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中国の国防費 7%前後増え初の1兆人民元突破へ
2017-03-04 03:30:01

中国の向こう1年間の重要政策を話し合う全人代=全国人民代表大会が5日から始まるのを前に、傅瑩報道官が4日、北京で記者会見しました。
この中で、ことしの予算案での国防費について質問が出たのに対し、傅報道官は「増加率は7%前後だ」と述べました。
具体的な金額は明らかにしていませんが、去年の予算では、9500億人民元余りが計上されていたことから、ことしは初めて1兆人民元の大台を突破し、日本円で17兆円近くになる見通しです。
国防費の伸び率は、景気の減速もあってか、2年連続で10%を下回りますが、それでも増加額は日本円でおよそ1兆円になります。増額の理由について、傅報道官は「国家の主権や安全を守る必要があるからだ」と説明しました。中国は初めての国産の空母を建造するなど、先進的な装備の導入を急速に進めていて、ことしも国防費の大幅な増額で軍備増強を続ける姿勢を明確にした形です。
ただ、傅報道官は、NATO=北大西洋条約機構の加盟各国がGDP=国内総生産に占める国防費の割合を2%に引き上げると合意していることを引き合いに、「中国はここ数年、1.3%前後の水準を保っている」と強調しました。
そして、アメリカのトランプ大統領が国防費を大幅に増やす方針を示していることに関連して、「アメリカの軍事費はすでに相当大きい。中国が追いつき追い越すことを心配しているかもしれないが、アメリカとの能力の差はとても大きい」と述べました。
さらに、南シナ海問題について、傅報道官は「航行の安全をうんぬんするのはミスリードだ。情勢は緩和に向かっており、将来どう発展するかはアメリカの意図しだいだ」とけん制しました。
この中で、ことしの予算案での国防費について質問が出たのに対し、傅報道官は「増加率は7%前後だ」と述べました。
具体的な金額は明らかにしていませんが、去年の予算では、9500億人民元余りが計上されていたことから、ことしは初めて1兆人民元の大台を突破し、日本円で17兆円近くになる見通しです。
国防費の伸び率は、景気の減速もあってか、2年連続で10%を下回りますが、それでも増加額は日本円でおよそ1兆円になります。増額の理由について、傅報道官は「国家の主権や安全を守る必要があるからだ」と説明しました。中国は初めての国産の空母を建造するなど、先進的な装備の導入を急速に進めていて、ことしも国防費の大幅な増額で軍備増強を続ける姿勢を明確にした形です。
ただ、傅報道官は、NATO=北大西洋条約機構の加盟各国がGDP=国内総生産に占める国防費の割合を2%に引き上げると合意していることを引き合いに、「中国はここ数年、1.3%前後の水準を保っている」と強調しました。
そして、アメリカのトランプ大統領が国防費を大幅に増やす方針を示していることに関連して、「アメリカの軍事費はすでに相当大きい。中国が追いつき追い越すことを心配しているかもしれないが、アメリカとの能力の差はとても大きい」と述べました。
さらに、南シナ海問題について、傅報道官は「航行の安全をうんぬんするのはミスリードだ。情勢は緩和に向かっており、将来どう発展するかはアメリカの意図しだいだ」とけん制しました。
中国軍関係者は国防費増を歓迎
中国人民解放軍の関係者は国防費の大幅な増額を歓迎しています。国政への助言機関、政治協商会議の委員を務める軍の少将は「アメリカや日本なども国防費を増やしている。中国も国家の防衛のために適切な備えをすべきだ」と述べました。
地方で司令官を務めた経験を持つ退役軍人は「アメリカの国防費は国民経済に占める割合が中国よりも高いのにさらに増加しようとしていて、よいことだとは思えない」と述べ、アメリカが今後、国防費を大幅に増額する方針を示していることに警戒感を示しました。
地方で司令官を務めた経験を持つ退役軍人は「アメリカの国防費は国民経済に占める割合が中国よりも高いのにさらに増加しようとしていて、よいことだとは思えない」と述べ、アメリカが今後、国防費を大幅に増額する方針を示していることに警戒感を示しました。
中国国防費 大幅増額の背景
中国は近年、国防費の大幅な増額を続けて、海軍や空軍の増強を急速に進めています。
海洋権益やシーレーン=海上交通路の確保を目的に遠洋での展開能力の向上を図っていて、ウクライナから購入して改修した空母が去年12月に初めて太平洋に出て訓練を行ったほか、国産の空母の建造にも取りかかっています。
また、フィリピンやベトナムなどと領有権を争う南シナ海の南沙諸島、英語名・スプラトリー諸島では2014年以降、7つの浅瀬を埋め立てて人工島を造成し、戦闘機などが離着陸できる3000メートル級の滑走路を建設するなど、軍事拠点化を進めています。東アフリカの戦略的要衝のジブチでも軍事拠点の構築に着手しています。
このほか、おととし12月には、核兵器やミサイルを運用する部隊を改編して「ロケット軍」を創設し、陸、海、空軍と同格に引き上げました。現在、射程が8000キロ以上の弾道ミサイルを搭載できる原子力潜水艦の運用にも力を入れていると伝えられています。
さらに、中国は宇宙開発を軍主導で加速していて、戦争の際に敵の宇宙利用を妨害するためのレーザー兵器なども開発しているとみられます。ただ、国防費の詳細な内訳は公開されておらず、研究開発費や外国からの兵器調達費などは含まれていないとみられ、実際の額はさらに多いと指摘されています。
海洋権益やシーレーン=海上交通路の確保を目的に遠洋での展開能力の向上を図っていて、ウクライナから購入して改修した空母が去年12月に初めて太平洋に出て訓練を行ったほか、国産の空母の建造にも取りかかっています。
また、フィリピンやベトナムなどと領有権を争う南シナ海の南沙諸島、英語名・スプラトリー諸島では2014年以降、7つの浅瀬を埋め立てて人工島を造成し、戦闘機などが離着陸できる3000メートル級の滑走路を建設するなど、軍事拠点化を進めています。東アフリカの戦略的要衝のジブチでも軍事拠点の構築に着手しています。
このほか、おととし12月には、核兵器やミサイルを運用する部隊を改編して「ロケット軍」を創設し、陸、海、空軍と同格に引き上げました。現在、射程が8000キロ以上の弾道ミサイルを搭載できる原子力潜水艦の運用にも力を入れていると伝えられています。
さらに、中国は宇宙開発を軍主導で加速していて、戦争の際に敵の宇宙利用を妨害するためのレーザー兵器なども開発しているとみられます。ただ、国防費の詳細な内訳は公開されておらず、研究開発費や外国からの兵器調達費などは含まれていないとみられ、実際の額はさらに多いと指摘されています。
国防費 各国との比較
中国の国防費はアメリカに次いで世界第2位の規模です。
中国の去年の国防費の予算は9543億5400万人民元、去年3月のレートで日本円に換算すると、およそ16兆7000億円で、日本の防衛費5兆541億円の3倍でした。
これをベースに7%前後増えると、初めて1兆元の大台を突破することになります。
日本の防衛省によりますと、2016年度の世界の主な国の国防費を同じく去年3月のレートで換算すると、アメリカが5763億ドル(およそ65兆5000億円)、イギリスが350億ポンド(およそ5兆6300億円)、フランスが399億ユーロ(およそ4兆9700億円)、ロシアが3兆1493億ルーブル(およそ4兆9100億円)でした。
中国の去年の国防費の予算は9543億5400万人民元、去年3月のレートで日本円に換算すると、およそ16兆7000億円で、日本の防衛費5兆541億円の3倍でした。
これをベースに7%前後増えると、初めて1兆元の大台を突破することになります。
日本の防衛省によりますと、2016年度の世界の主な国の国防費を同じく去年3月のレートで換算すると、アメリカが5763億ドル(およそ65兆5000億円)、イギリスが350億ポンド(およそ5兆6300億円)、フランスが399億ユーロ(およそ4兆9700億円)、ロシアが3兆1493億ルーブル(およそ4兆9100億円)でした。
ソース:NHK ニュース