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グーグル検索けんさく結果けっか削除さくじょ みとめない判決はんけつ 東京とうきょう地裁ちさい

2016-10-28 09:05:24

振り込ふりこ詐欺さぎ有罪ゆうざい確定かくていした男性だんせいが、グーグルに対にたいして事件じけんに関にかんする検索けんさく結果けっか削除さくじょもとめた裁判さいばんで、東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょは、「社会しゃかいてき関心かんしんたかく、男性だんせいのこうむる不利益ふりえきのほうがおおきいとはいえない」として、うったえを退しりぞける判決はんけつ言い渡いいわたしました。
この裁判さいばんは、いちぜろねん以上いじょうまえ振り込ふりこ詐欺さぎ有罪ゆうざい確定かくていした男性だんせいが、自分じぶん名前なまえ検索けんさくすると事件じけんれたサイトの一覧いちらん表示ひょうじされるのは人格じんかくけん侵害しんがいだとして、グーグルに検索けんさく結果けっか削除さくじょもとめたものです。

はちにち判決はんけつで、東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょ岡崎おかざき克彦かつひこ裁判さいばんちょうは、「男性だんせいのこうむる不利益ふりえき検索けんさくサービスがわ利益りえき比較ひかくして検討けんとうするだけでなく、表現ひょうげん自由じゆう国民こくみん権利けんりふくめてかんがえるべきだ」という判断はんだんしめしました。

そのうえで、「社会しゃかいてき関心かんしんたか振り込ふりこ詐欺さぎ事件じけんで、執行しっこう猶予ゆうよ期間きかん終了しゅうりょうからねん程度ていどしかたっていない。男性だんせいは、現在げんざいふたつの会社かいしゃ経営けいえいしていて、取引とりひきさきにとっては正当せいとう関心かんしんごとで、男性だんせい利益りえきのほうがおおきいとはいえない」としてうったえを退しりぞけました。

男性だんせいうったえは、裁判さいばんまえおこなわれたかり処分しょぶん決定けっていではみとめられていましたが、判断はんだんくつがえされました。

インターネットの検索けんさくをめぐっては、去年きょねん、さいたま地方ちほう裁判所さいばんしょが、いわゆる「わすれられる権利けんり」をみとめて削除さくじょめいじるかり処分しょぶん決定けっていしましたが、その後そのご東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょ取り消とりけされ、司法しほう判断はんだんかれています。

原告げんこく男性だんせい弁護士べんごしは、「検索けんさく結果けっか犯罪はんざいに関にかんするものでも、場合ばあいによっては削除さくじょみとめられるという主張しゅちょう大筋おおすじみとめられたのは評価ひょうかできるが、結論けつろん不当ふとうで、控訴こうそ検討けんとうしている」とはなしています。

一方いっぽう、グーグルは、「権利けんり情報じょうほうへのアクセスを尊重そんちょうした判断はんだんだとかんがえている」というコメントをしました。

わすれられる権利けんり」は権利けんりか?

インターネットが普及ふきゅうするなか過去かこ名誉めいよ情報じょうほう削除さくじょを「権利けんり」としてみとめるかどうかについては、さまざまな議論ぎろんがあります。

議論ぎろんひろがるきっかけとなったのは、おととし、EUい-ゆ-=ヨーロッパ連合れんごう最高さいこう裁判所さいばんしょにあたるヨーロッパ司法しほう裁判所さいばんしょしめした判断はんだんでした。

裁判さいばんでは、過去かこ名誉めいよ新聞しんぶん記事きじ表示ひょうじされないように「グーグル」に検索けんさく結果けっか削除さくじょもとめた男性だんせいうったえがみとめられ、「わすれられる権利けんり」をみとめたはじめての司法しほう判断はんだんとして注目ちゅうもくあつめました。

背景はいけいには、パソコンやスマートフォンでだれもが手軽てがる情報じょうほう検索けんさく発信はっしんができるようになるなか過去かこ名誉めいよ情報じょうほうがいつまでもインターネットじょうのこっていると平穏へいおん生活せいかつおびやかされるというかんがえがあります。

一方いっぽう情報じょうほう削除さくじょを「権利けんり」としてみとめると社会しゃかいとして必要ひつよう情報じょうほうにアクセスできなくなり、「権利けんり」の侵害しんがいにつながるというかんがえもあります。

日本にっぽんでも「わすれられる権利けんり」をみとめる裁判所さいばんしょ判断はんだんしめされましたが、その後そのご取り消とりけされています。
これは、過去かこ児童じどう買春ばいしゅんつみ罰金ばっきんけいけた男性だんせいが「グーグル」に検索けんさく結果けっか削除さくじょもとめるかり処分しょぶん申し立もうしたてたケースで、去年きょねん12月じゅうにがつ、さいたま地方ちほう裁判所さいばんしょは、日本にっぽんはじめて「わすれられる権利けんり」をみとめましたが、ことし7月しちがつ東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょはその判断はんだん取り消とりけし、申し立もうしたてを退しりぞけました。
このなか東京とうきょう高裁こうさいは、「検索けんさく結果けっか削除さくじょすると、関係かんけいのない事実じじつ意見いけんに関にかんする記載きさい検索けんさくできなくなり、表現ひょうげん自由じゆう権利けんり侵害しんがいされる」などと指摘してきしました。

検索けんさく結果けっか削除さくじょもとめる裁判さいばんなかには、最高さいこう裁判所さいばんしょ上告じょうこくされているものもあり、今後こんご判断はんだん注目ちゅうもくされます。
ソース:NHK ニュース