ブラック企業きぎょう大賞たいしょう 電通でんつうに

労働ろうどう問題もんだいに取り組とりくむ弁護士べんごしやＮＰＯえぬぴ-お-などが選えらぶ「ブラック企業きぎょう」大賞たいしょうに、ことしは新入しんにゅう社員しゃいんだった女性じょせいが過労かろうのため自殺じさつした大手おおて広告こうこく会社かいしゃの電通でんつうが選えらばれました。

「ブラック企業きぎょう大賞たいしょう」は、労働ろうどう問題もんだいに取り組とりくむ弁護士べんごしやＮＰＯえぬぴ-お-、ジャーナリストなど１いち１いち人にんの委員いいんが違法いほうな長時間ちょうじかん労働ろうどうやパワハラなどで問題もんだいとなった企業きぎょうの中なかから選えらんでいます。

ことしは、従業じゅうぎょう員いんに違法いほうな残業ざんぎょうをさせていたとして罰金ばっきんが科かされたディスカウントストアのドン・キホーテどんきほ-てや原子力げんしりょく発電はつでん所しょの審査しんさの対応たいおうにあたっていた男性だんせい社員しゃいんが過労かろうのため自殺じさつした関西かんさい電力でんりょくなど１いち１いち社しゃが候補こうほとなりました。

そして新入しんにゅう社員しゃいんだった女性じょせいが過労かろうのため自殺じさつし、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの強制きょうせい捜査そうさを受うけた電通でんつうが、２に３さん日にち、大賞たいしょうに選えらばれました。

ブラック企業きぎょう被害ひがい対策たいさく弁護べんご団だんの代表だいひょうを務つとめる佐々木ささき亮あきら弁護士べんごしは、「新入しんにゅう社員しゃいんの過労かろう自殺じさつだけでなく過去かこにも痛いたましい事件じけんが起おきていて労働ろうどう者しゃの人権じんけんを大事だいじにしてほしいという思おもいで選えらんだ。長時間ちょうじかん労働ろうどうやハラスメント防止ぼうしにしっかり取り組とりくんでもらいたい」と話はなしていました。

ブラック企業きぎょう 大手おおてにも批判ひはん

「ブラック企業きぎょう」とは、違法いほうな長時間ちょうじかん労働ろうどうや残業ざんぎょう代だいの未払みはらい、パワハラなど労働ろうどう環境かんきょうが過酷かこくな企業きぎょうを表あらわす言葉ことばで、若者わかものを中心ちゅうしんに広ひろく使つかわれています。
ここ数すう年ねん、一部いちぶの大手おおて企業きぎょうに対にたいしても「ブラック企業きぎょうだ」という批判ひはんが寄よせられるようになり、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、全国ぜんこくに展開てんかいする大手おおて企業きぎょうを専門せんもんに調査ちょうさする過重かじゅう労働ろうどう撲滅ぼくめつ特別とくべつ対策たいさく班はん、通称つうしょう「かとく」を去年きょねん、設置せっちするなど監督かんとくや指導しどうを強つよめています。

電通でんつう 一連いちれんの問題もんだい受うけ改善かいぜんの取り組とりくみ

電通でんつうをめぐっては、去年きょねん、新入しんにゅう社員しゃいんだった高橋たかはしまつりさん（当時とうじ２に４よん）が自殺じさつし、ことし９月くがつ、過労かろうが原因げんいんの労災ろうさいと認みとめられました。
母親ははおやの幸美ゆきみさんは、記者きしゃ会見かいけんで、「労災ろうさい認定にんていされても娘むすめは戻もどってきません。娘むすめが生いきているうちに会社かいしゃはどうして対策たいさくをしてくれなかったのか」と訴うったえました。

まつりさんの過労かろう自殺じさつなどを受うけて厚生こうせい労働ろうどう省しょうは電通でんつうに立ち入たちいり調査ちょうさを行おこない、先月せんげつには労働ろうどう基準きじゅん法ほう違反いはんの疑うたがいで強制きょうせい捜査そうさに乗り出のりだしました。

電通でんつうでは、一連いちれんの問題もんだいを受うけて夜よる１いち０ぜろ時じ以降いこうの深夜しんや勤務きんむを原則げんそく、禁止きんししたほか、組合くみあいと取り決とりきめた残業ざんぎょう時間じかんの上限じょうげんを月つき５ご時間じかん減へらすなど労働ろうどう環境かんきょうを改善かいぜんする取り組とりくみを進すすめています。
また、社員しゃいんの心身しんしんの健康けんこうについて、家族かぞくからも相談そうだんを受け付うけつける電話でんわ相談そうだん窓口まどぐちを設置せっちすることや、育児いくじや介護かいごをしている社員しゃいんを対象たいしょうにした「在宅ざいたく勤務きんむ制度せいど」を始はじめることを２に２に日にち、新あらたに発表はっぴょうしています。

社員しゃいん「体質たいしつは変かわっていない」

電通でんつうの現役げんえきの社員しゃいんがＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに応おうじ、長時間ちょうじかん労働ろうどうの対策たいさくで一定いっていの効果こうかが出でているとする一方いっぽう、家いえに持ち帰もちかえって仕事しごとをする人ひとが少すくなくないなど企業きぎょうの体質たいしつは変かわっていないと証言しょうげんしました。

電通でんつうでは新入しんにゅう社員しゃいんだった高橋たかはしまつりさん（当時とうじ２に４よん）が去年きょねん、過労かろうのため自殺じさつした問題もんだいなどを受うけて夜よる１いち０ぜろ時じ以降いこうの深夜しんや勤務きんむを原則げんそく、行おこなわないなどの労働ろうどう環境かんきょうの改善かいぜんに向むけた取り組とりくみを進すすめています。

これについて今月こんげつ、ＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに応おうじた社員しゃいんの１いち人にんは、「夜よる１いち０ぜろ時じまでという明確めいかくな残業ざんぎょう規制きせいが入はいったため『あすまでにこれをやれ』と言いって徹夜てつやなどを強しいる理不尽りふじんな長時間ちょうじかん労働ろうどうは減へっている」として対策たいさくで一定いっていの効果こうかが出でていると話はなします。

一方いっぽうで「企業きぎょうの体質たいしつは全まったく変かわっていない。人ひとによってはどんどん持ち帰もちかえって仕事しごとをしている現状げんじょうがある。ファミリーレストランや自宅じたく、喫茶店きっさてんなど外そとに仕事しごとを持ち出もちだして作業さぎょうをやっていると聞きいている」と話はなしました。

さらに「体育たいいく会かい系けいという名目めいもくで正当せいとう化かされる理不尽りふじんなパワハラや人権じんけんを無視むししたひぼう中傷ちゅうしょう、暴言ぼうげんをはかれるといった企業きぎょう文化ぶんかは残のこっている。『俺おれはこれを乗り切のりきったんだからお前おまえも乗り切のりきれないと電通でんつうマンになれないんだぞ』といった企業きぎょう風土ふうどは根深ねぶかい」と話はなします。

特とくに新入しんにゅう社員しゃいんに対にたいしては、まつりさんの過労かろう自殺じさつが明あきらかになる前まえはパワハラともとれる厳きびしい指導しどうが行おこなわれていたということで、「仕事しごとがきつい部署ぶしょでは新入しんにゅう社員しゃいんは３さんか月かげつ全まったく休やすみがなく、土日どにちも出勤しゅっきんし続つづけるのが当たり前あたりまえで、指導しどうという名なのもとで個室こしつに詰め込つめこんで個人こじん的てきなことまでひぼう中傷ちゅうしょうする言葉ことばを浴あびせ続つづけるということが起おこっていた」と証言しょうげんしました。

そのうえで、「今回こんかいの件けんは電通でんつうの企業きぎょう風土ふうどやパワハラが引き起ひきおこしたことで、犠牲ぎせい者しゃが出でてしまったということを深ふかく反省はんせいして社員しゃいん一いち人にん一いち人にんが自分じぶんの言動げんどうをしっかりと見直みなおしてほしい」と話はなしていました。

ソース：NHK ニュース