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自公 来年度の税制改正大綱を正式決定
2016-12-08 07:19:01

自民・公明両党は、来年度の税制改正大綱を正式に決定し、焦点となっていた所得税の配偶者控除については、控除を受けられる配偶者の給与収入の上限を、今の年間103万円以下から150万円以下に引き上げることなどが盛り込まれました。
自民・公明両党は8日午後、政務調査会長や税制調査会長らが会談し、来年度の税制改正大綱を正式に決定しました。
それによりますと、焦点となっていた所得税の配偶者控除について、女性が働きやすい環境を整えるため、再来年1月から、パートで働く妻など、38万円の控除が受けられる配偶者の給与収入の上限を、今の年間103万円以下から150万円以下に引き上げ、対象を拡大するとしています。また、配偶者の収入が150万円を超えたあとは、201万円にかけて、段階的に控除額を縮小するとしています。一方、控除の対象拡大によって、全体の税収が減らないよう、所得制限を設け、夫などの年間の給与収入が1120万円を超えると控除額を段階的に減らし、1220万円を超えると控除が受けられなくなるとしています。
また、酒税では、麦芽の比率などで税率が異なるビール系飲料について、平成32年10月から、段階的にビールを減税する一方、発泡酒と「第3のビール」を増税し、10年後の平成38年10月に、税額を、350ミリリットル当たり54.25円に一本化するとしています。
さらに、自動車関連税制では、いわゆるエコカー減税を来年春から2年間延長する一方で、販売される新車の9割程度が減税対象となっている今の燃費基準を厳しくして、来年春から1年間は8割程度、再来年春からは7割程度に絞り込むとしています。
一方、不動産関連税制では、いわゆるタワーマンションについて、上の階ほど価格が高い実態を踏まえて、再来年度から、高さ60メートルを超える新築マンションの固定資産税の税額を、1階と比べて、40階は10%、50階は12.6%などと高くなるよう見直すとしています。
政府・与党は8日に決定した税制改正大綱の内容を盛り込んだ税制関連法案を、年明けの通常国会に提出し、速やかな成立を目指すことにしています。
それによりますと、焦点となっていた所得税の配偶者控除について、女性が働きやすい環境を整えるため、再来年1月から、パートで働く妻など、38万円の控除が受けられる配偶者の給与収入の上限を、今の年間103万円以下から150万円以下に引き上げ、対象を拡大するとしています。また、配偶者の収入が150万円を超えたあとは、201万円にかけて、段階的に控除額を縮小するとしています。一方、控除の対象拡大によって、全体の税収が減らないよう、所得制限を設け、夫などの年間の給与収入が1120万円を超えると控除額を段階的に減らし、1220万円を超えると控除が受けられなくなるとしています。
また、酒税では、麦芽の比率などで税率が異なるビール系飲料について、平成32年10月から、段階的にビールを減税する一方、発泡酒と「第3のビール」を増税し、10年後の平成38年10月に、税額を、350ミリリットル当たり54.25円に一本化するとしています。
さらに、自動車関連税制では、いわゆるエコカー減税を来年春から2年間延長する一方で、販売される新車の9割程度が減税対象となっている今の燃費基準を厳しくして、来年春から1年間は8割程度、再来年春からは7割程度に絞り込むとしています。
一方、不動産関連税制では、いわゆるタワーマンションについて、上の階ほど価格が高い実態を踏まえて、再来年度から、高さ60メートルを超える新築マンションの固定資産税の税額を、1階と比べて、40階は10%、50階は12.6%などと高くなるよう見直すとしています。
政府・与党は8日に決定した税制改正大綱の内容を盛り込んだ税制関連法案を、年明けの通常国会に提出し、速やかな成立を目指すことにしています。
自公の税制調査会長 「いいスタート」「大きな1歩」
来年度の税制改正大綱の決定を受けて、自民・公明両党の税制調査会長は、そろって記者会見しました。
自民党の宮沢税制調査会長は「配偶者控除の見直しで、パートなどで働く既婚女性の90%以上が控除の対象になる。これによって、女性が就業調整を意識しなくてもすむようになる。今後数年かけて実現を目指す所得税改革に向けて、いいスタートが切れた。そうした改革を通じて格差の是正などを図っていきたい」と述べました。
また、公明党の斉藤税制調査会長は「配偶者控除の見直しは、働き方改革の実現に向けて大きな1歩になったが、全体を見ればまだ不十分な部分があるので今後もしっかり議論していきたい」と述べました。
自民党の宮沢税制調査会長は「配偶者控除の見直しで、パートなどで働く既婚女性の90%以上が控除の対象になる。これによって、女性が就業調整を意識しなくてもすむようになる。今後数年かけて実現を目指す所得税改革に向けて、いいスタートが切れた。そうした改革を通じて格差の是正などを図っていきたい」と述べました。
また、公明党の斉藤税制調査会長は「配偶者控除の見直しは、働き方改革の実現に向けて大きな1歩になったが、全体を見ればまだ不十分な部分があるので今後もしっかり議論していきたい」と述べました。
官房長官「実現に向け全力で取り組む」
菅官房長官は午後の記者会見で、「日本の成長力の底上げのためのものだ。個人所得税改革、企業の攻めの投資や賃上げの促進、ローカルアベノミクスの推進など、多岐にわたる課題に対応するためのものだと考えており、政府としても、その実現に向けて全力で取り組んでいきたい」と述べました。
また菅官房長官は、所得税の配偶者控除の見直しについて、「パート労働者が、収入を一定以下に収めるために労働時間を減らす就業調整の問題は、働き方改革や、労働力確保の面からも大きな問題になっていた。最低賃金の引き上げに伴い、こうした問題がさらに強まる可能性があり、喫緊の課題に対応するために見直しを行ったと理解している」と述べました。
また菅官房長官は、所得税の配偶者控除の見直しについて、「パート労働者が、収入を一定以下に収めるために労働時間を減らす就業調整の問題は、働き方改革や、労働力確保の面からも大きな問題になっていた。最低賃金の引き上げに伴い、こうした問題がさらに強まる可能性があり、喫緊の課題に対応するために見直しを行ったと理解している」と述べました。
専門家 配偶者控除見直しの効果は限定的
第一生命経済研究所の柵山順子主任エコノミストは、来年度の税制改正全般について、「企業の賃上げを促し、設備投資を支援する制度など、経済の好循環につながるものが盛り込まれた。また、低・中所得層がより多く働けるよう、働き方改革にのっとった制度改革になっている。厳しい財政の中、所得の高い人に増税してアベノミクスを進める形になった」と話しています。
ただ、配偶者控除の見直しについては、効果は限定的だという見方で、「103万円を超えて就労を拡大して初めて減税を得られるだけなので、パートの方にとって、今回の制度改革がどれだけ得だったのかと聞かれれば、それほど得だとはいえないのかなと思う。働き方が多様化する中では、1つの制度ですべて支援するのは難しく、税だけではなく、社会保険や、企業の配偶者手当、保育所の整備を総じて見直すことが重要だ」と述べました。
さらに「パートの人が働く時間を拡大すれば減税は受けられるが、フルタイムで働く人や専業主婦の人には恩恵が届かないうえ、高所得の専業主婦世帯は増税になる。すべての人が納得する制度改革だというのは難しい。特に賃金が伸びにくく、非正規雇用の比率が高まる中で、若い方が安心して結婚して出産するためには金銭面の基盤が重要だが、今回の制度は、低い賃金でフルタイムで、共働きしている世帯にはなんの恩恵もない。こうした世帯にきちんと支援が届くことが重要だ」と述べました。
ただ、配偶者控除の見直しについては、効果は限定的だという見方で、「103万円を超えて就労を拡大して初めて減税を得られるだけなので、パートの方にとって、今回の制度改革がどれだけ得だったのかと聞かれれば、それほど得だとはいえないのかなと思う。働き方が多様化する中では、1つの制度ですべて支援するのは難しく、税だけではなく、社会保険や、企業の配偶者手当、保育所の整備を総じて見直すことが重要だ」と述べました。
さらに「パートの人が働く時間を拡大すれば減税は受けられるが、フルタイムで働く人や専業主婦の人には恩恵が届かないうえ、高所得の専業主婦世帯は増税になる。すべての人が納得する制度改革だというのは難しい。特に賃金が伸びにくく、非正規雇用の比率が高まる中で、若い方が安心して結婚して出産するためには金銭面の基盤が重要だが、今回の制度は、低い賃金でフルタイムで、共働きしている世帯にはなんの恩恵もない。こうした世帯にきちんと支援が届くことが重要だ」と述べました。
ソース:NHK ニュース