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被害者に代わり消費者団体が裁判 消費者救う新制度
2016-10-03 03:18:27

悪質商法などに巻き込まれた被害者に代わって消費者団体が裁判を起こし、代金をまとめて取り戻すことなどができる新たな制度が1日から始まり、3日は東京の消費者団体が消費者庁を訪れて、裁判を行うことができる団体になるための申請を行いました。
欠陥商品を買わされたり、詐欺まがいの悪質商法で商品の購入契約をさせられたりした被害者をまとめて救済することを目的とした、消費者裁判手続特例法が1日に施行され、被害者が数十人に上るトラブルが起きた時に、国が認定する消費者団体が、被害者に代わって事業者を訴え、代金を取り戻すことなどができるようになりました。
制度が始まって最初の平日の3日、東京の消費者団体「消費者機構日本」の4人が消費者庁を訪れ、被害者に代わって裁判を行う「特定適格消費者団体」となるための申請を行いました。
新たな制度では、裁判は2段階で行われ、まず「特定適格消費者団体」が被害者に代わって事業者を訴え、事業者に購入代金の返還や損害賠償などを行う義務があるかどうかが争われます。
ここで消費者団体側が勝訴すれば、団体が対象となる消費者に裁判への参加を呼びかけ、個々の消費者はそれぞれの状況に応じて代金を取り戻すことなどができます。
消費者機構日本の中山弘子会長は「1人では解決の難しい被害の回復を消費者の方々に代わって図る大きな意義のある制度だ。なるべく早く認定してもらったうえで頑張っていきたい」と話していました。
消費者庁によりますと、団体の審査には2、3か月かかり、その後、この制度の下での裁判が行われることになるということです。
制度が始まって最初の平日の3日、東京の消費者団体「消費者機構日本」の4人が消費者庁を訪れ、被害者に代わって裁判を行う「特定適格消費者団体」となるための申請を行いました。
新たな制度では、裁判は2段階で行われ、まず「特定適格消費者団体」が被害者に代わって事業者を訴え、事業者に購入代金の返還や損害賠償などを行う義務があるかどうかが争われます。
ここで消費者団体側が勝訴すれば、団体が対象となる消費者に裁判への参加を呼びかけ、個々の消費者はそれぞれの状況に応じて代金を取り戻すことなどができます。
消費者機構日本の中山弘子会長は「1人では解決の難しい被害の回復を消費者の方々に代わって図る大きな意義のある制度だ。なるべく早く認定してもらったうえで頑張っていきたい」と話していました。
消費者庁によりますと、団体の審査には2、3か月かかり、その後、この制度の下での裁判が行われることになるということです。
これまでは泣き寝入りがほとんど
消費者団体が被害者に代わって裁判を起こすことができる制度は、平成19年に始まっていますが、これまでは不当な勧誘や契約をやめさせることはできたものの、支払ってしまった代金などを取り戻すことはできませんでした。
東京・新宿区にある東京都消費生活総合センターには、商品の購入やインターネット取り引きなどをめぐるトラブルの相談が、年間3万件以上寄せられていますが、相談員の井坂江美子さんは、これまでは実際に訴訟を起こす人はほとんどいなかったと指摘しています。
井坂さんは「訴訟にはお金がかかることに加え、精神的な負担や時間的制約が課題になっている。消費生活センターへの相談すら、ハードルが高いと感じている人たちに、さらに行動を求めるのは難しい」と話しています。
消費者庁が平成24年に全国の男女2000人を対象に行った調査によりますと、消費者被害を経験したことがあると回答した381人のうち、誰にも相談しなかったと回答した人は36.2%で、その理由として、相談してもしかたないと思ったという回答が53.6%と半数以上に上りました。
また、消費者庁が平成23年に行った別の調査で、消費者被害に遭った人を対象に、被害金額を取り戻すために取った行動を聞いたところ、訴訟を起こしたと回答した人は0.8%と、ごくわずかだったということです。
消費者庁は被害に遭っても、泣き寝入りせざるをえないケースが多いのが実情だと分析しています。
東京・新宿区にある東京都消費生活総合センターには、商品の購入やインターネット取り引きなどをめぐるトラブルの相談が、年間3万件以上寄せられていますが、相談員の井坂江美子さんは、これまでは実際に訴訟を起こす人はほとんどいなかったと指摘しています。
井坂さんは「訴訟にはお金がかかることに加え、精神的な負担や時間的制約が課題になっている。消費生活センターへの相談すら、ハードルが高いと感じている人たちに、さらに行動を求めるのは難しい」と話しています。
消費者庁が平成24年に全国の男女2000人を対象に行った調査によりますと、消費者被害を経験したことがあると回答した381人のうち、誰にも相談しなかったと回答した人は36.2%で、その理由として、相談してもしかたないと思ったという回答が53.6%と半数以上に上りました。
また、消費者庁が平成23年に行った別の調査で、消費者被害に遭った人を対象に、被害金額を取り戻すために取った行動を聞いたところ、訴訟を起こしたと回答した人は0.8%と、ごくわずかだったということです。
消費者庁は被害に遭っても、泣き寝入りせざるをえないケースが多いのが実情だと分析しています。
被害金取り戻すことも どんな事案?
今回の制度では、被害者に代わって被害金を取り戻すことが可能となり、被害者の泣き寝入りを防ぐ効果が期待されています。
また、裁判は2段階で行われ、消費者は消費者団体が勝訴してから裁判に参加すればよいため、従来よりも費用や手間をかけずに、簡単な手続きで被害を回復することが可能となります。
今回の制度の対象となるのは、法律が施行された1日以降に被害が発生し、被害者が数十人に上る消費者トラブルで、欠陥商品を購入させられた場合や詐欺的な悪質商法で商品の購入契約をさせられたケースなどです。
対象となりうる事案として、消費者庁は専門学校などの入学を辞退し、前払いした授業料の返還を求めたが拒否されたというケースや、毎月のモニター料が月々の支払い金額よりも多く支払われるなどと、うそを言って勧誘するモニター商法で、布団などを購入させられたケース、また、語学学校やエステサロンを途中解約した際に、前払い金が返還されないケースなどを想定しています。
こうした契約は、消費者契約法や特定商取引法などに違反している可能性があり、裁判で契約が無効と判断されるなどして、支払った金額が返還される可能性があるということです。
このほか、耐震基準を満たしていないマンションを購入してしまった場合も対象になりうると想定され、販売会社に対して修理費用などの損害賠償を求めることができるということです。
また、裁判は2段階で行われ、消費者は消費者団体が勝訴してから裁判に参加すればよいため、従来よりも費用や手間をかけずに、簡単な手続きで被害を回復することが可能となります。
今回の制度の対象となるのは、法律が施行された1日以降に被害が発生し、被害者が数十人に上る消費者トラブルで、欠陥商品を購入させられた場合や詐欺的な悪質商法で商品の購入契約をさせられたケースなどです。
対象となりうる事案として、消費者庁は専門学校などの入学を辞退し、前払いした授業料の返還を求めたが拒否されたというケースや、毎月のモニター料が月々の支払い金額よりも多く支払われるなどと、うそを言って勧誘するモニター商法で、布団などを購入させられたケース、また、語学学校やエステサロンを途中解約した際に、前払い金が返還されないケースなどを想定しています。
こうした契約は、消費者契約法や特定商取引法などに違反している可能性があり、裁判で契約が無効と判断されるなどして、支払った金額が返還される可能性があるということです。
このほか、耐震基準を満たしていないマンションを購入してしまった場合も対象になりうると想定され、販売会社に対して修理費用などの損害賠償を求めることができるということです。
弁護士「非常に画期的」
今回の制度の意義について、消費者問題に詳しい池本誠司弁護士は「これまでも違法行為をやめなさいという差し止め請求はできたが、現に被害を受けた人を救う手立てがなかった。今回の制度では、これ以上違法なことをするなということに加えて、被害を受けた人をまとめて救済することができるようになり、被害の防止と救済が制度として完結することになる」と評価しています。
そのうえで池本弁護士は、今回の制度の重要な点は、裁判が2段階になっていることだと指摘し、「勝てるかどうかわからない段階で、費用を払って参加するというと尻込みしてしまうが、今回は事業者の行為が違法であるということを判決で確認してから被害届を出せるので、消費者にとっては安心して参加できる仕組みになっている。従来の訴訟制度にはないもので、非常に画期的だ」と話しています。
一方で今後の課題については、「制度を担う団体が少なければ、取り扱う件数も限られ、被害者の救済が思うようにいかない」と、団体の設立や活動を支援することの重要性を挙げたうえで、「被害届を出してくださいという情報をどう伝えていくかが、この制度を成功させるいちばんの鍵になる」と情報提供の大切さを指摘しています。
そのうえで池本弁護士は、今回の制度の重要な点は、裁判が2段階になっていることだと指摘し、「勝てるかどうかわからない段階で、費用を払って参加するというと尻込みしてしまうが、今回は事業者の行為が違法であるということを判決で確認してから被害届を出せるので、消費者にとっては安心して参加できる仕組みになっている。従来の訴訟制度にはないもので、非常に画期的だ」と話しています。
一方で今後の課題については、「制度を担う団体が少なければ、取り扱う件数も限られ、被害者の救済が思うようにいかない」と、団体の設立や活動を支援することの重要性を挙げたうえで、「被害届を出してくださいという情報をどう伝えていくかが、この制度を成功させるいちばんの鍵になる」と情報提供の大切さを指摘しています。
ソース:NHK ニュース