ノーベル賞しょう授賞じゅしょう式しき 大隅おおすみさんにメダルと賞状しょうじょう

ことしのノーベル賞しょうの授賞じゅしょう式しきが、日本にっぽん時間じかんの１いち１いち日にち未明みめいに行おこなわれ、医学いがく・生理学せいりがく賞しょうに選えらばれた、東京とうきょう工業こうぎょう大学だいがく栄誉えいよ教授きょうじゅの大隅おおすみ良典よしのりさんにスウェーデン国王こくおうから記念きねんのメダルと賞状しょうじょうが贈おくられました。

授賞じゅしょう式しきはスウェーデンの首都しゅと、ストックホルムのコンサートホールで日本にっぽん時間じかんの１いち１いち日にち０ぜろ時半じはんから始はじまり、大隅おおすみさんはモーツアルトの行進曲こうしんきょくが流ながれる中なか、各かく賞しょうの受賞じゅしょう者しゃとともに入場にゅうじょうしました。

はじめにノーベル財団ざいだんのヘルディン教授きょうじゅがあいさつし、「アメリカやヨーロッパで科学かがくを否定ひていするような政治せいじ家かが支持しじを集あつめ、ポピュリストが成功せいこうを収おさめている今いま、ノーベル賞しょうの重要じゅうよう性せいが増ましている」と述のべ、意義いぎを強調きょうちょうしました。

そして、医学いがく・生理学せいりがく賞しょうの選考せんこう委員いいんのラーション教授きょうじゅが「大隅おおすみさんは細胞さいぼうがどうやって組織そしきを再さい利用りようし、病気びょうきを防ふせぐのかという長年ながねんの疑問ぎもんを解き明ときあかすための突破とっぱ口ぐちとなる研究けんきゅうを行おこなった」と業績ぎょうせきをたたえました。

ファンファーレが鳴り響なりひびく中なか、スウェーデンのグスタフ国王こくおうから記念きねんのメダルと賞状しょうじょうが授与じゅよされました。大隅おおすみさんは、いささか緊張きんちょうした面持おももちでメダルと賞状しょうじょうを受け取うけとると、深々ふかぶかと会場かいじょうにむかって頭あたまを下さげていました。その様子ようすを会場かいじょうで見守みまもっていた夫人ふじんの萬よろず里子さとこさんは、感動かんどうした面持おももちで目めを潤うるませている様子ようすでした。

一方いっぽう、文学ぶんがく賞しょうに選えらばれたアメリカのシンガー・ソングライターのボブ・ディランさんは授賞じゅしょう式しきを欠席けっせきし、メダルの授与じゅよなどは行おこなわれませんでした。
式しきでは、選考せんこう委員いいんのエングダール教授きょうじゅが、ディランさんをブレイクやシェークスピアにたとえながら、「ディランさんは、詩しはどうあるべきかという概念がいねんを変かえた」と賛辞さんじを送おくりました。

続つづいて、ディランさんの友人ゆうじんで、アメリカの歌手かしゅ、パティ・スミスさんが、ディランさんの代表だいひょう作さく「はげしい雨あめが降ふる」を披露ひろうしました。途中とちゅうで、スミスさんの歌うたが止とまり、謝あやまったうえでやり直やりなおすハプニングもありましたが、歌うたい終おわると会場かいじょうからは大おおきな拍手はくしゅが送おくられていました。

ボブ・ディランさんの選考せんこう理由りゆうは

ノーベル文学ぶんがく賞しょうの選考せんこう機関きかんであるスウェーデン・アカデミーのエングダール委員いいんは授賞じゅしょう式しきのスピーチで、シンガー・ソングライターのボブ・ディランさんを選えらんだことについての考かんがえを改あらためて説明せつめいしました。

エングダール委員いいんは冒頭ぼうとう、「文学ぶんがくの価値かちを変かえるのはなんでしょうか」と問といかけ、アンデルセンが童話どうわの評価ひょうかを高たかめたことを例れいに挙あげ、文学ぶんがくの概念がいねんは変遷へんせんをとげてきたと説明せつめいしました。

そして、ディランさんを選えらんだことについて、「シンガー・ソングライターが受賞じゅしょうすること自体じたいはとりたてて騒ぎ立さわぎたてることではない」としたうえで、「ディランさんはカントリーミュージックやブルース、ゴスペルなど、アメリカの人々ひとびとが親したしんできた音楽おんがくを変容へんようさせ、詩しはどうあるべきかというわれわれの考かんがえを大おおきく変かえた」とその才能さいのうをたたえました。

エングダール委員いいんはディランさんの受賞じゅしょうに疑問ぎもんを呈ていする声こえが文学ぶんがく界かいから上あがっていることを念頭ねんとうに、「文学ぶんがく界かいでなお文句もんくを言いう人ひとがいるならば、私わたしは、神かみ々は文章ぶんしょうを書かくことはせずに歌うたい、踊おどってきたことを思い出おもいだすように申し上もうしあげたい」と述のべ、判断はんだんに間違まちがいはなかったと強調きょうちょうしました。

ソース：NHK ニュース