News
Show Furigana

母親ははおやの「産後さんごうつ」 コロナ影響えいきょう倍増ばいぞうのおそれ 研究けんきゅうしゃ調査ちょうさ

2020-10-14 07:08:47

avatar
出産しゅっさん母親ははおやの「産後さんごうつ」が新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょう以前いぜんの2ばい以上いじょうえているそれあることが研究けんきゅうしゃ調査ちょうさかりました。「産後さんごうつ」の可能かのうせいがあるとされた母親ははおやうち半数はんすう以上いじょう自身じしん危険きけん状態じょうたいにあることを認識にんしきできていないということで、積極せっきょくてき支援しえん必要ひつようせい指摘してきされています。
筑波つくば大学だいがく松島まつしまみどりじゅん教授きょうじゅ助産じょさんが、子育こそだ関連かんれんのアプリを提供ていきょうする会社かいしゃを通をつうじて今月こんげつおこなった調査ちょうさでは、母親ははおやこころ状態じょうたい確認かくにんするためイギリスで開発かいはつされた「エジンバラ産後さんごうつ病うつびょう質問しつもんひょう」をもちいて、産前さんぜん産後さんご女性じょせい対象たいしょうに、過去かこ1週間しゅうかん心理しんり状態じょうたいに関にかんする10項目こうもく質問しつもんおこないました。

調査ちょうさ結果けっかによりますと、回答かいとうられた出産しゅっさん1ねん未満みまん母親ははおや2132にんのうち、「産後さんごうつ」の可能かのうせいがあるひとはおよそ24%にのぼりました。

産婦人科さんふじんか団体だんたいでは、これまでWHO=世界せかい保健ほけん機関きかん見解けんかいなどをもとに、10%ほどの母親ははおやが「産後さんごうつ」を発症はっしょうするとして注意ちゅういびかけていますが、調査ちょうさ結果けっかでは、ばい以上いじょうえているそれあることがあきらかになりました。

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、ひと触れ合ふれあ機会きかい外出がいしゅつする機会きかい極端きょくたんすくなくなったことや、収入しゅうにゅう落ち込おちこなど経済けいざいてき不安ふあん影響えいきょうしているとみられています。

さらに、今回こんかい調査ちょうさでは「産後さんごうつ」の可能かのうせいがあるとされた母親ははおやうちおよそ3ぶん2が、自身じしん危険きけん状態じょうたいにあることを認識にんしきできていないこともかりました。

周囲しゅういたすもとめたり適切てきせつ治療ちりょうけたりしないまま症状しょうじょう深刻しんこくしていくリスクがあり、積極せっきょくてき支援しえん必要ひつようせい指摘してきされています。

調査ちょうさたった松島まつしまじゅん教授きょうじゅ公共こうきょう政策せいさく専門せんもんで、行政ぎょうせい医療いりょう機関きかん情報じょうほう提供ていきょうしようと今回こんかい調査ちょうさおこないました。

松島まつしまじゅん教授きょうじゅは「社会しゃかいすこずつ日常にちじょう取り戻とりもどしていくなか、いまだに、4ぶん1ちか母親ははおやがうつ傾向けいこうしめしていることから問題もんだい一過いっかせいのものではないとおもわれます。今後こんご継続けいぞくてき調査ちょうさおこなっていきます」とはなしています。

専門せんもん衝撃しょうげきてき結果けっか

今回こんかい調査ちょうさ結果けっかについて、産前さんぜん産後さんごのメンタルヘルスなど専門せんもん国立こくりつ成育せいいく医療いりょう研究けんきゅうセンター立花たちばな良之よしゆき医師いしは「非常ひじょうたか割合わりあい母親ははおや心身しんしんともに不調ふちょうをきたしている可能かのうせいうたがわれ、衝撃しょうげきてき結果けっかです。コロナまえくらべて母親ははおや負担ふたんおおきく、産後さんごうつになりやすい状況じょうきょうになっている可能かのうせいがあります」とはなし、社会しゃかい全体ぜんたいけるべき問題もんだいだと指摘してきします。

さらに、「産後さんごうつ」の可能かのうせいがあるとされた母親ははおやおおが、自身じしん危険きけん状態じょうたいにあることを認識にんしきできていないという結果けっか専門せんもんとして重視じゅうししています。

立花たちばな医師いしは「こころ問題もんだい自分じぶん気付きづかないことがおおく、とく頑張がんばっているときは、『弱音よわねなんてけない』『あかちゃんのために頑張がんばらなくては』とおもい、多少たしょう体調たいちょうわるくても気持きもころしたり否定ひていしたりすることがあります。はなっておくと、つかがたまって限界げんかいむかえることがあるのでできるだけはやく、まわひと気付きづいて、支援しえんにつなげる必要ひつようがあります」とはなしています。

5つき出産しゅっさん女性じょせい産後さんごずっとマスク 不安ふあんかさなりねむれない」

自分じぶん産後さんごうつだとおも」という30だい女性じょせい取材しゅざいおうじました。

女性じょせい東京とうきょう都内とない集合しゅうごう住宅じゅうたくで、おっと生後せいご5か月かげつ長女ちょうじょと3にんらし

長女ちょうじょ出産しゅっさんしたのは東京とうきょうまだ緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんされていたことし5つきでした。

予定よていしていたおっと立ち会たちあはできなくなり、マスクをつけたまま1にん出産しゅっさんしました。

入院にゅういんちゅうは、おっと家族かぞくとの面会めんかいもかないませんでした。

当時とうじ状況じょうきょうについて、女性じょせいは「産後さんごずっとマスクをつけていて、ほかお母おかあさん会話かいわできる雰囲気ふんいきではありませんでした。はじめて育児いくじへの不安ふあんだれともはなせず1にんでいる不安ふあん、コロナへの不安ふあんかさなり、まったねむれませんでした」とはなしていました。

出産しゅっさん自宅じたくかえってからもウイルスへの感染かんせんになり、外出がいしゅつすることもままなりません。

だれともかかわらず、1にん子育こそだわれています。

集団しゅうだんでのけんや、自治体じちたい開催かいさいする子育こそだ支援しえんあつまり中止ちゅうし延期えんきとなったため、おな月齢げつれい母親ははおやたちとの交流こうりゅうはありません。

ママとも」どころか、知り合しりあすら1にんもいないままです。

どもと2にんきりでいると、気持きも落ち込おちこようになり、次第しだいなにをしていてもなみだながれるようになりました。

最近さいきんでは、しゅうなんきゅう腹痛はらいたおそわれるようになりトイレからられず、どもいていてもあやすことができないといいます。

女性じょせいは「直接ちょくせつひとって子育こそだ相談そうだんができればもっとらくになったり安心あんしんできたりするとおもが、ネット検索けんさくたよ日々ひびで、不安ふあんつねつきまとっています。気分きぶんのアップダウンがかなりあり、たすもとめたいけれどだれもいません。いますぐコロナがなくなってほしいです」とはなしています。

「3みつ屋外おくがいでの子育こそだ支援しえんうご

各地かくち両親りょうしん学級がっきゅうなど相次あいついで中止ちゅうしなるなか感染かんせん防止ぼうし配慮はいりょして屋外おくがいで「散歩さんぽ」するスタイルあら子育こそだ支援しえん取り組とりくはじまっています。

横浜よこはま産前さんぜん産後さんご母親ははおや支援しえんするボランティアグループ「まちの相棒あいぼう」は、これまでおも室内しつない対面たいめんして相談そうだんおうじてきました。

ところが新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうむずかしくなったため、ことし7つきからは、屋外おくがいで「散歩さんぽ」するスタイル子育こそだ支援しえん開催かいさいしています。

自宅じたくにこもりがちな母親ははおやたちに地域ちいきとつながりをきっかけつくってもらうのがねらいです。

取材しゅざいした先月せんげつ17にちは、産後さんご5か月かげつ母親ははおやなどおよそ20にん親子おやこ参加さんかし、地域ちいき商店しょうてんがいあるきました。

離乳食りにゅうしょく使つかえる食材しょくざいはやべられる総菜そうざいなどっているみせおとずれ、ボランティアグループひとみせひとに対にたいして孤立こりつしがちな母親ははおやたちを見守みまもってほしいとお願おねがしていました。

総菜そうざいてんひとから「できることはなんでもやるのでってね。どもよう小分こわにして冷凍れいとうしてからわたこともできますよ」などこえをかけられると、母親ははおやたちは「たすかります」と笑顔えがおこたえていました。

散歩さんぽのあとは、公園こうえん昼食ちゅうしょくべ、母親ははおやたちはお互おたがなや相談そうだんしあったり、参加さんかした助産じょさんから育児いくじのアドバイスをもらったりしていました。

参加さんかした30だい母親ははおやは「外出がいしゅつしたい気持きもはあっても、自粛じしゅくムード場所ばしょがありませんでした。こういうチャンスがなければずっときこもっていたかもしれないのでよかったです」とはなしていました。

ボランティアグループぼう明子あきこさんは「コロナの影響えいきょうで、『しんどい』というひと言ひとことひとえない状況じょうきょうにあります。会話かいわがものすごくって『育児いくじ大変たいへんだね、頑張がんばってるね』ってわれることもなくなっています。横並よこならあるきながらはなと、こころ打ち解うちとけやすいおな月齢げつれいどもおやどうしで触れ合ふれあことが子育こそだはげなるはずです」とはなしていました。

父親ちちおや役割やくわりがさらに重要じゅうよう企業きぎょうでは父親ちちおや研修けんしゅう

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、母親ははおや孤立こりつしがちななかでさらに重要じゅうようになっているのが父親ちちおや役割やくわりです。

企業きぎょうでは、父親ちちおや研修けんしゅうひろがっています。

このうち横浜よこはま銀行ぎんこう千葉ちば銀行ぎんこうは、男性だんせい育児いくじ参加さんか支援しえんするNPO法人ほうじん「ファザーリング・ジャパン」の協力きょうりょくて、合同ごうどうで「企業きぎょうない両親りょうしん学級がっきゅう」をひらきました。

オンラインおこなわれた研修けんしゅうには行員こういん夫婦ふうふなど67にん男女だんじょ参加さんかしました。

NPO法人ほうじん塚越つかごしまなぶさんが講師こうしとなり、とくにコロナでは父親ちちおや育児いくじ参加さんか母親ははおや孤立こりつふせぐ「最後さいごとりで」になるびかけ、産後さんご母親ははおや精神せいしん状態じょうたいなど解説かいせつしました。

そのうえで、24時間じかん態勢たいせいおこなわれる新生児しんせいじ育児いくじ負担ふたん母親ははおやかたよらないようにすることが家族かぞくみんな健康けんこうにつながり、仕事しごとにも影響えいきょうすると説明せつめいしました。

研修けんしゅう感想かんそうをメールでつのったところ、父親ちちおやからは「いままでなんとなくやっているになっていた育児いくじ家事かじ分担ぶんたんあらためて見直みなお機会きかいになった」というこえがっていました。

また夫婦ふうふ参加さんかしゃからは「夫婦ふうふはじめて話し合はなしあ機会きかいてた」とか、「母親ははおやが1にんでやらなくてはと抱え込かかえこみがちだったが、おっと育児いくじ参加さんかしてもらっていいんだとおもえ、気持きもかるくなった」といった感想かんそうせられていました。

横浜よこはま銀行ぎんこうでダイバーシティ&インクルージョン推進すいしん室長しつちょうつとめ、研修けんしゅう担当たんとうした高松たかまつ昌樹まさきさんは「コロナ家族かぞく以外いがいコミュニケーションりにくいなか会社かいしゃ両親りょうしん学級がっきゅうひらき、夫婦ふうふでの育児いくじ社内しゃない発信はっしんすることは非常ひじょう重要じゅうようだとおもいます」とはなしていました。

また千葉ちば銀行ぎんこうダイバーシティ推進すいしん三岡みつおか弓子ゆみこ部長ぶちょうは「参加さんかしゃ感想かんそうとコロナ想像そうぞう以上いじょう孤独こどく育児いくじをしていることがかってきました。家庭かてい充実じゅうじつ社員しゃいん意欲いよくにもつながるので父親ちちおやふく両親りょうしんへのはたらきかけ意義いぎあることだとおもいます」とはなしていました。

講師こうしつとめた塚越つかごしさんは「コロナでは、母親ははおや非常ひじょう孤立こりつしやすい状況じょうきょうにあります。まずはそのことを理解りかいしたうえで男性だんせい育休いくきゅうなど家族かぞくどうやってどもそだてるのかかんがえるきっかけにしてほしいです」とはなしていました。
ソース:NHK ニュース