職場しょくばでの旧姓きゅうせい使用しようを認みとめない判決はんけつ 東京とうきょう地裁ちさい

東京とうきょうの私立しりつ学校がっこうの女性じょせい教諭きょうゆが、結婚けっこん前まえの旧姓きゅうせいを職場しょくばで使用しようできないのは不当ふとうだと訴うったえた裁判さいばんで、東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょは「旧姓きゅうせいの使用しようが社会しゃかいに根ねづいているとまでは認みとめられない」などとして、訴うったえを退しりぞけました。弁護べんご団だんは「社会しゃかいの動うごきに逆行ぎゃっこうする判決はんけつだ」として控訴こうそする方針ほうしんです。

東京とうきょう・町田まちだ市しの日本にっぽん大学だいがく第だい三さん中学ちゅうがく・高校こうこうに勤務きんむする３さん０ぜろ代だいの女性じょせい教諭きょうゆは、同僚どうりょうや生徒せいとからは結婚けっこん前まえの旧姓きゅうせいで呼よばれていますが、通知つうち表ひょうなどの書類しょるいでは戸籍こせき上じょうの名字みょうじの使用しようを求もとめられていることから、「人格じんかく権けんの侵害しんがいだ」として学校がっこうを運営うんえいする法人ほうじんを訴うったえました。一方いっぽう、学校がっこう側がわは「法律ほうりつに基もとづいた対応たいおうだ」と反論はんろんしました。

１いち１いち日にちの判決はんけつで、東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょの小野瀬おのせ厚あつし裁判さいばん長ちょうは「旧姓きゅうせいを使つかえるという利益りえきは法律ほうりつ上じょう、保護ほごされるものだが、職場しょくばという集団しゅうだんで職員しょくいんを識別しきべつするものとして戸籍こせきの名字みょうじの使用しようを求もとめるのは合理ごうり性せいや必要ひつよう性せいがある。旧姓きゅうせいの使用しようは広ひろがっているが、社会しゃかいに根ねづいているとまでは認みとめられない」として、訴うったえを退しりぞけました。

原告げんこくの女性じょせい教諭きょうゆは「戸籍こせき名めいの強要きょうようはパワハラと同おなじです。裁判官さいばんかんの中なかに女性じょせいが１いち人にんでもいたら判断はんだんが変かわったかもしれないと思おもいます」と話はなしました。また、弁護べんご団だんは「社会しゃかいの動うごきに逆行ぎゃっこうする判決はんけつだ」として控訴こうそする方針ほうしんを示しめしました。一方いっぽう、日本にっぽん大学だいがく第だい三さん学園がくえんは「主張しゅちょうが裁判所さいばんしょに理解りかいされたと評価ひょうかしています」というコメントを出だしました。

職場しょくばでの旧姓きゅうせい使用しようの現状げんじょうは

結婚けっこん前まえの旧姓きゅうせいの使用しようを認みとめるかどうかは、職場しょくばによって対応たいおうが分わかれています。

女性じょせいの社会しゃかい進出しんしゅつに伴ともなって、仕事しごと上じょうのキャリアが途切とぎれないように旧姓きゅうせいの使用しようを認みとめる職場しょくばは次第しだいに増ふえ、国家こっか公務員こうむいんでは平成へいせい１いち３さん年ねんに、教育きょういく現場げんばでも東京とうきょう都立とりつの学校がっこうでは平成へいせい１いち４よん年ねんに認みとめられました。

財団ざいだん法人ほうじんの労務ろうむ行政ぎょうせい研究所けんきゅうじょが３さん年ねん前まえ、一部いちぶ上場じょうじょう企業きぎょうなどを対象たいしょうに行いったアンケート調査ちょうさでは、回答かいとうした２に０ぜろ０ぜろ社しゃ余あまりのうち仕事しごと上じょうでの旧姓きゅうせいの使用しようを認みとめている企業きぎょうの割合わりあいは６ろく４よん．５ご％でした。こうした中なか、政府せいふは、女性じょせいの活躍かつやくを推進すいしんするための取り組とりくみとして、住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょうやマイナンバーカードに旧姓きゅうせいを併記へいきできるように政令せいれいなどを改正かいせいするとしています。

一方いっぽう、抜本ばっぽん的てきな対応たいおうとして夫婦ふうふ別姓べっせいを認みとめていない民法みんぽうを改正かいせいするよう求もとめる意見いけんがあり、裁判さいばんも起おこされましたが、去年きょねん１２月じゅうにがつ、最高さいこう裁判所さいばんしょは、民法みんぽうの規定きていは憲法けんぽうに違反いはんしないという初はじめての判断はんだんを示しめしました。ただ、裁判官さいばんかんの中なかでも見解けんかいは分わかれ、１いち５ご人にんのうち女性じょせい全員ぜんいんを含ふくむ裁判官さいばんかん５ご人にんは「憲法けんぽうに違反いはんする」という反対はんたい意見いけんを述のべました。

ソース：NHK ニュース