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“ネガティブ力士”正代 経験と馬力で自信つかみ新大関へ
2020-09-27 15:48:28

「なるべくみんなと当たりたくない」
新十両会見での弱気な一面を見せる発言からかつては”ネガティブ力士”としても話題となった正代。優勝争いの経験で身につけた精神的なたくましさと、鍛え上げた肉体から生み出す馬力で”自信”をつかみ、初優勝を果たすとともに大関の座を確実にしました。
新十両会見での弱気な一面を見せる発言からかつては”ネガティブ力士”としても話題となった正代。優勝争いの経験で身につけた精神的なたくましさと、鍛え上げた肉体から生み出す馬力で”自信”をつかみ、初優勝を果たすとともに大関の座を確実にしました。
“欲のない力士”が…
「自分の相撲が取れれば、ある程度成績が残ると思う」
今場所初日の取組後、平然と語った正代にあのネガティブ力士としての面影はありませんでした。
今場所初日の取組後、平然と語った正代にあのネガティブ力士としての面影はありませんでした。

28歳の正代は、平成26年に前相撲で初土俵を踏むと所要11場所で新入幕、所要17場所で新関脇に昇進。いずれも年6場所制となった昭和33年以降に前相撲でデビューした力士としては、3本の指に入るスピード出世でした。

相手の力を受け流す上半身の柔らかさで土俵際の強さを見せるなど、独特の相撲センスが高く評価される一方、新十両や新入幕会見での発言を含めネガティブな「欲のない力士」として物足りなさを指摘する親方が多かったのも事実です。
初場所「やってきたことが間違いじゃなかった」

そんな力士が転機のひとつになったと話すのがことし初場所でした。スピード出世でつかんだ三役から平幕に落ちおよそ3年間を過ごした正代。
ことし初場所で千秋楽まで優勝争いに加わり、上位と対戦する前頭4枚目で自己最多の13勝をあげ「自信になるのが1番、今までやってきたことが間違いじゃなかったっていう感じだった」と振り返りました。
ことし初場所で千秋楽まで優勝争いに加わり、上位と対戦する前頭4枚目で自己最多の13勝をあげ「自信になるのが1番、今までやってきたことが間違いじゃなかったっていう感じだった」と振り返りました。

関脇に復帰した春場所では三役で初めて勝ち越し、11勝をあげた7月場所では2回目の優勝争いを経験し、自分の相撲を取れば、上位相手でも負けないという自信につながりました。
“前に出る圧力”

では、その「自分の相撲」とは何か。
ことしに入って、取り口に大きな変化が見られました。これまでは、立ち合いの腰の高さから相手の攻めを胸で受ける相撲が目立っていた正代は、ことし初場所以降、馬力を生かした立ち合いから前に出て攻める相撲が増え、日本相撲協会の八角理事長が「前に出る圧力がある。馬力が増した」と高く評価しました。
正代は、馬力がアップした要因の1つに下半身を中心にしたトレーニングをあげました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ぶつかり合う稽古が制限され、夏場所が中止となった5月ごろから「相撲が取れないなら逆に体と向き合おう」と瞬発力を増すために器具を使った下半身のトレーニングを徹底。正代は「圧力が増して、立ち合いで遅れる相撲が少なくなった」とトレーニングの効果を実感し自信を深めました。
ことしに入って、取り口に大きな変化が見られました。これまでは、立ち合いの腰の高さから相手の攻めを胸で受ける相撲が目立っていた正代は、ことし初場所以降、馬力を生かした立ち合いから前に出て攻める相撲が増え、日本相撲協会の八角理事長が「前に出る圧力がある。馬力が増した」と高く評価しました。
正代は、馬力がアップした要因の1つに下半身を中心にしたトレーニングをあげました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ぶつかり合う稽古が制限され、夏場所が中止となった5月ごろから「相撲が取れないなら逆に体と向き合おう」と瞬発力を増すために器具を使った下半身のトレーニングを徹底。正代は「圧力が増して、立ち合いで遅れる相撲が少なくなった」とトレーニングの効果を実感し自信を深めました。
大関戦で見せた真骨頂
迎えた今場所。初日から前に出て速攻で勝負を決める相撲で白星を重ねた正代が真骨頂を見せたのは終盤の大関戦でした。

13日目、貴景勝との対戦では、突き押しの威力が現役屈指の相手に対して、立ち合いで一歩も下がらずに応戦して勝利をあげます。

続く14日目の朝乃山戦では、立ち合いの体当たりで圧力勝ちし朝乃山の腰を浮かせて押し倒して圧倒しました。
八角理事長が「馬力勝ちした。想像できなかった」とうなるほどの力強さを見せました。
八角理事長が「馬力勝ちした。想像できなかった」とうなるほどの力強さを見せました。

そして、「相撲人生で一番緊張した」という千秋楽で土俵際で逆転する勝負強さを見せ初優勝を手繰り寄せました。
何度も優勝争いを経験することで培った精神的なたくましさと、両大関を破って証明した馬力の強さでついに賜杯を手にした正代。
何度も優勝争いを経験することで培った精神的なたくましさと、両大関を破って証明した馬力の強さでついに賜杯を手にした正代。

表彰式の後、昇進が確実となった大関について問われると「責任がかかる地位なので、上がれたらいいかなという感じにしておきます」と再び“ネガティブ力士”の一面をのぞかせたようにも取れる答えを返しました。
ただ、その発言と表情はかつてと異なり自信を胸の内に秘めた大関の風格を早くも漂わせているようでした。
ただ、その発言と表情はかつてと異なり自信を胸の内に秘めた大関の風格を早くも漂わせているようでした。
ソース:NHK ニュース