「高齢こうれい者しゃの定義ていぎ７なな５ご歳さい以上いじょうに」老年ろうねん学会がっかい提言ていげん

超ちょう高齢こうれい社会しゃかいを迎むかえ、日本にっぽん老年ろうねん学会がっかいは現在げんざい６ろく５ご歳さい以上いじょうとされている「高齢こうれい者しゃ」の定義ていぎを７なな５ご歳さい以上いじょうに引き上ひきあげたうえで、それより若わかい人ひとたちには就労しゅうろうやボランティアなどの社会しゃかい参加さんかを促うながすべきだとする提言ていげんをまとめました。

日本にっぽん老年ろうねん学会がっかいは医療いりょうの進歩しんぽなどで健康けんこう的てきに生活せいかつできる期間きかんが延のびていることから、現在げんざい６ろく５ご歳さい以上いじょうとされている「高齢こうれい者しゃ」の定義ていぎについて、医師いしや大学だいがく教授きょうじゅなどのグループで見直みなおしを進すすめてきました。そして、「高齢こうれい者しゃ」とする年齢ねんれいを体力たいりょく的てきな面めんなどからも７なな５ご歳さい以上いじょうに引き上ひきあげるべきだとする国くになどへの提言ていげんをまとめ、都内とないで発表はっぴょうしました。

提言ていげんでは、そのうえで現在げんざいは「高齢こうれい者しゃ」とされている６ろく５ご歳さいから７なな４よん歳さいまでの人ひとたちについては新あらたに「准じゅん高齢こうれい者しゃ」と位置いちづけ、健康けんこうな間まは仕事しごとを続つづけたり、経験けいけんを生いかしてボランティアに参加さんかするといった活動かつどうを後押あとおしするなど、活力かつりょくのある社会しゃかいをつくっていく必要ひつよう性せいを強調きょうちょうしています。

その一方いっぽうで、今回こんかいの提言ていげんを年金ねんきんの支給しきゅう年齢ねんれいの引き上ひきあげなど、今いまの社会しゃかい保障ほしょうの枠組わくぐみに直接ちょくせつ結むすびつけず、慎重しんちょうに議論ぎろんするよう求もとめています。

日本にっぽん老年ろうねん学会がっかいのワーキンググループの座長ざちょうを務つとめる、大内おおうち尉じょう義ぎ医師いしは「この２に０ぜろ年ねんほどで老化ろうかのスピードが遅おそくなり、今いま、高齢こうれい者しゃと呼よばれる人ひとは生物せいぶつ学がく的てきに５ご歳さいから１いち０ぜろ歳さいほど若返わかがえっていると見みられる。若わかい労働ろうどう者しゃが減へるなか、現在げんざい、高齢こうれい者しゃとされている人ひとたちの意識いしきを変かえて、社会しゃかいを支ささえる側がわに回まわってもらう必要ひつようがあるのではないか」と話はなしていました。

高齢こうれい者しゃ 法律ほうりつ上じょうの定義ていぎはなし

総務そうむ省しょうなどによりますと、「高齢こうれい者しゃ」の年齢ねんれいに法律ほうりつ上じょうの定義ていぎはありません。

昭和しょうわ３さん１いち年ねんに国連こくれんの報告ほうこく書しょが当時とうじの欧米おうべいの平均へいきん寿命じゅみょうなどをもとに、６ろく５ご歳さい以上いじょうを「高齢こうれい」と表現ひょうげんしたことを受うけて、日本にっぽんでも事実じじつ上じょう、６ろく５ご歳さい以上いじょうの人ひとを「高齢こうれい者しゃ」と位置いちづけてきました。当時とうじ（昭和しょうわ３さん１いち年ねん）、日本人にっぽんじんの平均へいきん寿命じゅみょうは、男性だんせいが６ろく３さん．５ご９きゅう歳さい、女性じょせいが６ろく７なな．５ご４よん歳さいでしたが、その後そのご、食生活しょくせいかつの改善かいぜんや医療いりょうの進歩しんぽなどで延のび続つづけ、おととしは（平成へいせい２に７なな年ねん）、男性だんせいが８はち０ぜろ．７なな９きゅう歳さい、女性じょせいが８はち７なな．０ぜろ５ご歳さいとなりました。

また、介護かいごの必要ひつようがなく、健康けんこう的てきに生活せいかつできる「健康けんこう寿命じゅみょう」も、平成へいせい２に５ご年ねんの時点じてんの推計すいけいで、男性だんせいが平均へいきんで７なな１いち．１いち９きゅう歳さい、女性じょせいが７なな４よん．２に１いち歳さいで、いずれも７なな０ぜろ歳さいを上回うわまわりました。

こうした中なか、去年きょねん、厚生こうせい労働ろうどう省しょうが行おこなった意識いしき調査ちょうさで、「自身じしんについて何なん歳さいから高齢こうれい者しゃになると思おもうか」を尋たずねたところ、全体ぜんたいで最もっとも多おおかったのが７なな０ぜろ歳さい以上いじょうという回答かいとうで４よん１いち％、次ついで現在げんざいと同おなじ６ろく５ご歳さい以上いじょうが２に０ぜろ％、７なな５ご歳さい以上いじょうが１いち６ろく％などとなりました。また、平成へいせい２に５ご年ねんに内閣ないかく府ふが６ろく０ぜろ歳さい以上いじょうの男女だんじょを対象たいしょうに行いった意識いしき調査ちょうさで、「何なん歳さいごろまで仕事しごとをしたいか」を尋たずねたところ、「働はたらけるうちはいつまでも働はたらきたい」という回答かいとうが３さん０ぜろ％と最もっとも多おおく、次ついで「７なな０ぜろ歳さいくらいまで」が２に４よん％で、「６ろく５ご歳さいくらいまで」は２に１いち％でした。意識いしき調査ちょうさでは、６ろく５ご歳さいを超こえて働はたらきたいという人ひとは合あわせて６ろく６ろく％となり、３さん人にんに２に人にんの割合わりあいでした。

高齢こうれい者しゃの健康けんこうと生活せいかつ支援しえんに詳くわしい、国立こくりつ長寿ちょうじゅ医療いりょう研究けんきゅうセンターの鳥羽とば研二けんじ理事りじ長ちょうは「海外かいがいでは定年ていねんがない国くにもあり、高齢こうれい者しゃの社会しゃかい貢献こうけんの促進そくしんが進すすめられているが、日本にっぽんはそうした施策しさくが遅おくれている。企業きぎょうも高齢こうれいとされている人ひとたちが、知識ちしきや技術ぎじゅつを社会しゃかいで生いかせるよう、積極せっきょく的てきに取り組とりくんでいくことが期待きたいされる」と話はなしていました。

ソース：NHK ニュース