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東証できょうから取り引き トランプ相場の行方は
2017-01-03 21:34:42

東京証券取引所では4日、証券業界の関係者らが1年の活発な取り引きを祈願する恒例の大発会を行い、ことしの取り引きが始まります。
去年は戦後初めて、年の初めから6営業日連続で株価が下落する波乱の幕開けとなりました。しかし、11月に行われたアメリカ大統領選挙以降は、トランプ次期大統領が掲げた減税やインフラ投資といった経済政策への期待から急速に株高が進み、年末の終値は1万9114円37銭と、5年連続で上昇しました。
ただ、国益最優先の「アメリカ第一主義」を掲げて選挙戦を勝利したトランプ次期大統領が、貿易や為替などでどのような政策を打ち出すかは、依然として不透明です。
また、ことし、ヨーロッパ各国では重要な選挙が相次ぎ、極右勢力が勢力を伸ばせば、金融市場が不安定化して株価が下落するおそれも指摘されています。
去年の秋以降、多くの市場関係者の予想を覆し、株式市場に活況をもたらした、“トランプ相場”の勢いが持続するのかどうか、実体経済にも大きな影響を及ぼす株式市場の動向が注目されます。
去年は戦後初めて、年の初めから6営業日連続で株価が下落する波乱の幕開けとなりました。しかし、11月に行われたアメリカ大統領選挙以降は、トランプ次期大統領が掲げた減税やインフラ投資といった経済政策への期待から急速に株高が進み、年末の終値は1万9114円37銭と、5年連続で上昇しました。
ただ、国益最優先の「アメリカ第一主義」を掲げて選挙戦を勝利したトランプ次期大統領が、貿易や為替などでどのような政策を打ち出すかは、依然として不透明です。
また、ことし、ヨーロッパ各国では重要な選挙が相次ぎ、極右勢力が勢力を伸ばせば、金融市場が不安定化して株価が下落するおそれも指摘されています。
去年の秋以降、多くの市場関係者の予想を覆し、株式市場に活況をもたらした、“トランプ相場”の勢いが持続するのかどうか、実体経済にも大きな影響を及ぼす株式市場の動向が注目されます。
株式市場の見通し 3つのポイント
ことしの株式市場の見通しについて、資産運用会社、三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、次の3つをポイントとして挙げています。
1つ目は、今月20日に就任するアメリカのトランプ次期大統領の政策です。
市川さんは「トランプ氏の政策への期待が先行する形で株高が進んだが、実際の政策の方向性は1月から3月にかけて見えてくる。大統領就任と同時に関税引き上げなどの保護主義的な政策が打ち出されれば、株価が下がるおそれがある。一方で、3月にはアメリカの予算案が固まり、減税やインフラ投資が投資家の期待に応える規模であれば、株価を一段と押し上げる可能性もある」と話しています。
2つ目のポイントは、ヨーロッパの政局です。
市川さんは「3月から5月にかけてオランダの総選挙や、フランスの大統領選挙が立て続けに行われるが、単一通貨・ユーロからの離脱を要求する勢力が台頭すれば、金融市場が不安定化して株価が下がるリスクがある」と話しています。
3つめのポイントは、円相場です。
市川さんは「外国為替市場で円安ドル高の流れが進む中、日本の輸出企業がこの追い風に乗って業績を伸ばすことができるかどうか。ただ、国内産業の保護を掲げるトランプ次期大統領が、急速な円安ドル高にどう対応するかは不透明で、いずれにしてもトランプ氏の発言や動きに左右される年になりそうだ」と話しています。
1つ目は、今月20日に就任するアメリカのトランプ次期大統領の政策です。
市川さんは「トランプ氏の政策への期待が先行する形で株高が進んだが、実際の政策の方向性は1月から3月にかけて見えてくる。大統領就任と同時に関税引き上げなどの保護主義的な政策が打ち出されれば、株価が下がるおそれがある。一方で、3月にはアメリカの予算案が固まり、減税やインフラ投資が投資家の期待に応える規模であれば、株価を一段と押し上げる可能性もある」と話しています。
2つ目のポイントは、ヨーロッパの政局です。
市川さんは「3月から5月にかけてオランダの総選挙や、フランスの大統領選挙が立て続けに行われるが、単一通貨・ユーロからの離脱を要求する勢力が台頭すれば、金融市場が不安定化して株価が下がるリスクがある」と話しています。
3つめのポイントは、円相場です。
市川さんは「外国為替市場で円安ドル高の流れが進む中、日本の輸出企業がこの追い風に乗って業績を伸ばすことができるかどうか。ただ、国内産業の保護を掲げるトランプ次期大統領が、急速な円安ドル高にどう対応するかは不透明で、いずれにしてもトランプ氏の発言や動きに左右される年になりそうだ」と話しています。
過去の株価の値動きは
今から9年前の平成20年。年明けの日経平均株価は1万4000円台でした。
株式市場が激震に見舞われたのは、その年の9月。アメリカの証券大手、リーマンブラザーズが経営破綻したのをきっかけに、世界的な金融危機が発生。株価は坂道を転げ落ちるように急落して、バブル崩壊後の最安値を下回り、平均株価は7000円台まで落ち込みました。
一気に冷え込んだ日本経済をなんとか立て直そうと、政府は景気対策、日銀は金融緩和策を相次いで打ち出しましたが、株価は低迷が続きます。
ヨーロッパの信用不安や1ドル=80円台という歴史的な円高というマイナス要因が重なったためで、株価は平成24年にかけて1万円の大台を挟んだ値動きが続きました。
この流れが、大きく変わった要因がアベノミクスです。平成24年12月の総選挙で圧勝した自民党の安倍総裁が政権の発足後に、日銀に大胆な金融緩和を迫る趣旨の発言を繰り返し、株価は急上昇しはじめます。
安倍政権発足後の平成25年4月、新たに就任した黒田総裁のもと、日銀が異次元の金融緩和策を打ち出すと、平均株価は5年ぶりに1万5000円台を回復しました。
日銀の大規模緩和を背景に、外国為替市場で進んだ円安ドル高が、輸出関連の企業業績を押し上げ、おととし4月、平均株価は15年ぶりに2万円の大台を回復しました。
しかし、去年に入って、中国の経済減速や資源国の景気低迷が鮮明になり、株価は値下がりが続きました。
2月中旬には1万5000円台を割り込み、年明けからわずか1か月半で4000円以上もの大幅な下落となりました。
さらに6月には、イギリスの国民投票で大方の予想に反して、EU=ヨーロッパ連合からの離脱派が勝利すると、平均株価は1日で1200円以上値下がりし、1日の下げ幅としては、平成20年のリーマンショックを上回る過去8番目の規模となりました。
その後、株価は持ち直し、11月のアメリカ大統領選挙で、共和党のトランプ候補が勝利すると、市場関係者の当初の予想を覆し、株価は急上昇しました。
これは、トランプ氏が選挙戦で掲げてきた大型減税や大規模なインフラ投資によって、アメリカ経済が活気づくという期待感が背景にあります。
ただ、この“トランプ相場”は、トランプ次期大統領の政策のいわば“明るい側面”だけを取り引きの材料としていると、その危うさを指摘する市場関係者もいます。
株式市場が激震に見舞われたのは、その年の9月。アメリカの証券大手、リーマンブラザーズが経営破綻したのをきっかけに、世界的な金融危機が発生。株価は坂道を転げ落ちるように急落して、バブル崩壊後の最安値を下回り、平均株価は7000円台まで落ち込みました。
一気に冷え込んだ日本経済をなんとか立て直そうと、政府は景気対策、日銀は金融緩和策を相次いで打ち出しましたが、株価は低迷が続きます。
ヨーロッパの信用不安や1ドル=80円台という歴史的な円高というマイナス要因が重なったためで、株価は平成24年にかけて1万円の大台を挟んだ値動きが続きました。
この流れが、大きく変わった要因がアベノミクスです。平成24年12月の総選挙で圧勝した自民党の安倍総裁が政権の発足後に、日銀に大胆な金融緩和を迫る趣旨の発言を繰り返し、株価は急上昇しはじめます。
安倍政権発足後の平成25年4月、新たに就任した黒田総裁のもと、日銀が異次元の金融緩和策を打ち出すと、平均株価は5年ぶりに1万5000円台を回復しました。
日銀の大規模緩和を背景に、外国為替市場で進んだ円安ドル高が、輸出関連の企業業績を押し上げ、おととし4月、平均株価は15年ぶりに2万円の大台を回復しました。
しかし、去年に入って、中国の経済減速や資源国の景気低迷が鮮明になり、株価は値下がりが続きました。
2月中旬には1万5000円台を割り込み、年明けからわずか1か月半で4000円以上もの大幅な下落となりました。
さらに6月には、イギリスの国民投票で大方の予想に反して、EU=ヨーロッパ連合からの離脱派が勝利すると、平均株価は1日で1200円以上値下がりし、1日の下げ幅としては、平成20年のリーマンショックを上回る過去8番目の規模となりました。
その後、株価は持ち直し、11月のアメリカ大統領選挙で、共和党のトランプ候補が勝利すると、市場関係者の当初の予想を覆し、株価は急上昇しました。
これは、トランプ氏が選挙戦で掲げてきた大型減税や大規模なインフラ投資によって、アメリカ経済が活気づくという期待感が背景にあります。
ただ、この“トランプ相場”は、トランプ次期大統領の政策のいわば“明るい側面”だけを取り引きの材料としていると、その危うさを指摘する市場関係者もいます。
ソース:NHK ニュース