News
Show Furigana

弁護士べんごしかい照会しょうかい拒否きょひ 賠償ばいしょうもとめられない 最高裁さいこうさいはつ判断はんだん

2016-10-18 12:40:29

avatar
弁護士べんごしかい企業きぎょう団体だんたい個人こじん情報じょうほうについて照会しょうかいし、拒否きょひされた場合ばあい賠償ばいしょうもとめられるかどうかがあらそわれた裁判さいばんで、最高さいこう裁判所さいばんしょは、賠償ばいしょうもとめられないとするはじめての判断はんだんしめしました。ただ、裁判官さいばんかんいちにんは、企業きぎょう団体だんたい一律いちりつ拒否きょひすべきではないという意見いけんをつけました。
この裁判さいばんは、弁護士べんごしから裁判さいばん当事者とうじしゃ転居てんきょさきについて照会しょうかいするよう申し出もうしでけた愛知あいちけん弁護士べんごしかいが、日本にっぽん郵便ゆうびん照会しょうかいしたところ、守秘しゅひ義務ぎむ理由りゆう回答かいとう拒否きょひされたことから賠償ばいしょうなどをもとめたものです。

いちしん名古屋なごや地方ちほう裁判所さいばんしょは「回答かいとうする義務ぎむ守秘しゅひ義務ぎむより優先ゆうせんされるが、賠償ばいしょうみとめられない」と判断はんだんしましたが、しん名古屋なごや高等こうとう裁判所さいばんしょは「照会しょうかい目的もくてき検討けんとうせず一律いちりつ拒否きょひするのは不当ふとうだ」としていちまんえん賠償ばいしょうめいじ、双方そうほう上告じょうこくしていました。

いちはちにち判決はんけつで、最高さいこう裁判所さいばんしょだいさんしょう法廷ほうてい木内きうちみちさち裁判さいばんちょうは「弁護士べんごしかい照会しょうかい権限けんげんあたえられているのは、弁護士べんごしからの申し出もうしで適切てきせつかどうかの判断はんだんなど制度せいど適正てきせい運用うんようのためで、相手あいてから報告ほうこくける利益りえき法律ほうりつじょう保護ほごされているわけではない」として、賠償ばいしょうもとめられないとするはじめての判断はんだんしめしました。ただ、岡部おかべ喜代子きよこ裁判官さいばんかんは「照会しょうかいもとめるがわ秘密ひみつまもられるがわ利益りえき比較ひかくして判断はんだんすべきだ」として、企業きぎょう団体だんたい一律いちりつ拒否きょひすべきではないという意見いけんをつけました。

今回こんかい判決はんけつで、最高さいこう裁判所さいばんしょは、照会しょうかい制度せいどに関にかんする説明せつめいなかで、「照会しょうかいけた相手あいて正当せいとう理由りゆうがないかぎり、回答かいとうすべきだと解釈かいしゃくされる」とべています。判決はんけつのあとで会見かいけんひらいた愛知あいちけん弁護士べんごしかい石川いしかわ恭久やすひさ弁護士べんごしはこの記述きじゅつについて、「照会しょうかいけた団体だんたい回答かいとうする義務ぎむうことを最高裁さいこうさいみとめたもので、一定いってい意義いぎがある。いままで拒否きょひしていた団体だんたい回答かいとうしてもらえる可能かのうせいたかまったし、弁護士べんごしかいとしても要請ようせいしていきたい」とべました。

弁護士べんごしかい照会しょうかい制度せいどとは

弁護士べんごしかいによる個人こじん情報じょうほう照会しょうかい法律ほうりつもとづくものですが、罰則ばっそく規定きていはなく、回答かいとうられないケースが全体ぜんたいいちわりえているのが現状げんじょうです。

弁護士べんごしほうでは、弁護士べんごし業務ぎょうむに関にかんして必要ひつよう情報じょうほうについては、弁護士べんごしかいを通をつうじて企業きぎょう団体だんたい照会しょうかいすることができると規定きていされています。たとえば、民事みんじ裁判さいばん関係かんけいしゃ連絡れんらくさきがわからない場合ばあいなどに使つかわれ、照会しょうかいさきは、警察けいさつ検察庁けんさつちょうのほか、金融きんゆう機関きかん通信つうしん会社かいしゃなどがおおいということです。

一方いっぽうで、企業きぎょう団体だんたい個人こじん情報じょうほう保護ほごなどを理由りゆう照会しょうかいに対にたいする回答かいとう拒否きょひした場合ばあい罰則ばっそく規定きていはありません。日弁連にちべんれん日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごうかいによりますと、去年きょねん各地かくち弁護士べんごしかい弁護士べんごしから照会しょうかい受け付うけつけた件数けんすういちななまんろくさんさんよんけんで、回答かいとうられたのは全体ぜんたいはちろくよん%でした。一方いっぽうで、回答かいとうがなかったのははちはち%、回答かいとう拒否きょひされたのはおよそよんはち%で、回答かいとうられないケースが全体ぜんたいいちわりえているのが現状げんじょうです。
ソース:NHK ニュース