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「いのちの電話でんわ」がつながらない 相談そうだんいん減少げんしょうにコロナ影響えいきょう

2020-10-03 08:37:17

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自殺じさつふせため電話でんわ相談そうだんおうじている全国ぜんこくの「いのちの電話でんわ」は、ボランティアの相談そうだんいん減少げんしょう運営うんえい資金しきん不足ふそくくわえ、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうなど十分じゅうぶん相談そうだんおうじられていないケースがあり、専門せんもんは、「いのちの電話でんわ自殺じさつ食い止くいとめる最後さいごのとりでで、ボランティアの善意ぜんいたよってしまわず、財政ざいせいてき人的じんてき支援しえん必要ひつようだ」と指摘してきしています。

「いのちの電話でんわ」は、イギリスの自殺じさつ予防よぼう電話でんわ相談そうだん参考さんこうにドイツじん宣教師せんきょうしびかけ、いまからおよそ50ねんまえの1971ねん活動かつどう開始かいしされました。

現在げんざい全国ぜんこく50の事務じむきょく専門せんもん研修けんしゅうけたボランティアおよそ6000にんなや不安ふあんかかえるひと寄り添よりそ活動かつどうつづけていて、年間ねんかん60まんけんもの相談そうだん対応たいおうしています。

しかし、「日本にっぽんいのちの電話でんわ連盟れんめい」によりますと、ことしは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだい緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんされた4つき以降いこう東京とうきょう神奈川かながわけん、それに岐阜ぎふけん三重みえけんなどすくなくとも25%あまにあたる13の窓口まどぐち一時いちじ相談そうだん受付うけつけ休止きゅうし余儀よぎなくされました。

その後そのご、すべての窓口まどぐち再開さいかいしていますが、相談そうだんいん減少げんしょう高齢こうれいそれ新型しんがたコロナの感染かんせんへの懸念けねんから本来ほんらいのシフトを維持いじできずかかってくる電話でんわをとれないケースあるということです。

またおお寄付きふたよっている運営うんえい資金しきん確保かくほきびしく、相談そうだんいんやすための広報こうほう活動かつどうなど十分じゅうぶんにできない事務じむきょくてきています。

長崎ながさき 相談そうだんいん確保かくほ課題かだい

長崎ながさきいのちの電話でんわ」でも相談そうだんいん確保かくほ課題かだいとなっています。

長崎ながさきいのちの電話でんわ」は、研修けんしゅうけた相談そうだんいんが、なやかかえるひと相談そうだん毎日まいにち電話でんわ受け付うけつけていますが、おおときで120にんほどいた相談そうだんいん現在げんざい、84にんまでっています。

相談そうだんいんのシフトは、1にち4交代こうたい2にん体制たいせい理想りそうですが、維持いじするためにすくなくとも130にん必要ひつようで、1にん対応たいおうすることもすくなくないといます。また新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、8つきは20日間にちかんほど活動かつどう休止きゅうしせざるをなかったといます。

相談そうだんいんになるために、およそ6まんえん受講じゅこうりょう必要ひつよう研修けんしゅうを1ねんはんけなければなりません。

22年間ねんかん活動かつどうつづけてきた70だい相談そうだんいん女性じょせいは、「活動かつどう生活せいかつ一部いちぶとなっています。相手あいてはなしいて、一緒いっしょかんがえることで、電話でんわ相手あいてこころがつながったとおもことがあります。それすこでも相手あいて役に立やくにたてばとおもっています」とはなしていました。

そのうえで、人手ひとで不足ふそく相談そうだんに1にん対応たいおうすることについては、「事務所じむしょ相談そうだんいんが2にんいればつらいはなしいたのちや、対応たいおうがうまくできず落ち込おちこんだときも、たがいに相談そうだんできるので、そうなってほしい」とはなしました。

運営うんえいけんからの補助ほじょきんけていますが、大半たいはん寄付きふまかなきびしい状態じょうたいだということです。

長崎ながさきいのちの電話でんわ」の田村たむら繁幸しげゆき事務じむ局長きょくちょうは、「できることはかぎられていますが、たまっているなや一生懸命いっしょうけんめいことはできるのでなやんだらいつでも相談そうだんしてほしい」とはなしていました。

活動かつどう維持いじ各地かくち模索もさく

各地かくちの「いのちの電話でんわ」では、活動かつどう維持いじするための模索もさくつづいています。

このうち北海道ほっかいどういのちの電話でんわ」は、不足ふそくする運営うんえいをクラウドファンディングにたくし、札幌さっぽろ拠点きょてんとするロックバンドが支援しえんしゃにオリジナルきょくプレゼントするなどして資金しきんあつ協力きょうりょくしました。

また、「あおもりいのちの電話でんわ」は、おおときで80にんほどのボランティアがいましたが高齢こうれいすすみ、いまでは40にん程度ていどまで減少げんしょうしています。

関心かんしんひと対象たいしょうした研修けんしゅうかいがことしは新型しんがたコロナの影響えいきょう例年れいねんのようにはけませんでしたが、インターネットを活用かつようして研修けんしゅうかいおこななど相談そうだんいん確保かくほしようと模索もさくつづけています。

専門せんもん財政ざいせい人的じんてき支援しえん仕組しくかせない」

社会しゃかい福祉ふくしがく専門せんもん日本にっぽん福祉ふくし大学だいがく川島かわしまゆり子ゆりこ教授きょうじゅは、「自殺じさつ食い止くいとめる手段しゅだんとしてSNSの活用かつようなどもありますが、いのちの電話でんわひとこえでつながっているという実感じっかんられることがほかのツールにえがたい特性とくせいだ」といのちの電話でんわ必要ひつようせいうったえています。

また相談そうだんいん確保かくほ課題かだいになっていることについて、相談そうだんいんになるためのなが研修けんしゅう期間きかん見直みなおや、心理しんりてき負担ふたんつづ相談そうだんいんこころのケアが必要ひつようだとしています。

これについて、川島かわしま教授きょうじゅは、「いのちの電話でんわとなり近所きんじょ家族かぞくというつながりをたちきられているひと必死ひっしになってかけてくる最後さいごのとりでだ。電話でんわけるひと』が財産ざいさんだが高齢こうれいなり手なりて不足ふそくになっているうえ、なや相談そうだんいんがつらくてやめてしまうケースあるのではないかとおも」と指摘してきしています。

そのうえで「ひといのちかかわるおも仕事しごとをボランティアの善意ぜんいたよってしまわず、活動かつどうささえる財政ざいせいてき支援しえん保健所ほけんじょ社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかいなど専門せんもんせいったひととの連携れんけいといった人的じんてき支援しえん仕組しくかせない」とはなしています。
ソース:NHK ニュース