米べい大統領だいとうりょう選挙せんきょ 初はつのテレビ討論とうろん会かい 納税のうぜいに関にかんする疑惑ぎわくに関心かんしん集あつまる

秋あきのアメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょで再選さいせんを目指めざすトランプ大統領だいとうりょうと、政権せいけん奪還だっかんをねらう民主党みんしゅとうのバイデン前ぜん副ふく大統領だいとうりょうの、初はじめての直接ちょくせつ対決たいけつとなるテレビ討論とうろん会かいがまもなく始はじまります。新型しんがたコロナウイルスをはじめ、アメリカ社会しゃかいに大おおきな影響えいきょうを与あたえる連邦れんぽう最高裁さいこうさい判事はんじの人事じんじ、さらにトランプ大統領だいとうりょうの納税のうぜいに関にかんする、新あらたな疑惑ぎわくをめぐる攻防こうぼうにも関心かんしんが集あつまっています。

11月つきのアメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょに向むけたトランプ大統領だいとうりょうと民主党みんしゅとうのバイデン前ぜん副ふく大統領だいとうりょうの初はじめてのテレビ討論とうろん会かいは、日本にっぽん時間じかんの30日にち午前ごぜん、中西部ちゅうせいぶオハイオ州しゅうで行おこなわれ、全米ぜんべいに中継ちゅうけいされます。

過去かこには討論とうろん会かいでの発言はつげんやふるまい、論戦ろんせんの様相ようそうがその後そのごの情勢じょうせいに大おおきな影響えいきょうを与あたえたこともあり、選挙せんきょ戦せん終盤しゅうばんの大おおきな山場やまばと位置いちづけられています。

これを前まえにトランプ大統領だいとうりょうは28日にち、「とても楽たのしみにしている」と述のべて強気つよきの姿勢しせいを見みせる一方いっぽう、バイデン氏しは「トランプ大統領だいとうりょうは大だい部分ぶぶんで個人こじん攻撃こうげきしてくるだろう。事実じじつ関係かんけいについて多おおくのことを知しらないからだ」として、事前じぜんの準備じゅんびに自信じしんを示しめしました。

討論とうろん会かいでは新型しんがたコロナウイルスや人種じんしゅ差別さべつ問題もんだいへの対応たいおう、そして経済けいざい対策たいさくとともに、アメリカ社会しゃかいに大おおきな影響えいきょうを与あたえる連邦れんぽう最高裁さいこうさい判事はんじを、トランプ大統領だいとうりょうが選挙せんきょ前まえに指名しめいしたことに対にたいしても激はげしい論戦ろんせんが交かわされる見通みとおしです。

さらにトランプ大統領だいとうりょうが就任しゅうにん前まえの15年間ねんかんのうち10年間ねんかん、国くにへの所得しょとく税ぜいを納おさめていなかった疑惑ぎわくが報ほうじられたことを受うけ、バイデン氏しは追及ついきゅうを強つよめる構かまえで、この問題もんだいをめぐる攻防こうぼうにも国民こくみんの関心かんしんが集あつまっています。

注目ちゅうもく点てんは

今回こんかいの討論とうろん会かいでは、
▽トランプ・バイデン両りょう候補こうほの実績じっせき、
▽連邦れんぽう最高さいこう裁判所さいばんしょの判事はんじ、
▽新型しんがたコロナウイルス、
▽経済けいざい、
▽人種じんしゅ問題もんだいと治安ちあん、
▽選挙せんきょの公正こうせいさの6つのテーマが設もうけられ、両りょう候補こうほはそれぞれについて、15分間ふんかんにわたって論戦ろんせんを交かわす見通みとおしです。

このうち最高さいこう裁判所さいばんしょの判事はんじについては、アメリカを二分にぶんするような問題もんだいについて司法しほうの最終さいしゅう的てきな判断はんだんに大おおきく影響えいきょうするため、その行方ゆくえが注目ちゅうもくされています。

トランプ大統領だいとうりょうは先週せんしゅう、就任しゅうにん以来いらい3人にん目めとなる保守ほしゅ派はの判事はんじを指名しめいして成果せいかを強調きょうちょうする一方いっぽう、バイデン氏しは、大統領だいとうりょう選挙せんきょ直前ちょくぜんに議会ぎかい上院じょういんで判事はんじの承認しょうにんを急いそぐ共和党きょうわとうの対応たいおうが不誠実ふせいじつだとして、与党よとう側がわを厳きびしく批判ひはんしています。

また人種じんしゅ問題もんだいをめぐっては、白人はくじんの警察官けいさつかんによる取締とりしまりで黒人こくじん男性だんせいが死亡しぼうした事件じけんなどを受うけて、バイデン氏しはその背景はいけいにある構造こうぞう的てきな人種じんしゅ差別さべつを是正ぜせいするよう呼よびかけています。

これに対にたいしトランプ大統領だいとうりょうは、全米ぜんべいで行おこなわれているデモに参加さんかする一部いちぶの人ひとたちの行動こうどうによって治安ちあんが悪化あっかしているとして、警察けいさつ力りょくの強化きょうかや法ほうと秩序ちつじょの維持いじを訴うったえていて、両りょう候補こうほの主張しゅちょうは対立たいりつしています。

このほかトランプ大統領だいとうりょうは、自身じしんの実績じっせきについて新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいまで好調こうちょうに推移すいいしてきた株価かぶかなど4年間ねんかんの成果せいかをアピールし、バイデン氏しがこれまで目立めだった実績じっせきをあげてこなかったと批判ひはんするとみられます。

またトランプ大統領だいとうりょうは、就任しゅうにん前まえの15年間ねんかんのうちの10年間ねんかん、所得しょとく税ぜいを納おさめていなかったと報ほうじられたことについて「事実じじつではない」と反論はんろんしていますが、自身じしんの納税のうぜい記録きろくの公表こうひょうは拒こばみ続つづけています。

これに対にたいしてバイデン氏しは、歴代れきだいの大統領だいとうりょうが慣例かんれいとして公表こうひょうしてきた納税のうぜい記録きろくを隠かくし続つづけることは不正ふせいがあるからだと主張しゅちょうし、トランプ大統領だいとうりょうの姿勢しせいを追及ついきゅうする構かまえです。

とりわけバイデン氏しは、億おく万まん長者ちょうじゃを自称じしょうするトランプ大統領だいとうりょうが一般いっぱんの国民こくみんよりも税金ぜいきんを払はらっていないことを強調きょうちょうすることで、有権者ゆうけんしゃのトランプ大統領だいとうりょうへの反発はんぱつを誘さそうねらいです。

バイデン陣営じんえいが納税のうぜい額がく公表こうひょう

討論とうろん会かいを前まえにバイデン陣営じんえいは、29日にち、バイデン氏しとハリス氏しの納税のうぜいの記録きろくを公表こうひょうし、公表こうひょうを拒こばむトランプ大統領だいとうりょうとの違ちがいをアピールしています。

29日にち、バイデン陣営じんえいが公表こうひょうした納税のうぜいの記録きろくによりますと、バイデン夫妻ふさいは、去年きょねんおよそ30万まんドル、日本にっぽん円えんにして3163万まん円えん余あまりを連邦れんぽう政府せいふに納税のうぜいしたとしています。

陣営じんえいによりますと、バイデン氏しはこれまでに22年ねん分ぶんの納税のうぜいの記録きろくを公表こうひょうしているということです。

また、民主党みんしゅとうの副ふく大統領だいとうりょう候補こうほのカマラ・ハリス上院じょういん議員ぎいんも夫妻ふさいの納税のうぜいの記録きろくを公表こうひょうし、去年きょねんは118万まんドル余あまり、日本にっぽん円えんにして1億おく2529万まん円えん余あまりを連邦れんぽう政府せいふに納税のうぜいしたとしています。

ハリス氏しはこれまでに15年ねん分ぶんの納税のうぜいの記録きろくを公表こうひょうしているとしています。

バイデン陣営じんえいは、トランプ大統領だいとうりょうが就任しゅうにん前まえの15年間ねんかんのうち10年間ねんかん、国くにへの所得しょとく税ぜいを納おさめていなかったとする報道ほうどうが関心かんしんを集あつめる中なか、みずからの納税のうぜいの記録きろくを公表こうひょうすることで、公表こうひょうを拒こばむトランプ大統領だいとうりょうとの違ちがいをアピールしています。

テレビ討論とうろん会かいはなぜ大事だいじ？

アメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょの候補こうほ者しゃによるテレビ討論とうろん会かいは、60年ねん前まえの1960年ねんに初はじめて行おこなわれ、毎回まいかい、大おおきな注目ちゅうもくを集あつめてきました。

候補こうほ者しゃは、有権者ゆうけんしゃの関心かんしんが高たかい問題もんだいについて意見いけんをぶつけあい、批判ひはんをかわし反論はんろんすることを通をつうじて「自分じぶんこそが大統領だいとうりょうに最もっともふさわしい」とアピールしなければなりません。

政策せいさくや考え方かんがえかただけでなく、表情ひょうじょうやしぐさ、話し方はなしかたなども評価ひょうかの対象たいしょうとなり、視聴しちょう者しゃを引き付ひきつける手腕しゅわんも求もとめられます。

終了しゅうりょう後ごには、各かくメディアが討論とうろん会かいを制せいしたのはどちらの候補こうほ者しゃだったかを論評ろんぴょうすることもあって、有権者ゆうけんしゃ心理しんりへの影響えいきょうは大おおきいとされ、討論とうろん会かいを受うけて支持しじ率りつがどう変化へんかするかにも関心かんしんが集あつまります。

1960年ねんに初はじめて行おこなわれた、共和党きょうわとうのニクソン副ふく大統領だいとうりょうと、民主党みんしゅとうのケネディ上院じょういん議員ぎいんによる討論とうろん会かいでは、表情ひょうじょうが硬かたく疲つかれた様子ようすのニクソン氏しに対にたいし、ケネディ氏しは若々わかわかしくはつらつとしていると好意こうい的てきに受け止うけとめられ、選挙せんきょ戦せんの流ながれをつかんで勝利しょうりを引き寄ひきよせたとされています。

1992年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょでは、会場かいじょうの有権者ゆうけんしゃが質問しつもんをしている最中さいちゅうに共和党きょうわとうのブッシュ大統領だいとうりょうが腕うで時計とけいを見みたしぐさが「有権者ゆうけんしゃに関心かんしんが無ない」などと批判ひはんされ、対たいする民主党みんしゅとうのビル・クリントン氏しは、質問しつもん者しゃの近ちかくにまで歩み寄あゆみよって質問しつもんに答こたえたことが好こう印象いんしょうを与あたえたと言いわれます。

前回ぜんかいの大統領だいとうりょう選挙せんきょでのトランプ氏しと民主党みんしゅとうのヒラリー・クリントン氏しによる1回かい目めの討論とうろん会かいは、過去かこ最もっとも多おおい8400万まん人にんがテレビで視聴しちょうしました。

このときの3回かい目めの討論とうろん会かいでは、トランプ大統領だいとうりょうがクリントン氏しを「嫌いやな女おんなだ」と批判ひはん、物議ぶつぎを醸かもしました。

この討論とうろん会かいについて30日にち午前ごぜん10時じから、総合テレビそうごうてれび、BS1、ラジオ第だい一いち、それに、NHKのWEBサイトでお伝おつたえします。

ソース：NHK ニュース