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”温泉マーク” 今のデザイン存続の方向で検討へ
2016-12-06 07:32:19

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、公共施設などの案内用のマークの見直しを検討している政府の会議は、温泉のマークについて、国内にデザインを変えないよう求める意見が多いことなどから存続させる方向で検討することになりました。
政府は、JIS=日本工業規格として標準化されている案内用のマークを外国人旅行者にわかりやすいものに見直そうと、国際規格とデザインが異なる90種類の案内用のマークについて変更を検討しています。
このうち、湯気をデザインした今の温泉マークについては、外国人に温かい料理を出すレストランと誤解されるおそれもあるとして新たに親子3人が湯船につかる様子を描いたデザインへの変更が検討されています。
6日に開かれた政府の検討会議では、アンケート調査で、外国人の7割が新しいマークの案が理解しやすいと答えた一方、日本人の6割がいまの温泉マークのほうが理解しやすいと答えたという結果が示されました。
一方、出席した大分県や群馬県の温泉地の関係者からは「今のマークはすでに駅や看板、お土産のパッケージにも使われている」などとして存続を求める意見が出されました。
こうしたことを踏まえて6日の会議では、温泉などのマークは日本人にとってなじみが深く、変更すると混乱するおそれがあるとして、今のデザインを存続させる方向で検討することになりました。政府の会議は、新しいマークについても使えるようにするかどうか検討を続け来年3月までに最終案をまとめる方針です。
このうち、湯気をデザインした今の温泉マークについては、外国人に温かい料理を出すレストランと誤解されるおそれもあるとして新たに親子3人が湯船につかる様子を描いたデザインへの変更が検討されています。
6日に開かれた政府の検討会議では、アンケート調査で、外国人の7割が新しいマークの案が理解しやすいと答えた一方、日本人の6割がいまの温泉マークのほうが理解しやすいと答えたという結果が示されました。
一方、出席した大分県や群馬県の温泉地の関係者からは「今のマークはすでに駅や看板、お土産のパッケージにも使われている」などとして存続を求める意見が出されました。
こうしたことを踏まえて6日の会議では、温泉などのマークは日本人にとってなじみが深く、変更すると混乱するおそれがあるとして、今のデザインを存続させる方向で検討することになりました。政府の会議は、新しいマークについても使えるようにするかどうか検討を続け来年3月までに最終案をまとめる方針です。
温泉のまち別府では署名運動も
温泉マークは大分県の別府観光の父と呼ばれる実業家の油屋熊八が大正から昭和初期にかけて全国に広めたとされています。油屋は観光バスに、日本ではじめて女性ガイドを起用したアイデアマンとして知られ、温泉マークの付いたはっぴを身にまとい、「山は富士、海は瀬戸内、湯は別府」というキャッチフレーズで温泉地・別府を全国にPRしました。JR別府駅前に建つ油屋の銅像は温泉マークが付いたマントを身にまとい、いまも大勢の観光客を出迎えています。
別府市はことし9月から10月にかけて、温泉がある全国110の自治体を対象にアンケート調査を実施し、いまの温泉マークと新たなデザイン案、どちらがよいか質問しました。その結果、57の自治体から回答があり、いまのマークがよいと答えたのは63%、新しい案を選んだのは28%でした。別府市によりますといまのマークがよいと答えた理由は自由記述で、一般に広く浸透している、簡単には変更できないなどが挙げられ、新しいデザインがよい理由としては、外国人にわかりやすい、国際基準に合わせていくべきだなどの意見があったということです。
別府市では古くから愛着のある温泉マークの変更に反対する署名運動も行われています。署名運動を行っているのは別府市の歴史を紹介する資料館を個人で営んでいる平野芳弘さんで、温泉マークにも造詣(ぞうけい)が深いことで知られています。平野さんは4日、市内の温泉施設に出向き清掃のボランティアをしている温泉の愛好家たちから署名を集めました。年内に1万人の署名を集めることを目標に存続を求める地元の思いを国に届けたいと考えています。平野さんは「温泉マークは長年、市民に愛された別府の温泉文化そのものなので絶対に変えてほしくないです」と話していました。
また温泉マーク変更の是非は市内の小学校でも議論されました。地元のNPO法人が5日、市内の小学校で行った特別授業で温泉マークのデザインの変更案が伝えられると3年生のクラスではいまのデザインを残してほしいという意見がほとんどを占めました。3年生の男の子の1人は「温泉マークが新しくなり、ふるさとのマークでなくなるのは嫌なので変えてほしくないです」と話していました。授業を主催したNPO法人の高崎富士夫さんは「子どもたちが伝統文化を守るべきだと思っていることがわかりうれしく思いました。なんとしてもマークを守ってもらいたいというのが本音です」と話していました。
別府市はことし9月から10月にかけて、温泉がある全国110の自治体を対象にアンケート調査を実施し、いまの温泉マークと新たなデザイン案、どちらがよいか質問しました。その結果、57の自治体から回答があり、いまのマークがよいと答えたのは63%、新しい案を選んだのは28%でした。別府市によりますといまのマークがよいと答えた理由は自由記述で、一般に広く浸透している、簡単には変更できないなどが挙げられ、新しいデザインがよい理由としては、外国人にわかりやすい、国際基準に合わせていくべきだなどの意見があったということです。
別府市では古くから愛着のある温泉マークの変更に反対する署名運動も行われています。署名運動を行っているのは別府市の歴史を紹介する資料館を個人で営んでいる平野芳弘さんで、温泉マークにも造詣(ぞうけい)が深いことで知られています。平野さんは4日、市内の温泉施設に出向き清掃のボランティアをしている温泉の愛好家たちから署名を集めました。年内に1万人の署名を集めることを目標に存続を求める地元の思いを国に届けたいと考えています。平野さんは「温泉マークは長年、市民に愛された別府の温泉文化そのものなので絶対に変えてほしくないです」と話していました。
また温泉マーク変更の是非は市内の小学校でも議論されました。地元のNPO法人が5日、市内の小学校で行った特別授業で温泉マークのデザインの変更案が伝えられると3年生のクラスではいまのデザインを残してほしいという意見がほとんどを占めました。3年生の男の子の1人は「温泉マークが新しくなり、ふるさとのマークでなくなるのは嫌なので変えてほしくないです」と話していました。授業を主催したNPO法人の高崎富士夫さんは「子どもたちが伝統文化を守るべきだと思っていることがわかりうれしく思いました。なんとしてもマークを守ってもらいたいというのが本音です」と話していました。
別府では財政負担に懸念も
別府市の長野恭紘市長はNHKの取材に対し、「生まれたときから温泉マークのそばで育ってきたので、温泉マークを含めて別府の伝統文化そのものだと思っている。市民の1人として簡単に変えていいのかという思いがある」と述べ変更すべきではないという考えを示しました。また、別府市では観光案内の地図だけでなくJR別府駅のホームの看板やパンフレット、それにマンホールなど市内の至る所に温泉マークが使われています。このため長野市長は「市内にはあらゆるところに温泉マークがあり、これらをすべて国際規格にそろえるのは費用的にもかなり難しい」と述べデザインの変更は財政的にも市の大きな負担になりかねないという認識を示しました。
”発祥の地” 磯部温泉では
温泉マーク発祥の地として温泉街をアピールしている群馬県安中市の磯部温泉では、温泉マーク変更の議論について、「町の大切な誇りがなくなる」として、変更すべきではないと反対しています。
磯部温泉は、江戸時代の裁判で出された絵図に磯部温泉がある場所を今の温泉マークに似た記号で表現していたことから、温泉マークの発祥の地として、アピールしています。温泉街には、「温泉記号発祥の地」と書かれた石碑のほか、のぼり旗が掲げられ、道路にも温泉マークが描かれています。また、旅館では、温泉マークをあしらったTシャツや手ぬぐい、それに酒などの商品も販売しています。
地元の女性は、「この場所で生まれ育ったので、今の温泉マークがいいと思います」と話していました。一方で、名古屋から観光で訪れていた女性は、「日本語のわからない外国人にも理解してもらいやすいよう新たなマークを採用してもいいのではないか」と話していました。
磯部温泉旅館組合の櫻井丘子組合長は、「この小さな温泉街の誇れるものはこの温泉マークです。今まで親しんだ温泉マークがなくなるのは大変なことだと思う。新しいマークはオリンピックのための浴場施設のマークに使ってほしい」と話していました。
6日の政府の会議で温泉のマークについては国内にデザインを変えないよう求める意見が多いことなどから存続させる方向で検討することになりました。これについて、磯部温泉旅館組合などは、「今までのマークを使ってもらえる方向と聞き、本当にうれしく、胸をなで下ろしています。今後は存続が決定されるまで見守っていきたい」としています。
磯部温泉は、江戸時代の裁判で出された絵図に磯部温泉がある場所を今の温泉マークに似た記号で表現していたことから、温泉マークの発祥の地として、アピールしています。温泉街には、「温泉記号発祥の地」と書かれた石碑のほか、のぼり旗が掲げられ、道路にも温泉マークが描かれています。また、旅館では、温泉マークをあしらったTシャツや手ぬぐい、それに酒などの商品も販売しています。
地元の女性は、「この場所で生まれ育ったので、今の温泉マークがいいと思います」と話していました。一方で、名古屋から観光で訪れていた女性は、「日本語のわからない外国人にも理解してもらいやすいよう新たなマークを採用してもいいのではないか」と話していました。
磯部温泉旅館組合の櫻井丘子組合長は、「この小さな温泉街の誇れるものはこの温泉マークです。今まで親しんだ温泉マークがなくなるのは大変なことだと思う。新しいマークはオリンピックのための浴場施設のマークに使ってほしい」と話していました。
6日の政府の会議で温泉のマークについては国内にデザインを変えないよう求める意見が多いことなどから存続させる方向で検討することになりました。これについて、磯部温泉旅館組合などは、「今までのマークを使ってもらえる方向と聞き、本当にうれしく、胸をなで下ろしています。今後は存続が決定されるまで見守っていきたい」としています。
ソース:NHK ニュース