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伊豆大島 噴火による全島避難から30年で訓練
2016-11-21 06:03:45

伊豆大島で規模の大きな噴火が発生して全島避難してから30年となる21日、山腹で新たな噴火が発生したという想定で、大規模な避難訓練が行われました。
伊豆大島ではちょうど30年前の昭和61年11月21日の噴火で流れ出した溶岩の一部が市街地に迫り、およそ1万人の住民すべてが島の外へ避難し、およそ1か月にわたって避難生活を続けました。
21日の訓練は山腹から噴火が発生して大島町の全域に避難指示が出たという想定で行われ、住民や警察、自衛隊などおよそ4000人が参加しました。このうち、町で最も高齢化が進む泉津地区では自主防災組織のメンバーがお年寄りの家を訪ねて避難を呼びかけ、実際にバスで移動して避難する手順を確認しました。また港では、噴火を経験していない中学生などが実際に船に乗り込み、どのように島の外へ避難するかを確認しました。
参加した87歳の女性は、「30年前を思い出しながら、一生懸命歩きました。いつ噴火が起きるかわからないので、訓練が大事だと改めて思いました」と話していました。
また、31歳の女性は「当時の記憶はありませんが、子どもを連れながら避難する大変さがわかり、日頃から備えをしておこうと思います」と話していました。
大島町防災対策室の高橋義徳室長は「訓練で出た課題などを検討して今後、新たな避難計画を作り、将来の噴火への対策を進めていきたい」と話しています。
21日の訓練は山腹から噴火が発生して大島町の全域に避難指示が出たという想定で行われ、住民や警察、自衛隊などおよそ4000人が参加しました。このうち、町で最も高齢化が進む泉津地区では自主防災組織のメンバーがお年寄りの家を訪ねて避難を呼びかけ、実際にバスで移動して避難する手順を確認しました。また港では、噴火を経験していない中学生などが実際に船に乗り込み、どのように島の外へ避難するかを確認しました。
参加した87歳の女性は、「30年前を思い出しながら、一生懸命歩きました。いつ噴火が起きるかわからないので、訓練が大事だと改めて思いました」と話していました。
また、31歳の女性は「当時の記憶はありませんが、子どもを連れながら避難する大変さがわかり、日頃から備えをしておこうと思います」と話していました。
大島町防災対策室の高橋義徳室長は「訓練で出た課題などを検討して今後、新たな避難計画を作り、将来の噴火への対策を進めていきたい」と話しています。
30年前の噴火で伊豆大島は
気象庁などによりますと、伊豆大島では30年から40年ごとに規模の大きな噴火が発生しています。昭和61年11月の噴火は、当初は山頂の火口で発生しましたが、およそ1週間後の11月21日に突然、山腹でも噴火が発生し、流れ出した溶岩が、ふもとの市街地に迫りました。地元の大島町ではすべての住民の島外への避難を決め、住民たちは、就航していた大型船のほか、海上保安庁や自衛隊の船で避難し、およそ1か月にわたり避難生活を続けました。突然の噴火活動の高まりに加えて、当時は通信手段が限られていたため、噴火に関する情報が錯そうし、住民の中には着の身着のままで避難した人もいました。
島の避難 課題は
30年前の噴火のあと、伊豆大島では避難の際に使われるすべての島の路線バスなどに無線を取り付け、島の周回道路を拡幅するなど、迅速な避難に向けた対策が進められました。
しかし、訪れる観光客の数はこの30年間におよそ40万人から19万人に減り、島に就航している大型船は4隻から2隻に、島を走る路線バスも半分の19台に減りました。また、30年前の噴火の際に住民の避難誘導を担った消防団員の数も3分の2以下に減る一方で、65歳以上の住民の割合はおよそ36%と高齢化も進んでいます。しかし、8年前に作られた現在の避難計画では、こうした変化にどう対応するか具体的に盛り込まれておらず、島外のどこへ避難するかも定められていません。三宅島や八丈島など、伊豆諸島のほかの火山のある島の多くも、同様の課題に直面しています。
火山噴火予知連絡会の会長で、東京大学の藤井敏嗣名誉教授は「伊豆大島など周囲を海に囲まれている離島の火山では、移動手段が限られるため、高齢者など移動に時間がかかる人をどの順番で避難させるかや、避難のルートや手段をあらかじめ決めたうえで、いざという時には、空振りになってもいいから早めの避難を呼びかけることも必要だ」と指摘しています。
しかし、訪れる観光客の数はこの30年間におよそ40万人から19万人に減り、島に就航している大型船は4隻から2隻に、島を走る路線バスも半分の19台に減りました。また、30年前の噴火の際に住民の避難誘導を担った消防団員の数も3分の2以下に減る一方で、65歳以上の住民の割合はおよそ36%と高齢化も進んでいます。しかし、8年前に作られた現在の避難計画では、こうした変化にどう対応するか具体的に盛り込まれておらず、島外のどこへ避難するかも定められていません。三宅島や八丈島など、伊豆諸島のほかの火山のある島の多くも、同様の課題に直面しています。
火山噴火予知連絡会の会長で、東京大学の藤井敏嗣名誉教授は「伊豆大島など周囲を海に囲まれている離島の火山では、移動手段が限られるため、高齢者など移動に時間がかかる人をどの順番で避難させるかや、避難のルートや手段をあらかじめ決めたうえで、いざという時には、空振りになってもいいから早めの避難を呼びかけることも必要だ」と指摘しています。
具体的な避難計画定めた島も
活発な火山活動が続く鹿児島市の桜島では、高齢化や人口減少に直面する中、事前に住民の避難手段や避難先を細かく定めて、突発的な噴火に備えています。
鹿児島市は、桜島に20ある地区ごとに、規模の大きな噴火が発生した場合に、住民がどの港から、どの船で避難するか、あらかじめ決めています。住民がいち早く避難できるよう、避難にはフェリーや海上保安庁の船のほか、漁船なども活用することになっています。島の外の避難先も地域ごとに定められ、避難先に指定されている小学校などには、人数分の食料や毛布も備蓄されています。
鹿児島市では毎年、住民や関係機関が参加する訓練を行い、避難の手順などを確認していて、鹿児島市危機管理課では「地域の人たちが一緒に避難し、避難場所もあらかじめ決めておくことで、より早く確実に避難してもらえると考えている」と話しています。
鹿児島市は、桜島に20ある地区ごとに、規模の大きな噴火が発生した場合に、住民がどの港から、どの船で避難するか、あらかじめ決めています。住民がいち早く避難できるよう、避難にはフェリーや海上保安庁の船のほか、漁船なども活用することになっています。島の外の避難先も地域ごとに定められ、避難先に指定されている小学校などには、人数分の食料や毛布も備蓄されています。
鹿児島市では毎年、住民や関係機関が参加する訓練を行い、避難の手順などを確認していて、鹿児島市危機管理課では「地域の人たちが一緒に避難し、避難場所もあらかじめ決めておくことで、より早く確実に避難してもらえると考えている」と話しています。
ソース:NHK ニュース