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“赤ちゃん授かれないのは同じ”「不育症」も支援拡充を
2020-10-06 21:56:38

少子化対策の一環として政府は不妊治療への保険適用の拡大を検討していて適用されるまでの間、今の助成制度を拡充する方針です。一方、妊娠しても流産や死産を繰り返す「不育症」の治療は、国の助成制度はなく、保険適用の拡大に向けた検討も行われていません。「不育症」の当事者からは「赤ちゃんを授かれない苦しさは変わらない」として、不妊治療と合わせて、支援の拡充を求める声があがっています。

妊娠するものの胎児が育たずに流産や早産、死産を繰り返す不育症は、原因を明らかにして適切な治療を受ければ出産できるケースが増えていますが、検査や治療の費用が高いことや、一般によく知られていないことが課題となっています。
支援団体によりますと、不育症の女性が出産までにかかる費用は、分べんの費用も含めて、平均でおよそ120万円にのぼるということです。
政府は不妊治療への保険適用の拡大を検討していて、それまでの間、今の助成制度を拡充する方針を明らかにしています。
この動きについて不育症の当事者や支援団体からは、不育症の支援も拡充するよう求める声があがっています。
支援団体によりますと、不育症の女性が出産までにかかる費用は、分べんの費用も含めて、平均でおよそ120万円にのぼるということです。
政府は不妊治療への保険適用の拡大を検討していて、それまでの間、今の助成制度を拡充する方針を明らかにしています。
この動きについて不育症の当事者や支援団体からは、不育症の支援も拡充するよう求める声があがっています。

千葉県に住む37歳の女性は、ことし6月までの1年半の間に4回妊娠しましたが、流産や子宮外妊娠で出産できず、医師から不育症と診断されました。
これまでに検査や治療に50万円以上の費用がかかったといいます。
政府が不妊治療への保険適用の拡大を掲げたことについて女性は、「不育症の保険外の診療も、一緒に適用されたらいいなと思いました。周囲の理解も深まると思うので認知が進んでほしいです」と話していました。
これまでに検査や治療に50万円以上の費用がかかったといいます。
政府が不妊治療への保険適用の拡大を掲げたことについて女性は、「不育症の保険外の診療も、一緒に適用されたらいいなと思いました。周囲の理解も深まると思うので認知が進んでほしいです」と話していました。

また、支援団体「不育症そだってねっと」の工藤智子代表は、「不妊症も不育症も赤ちゃんを授かれないという意味では全く同じなので、同じように不育症にも目を向けていただきたいです。ぜひ、子どもを希望する人が産めるような社会作りをしてもらいたいと思います」と話していました。
当事者は精神的負担も
千葉県に住む37歳の女性は、ことし6月までの1年半の間に4回、妊娠しましたが、いずれも出産できませんでした。
医師から不育症だと診断されました。
ニュースで、菅総理大臣が不妊治療への保険適用を拡大する方針を示したことを知り「不育症の保険外の診療も、一緒に適用されたらいいと思った。これでたくさんの人が救われるのではないか」と不育症の治療も対象になるのではないかと期待が高まったといいます。
医師から不育症だと診断されました。
ニュースで、菅総理大臣が不妊治療への保険適用を拡大する方針を示したことを知り「不育症の保険外の診療も、一緒に適用されたらいいと思った。これでたくさんの人が救われるのではないか」と不育症の治療も対象になるのではないかと期待が高まったといいます。

これまで女性が検査や治療にかけた費用は、50万円以上にのぼります。不育症のはっきりとした原因がわからず、保険が適用されない検査を2回受けました。1回当たりの金額は、12万2000円と8万8000円といずれも高額でした。
流産の手術を繰り返す悲しみと、身体的・精神的な負担を抱えながらSNSの情報を頼りに専門医のいる遠方の病院に通いました。女性はだんだん、追い詰められていったといいます。
流産の手術を繰り返す悲しみと、身体的・精神的な負担を抱えながらSNSの情報を頼りに専門医のいる遠方の病院に通いました。女性はだんだん、追い詰められていったといいます。

こうした状況について女性は、「結局、答えがないものを探し続けているので、永遠にとけないクイズみたいな感じで、すごくもどかしさはずっとあります。妊娠してもまた流産するのではないかという不安しかなく、妊娠して出産したというニュースばかりが目についてしまって『みんな普通にできていることなのに自分はできないのか』とすごくつらくなってしまいます」と心境を話しました。
そのうえで、「認知が広まることで周りの人の理解も深まると思いますし、研究などがもっと進んで不育症治療に特化した病院が増えていけば、将来的にすごく助けになると思います」と述べて、もっと多くの人に「不育症」の存在を知ってもらうことが、十分な治療や支援を受けられる環境作りにつながると、当事者としての思いを語りました。
そのうえで、「認知が広まることで周りの人の理解も深まると思いますし、研究などがもっと進んで不育症治療に特化した病院が増えていけば、将来的にすごく助けになると思います」と述べて、もっと多くの人に「不育症」の存在を知ってもらうことが、十分な治療や支援を受けられる環境作りにつながると、当事者としての思いを語りました。
助成制度に地域差 支援団体「国がサポートを」
不育症の当事者で作る支援団体「不育症そだってねっと」によりますと、不育症の女性が、出産までにかる費用は、分べんの費用も含めて、平均でおよそ120万円にのぼるということです。
東京都が不育症の検査費用について5万円を上限に助成するなど、検査や治療の費用の一部を助成する自治体は増えていますが、地域によって額に差があるほか、助成制度がない自治体も多いのが実情です。
東京都が不育症の検査費用について5万円を上限に助成するなど、検査や治療の費用の一部を助成する自治体は増えていますが、地域によって額に差があるほか、助成制度がない自治体も多いのが実情です。

「不育症そだってねっと」の工藤智子代表は、「どこに住んでいても同じようなサポートを受けられるようになってほしいし、国にサポートしていただくのがいちばんじゃないかと思います。また、社会的なサポートがあることで次に進んでみようと思えるきっかけになると思います」と話していました。
そのうえで、「不妊症も不育症も赤ちゃんを授かれないという意味では全く同じなので、同じように不育症にも目を向けていただきたいです。ぜひ子どもを希望する人が産めるような社会作りをしてもらいたいと思います」と話していました。
そのうえで、「不妊症も不育症も赤ちゃんを授かれないという意味では全く同じなので、同じように不育症にも目を向けていただきたいです。ぜひ子どもを希望する人が産めるような社会作りをしてもらいたいと思います」と話していました。
医師「的確な治療で約80%が出産」

不育症に詳しい杉俊隆医師に聞きました。
杉医師は、「不育症の原因は、例えば染色体の異常や甲状腺の病気、子宮の形の異常などで、血液が固まりやすくなる血液凝固系の異常がいちばん多く、年齢が高いほど、不育症のリスクは増える」と話しています。
そして「治療法がまだ確立していないこともありますが、この10年くらいでかなり確立してきた。的確な検査をしてちゃんと診断をして治療すれば80%くらい出産している」と述べています。
そのうえで、「2回の流産を経験する女性は4%で、これは決して無視できない数字だ。不妊治療をしながら、妊娠しても流産を繰り返してしまう不育症の両方を抱える患者も多い」と述べて、支援の必要性を強調しています。
杉医師は、「不育症の原因は、例えば染色体の異常や甲状腺の病気、子宮の形の異常などで、血液が固まりやすくなる血液凝固系の異常がいちばん多く、年齢が高いほど、不育症のリスクは増える」と話しています。
そして「治療法がまだ確立していないこともありますが、この10年くらいでかなり確立してきた。的確な検査をしてちゃんと診断をして治療すれば80%くらい出産している」と述べています。
そのうえで、「2回の流産を経験する女性は4%で、これは決して無視できない数字だ。不妊治療をしながら、妊娠しても流産を繰り返してしまう不育症の両方を抱える患者も多い」と述べて、支援の必要性を強調しています。
ソース:NHK ニュース