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マレーシア 容疑者の身柄引き渡しを要請
2017-02-22 09:45:58

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の兄、キム・ジョンナム(金正男)氏がマレーシアで殺害された事件で、マレーシアの警察は、北朝鮮国籍の容疑者4人について、すでに北朝鮮に帰国したと確信しているとして、北朝鮮政府に身柄の引き渡しを要請したことを明らかにしました。また、北朝鮮大使館の書記官からも事情を聴きたいとして、大使館に協力を求めました。
この事件で、マレーシアの警察はインドネシア人とベトナム人の2人の女と北朝鮮国籍の男1人を拘束するとともに、事件直後にマレーシアを出国した北朝鮮国籍の容疑者4人の行方を調べています。
マレーシア警察のハリド長官は22日、記者会見し、4人がすでに北朝鮮に帰国したと確信しているとして、北朝鮮政府に身柄の引き渡しを要請したことを明らかにしました。
さらに、捜査への協力のため、マレーシアにある北朝鮮大使館の2等書記官と、北朝鮮の航空会社の職員から事情を聴きたいとして、22日、大使館に書面で要請したほか、別の北朝鮮国籍の男からも事情を聴きたいとしています。
一方、実行犯として拘束された女2人については、「手に液体をつけて被害者の顔に塗り付け、その後、手を洗うよう指示されており、毒性があると認識していた」として、いたずらビデオの撮影に参加しただけだったという女たちの主張を否定しました。
また、キム・ジョンナム氏の息子のキム・ハンソル氏がマレーシア入りしたと一部メディアで伝えられたことについては「うわさにすぎない」と否定し、ジョンナム氏の家族からのDNAサンプルの提供は受けていないと説明しました。
警察は、容疑者の引き渡しなどで北朝鮮側の協力を求め事件の全容解明を目指していますが、北朝鮮大使館のカン・チョル大使は20日の記者会見で、公正な捜査が行われていないと主張し、マレーシア側を非難していて、協力を得るのは簡単ではないと見られます。
マレーシア警察のハリド長官は22日、記者会見し、4人がすでに北朝鮮に帰国したと確信しているとして、北朝鮮政府に身柄の引き渡しを要請したことを明らかにしました。
さらに、捜査への協力のため、マレーシアにある北朝鮮大使館の2等書記官と、北朝鮮の航空会社の職員から事情を聴きたいとして、22日、大使館に書面で要請したほか、別の北朝鮮国籍の男からも事情を聴きたいとしています。
一方、実行犯として拘束された女2人については、「手に液体をつけて被害者の顔に塗り付け、その後、手を洗うよう指示されており、毒性があると認識していた」として、いたずらビデオの撮影に参加しただけだったという女たちの主張を否定しました。
また、キム・ジョンナム氏の息子のキム・ハンソル氏がマレーシア入りしたと一部メディアで伝えられたことについては「うわさにすぎない」と否定し、ジョンナム氏の家族からのDNAサンプルの提供は受けていないと説明しました。
警察は、容疑者の引き渡しなどで北朝鮮側の協力を求め事件の全容解明を目指していますが、北朝鮮大使館のカン・チョル大使は20日の記者会見で、公正な捜査が行われていないと主張し、マレーシア側を非難していて、協力を得るのは簡単ではないと見られます。
専門家 実行犯にも危険な方法
マレーシアの警察は、22日の記者会見で、実行犯として拘束された女は「手に液体をつけて被害者の顔に塗りつけた」と明らかにしました。
これについて、元陸上自衛隊化学学校長で、化学兵器に詳しい山里洋介さんは、使われた毒物はVXのような液体だった可能性があると指摘したうえで、「塗りつける側にとっても非常に危険なやり方だ。わずかな量が皮膚についただけでも死亡するおそれがある。ゲームというか、いたずらという感覚だったら素手でやることは考えられるが、本人たちが知っていたら素手でやることはありえない。そんなに怖い物だとは知らなかったのではないか」と指摘しました。
そのうえで、女に指示をした人物がいるとしたら、「素手でやらせたなら女が死んでもかまわないと思ってやったとしか考えられない。むしろ死んでしまえば証拠隠滅になると考えたのではないか」と述べました。
これについて、元陸上自衛隊化学学校長で、化学兵器に詳しい山里洋介さんは、使われた毒物はVXのような液体だった可能性があると指摘したうえで、「塗りつける側にとっても非常に危険なやり方だ。わずかな量が皮膚についただけでも死亡するおそれがある。ゲームというか、いたずらという感覚だったら素手でやることは考えられるが、本人たちが知っていたら素手でやることはありえない。そんなに怖い物だとは知らなかったのではないか」と指摘しました。
そのうえで、女に指示をした人物がいるとしたら、「素手でやらせたなら女が死んでもかまわないと思ってやったとしか考えられない。むしろ死んでしまえば証拠隠滅になると考えたのではないか」と述べました。
北朝鮮大使館職員が警察署に
キム・ジョンナム氏が殺害された事件をめぐり、マレーシアの警察が北朝鮮大使館の2等書記官から事情を聴きたいと協力を求めるなか、日本時間の22日夕方、クアラルンプールにある北朝鮮大使館の職員2人が空港近くの警察署を訪れました。職員2人の中に2等書記官が含まれていたかは明らかではありませんが、2人はおよそ30分後に警察署から出てきた際、報道陣からの質問には一切答えず、警察署を後にしました。
事情を聴きたい3人とは
マレーシア警察はすでに出国した容疑者4人とは別に、捜査への協力のため北朝鮮国籍の3人から事情を聴きたいとしています。
警察の発表によりますと、3人のうち1人は、マレーシアにある北朝鮮大使館の44歳の2等書記官で、マレーシアには去年9月20日に入国したということです。2人目は北朝鮮国営の航空会社、コリョ(高麗)航空に勤務する37歳の職員で、ことし1月29日にマレーシアに入国しています。3人目は30歳の北朝鮮国籍の男性ですが、職業や入国した日は分かっていないとしています。3人はいずれも、今もマレーシア国内に滞在しているということです。
警察は3人が事件にどのように関わった疑いがあるのか、捜査中のため明らかにできないとしています。マレーシア警察のハリド長官は、22日の会見で、2等書記官とコリョ航空の職員から事情を聴くことができるよう北朝鮮大使館に協力を求めたとしていますが、協力が得られない場合は強制的に事情を聴く可能性もあるとしています。
警察の発表によりますと、3人のうち1人は、マレーシアにある北朝鮮大使館の44歳の2等書記官で、マレーシアには去年9月20日に入国したということです。2人目は北朝鮮国営の航空会社、コリョ(高麗)航空に勤務する37歳の職員で、ことし1月29日にマレーシアに入国しています。3人目は30歳の北朝鮮国籍の男性ですが、職業や入国した日は分かっていないとしています。3人はいずれも、今もマレーシア国内に滞在しているということです。
警察は3人が事件にどのように関わった疑いがあるのか、捜査中のため明らかにできないとしています。マレーシア警察のハリド長官は、22日の会見で、2等書記官とコリョ航空の職員から事情を聴くことができるよう北朝鮮大使館に協力を求めたとしていますが、協力が得られない場合は強制的に事情を聴く可能性もあるとしています。
北朝鮮の在外公館
北朝鮮は現在、162か国と外交関係があり、多くの国に大使館を置いて、外交活動を行っています。大使館には、ほかの国と同様、北朝鮮外務省の外交官に加え、経済関係の部署などほかの行政機関からも担当者が派遣されています。
また、外交筋によりますと、体制に批判的と見なした国民を取り締まる、秘密警察にあたる国家保衛省や、対外工作機関の軍の偵察総局などの要員が大使館に派遣されることもあるということです。そうした工作員が、大使館の書記官の肩書で活動している場合もあると指摘されていますが、マレーシアの警察が今回、事情を聴きたいとしている北朝鮮大使館の2等書記官が工作機関の関係者なのかどうかは明らかになっていません。
また、外交筋によりますと、体制に批判的と見なした国民を取り締まる、秘密警察にあたる国家保衛省や、対外工作機関の軍の偵察総局などの要員が大使館に派遣されることもあるということです。そうした工作員が、大使館の書記官の肩書で活動している場合もあると指摘されていますが、マレーシアの警察が今回、事情を聴きたいとしている北朝鮮大使館の2等書記官が工作機関の関係者なのかどうかは明らかになっていません。
コリョ航空とは
北朝鮮国営のコリョ航空は、ピョンヤンに本社を置く北朝鮮唯一の航空会社で、現在、中国の北京と瀋陽、ロシア極東のウラジオストクの3都市と、ピョンヤンの間で定期便を運航しています。定期便のほかにも夏場などにチャーター便が運航されることもあるということです。
かつて定期便が運航していた都市などにも事務所があり、コリョ航空のパンフレットには、定期便がある中国とロシアに加えて、マレーシア、バンコク、ベルリン、クウェートにも事務所があると記載されています。
外交関係者の間からは、北朝鮮が核・ミサイル開発につながる資材を外国から国内に運ぶ際にコリョ航空が利用されているという疑いが、かねてより指摘されていて、アメリカ政府は、去年9月の北朝鮮による5回目の核実験を受けて、ミサイルの部品などを輸送したとして、去年12月にコリョ航空を独自制裁の対象に加えました。
かつて定期便が運航していた都市などにも事務所があり、コリョ航空のパンフレットには、定期便がある中国とロシアに加えて、マレーシア、バンコク、ベルリン、クウェートにも事務所があると記載されています。
外交関係者の間からは、北朝鮮が核・ミサイル開発につながる資材を外国から国内に運ぶ際にコリョ航空が利用されているという疑いが、かねてより指摘されていて、アメリカ政府は、去年9月の北朝鮮による5回目の核実験を受けて、ミサイルの部品などを輸送したとして、去年12月にコリョ航空を独自制裁の対象に加えました。
北朝鮮大使館前では
キム・ジョンナム氏が殺害された事件に関して、マレーシアの警察が、北朝鮮大使館の2等書記官から事情を聴きたいと協力を求めたことを明らかにしたことを受けて、クアラルンプールにある北朝鮮大使館の前には、地元をはじめ、日本や韓国など各国のメディア関係者ら80人余りが集まっています。
大使館は、門を閉ざしたままですが、敷地から車が出てくるたびに大勢の報道陣が詰め寄り、取材に応じるよう呼びかけていました。これまでのところ北朝鮮側は、マレーシアの警察が北朝鮮大使館の2等書記官から事情を聴きたいと協力を求めたことを明らかにしたことについて反応しておらず、大使館の前では、報道陣がカメラを構えるなどして様子をうかがっています。
大使館は、門を閉ざしたままですが、敷地から車が出てくるたびに大勢の報道陣が詰め寄り、取材に応じるよう呼びかけていました。これまでのところ北朝鮮側は、マレーシアの警察が北朝鮮大使館の2等書記官から事情を聴きたいと協力を求めたことを明らかにしたことについて反応しておらず、大使館の前では、報道陣がカメラを構えるなどして様子をうかがっています。
ソース:NHK ニュース