中」と書かれたプレートを職員に作ってもらったということです。
さらに先月2日には再び県庁を訪れ、旅の感想やお礼を職員に伝えたということです。
職員は「ほかのサイクリストと変わらず、樋田容疑者だとは思わなかった」と話しています。
大阪府警は、周到に計画して自転車の旅行を装った可能性があると見て、捜査員を四国に派遣するなどして詳しい足取りを調べています。
これまでの調べで、樋田容疑者は自転車で日本一周をしている旅行者を装って、ほかの男性とともに四国から広島を経由して山口まで移動していたことがわかっていますが、逃走から12日後の8月24日に、1人で愛媛県庁を訪れていたことが、関係者などへの取材で新たにわかりました。
県庁では、サイクリングを支援する自転車新文化推進課で地図をもらったうえ、県のイメージキャラクターのイラストつきの「日本一周中」と書かれたプレートを職員に作ってもらったということです。
さらに先月2日には再び県庁を訪れ、旅の感想やお礼を職員に伝えたということです。
職員は「ほかのサイクリストと変わらず、樋田容疑者だとは思わなかった」と話しています。
大阪府警は、周到に計画して自転車の旅行を装った可能性があると見て、捜査員を四国に派遣するなどして詳しい足取りを調べています。
逃走49日間 大胆行動の軌跡
これまでの警察の調べでは、樋田容疑者は8月12日の夜に大阪の富田林警察署から逃走した直後に赤い自転車を盗み、その日のうちに隣の羽曳野市で新たに盗んだ白い自転車に乗り換えたとみられています。
その後、地元の松原市でミニバイクも盗み、大阪市などでひったくりを繰り返したとみられていますが、8月16日以降、足取りがわからなくなっていました。
逮捕後にその行動が次第に明らかになってきています。
【8月24日】
逃走から12日後。
大阪から遠く離れた愛媛県庁に自転車で1人で姿を現し、旅に使うためだと称して職員から「日本一周中」と書かれたプレートを作ってもらっていました。
【8月26日】
樋田容疑者とみられる男が別の男性とともに香川県三豊市の寺を訪れ、「四国遍路をめぐる」などと話していたということです。
【8月30日】
高知県須崎市の道の駅で樋田容疑者とみられる男が警察官の職務質問を受けていたことも新たにわかっています。
【9月2日】
樋田容疑者は再び愛媛県庁を訪れ、道中の報告とお礼の言葉を述べたということです。
これまでの調べでは、樋田容疑者は四国をめぐる間に、自転車で日本1周をしている44歳の男性と知り合って同行するようになり、その後は2人で「しまなみ海道」を通って広島に入っていました。
樋田容疑者とみられる人物が広島市の平和公園で野宿をしたり、山口県岩国市の土手でバリカンで髪を刈ったりする姿が目撃されています。
【9月18日~】
先月18日からの1週間、山口県の島にある道の駅に野宿をして滞在し、海に潜って貝を採ったり島の温泉施設で入浴したりしました。
島の人から食事をごちそうになることもあったということです。
【9月28日】
樋田容疑者とみられる人物が山口県上関町の道の駅で弁当を万引きするようなしぐさをしているのが建物の防犯カメラに写っていました。
【9月29日】
そして逃走から48日がたった先月29日。
樋田容疑者は山口県周南市の道の駅で菓子パンなどを万引きしたとして逮捕されました。
同行していた男性は警察に「道の駅などで野宿をしながら各地を転々としていた。名前も知らず、容疑者とは思わなかったが、勝手について来てうっとうしかった。いま思えば、いつもサングラスをかけていて不思議だった」と話しているということです。
その後、地元の松原市でミニバイクも盗み、大阪市などでひったくりを繰り返したとみられていますが、8月16日以降、足取りがわからなくなっていました。
逮捕後にその行動が次第に明らかになってきています。
【8月24日】
逃走から12日後。
大阪から遠く離れた愛媛県庁に自転車で1人で姿を現し、旅に使うためだと称して職員から「日本一周中」と書かれたプレートを作ってもらっていました。
【8月26日】
樋田容疑者とみられる男が別の男性とともに香川県三豊市の寺を訪れ、「四国遍路をめぐる」などと話していたということです。
【8月30日】
高知県須崎市の道の駅で樋田容疑者とみられる男が警察官の職務質問を受けていたことも新たにわかっています。
【9月2日】
樋田容疑者は再び愛媛県庁を訪れ、道中の報告とお礼の言葉を述べたということです。
これまでの調べでは、樋田容疑者は四国をめぐる間に、自転車で日本1周をしている44歳の男性と知り合って同行するようになり、その後は2人で「しまなみ海道」を通って広島に入っていました。
樋田容疑者とみられる人物が広島市の平和公園で野宿をしたり、山口県岩国市の土手でバリカンで髪を刈ったりする姿が目撃されています。
【9月18日~】
先月18日からの1週間、山口県の島にある道の駅に野宿をして滞在し、海に潜って貝を採ったり島の温泉施設で入浴したりしました。
島の人から食事をごちそうになることもあったということです。
【9月28日】
樋田容疑者とみられる人物が山口県上関町の道の駅で弁当を万引きするようなしぐさをしているのが建物の防犯カメラに写っていました。
【9月29日】
そして逃走から48日がたった先月29日。
樋田容疑者は山口県周南市の道の駅で菓子パンなどを万引きしたとして逮捕されました。
同行していた男性は警察に「道の駅などで野宿をしながら各地を転々としていた。名前も知らず、容疑者とは思わなかったが、勝手について来てうっとうしかった。いま思えば、いつもサングラスをかけていて不思議だった」と話しているということです。
自転車応援の愛媛県 親切が裏切られ
愛媛県自転車新文化推進課によりますと、樋田容疑者は8月24日の午後、サイクリングウエアのような上下黒の服装をして1人で訪れ、職員に対し「日本一周をしているのでお勧めのコースを教えてほしい。『日本一周中』と書かれたプレートのようなものもほしい」と頼んできたということです。
職員はサイクリングマップを渡してコースを説明するとともに、「日本一周中」という文字と愛媛県のイメージキャラクターの「みきゃん」のイラストが入ったA4サイズの紙を印刷し、ラミネート加工したうえで手渡したということです。
樋田容疑者はその紙をバッグに取り付けて自転車で逃走を続けたと見られれ、先月2日に再び県庁を訪れ、職員に「景色がよかった」「アイスクリームがおいしかった」などと旅の感想やお礼を伝えたということです。
いずれの際も樋田容疑者はみずから名乗らず、職員も名前を尋ねることはなかったということです。
愛媛県は、本州と四国を結ぶ「しまなみ海道」などを活用したサイクリング文化の普及に力を入れていて、ことし4月には自転車新文化推進室を課に格上げし、サイクリングに関する積極的な情報発信に取り組んできました。
樋田容疑者が2回目に訪れた際に対応した自転車新文化推進課の河上芳一課長は「逃走後に公開された写真とは違い、髪が短く、日焼けしていてほかのサイクリストと変わらず、まさか樋田容疑者だとは思わなかった。愛媛県としてサイクリストの方には丁寧に対応させていただいているだけにとても残念だ」と話していました。
職員はサイクリングマップを渡してコースを説明するとともに、「日本一周中」という文字と愛媛県のイメージキャラクターの「みきゃん」のイラストが入ったA4サイズの紙を印刷し、ラミネート加工したうえで手渡したということです。
樋田容疑者はその紙をバッグに取り付けて自転車で逃走を続けたと見られれ、先月2日に再び県庁を訪れ、職員に「景色がよかった」「アイスクリームがおいしかった」などと旅の感想やお礼を伝えたということです。
いずれの際も樋田容疑者はみずから名乗らず、職員も名前を尋ねることはなかったということです。
愛媛県は、本州と四国を結ぶ「しまなみ海道」などを活用したサイクリング文化の普及に力を入れていて、ことし4月には自転車新文化推進室を課に格上げし、サイクリングに関する積極的な情報発信に取り組んできました。
樋田容疑者が2回目に訪れた際に対応した自転車新文化推進課の河上芳一課長は「逃走後に公開された写真とは違い、髪が短く、日焼けしていてほかのサイクリストと変わらず、まさか樋田容疑者だとは思わなかった。愛媛県としてサイクリストの方には丁寧に対応させていただいているだけにとても残念だ」と話していました。
愛媛県知事「善意につけこみ許しがたい」
愛媛県の中村知事は「職員の善意につけこんだ行為で許しがたい。『職員が見抜けなかったのか』と批判されたら返す言葉はないが、自分がもし担当者だったとしても見抜くことはできなかったと思う。あの雰囲気、風貌ではわからなかったと思う」と述べました。
松山 道の駅にも現れたか
樋田容疑者とみられる男は松山市の道の駅でも店舗内の防犯カメラに写っていました。
松山市大浦の道の駅「風早の郷風和里」の従業員によりますと、8月24日正午ごろ、丸刈りでサングラスを着用した樋田容疑者とみられる男が1人で訪れたということです。
男は店舗内のソファーに座り、パンフレットを見ていたということで、20分ほどで立ち去ったということです。
樋田容疑者が逮捕されたあと警察官が道の駅を訪れ、防犯カメラの映像を確認していったということで、警察は男が樋田容疑者かどうか調べを進めています。
松山市大浦の道の駅「風早の郷風和里」の従業員によりますと、8月24日正午ごろ、丸刈りでサングラスを着用した樋田容疑者とみられる男が1人で訪れたということです。
男は店舗内のソファーに座り、パンフレットを見ていたということで、20分ほどで立ち去ったということです。
樋田容疑者が逮捕されたあと警察官が道の駅を訪れ、防犯カメラの映像を確認していったということで、警察は男が樋田容疑者かどうか調べを進めています。
香川の四国霊場にも姿「遍路を逆回りしています」
樋田容疑者とみられる男は香川県の寺でも目撃されていて、出会った人に「四国遍路を逆回りで巡り、愛媛に行くつもりだ」と話していたことがわかりました。
高知県大川村の近藤京子さんは8月26日、香川県三豊市にある四国88か所霊場の一つ、弥谷寺の休憩所で樋田容疑者とみられる男に出会いました。
その時に撮影した写真では、男は黒い帽子をかぶり、白いシャツと黒いスパッツ、それに黒いスポーツシューズを身につけて、少しうつむきながら笑顔を見せています。
近藤さんによりますと、男は別の男性と2人連れで、その男性が男について「和歌山出身だ」と紹介したということです。
さらに樋田容疑者とみられる男が「四国遍路を逆回りで巡っていて、これから愛媛に行くつもりだ」と話したということです。
男は口かずは少なかったものの、近藤さんが撮影した写真をSNSに掲載してもいいか尋ねたところ「かまいません」と答えたということです。
近藤さんは「逮捕されてからニュースで写真を見た時に、あの青年ではないかと驚きました。当時はしっかりした身なりで、逃走している様子も全く感じられませんでした」と話していました。
高知県大川村の近藤京子さんは8月26日、香川県三豊市にある四国88か所霊場の一つ、弥谷寺の休憩所で樋田容疑者とみられる男に出会いました。
その時に撮影した写真では、男は黒い帽子をかぶり、白いシャツと黒いスパッツ、それに黒いスポーツシューズを身につけて、少しうつむきながら笑顔を見せています。
近藤さんによりますと、男は別の男性と2人連れで、その男性が男について「和歌山出身だ」と紹介したということです。
さらに樋田容疑者とみられる男が「四国遍路を逆回りで巡っていて、これから愛媛に行くつもりだ」と話したということです。
男は口かずは少なかったものの、近藤さんが撮影した写真をSNSに掲載してもいいか尋ねたところ「かまいません」と答えたということです。
近藤さんは「逮捕されてからニュースで写真を見た時に、あの青年ではないかと驚きました。当時はしっかりした身なりで、逃走している様子も全く感じられませんでした」と話していました。
専門家「社会の中に溶け込むタイプ」
犯罪心理学が専門で、東洋大学社会心理学科の桐生正幸教授は、樋田容疑者について「身を潜めて逃走するのではなく、社会の中に溶け込みながら逃走するタイプ」としたうえで、「四国に行けば、お遍路さんであるとか、自転車を使えば日本一周といった、その地域の中で違和感のない姿を演じる行為を繰り返していた。どうすれば自分がその土地に溶け込めるのかを計算していた、ないしは直感的に判断していたと考えられる」と分析していました。
そして「本人は別人物、別人格になりきって行動していたので、私たちの目から見れば、不審な人とはなかなか思いにくかったと思う。彼は演じることによってうまく逃走できると、ある意味、強い確信を持っていたのではないか」と述べました。
そのうえで、警察の捜査については「従来ある逃走犯のイメージではない、今回のような他者を演じ切り、しかも広範囲に逃げるタイプが出てきたことを鑑みれば、そういったタイプの人がどのように逃走していくのかを予測しながら、捜査の幅や対象となる人を広げていくことが、今後、必要になってくると思う」と指摘していました。
そして「本人は別人物、別人格になりきって行動していたので、私たちの目から見れば、不審な人とはなかなか思いにくかったと思う。彼は演じることによってうまく逃走できると、ある意味、強い確信を持っていたのではないか」と述べました。
そのうえで、警察の捜査については「従来ある逃走犯のイメージではない、今回のような他者を演じ切り、しかも広範囲に逃げるタイプが出てきたことを鑑みれば、そういったタイプの人がどのように逃走していくのかを予測しながら、捜査の幅や対象となる人を広げていくことが、今後、必要になってくると思う」と指摘していました。
ソース:NHK ニュース