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グーグル検索結果の削除 認めない判決 東京地裁
2016-10-28 09:05:24
振り込め詐欺で有罪が確定した男性が、グーグルに対して事件に関する検索結果の削除を求めた裁判で、東京地方裁判所は、「社会的な関心が高く、男性のこうむる不利益のほうが大きいとはいえない」として、訴えを退ける判決を言い渡しました。
この裁判は、10年以上前の振り込め詐欺で有罪が確定した男性が、自分の名前を検索すると事件に触れたサイトの一覧が表示されるのは人格権の侵害だとして、グーグルに検索結果の削除を求めたものです。
28日の判決で、東京地方裁判所の岡崎克彦裁判長は、「男性のこうむる不利益と検索サービス側の不利益を比較して検討するだけでなく、表現の自由や国民の知る権利も含めて考えるべきだ」という判断を示しました。
そのうえで、「社会的な関心の高い振り込め詐欺事件で、執行猶予の期間の終了から5年程度しかたっていない。男性は、現在、2つの会社を経営していて、取引先にとっては正当な関心事で、男性の不利益のほうが大きいとはいえない」として訴えを退けました。
男性の訴えは、裁判の前に行われた仮処分の決定では認められていましたが、判断が覆されました。
インターネットの検索をめぐっては、去年、さいたま地方裁判所が、いわゆる「忘れられる権利」を認めて削除を命じる仮処分の決定を出しましたが、その後、東京高等裁判所で取り消され、司法の判断が分かれています。
原告の男性の弁護士は、「検索結果が犯罪に関するものでも、場合によっては削除が認められるという主張が大筋で認められたのは評価できるが、結論が不当で、控訴を検討している」と話しています。
一方、グーグルは、「知る権利と情報へのアクセスを尊重した判断だと考えている」というコメントを出しました。
28日の判決で、東京地方裁判所の岡崎克彦裁判長は、「男性のこうむる不利益と検索サービス側の不利益を比較して検討するだけでなく、表現の自由や国民の知る権利も含めて考えるべきだ」という判断を示しました。
そのうえで、「社会的な関心の高い振り込め詐欺事件で、執行猶予の期間の終了から5年程度しかたっていない。男性は、現在、2つの会社を経営していて、取引先にとっては正当な関心事で、男性の不利益のほうが大きいとはいえない」として訴えを退けました。
男性の訴えは、裁判の前に行われた仮処分の決定では認められていましたが、判断が覆されました。
インターネットの検索をめぐっては、去年、さいたま地方裁判所が、いわゆる「忘れられる権利」を認めて削除を命じる仮処分の決定を出しましたが、その後、東京高等裁判所で取り消され、司法の判断が分かれています。
原告の男性の弁護士は、「検索結果が犯罪に関するものでも、場合によっては削除が認められるという主張が大筋で認められたのは評価できるが、結論が不当で、控訴を検討している」と話しています。
一方、グーグルは、「知る権利と情報へのアクセスを尊重した判断だと考えている」というコメントを出しました。
「忘れられる権利」は権利か?
インターネットが普及する中、過去の不名誉な情報の削除を「権利」として認めるかどうかについては、さまざまな議論があります。
議論が広がるきっかけとなったのは、おととし、EU=ヨーロッパ連合の最高裁判所にあたるヨーロッパ司法裁判所が示した判断でした。
裁判では、過去の不名誉な新聞記事が表示されないように「グーグル」に検索結果の削除を求めた男性の訴えが認められ、「忘れられる権利」を認めた初めての司法判断として注目を集めました。
背景には、パソコンやスマートフォンで誰もが手軽に情報の検索や発信ができるようになる中、過去の不名誉な情報がいつまでもインターネット上に残っていると平穏な生活が脅かされるという考えがあります。
一方、情報の削除を「権利」として認めると社会として必要な情報にアクセスできなくなり、「知る権利」の侵害につながるという考えもあります。
日本でも「忘れられる権利」を認める裁判所の判断が示されましたが、その後、取り消されています。
これは、過去に児童買春の罪で罰金刑を受けた男性が「グーグル」に検索結果の削除を求める仮処分を申し立てたケースで、去年12月、さいたま地方裁判所は、日本で初めて「忘れられる権利」を認めましたが、ことし7月、東京高等裁判所はその判断を取り消し、申し立てを退けました。
この中で東京高裁は、「検索結果を削除すると、関係のない事実や意見に関する記載も検索できなくなり、表現の自由や知る権利が侵害される」などと指摘しました。
検索結果の削除を求める裁判の中には、最高裁判所に上告されているものもあり、今後の判断が注目されます。
議論が広がるきっかけとなったのは、おととし、EU=ヨーロッパ連合の最高裁判所にあたるヨーロッパ司法裁判所が示した判断でした。
裁判では、過去の不名誉な新聞記事が表示されないように「グーグル」に検索結果の削除を求めた男性の訴えが認められ、「忘れられる権利」を認めた初めての司法判断として注目を集めました。
背景には、パソコンやスマートフォンで誰もが手軽に情報の検索や発信ができるようになる中、過去の不名誉な情報がいつまでもインターネット上に残っていると平穏な生活が脅かされるという考えがあります。
一方、情報の削除を「権利」として認めると社会として必要な情報にアクセスできなくなり、「知る権利」の侵害につながるという考えもあります。
日本でも「忘れられる権利」を認める裁判所の判断が示されましたが、その後、取り消されています。
これは、過去に児童買春の罪で罰金刑を受けた男性が「グーグル」に検索結果の削除を求める仮処分を申し立てたケースで、去年12月、さいたま地方裁判所は、日本で初めて「忘れられる権利」を認めましたが、ことし7月、東京高等裁判所はその判断を取り消し、申し立てを退けました。
この中で東京高裁は、「検索結果を削除すると、関係のない事実や意見に関する記載も検索できなくなり、表現の自由や知る権利が侵害される」などと指摘しました。
検索結果の削除を求める裁判の中には、最高裁判所に上告されているものもあり、今後の判断が注目されます。
ソース:NHK ニュース