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熊本地震 ごく浅い軟弱な地盤で揺れ増幅 被害拡大か
2016-10-15 09:35:29
一連の熊本地震で、震度7の揺れを2度観測した熊本県益城町では、ごく浅いところの軟弱な地盤によって、木造住宅を大きく揺らす周期の揺れが局地的に2倍以上に増幅され、被害が拡大したと見られることが、専門家による調査でわかりました。
一連の熊本地震で熊本県益城町では2700棟余りの住宅が全壊した一方、場所によって揺れの大きさが異なり、被害が大きかった宮園地区では、2度目の震度7の地震の際に木造住宅への影響が大きい周期1秒程度の揺れが局地的に周辺の2倍以上と、現在の耐震基準の住宅でも倒壊するおそれのある大きさに達していました。
産業技術総合研究所や大阪大学、それに京都大学などの研究グループは、宮園地区でボーリング調査を行って、深さおよそ50メートルまでの地層を抜き出し、地盤が揺れの伝わり方にどう影響したのか解析しました。
その結果、地面から深さ30メートル程度までは火山灰などが積もった比較的軟らかな層で、このうち深さ10メートル程度までの粘土状の地盤が、地震の揺れでさらに軟らかくなり、周期1秒程度の揺れを増幅したと見られることがわかりました。
こうした影響は木造住宅を建てる際に一般には考慮されていないということで、解析を行った産業技術総合研究所の吉見雅行主任研究員は「活断層の近くだったことに加え、浅いところの軟弱な地盤が被害が集中した要因だったことがわかってきた。地震の被害を減らすため、地盤の特性を事前に調べるなど対策を進めていくことが必要だ」と話しています。
産業技術総合研究所や大阪大学、それに京都大学などの研究グループは、宮園地区でボーリング調査を行って、深さおよそ50メートルまでの地層を抜き出し、地盤が揺れの伝わり方にどう影響したのか解析しました。
その結果、地面から深さ30メートル程度までは火山灰などが積もった比較的軟らかな層で、このうち深さ10メートル程度までの粘土状の地盤が、地震の揺れでさらに軟らかくなり、周期1秒程度の揺れを増幅したと見られることがわかりました。
こうした影響は木造住宅を建てる際に一般には考慮されていないということで、解析を行った産業技術総合研究所の吉見雅行主任研究員は「活断層の近くだったことに加え、浅いところの軟弱な地盤が被害が集中した要因だったことがわかってきた。地震の被害を減らすため、地盤の特性を事前に調べるなど対策を進めていくことが必要だ」と話しています。
宮園地区の地震計 揺れの強さは他地区の2倍以上
一連の熊本地震で、熊本県益城町の宮園地区では、大阪大学が臨時に設置した地震計で、4月16日のマグニチュード7.3の地震の際、震度7の揺れが観測されました。
大阪大学によりますと、地震の波形を詳しく分析した結果、特に木造住宅の揺れが大きくなりやすい、周期1秒程度の揺れはおよそ700メートル離れた益城町の別の地震計の記録と比べ、2倍以上の大きさに達していました。
さらに建築の専門家が観測された揺れをコンピューターに入力して、現在の耐震基準で建てられた木造住宅にどのような影響があるかシミュレーションした結果、現在の耐震基準の1.5倍から2倍程度の強度で建てられた住宅でも、建て方によっては倒壊するおそれがあるという結果となりました。
大阪大学によりますと、地震の波形を詳しく分析した結果、特に木造住宅の揺れが大きくなりやすい、周期1秒程度の揺れはおよそ700メートル離れた益城町の別の地震計の記録と比べ、2倍以上の大きさに達していました。
さらに建築の専門家が観測された揺れをコンピューターに入力して、現在の耐震基準で建てられた木造住宅にどのような影響があるかシミュレーションした結果、現在の耐震基準の1.5倍から2倍程度の強度で建てられた住宅でも、建て方によっては倒壊するおそれがあるという結果となりました。
住宅の地盤調査は
国土交通省によりますと、法律では木造住宅などを建てる際に、地盤が住宅の重さに耐えられるかどうかなどを調べるよう定めています。
このため、住宅を建てる際には、専用の機械で地面を掘るなどして地盤の固さを調べ、規定よりも軟らかい場合には、地面にくいを打ったり一面をコンクリートで固めたりします。
一方で、地盤による揺れの増幅については、自治体が特に軟弱な地盤と指定した地域では、揺れが大きくなって住宅が倒壊しないように、住宅の強度を1.5倍にするよう法律の施行令で定めています。
ただ、国土交通省などによりますと、これまでのところ自治体が軟弱な地盤に指定された地域は把握していないということです。
このため、住宅を建てる際には、専用の機械で地面を掘るなどして地盤の固さを調べ、規定よりも軟らかい場合には、地面にくいを打ったり一面をコンクリートで固めたりします。
一方で、地盤による揺れの増幅については、自治体が特に軟弱な地盤と指定した地域では、揺れが大きくなって住宅が倒壊しないように、住宅の強度を1.5倍にするよう法律の施行令で定めています。
ただ、国土交通省などによりますと、これまでのところ自治体が軟弱な地盤に指定された地域は把握していないということです。
地盤調査も揺れの増幅など新たな分析へ
熊本地震をきっかけに、地盤調査会社にはこれまではあまりなかった個人からの問い合わせも相次いでいます。
東京・中央区に本社がある地盤調査会社では、去年1月から、ホームページで自宅の住所を入力すると、地震による液状化や揺れやすさなどのリスクを簡易的に調べられるサービスを提供していて、熊本地震以降、月ごとの利用者の平均は熊本地震の前と比べて30%以上増えているということです。
また、実際の地盤調査はこれまでハウスメーカーや住宅関係の会社などからの依頼が中心でしたが、熊本地震以降は個人からも依頼が来るようになり、すでに6件の調査を行っているということです。
このうち、愛知県豊川市の男性は、現在住んでいる住宅の隣に息子夫婦が新たに住宅を建てることになり、地盤調査を申し込みました。土地はかつて水田だったということで、依頼を受けた調査会社の担当者が地盤の固さを調べたり、軟らかい地層の土を採取したりしていました。
ただ、現在の調査は建物の重さに地盤が耐えられるかどうかなどが中心で、地盤による揺れの増幅のリスクは十分に解析できないということです。
このため、この会社では今月から研究機関などと協力して、地盤による揺れの増幅などを分析するため、新たな観測方法の開発を始めました。
調査会社の山本強社長は「これまでは宅地を買ってから地盤の調査を行っていたが、これからはまず調査を行ってよしあしを調べてから土地を選ぶ取り組みが求められていると思う」と話しています。
東京・中央区に本社がある地盤調査会社では、去年1月から、ホームページで自宅の住所を入力すると、地震による液状化や揺れやすさなどのリスクを簡易的に調べられるサービスを提供していて、熊本地震以降、月ごとの利用者の平均は熊本地震の前と比べて30%以上増えているということです。
また、実際の地盤調査はこれまでハウスメーカーや住宅関係の会社などからの依頼が中心でしたが、熊本地震以降は個人からも依頼が来るようになり、すでに6件の調査を行っているということです。
このうち、愛知県豊川市の男性は、現在住んでいる住宅の隣に息子夫婦が新たに住宅を建てることになり、地盤調査を申し込みました。土地はかつて水田だったということで、依頼を受けた調査会社の担当者が地盤の固さを調べたり、軟らかい地層の土を採取したりしていました。
ただ、現在の調査は建物の重さに地盤が耐えられるかどうかなどが中心で、地盤による揺れの増幅のリスクは十分に解析できないということです。
このため、この会社では今月から研究機関などと協力して、地盤による揺れの増幅などを分析するため、新たな観測方法の開発を始めました。
調査会社の山本強社長は「これまでは宅地を買ってから地盤の調査を行っていたが、これからはまず調査を行ってよしあしを調べてから土地を選ぶ取り組みが求められていると思う」と話しています。
ソース:NHK ニュース