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ペット事業じぎょうはつ数値すうち規制きせい設置せっちへ “悪質あくしつ事業じぎょうしゃ 排除はいじょを”

2020-10-03 10:17:27

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劣悪れつあく環境かんきょう動物どうぶつ飼育しいくする事業じぎょうしゃ排除はいじょしようと、環境省かんきょうしょうは、いぬねこ「ケージ」のおおきさや飼育しいくできる動物どうぶつかずについて、はじめて数値すうち基準きじゅんもうける方針ほうしんです。動物どうぶつ愛護あいご団体だんたいなどからは歓迎かんげいこえがる一方いっぽう一部いちぶ事業じぎょうしゃからは経営けいえい成り立なりたたなくなるというこえています。
せまケージに動物どうぶつ閉じ込とじこめ、十分じゅうぶん世話せわをせずに飼育しいくする悪質あくしつペットショップやブリーダーを排除はいじょしようと、環境省かんきょうしょうは、ケージのおおきさや、飼育しいくできる動物どうぶつかずについて、はじめて数値すうち基準きじゅんもうける方針ほうしんです。

その素案そあんでは、ケージのおおきさについては、運動うんどうスペースべつある場合ばあいいぬねこには、たて体長たいちょうの2ばいよこ体長たいちょうの1.5ばいながさが必要ひつようなどとしています。
また飼育しいくできるかずは、いずれ従業じゅうぎょういん1にんたりで、ブリーダーの場合ばあいいぬが15ひきねこが25ひきまで、ペットショップ場合ばあいいぬが20ひきねこは30ひきまでなどとなっています。

基準きじゅん違反いはんし、改善かいぜんされない場合ばあいには罰金ばっきんされることもあり、動物どうぶつ愛護あいご団体だんたいなどからは歓迎かんげいこえがっています。

一方いっぽうペット業界ぎょうかい団体だんたい調しらでは、基準きじゅんまもために飼育しいくすうらしたり、従業じゅうぎょういんかずやしたりすると経営けいえい成り立なりたたなくなるかんがえる事業じぎょうしゃすくなくなく、団体だんたいは、「いぬねこ行き場いきばうしなわないようこく自治体じちたい対応たいおうさくしめしてほしい」としています。

環境省かんきょうしょう今月こんげつ7にち有識者ゆうしきしゃ会議かいぎ数値すうち基準きじゅんあん正式せいしき決定けっていしたいとしていて、一般いっぱんからも意見いけんいたうえで、来年らいねん6つきから規制きせいはじめる方針ほうしんです。

環境省かんきょうしょうしめした基準きじゅん素案そあん

いぬねこ適正てきせい飼育しいく環境かんきょう飼育しいく方法ほうほうとはどんなものなのか。
環境省かんきょうしょうしめした基準きじゅん素案そあんていきます。

【ケージのおおきさ】
ケージのおおきさについては、運動うんどうスペースべつある場合ばあいいぬねこともににたて体長たいちょうの2ばいよこ体長たいちょうの1.5ばいながさが必要ひつようだとしています。そのうえで、たかさについても、いぬは、からだの2ばいねこは、からだの3ばいという基準きじゅんしめしています。
ケージについては数値すうち基準きじゅん以外いがいに、原則げんそくとして金網かなあみゆかざい使つかことを禁止きんしすることも盛り込もりこんでいます。

飼育しいくできるかず
飼育しいくできる動物どうぶつかずです。
いずれ従業じゅうぎょういん1にんたりで、ブリーダーの場合ばあいいぬが15ひきねこが25ひきまで、ペットショップ場合ばあいいぬが20ひきねこは30ひきまでなどとしています。そして接客せっきゃくだけを担当たんとうする販売はんばいいんはこの場合ばあいの「従業じゅうぎょういん」にはふくめないとしています。

繁殖はんしょく回数かいすう
むやみに繁殖はんしょくさせ、メスのいぬねこ過度かど負担ふたんかけることがないよう交配こうはいについても基準きじゅんしめしています。いぬねこのメスは、交配こうはいさせるのは原則げんそくとして6さいまでとし、出産しゅっさん回数かいすうおうじて、例外れいがいてきに7さいまでみとめるとしています。またいぬについては一生いっしょう出産しゅっさんできる回数かいすうを6かいまでに限定げんていしています。

健康けんこう診断しんだん義務ぎむ虐待ぎゃくたい禁止きんし
しし医師いしによるとし1かい健康けんこう診断しんだん義務ぎむづけるほかつめびたまま放置ほうちするといった動物どうぶつ虐待ぎゃくたいとみられる行為こうい禁止きんしするとしています。

違反いはんした場合ばあいは】
こうした基準きじゅん違反いはんした事業じぎょうしゃに対にたいしては、自治体じちたい改善かいぜん命令めいれい業務ぎょうむ停止ていし命令めいれいことができ、それでもしたがわない場合ばあいは100まんえん以下いか罰金ばっきんされることもあります。

動物どうぶつ愛護あいご団体だんたいなどからつよ要望ようぼう

今回こんかい環境省かんきょうしょう適正てきせい飼育しいく環境かんきょう方法ほうほうについてはじめて数値すうち基準きじゅんもうける方針ほうしんめた背景はいけいには、動物どうぶつ愛護あいご団体だんたいなどからのつよ要望ようぼうがありました。

東京とうきょう都内とないある動物どうぶつ愛護あいご団体だんたいで、公益こうえき財団ざいだん法人ほうじんの「動物どうぶつ環境かんきょう福祉ふくし協会きょうかいEva」には、動物どうぶつ劣悪れつあく環境かんきょう飼育しいくされているという内部ないぶ告発こくはつペットショップ従業じゅうぎょういんなどからたびたびせられるといいます。

おととし埼玉さいたま県内けんないペットショップもと従業じゅうぎょういんからせられたという写真しゃしんでは、キャリーケースや、モルモットやハムスターをためのちいさなケージにいぬねこ閉じ込とじこめられ、飼育しいくされている様子ようすかります。

もと従業じゅうぎょういんはなしでは、1にちたり2にんほどのスタッフが接客せっきゃくもこなしながらわせて40ひきから50ひきいぬねこをバックヤードで飼育しいくしていて、世話せわ十分じゅうぶん行き届いきとどいていなかったということです。

また栃木とちぎ県内けんないのブリーダーの飼育しいく拠点きょてんうつしたという写真しゃしんではいぬはいったケージが山積やまづされています。

団体だんたいによりますと、このブリーダーは1にんでおよそ200ひきいぬ飼育しいくし、ケージがかれていた小屋こや雨風あめかぜふせこともできず、この写真しゃしん撮影さつえいしたべつ動物どうぶつ愛護あいご団体だんたい現場げんば確認かくにんしたときには、衰弱すいじゃくしてんでいたいぬもいたということです。

動物どうぶつ環境かんきょう福祉ふくし協会きょうかいEva」の松井まつい久美子くみこ事務じむ局長きょくちょうは、「こうした情報じょうほう自治体じちたい提供ていきょう指導しどうしてもらうようもとめてきたが、なにが『適正てきせい飼育しいく』なのか、具体ぐたいてき基準きじゅんがないため、なかなか改善かいぜんにつながらなかった。数値すうち基準きじゅんもうけられることはおおきな意義いぎある」とはなしていました。

業界ぎょうかい団体だんたい事前じぜん対応たいおうさく提示ていじを」

環境省かんきょうしょう素案そあんしめした規制きせい適用てきようされれば、どんな影響えいきょうのか。

全国ぜんこくペット協会きょうかいなど業界ぎょうかい団体だんたいでつくる「いぬねこ適正てきせい飼養しよう推進すいしん協議きょうぎかい」などはことし7つき全国ぜんこくいぬねこのブリーダーを対象たいしょうアンケート調査ちょうさおこない、1100あま事業じぎょうしゃから回答かいとうました。

それによりますと、素案そあんしめされた従業じゅうぎょういん1にんたり飼育しいくすう基準きじゅんについて、いぬのブリーダーのおよそ65%ねこのブリーダーのおよそ32%が飼育しいくすうが「基準きじゅんえる」と回答かいとうしました。

これらのブリーダーに対応たいおうさく複数ふくすう回答かいとうたずねたところ、
いぬのブリーダーでは、
飼育しいく頭数とうすうらす」が75%、
廃業はいぎょう検討けんとうする」がおよそ50%、
ねこのブリーダーでは、
飼育しいく頭数とうすうらす」がおよそ61%、
廃業はいぎょう検討けんとうする」がおよそ60%にのぼり、
経営けいえい成り立なりたたないとかんがえる事業じぎょうしゃすくなくないことがかったということです。

協議きょうぎかいなどは、規制きせい適用てきようされれば、いぬねこわせて13まんひき以上いじょう引き取ひきとさき確保かくほしなければならなくなる推計すいけいしていて、アンケート結果けっかけた声明せいめいでは、「それぞれ団体だんたいでも譲渡じょうとさき一時いちじてき保管ほかんさきについて検討けんとうつづけているが、その確保かくほきわめて困難こんなん状況じょうきょうになっている。行き場いきばうしないぬねこしょうじないよう、環境省かんきょうしょう地方ちほう自治体じちたいは、事前じぜん対応たいおうさく準備じゅんび計画けいかく提示ていじしてほしい」としています。

不安ふあんつのらせるブリーダー

あら規制きせい不安ふあんつのらせているブリーダーもいます。

中部ちゅうぶ地方ちほうの70だい女性じょせいは、おっとと2にんで20ねん以上いじょういぬのブリーダーをつづけていて、いまは、チワワやポメラニアンなど40ひき小型こがたいぬ飼育しいくしています。

エアコンのついた専用せんよう小屋こやで、1ひきずつ金属きんぞくせいのケージにれて飼育しいくしていて、ケージは毎日まいにち水洗みずあらし、清潔せいけつたもようにしています。また、1にち2時間じかん屋外おくがいはなして運動うんどうさせるなど体調たいちょう管理かんりをつかっているといいます。

しかし環境省かんきょうしょうしめした数値すうち基準きじゅん適用てきようされると、半数はんすうちかのケージはよりおおきなものに買い替かいかえる必要ひつようあるうえ、従業じゅうぎょういんあらに1にんやとわなければなりませんがいま経営けいえい状態じょうたいでは、どちらむずかしいかんがえています。そのため、飼育しいくするいぬかずらすことを検討けんとうしていますが、引き取り手ひきとりてつけられるか不安ふあんかんじています。

女性じょせいは、「規制きせいはじまれば、全国ぜんこくおおのブリーダーが大量たいりょういぬ手放てばなさざるをえなくなるおもので、すぐに引き取り手ひきとりてつけることはできないとおもいます。ブリーダー仲間なかまとのでは、『このままではやっていけない』というはなしちきりです。いぬ引き取ひきとってもらえなければ廃業はいぎょうすることすらできず、どうしたらいいのかわかりません」とはなしていました。

専門せんもん相談そうだん体制たいせい構築こうちくも」

動物どうぶつをめぐる政策せいさくくわしい成城せいじょう大学だいがく法学部ほうがくぶ打越うちごし綾子あやこ教授きょうじゅは、「ペット業界ぎょうかい自主じしゅてき努力どりょくかさねてもいまだに劣悪れつあく業者ぎょうしゃすくなくないのが現実げんじつで、数値すうち基準きじゅんもうけることは妥当だとうだ」としています。

そのうえで、「行き場いきばうしないぬねこ引き取り手ひきとりて社会しゃかい全体ぜんたいさがさなければならずブリーダーなどに対にたいする相談そうだん体制たいせい構築こうちくする必要ひつようある動物どうぶつ問題もんだいは、動物どうぶつをめぐる人間にんげん問題もんだいだと認識にんしきして、社会しゃかい全体ぜんたい議論ぎろんすべきだ」と指摘してきしています。

環境省かんきょうしょうは、おおいぬねこ行き場いきばうしなことにならないよう譲渡じょうとさき確保かくほなど対策たいさく検討けんとうするあらもうけることにしています。
ソース:NHK ニュース