北方ほっぽう四よん島とうでの日ひロ共同きょうどう経済けいざい活動かつどう 制度せいどの協議きょうぎは難航なんこうも

安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、ロシアのプーチン大統領だいとうりょうとの首脳しゅのう会談かいだんで、焦点しょうてんとなっていた北方ほっぽう領土りょうどでの共同きょうどう経済けいざい活動かつどうについて、四よん島とうを対象たいしょうに行おこなうための特別とくべつな制度せいどを設もうける交渉こうしょうを開始かいしすることで合意ごういしました。ただ、北方ほっぽう四よん島とうをめぐって、双方そうほうともに基本きほん的てきな立場たちばを堅持けんじしていることから、交渉こうしょうが難航なんこうすることも予想よそうされます。

安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、ロシアのプーチン大統領だいとうりょうと地元じもとの山口やまぐち県けん長門ながと市しと東京とうきょうで２に日間にちかんにわたって首脳しゅのう会談かいだんを行おこない、プーチン大統領だいとうりょうは１いち６ろく日にち夜よる、大統領だいとうりょう特別とくべつ機きで羽田はた空港くうこうを出発しゅっぱつし、日本にっぽんを離はなれました。
今回こんかいの会談かいだんで両りょう首脳しゅのうは、焦点しょうてんとなっていた北方ほっぽう領土りょうどでの共同きょうどう経済けいざい活動かつどうについて、「平和へいわ条約じょうやく締結ていけつに向むけた重要じゅうような一いち歩ほ」と位置いちづけ、四よん島とうを対象たいしょうに行おこなうための特別とくべつな制度せいどを設もうける交渉こうしょうを開始かいしすることで合意ごういしました。
これに関連かんれんして、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは１いち６ろく日にち夜よる、ＮＨＫえぬえいちけいの番組ばんぐみで、「この会談かいだんをもって、平和へいわ条約じょうやくの問題もんだい、北方ほっぽう四よん島とうの問題もんだいが解決かいけつしたわけではないが、本格ほんかく的てきな議論ぎろんをスタートさせることができた。今後こんご、ロシア法ほうでもなく日本にっぽん法ほうでもない特別とくべつな制度せいどを、これから専門せんもん家かが協議きょうぎを行おこなっていくことになる」と述のべ、ロシアや日本にっぽんの法律ほうりつとは異ことなる、新あらたなルールを検討けんとうしていくことになるという認識にんしきを示しめしました。
ただ、北方ほっぽう四よん島とうをめぐって、日本にっぽん側がわが日本にっぽん固有こゆうの領土りょうどという基本きほん的てきな立場たちばを変かえていないのと同様どうように、ロシア側がわは先さきの大戦たいせんの結果けっかロシアの領土りょうどになったという主張しゅちょうを堅持けんじし、会談かいだん前まえには、共同きょうどう経済けいざい活動かつどうをロシアの法律ほうりつの下したで行おこなうよう求もとめていたことなどから、交渉こうしょうが難航なんこうすることも予想よそうされます。

アメリカでは「日本にっぽんは慎重しんちょうに対応たいおうすべき」の声こえも

日にちロ首脳しゅのう会談かいだんの結果けっかについて、アメリカ政府せいふはこれまでのところ公式こうしきの反応はんのうを出だしていませんが、国務省こくむしょうのカービー報道ほうどう官かんは１いち５ご日にちの山口やまぐち県けんでの首脳しゅのう会談かいだんのあと、「外交がいこう政策せいさくはそれぞれの国くにが決きめることで、会談かいだんとその内容ないようについて判断はんだんを下くだす立場たちばにない。日にちロ両国りょうこくが対話たいわし、関係かんけいを強化きょうかさせることは重要じゅうようだと思おもう」と述のべています。
しかし、オバマ政権せいけん内ないでは、ウクライナの問題もんだいでロシアに経済けいざい制裁せいさいを科かす中なか、Ｇ７じ-せぶんの足並あしなみを乱みださないよう日本にっぽんは経済けいざい協力きょうりょくについて慎重しんちょうに対応たいおうすべきだという声こえもあります。
一方いっぽう、来月らいげつ就任しゅうにんするトランプ次期じき大統領だいとうりょうはロシアとの関係かんけい改善かいぜんに前向まえむきで、外交がいこうを担になう国務こくむ長官ちょうかんにロシアとの関係かんけいが深ふかいことで知しられる大手おおてエネルギー企業きぎょう、エクソンモービルのＣＥＯ、ティラーソン氏しを指名しめいしていて、対ロたいろ政策せいさくに変更へんこうがあるかどうかが今後こんごの焦点しょうてんとなっています。

米べい 専門せんもん家か「ロシアのほうがよりよい成果せいか得えた」

日にちロ首脳しゅのう会談かいだんの結果けっかについて、アメリカのシンクタンク、ＣＳＩＳし-えすあいえす＝戦略せんりゃく国際こくさい問題もんだい研究所けんきゅうじょのロシア専門せんもん家かのジェフリー・マンコフ上級じょうきゅう研究けんきゅう員いんは、「日にちロ両国りょうこくの合意ごういでは北方ほっぽう領土りょうどについて実質じっしつ的てきな進展しんてんはなかった。日本にっぽん側がわが当初とうしょ期待きたいしたような結果けっかにはならなかった」と指摘してきしました。そして、「全体ぜんたい的てきに見みると、ロシアのほうがよりよい成果せいかを得えた」と述のべ、アメリカでトランプ次期じき大統領だいとうりょうが、ロシアとの関係かんけい改善かいぜんに前向まえむきなティラーソン氏しを国務こくむ長官ちょうかんに指名しめいするなど、米べいロ関係かんけいを取り巻とりまく外交がいこう環境かんきょうが変かわる中なか、交渉こうしょう力りょくの面めんで、プーチン大統領だいとうりょうのほうが有利ゆうりだったという見方みかたを示しめしました。
また、日本にっぽんがロシアと経済けいざい分野ぶんやでの協力きょうりょくを進すすめればウクライナ問題もんだいでロシアに経済けいざい制裁せいさいを科かしてきたＧ７じ-せぶんの結束けっそくを乱みだすと、オバマ政権せいけんが懸念けねんしてきたことについては、「トランプ政権せいけんになって、仮かりに、制裁せいさいに力点りきてんが置おかれることがなくなれば、日本にっぽんに対にたいするアメリカの懸念けねんも和やわらぐだろう」と述のべました。
さらに、北方ほっぽう領土りょうどをめぐる今後こんごの日ひロ交渉こうしょうについて、「トランプ政権せいけんの誕生たんじょうで、ロシア側がわに『時ときの利り』があり、それが交渉こうしょう力りょくにつながる。ロシアにとっては、交渉こうしょうを長引ながびかせることも、日本にっぽん側がわにさらなる譲歩じょうほを求もとめることもできる」と述のべ、トランプ政権せいけんがロシアとの関係かんけい改善かいぜんに前向まえむきな姿勢しせいを続つづける間まは、日本にっぽんにとっては難むずかしい交渉こうしょうになるだろうという見方みかたも示しめしました。
一方いっぽう、トランプ政権せいけんの下したでの米べいロ関係かんけいについては、「これまでもアメリカの新あたらしい政権せいけんは、発足ほっそく直後ちょくごは、ロシアとの関係かんけいの『リセット』を掲かかげ、しばらくは良好りょうこうな関係かんけいが続つづくものの、その後そのご、根本こんぽん的てきな利益りえきの対立たいりつが生しょうじ、緊張きんちょうを繰り返くりかえしてきた。トランプ政権せいけんでも同おなじような流ながれになる可能かのう性せいがある」と述のべ、関係かんけいの行方ゆくえは不透明ふとうめいだと強調きょうちょうしました。

ソース：NHK ニュース