大川おおかわ小学校しょうがっこうの津波つなみ訴訟そしょう 石巻いしのまき市しなどに１いち４よん億おく円えん余よの賠償ばいしょう命令めいれい

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの津波つなみで犠牲ぎせいになった宮城みやぎ県けん石巻いしのまき市しの大川おおかわ小学校しょうがっこうの児童じどうの遺族いぞくが訴うったえた裁判さいばんで、仙台せんだい地方ちほう裁判所さいばんしょは「津波つなみの危険きけんが予測よそくでき、近ちかくの裏山うらやまに避難ひなんすべきだったのに、避難ひなん場所ばしょとして不ふ適当てきとうな場所ばしょに移動いどうしようとしたのは過失かしつがある」として石巻いしのまき市しなどに対にたいし原告げんこく全員ぜんいんに１いち４よん億おく円えん余あまりの賠償ばいしょうを支払しはらうよう命めいじました。

石巻いしのまき市しの大川おおかわ小学校しょうがっこうは、震災しんさいの津波つなみで７なな４よん人にんの児童じどうが犠牲ぎせいになり、このうち２に３さん人にんの児童じどうの遺族いぞくは石巻いしのまき市しと宮城みやぎ県けんに対にたいし１いち人にん当あたり１いち億おく円えん、合あわせて２に３さん億おく円えんの賠償ばいしょうを求もとめる訴うったえを起おこしました。
裁判さいばんでは、海岸かいがんからおよそ４よんキロ離はなれた小学校しょうがっこうまで津波つなみが来くることを学校がっこう側がわが予測よそくできたかどうかが大おおきな争点そうてんとなりました。

２に６ろく日にちの判決はんけつで、仙台せんだい地方ちほう裁判所さいばんしょの高宮たかみや健二けんじ裁判さいばん長ちょうは石巻いしのまき市しと宮城みやぎ県けんに対にたいし原告げんこく全員ぜんいんに合あわせて１いち４よん億おく２に６ろく０ぜろ０ぜろ万まん円えん余あまりの賠償ばいしょうを支払しはらうよう命めいじました。
判決はんけつでは「津波つなみが襲おそってくる７なな分ふん前まえの遅おそくとも午後ごご３さん時半じはんごろまでには石巻いしのまき市しの広報こうほう車しゃが津波つなみが松林まつばやしを越こえて避難ひなんを呼よびかけたのを教員きょういんらは聞きいていたと認みとめられ、小学校しょうがっこうに津波つなみが到達とうたつすることを予測よそくできた」と指摘してきしました。そのうえで、「教員きょういんらが校庭こうていからの移動いどう先さきとして目指めざした川かわ沿ぞいの交差点こうさてんの標高ひょうこうは７ななメートル余あまりしかなく、避難ひなん場所ばしょとしては不ふ適当てきとうだった。一方いっぽうで、近ちかくの裏山うらやまは過去かこに学習がくしゅうの場ばなどで児童じどうも登のぼっていた場所ばしょで、小走こばしりで１いち分ふん程度ていどで移動いどうでき、避難ひなんするのに具体ぐたい的てき支障ししょうはなく避難ひなんについての過失かしつがあった」と指摘してきしました。

大川おおかわ小学校しょうがっこうは当時とうじ、津波つなみの避難ひなん場所ばしょに指定していされていて、宮城みやぎ、岩手いわて、福島ふくしまの３さん県けんの教育きょういく委員いいん会かいによりますと、震災しんさいをめぐる裁判さいばんで、避難ひなん場所ばしょに指定していされた学校がっこうからさらに避難ひなんすることについて過失かしつが認みとめられたのは初はじめてです。
大川おおかわ小学校しょうがっこうでは学校がっこうの管理かんり下かとしては震災しんさいで最もっとも多おおい子こどもたちが犠牲ぎせいになり、裁判所さいばんしょの判断はんだんが注目ちゅうもくされていました。

法廷ほうていで遺族いぞくたちは

原告げんこくの遺族いぞくたち２に０ぜろ人にん余あまりは法廷ほうていで着席ちゃくせきすると前まえを見みつめ緊張きんちょうした面持おももちで判決はんけつを待まちました。そして裁判さいばん長ちょうが、石巻いしのまき市しなどに賠償ばいしょうを命めいじる判決はんけつを言い渡いいわたすと、静しずかに目めを閉とじたり息いきをついたりしていました。

傍聴ぼうちょうの抽選ちゅうせん 倍率ばいりつは５ご．６ろく倍ばい

判決はんけつを傍聴ぼうちょうしようと、抽選ちゅうせんの受け付うけつけにはおよそ２に７なな０ぜろ人にんが訪おとずれ、倍率ばいりつは５ご倍ばいを超こえました。
仙台せんだい地方ちほう裁判所さいばんしょでは、午後ごご１いち時じ２に０ぜろ分ふんに傍聴ぼうちょう券けんの抽選ちゅうせんの受け付うけつけが始はじまり、担当たんとう者しゃが整理せいり番号ばんごうが書かかれたバンドを、傍聴ぼうちょうを希望きぼうする人ひとたちの手首てくびに巻まいていきました。裁判所さいばんしょによりますと、抽選ちゅうせんに参加さんかした人ひとは２に７なな１いち人にんで、倍率ばいりつはおよそ５ご．６ろく倍ばいになりました。
仙台せんだい市しに住すむ８はち０ぜろ代だいの男性だんせいは「７なな４よん人にんもの児童じどうが犠牲ぎせいになったのは大川おおかわ小学校しょうがっこうだけです。津波つなみが来くるまでのおよそ５ご０ぜろ分ぶんの間かんに何なにがあったのか、真実しんじつを明あきらかにしてほしい」と話はなしていました。また、宮城みやぎ県けん亘理わたり町まちで小学校しょうがっこうの教員きょういんをしていたという７なな０ぜろ代だいの男性だんせいは「震災しんさいでかつての教え子おしえごを亡なくしました。自分じぶんも教員きょういん時代じだいに小学校しょうがっこうの避難ひなん訓練くんれんで児童じどうを並ならばせた経験けいけんがあり、どうすべきだったのか判断はんだんは迷まようと思おもいます。今回こんかいの裁判所さいばんしょの判断はんだんは今後こんごの学校がっこう教育きょういくに大おおきな影響えいきょうを与あたえると思おもいます」と話はなしていました。

ソース：NHK ニュース