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ノーベル医学いがく生理学せいりがくしょうアメリカなど研究けんきゅうしゃ3にん

2020-10-05 10:21:42

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ことしのノーベル医学いがく生理学せいりがくしょう受賞じゅしょうしゃに、アメリカのNIH=国立こくりつ衛生えいせい研究所けんきゅうじょなど研究けんきゅうしゃ3にんえらばれました。
スウェーデンのストックホルムにあるノーベルしょう選考せんこう委員いいんかいは、日本にっぽん時間じかんの5にち午後ごご6時半じはんすぎ、ことしのノーベル医学いがく生理学せいりがくしょう受賞じゅしょうしゃ発表はっぴょうしました。

受賞じゅしょうまったのは、
アメリカのNIH=国立こくりつ衛生えいせい研究所けんきゅうじょのハーベイ・オルター
▽カナダのアルバータ大学だいがくのマイケル・ホートン
▽アメリカ、ロックフェラー大学だいがくのチャールズ・ライスわせて3にんです。

3にんは、Cがた肝炎かんえんウイルスの発見はっけんによっておお慢性まんせい肝炎かんえん原因げんいんあきらかにし、輸血ゆけつなどさい検査けんさできるようにしたほかおおくのひといのちすく治療ちりょうやく開発かいはつみちをひらいたことが評価ひょうかされました。

「Cがた肝炎かんえん」とは

Cがた肝炎かんえんはCがた肝炎かんえんウイルスによってこる肝臓かんぞう病気びょうきで、1感染かんせんするとおよそ70%のひと感染かんせんした状態じょうたいつづ持続じぞく感染かんせんなるとされています。

国立こくりつ国際こくさい医療いりょう研究けんきゅうセンター肝炎かんえん情報じょうほうセンターのウェブサイトによりますと、肝臓かんぞうはウイルスによって慢性まんせい肝炎かんえんになっても自覚じかく症状しょうじょうほとんどない場合ばあいあるということで、かないまま放置ほうちしてしまうと20ねんから30ねんかけて肝硬変かんこうへんかんがんへと病気びょうきすすんでいくということです。

Cがた肝炎かんえんのウイルスは、汚染おせんされた注射ちゅうしゃ使つかまわなどで血液けつえきかいして感染かんせんします。国内こくないではおよそ100まんにん感染かんせんしているとかんがえられていて、慢性まんせい肝炎かんえん肝硬変かんこうへんかんがんの患者かんじゃのおよそ60%がこのウイルスに感染かんせんしているとされています。

以前いぜんは、インターフェロンという注射ちゅうしゃ治療ちりょうおこなわれていましたが、副作用ふくさようおお効果こうか十分じゅうぶんとはいえない状況じょうきょうでしたが、ウイルスが増殖ぞうしょくする仕組しく解明かいめいされたことであらくすり開発かいはつされ、国内こくないでは2014ねんからインターフェロンを使つかわない治療ちりょうはじまったということです。

現在げんざいは、国内こくないでもこうしたウイルスの増殖ぞうしょくおさえるくすり組み合くみあわせて使つか治療ちりょう主流しゅりゅうとなっていて、適切てきせつ時期じき治療ちりょうけることで95%以上いじょうひとでウイルスを体内たいないからくすことができるようになっています。

日本にっぽんウイルス学会がっかい 松浦まつうら理事りじちょう受賞じゅしょう当然とうぜん

日本にっぽんウイルス学会がっかい理事りじちょう大阪おおさか大学だいがく松浦まつうら善治よしはる教授きょうじゅは、ノーベル医学いがく生理学せいりがくしょう受賞じゅしょうまった3にん功績こうせきについて「ハーベイ・オルターはCがた肝炎かんえんのウイルスの存在そんざい最初さいしょ証明しょうめいしたひとだ。当時とうじは、Aがた肝炎かんえんでもBがた肝炎かんえんでもない肝炎かんえんことで『ノンエー・ノンビー』とばれていたが、そのウイルスが存在そんざいすることを証明しょうめいした。マイケル・ホートンはCがた肝炎かんえんウイルスの遺伝子いでんし取り出とりだことにはじめて成功せいこうし、診断しんだんにつながる技術ぎじゅつつくった研究けんきゅうしゃだ。この技術ぎじゅつによって輸血ゆけつさいにウイルスが混入こんにゅうするのをふせことができるようになり、輸血ゆけつ原因げんいんのCがた肝炎かんえん大幅おおはばことにつながった。チャールズ・ライスは、人工じんこうてきやすことがむずかしかったCがた肝炎かんえんウイルスを複製ふくせいする仕組しくつくことに成功せいこうし、こうウイルスざい開発かいはつおおきく寄与きよした」とそれぞれ研究けんきゅうしゃについて解説かいせつしました。

そのうえで「いずれもすばらしい業績ぎょうせきげたひとたちで受賞じゅしょう当然とうぜんだ。とくわたし自身じしん、マイケル・ホートン共同きょうどう研究けんきゅうをしたことがあり、人柄ひとがらふくめてよくっている。3にんとも長年ながねん研究けんきゅうむくわれたということで、よかったとかんじている」とたたえました。

患者かんじゃ団体だんたい受賞じゅしょうおそくらい」

日本にっぽん肝臓かんぞうびょう患者かんじゃ団体だんたい協議きょうぎかいまえ代表だいひょう幹事かんじで、自身じしんもCがた肝炎かんえんわずらった経験けいけんある渡辺わたなべたかしさん(81)は「すばらしい研究けんきゅう成果せいかで、受賞じゅしょうおそいくらいだとおもいます。患者かんじゃ団体だんたいとしてはとてもうれしいです。わたし自身じしん昭和しょうわ30年代ねんだい輸血ゆけつによりCがた肝炎かんえんウイルスに感染かんせんしましたが、以前いぜんくすり副作用ふくさようつよく、大変たいへんくるしいおもをしました。最近さいきん国内こくないでCがた肝炎かんえんウイルスに感染かんせんするひとはまれですが、今回こんかい受賞じゅしょうきっかけあら感染かんせんしゃがゼロになって、わたしおなようにくるしむひとないよう、さらに研究けんきゅう対策たいさくすすんでほしいです」とはなしていました。
ソース:NHK ニュース