復興ふっこう事業じぎょう 契約けいやく額がくが途中とちゅうで増額ぞうがく相次あいつぐ ５ご分ぶんの１いちが２に倍ばい以上いじょうに

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいのがれき処理しょりや原発げんぱつ事故じこの除じょ染そめなど国くにや県けんが発注はっちゅうした大だい規模きぼな復興ふっこう事業じぎょうでゼネコンとの契約けいやく額がくが途中とちゅうで増額ぞうがくされるケースが相次あいつぎ、全体ぜんたいの５ご分ぶんの１いちの事業じぎょうは契約けいやく額がくが当初とうしょの２に倍ばい以上いじょうに引き上ひきあげられていることがＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいでわかりました。こうした契約けいやく変更へんこうについて環境省かんきょうしょうや岩手いわて県けんはホームページで公表こうひょうしておらず、専門せんもん家かは「税金ぜいきんのむだづかいや不正ふせいにつながりかねず情報じょうほう公開こうかいの徹底てっていが必要ひつようだ」と指摘してきしています。

ＮＨＫえぬえいちけいは震災しんさい後ごに宮城みやぎ県けんと岩手いわて県けんが発注はっちゅうした「がれき処理しょり」や環境省かんきょうしょうが発注はっちゅうした原発げんぱつ事故じこの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを取り除とりのぞく契約けいやく額がく１いち億おく円えん以上いじょうの「除じょ染そめ」、それに除じょ染そめで出でた廃棄はいき物ぶつを処分しょぶんする中間ちゅうかん貯蔵ちょぞう施設しせつの関連かんれん工事こうじなど合あわせて７なな３さん件けんの大だい規模きぼな復興ふっこう事業じぎょうについてゼネコンとの契約けいやく状況じょうきょうを調しらべました。

業者ぎょうしゃの選定せんていは「価格かかく面めん」や「技術ぎじゅつ力りょく」を総合そうごう的てきに判断はんだんする方法ほうほうなどで行おこなわれましたが、「これまで経験けいけんがない震災しんさい後ごの事業じぎょうで緊急きんきゅう性せいが高たかく正確せいかくな業務ぎょうむ量りょうを見極みきわめるのが難むずかしかった」などとして全体ぜんたいの８はち７なな％にあたる６ろく４よん件けんの事業じぎょうでゼネコンとの契約けいやく額がくが途中とちゅうで増額ぞうがくされ、全体ぜんたいの５ご分ぶんの１いちは契約けいやく額がくが当初とうしょの２に倍ばい以上いじょうに引き上ひきあげられていることがわかりました。

環境省かんきょうしょうなどは公共こうきょう工事こうじの契約けいやく額がくを３さん０ぜろ％を超こえて増ふやす場合ばあい、増額ぞうがく分ぶんについては新あらたに入札にゅうさつを行おこなうなどして契約けいやくし直なおすことを原則げんそくとしていますが、ＮＨＫえぬえいちけいが調しらべた復興ふっこう事業じぎょうでは全体ぜんたいの６ろく０ぜろ％余あまりで契約けいやく額がくが３さん０ぜろ％以上いじょう増額ぞうがくされていたにもかかわらず新あらたに契約けいやくが行おこなわれたケースはありませんでした。

こうした契約けいやく変更へんこうについて、宮城みやぎ県けんは事前じぜんに議会ぎかいの議決ぎけつを経へたうえでその内容ないようをホームページで公表こうひょうしていますが、環境省かんきょうしょうや岩手いわて県けんは情報じょうほう公開こうかいのルールに従したがったとして契約けいやく変更へんこうをホームページで公表こうひょうせず、岩手いわて県けんは議会ぎかいにも変更へんこうされた事業じぎょうの契約けいやく額がくを報告ほうこくしていなかったということです。さらに震災しんさいから６ろく年ねんとなることしに入はいってからも除じょ染そめや中間ちゅうかん貯蔵ちょぞう施設しせつなど４よん件けんの事業じぎょうで契約けいやく額がくの大幅おおはばな増額ぞうがくが続つづいています。

大幅おおはば増額ぞうがくの復興ふっこう事業じぎょう

環境省かんきょうしょうがおととし１０月じゅうがつに一般いっぱん競争きょうそう入札にゅうさつで発注はっちゅうした除じょ染そめで出でた廃棄はいき物ぶつを処分しょぶんする「中間ちゅうかん貯蔵ちょぞう施設しせつ」の関連かんれん工事こうじは当初とうしょ、５ご億おく３さん０ぜろ０ぜろ０ぜろ万まん円えん余あまりで大手おおてゼネコンのグループに発注はっちゅうされましたが、去年きょねん３月さんがつから先月せんげつにかけて４よん回かいにわたって契約けいやくが変更へんこうされ、契約けいやく額がくは当初とうしょの５ご倍ばい以上いじょうとなる２に７なな億おく円えん余あまりに膨ふくれあがっています。

また岩手いわて県けんが平成へいせい２に３さん年ねん１２月じゅうにがつに発注はっちゅうした宮古みやこ地区ちくのがれき処理しょり事業じぎょうの契約けいやく額がくは平成へいせい２に４よん年ねん３月さんがつから翌年よくねん２月にがつにかけて３さん回かいにわたって契約けいやくが変更へんこうされ、当初とうしょの３さん６ろく億おく円えんから２に．２に倍ばいとなる８はち１いち億おく円えんに、宮城みやぎ県けんが平成へいせい２に４よん年ねん５月ごがつに発注はっちゅうした気仙沼けせんぬま地区ちくのがれき処理しょり事業じぎょうの契約けいやく額がくは当初とうしょの４よん８はち４よん億おく円えんから１いち．５ご倍ばいの７なな２に９きゅう億おく円えんにそれぞれ引き上ひきあげられています。

また環境省かんきょうしょうがおととし４月しがつに発注はっちゅうした双葉ふたば町まちの除じょ染そめ事業じぎょうの契約けいやく額がくは去年きょねん８月はちがつまでの半年はんとし間かんに３さん回かいにわたって契約けいやくが変更へんこうされ、当初とうしょの２に２に億おく円えんから３さん．８はち倍ばいの８はち４よん億おく円えん余あまりに、おととし７月しちがつに発注はっちゅうした南みなみ相馬そうま市しの除じょ染そめ事業じぎょうの契約けいやく額がくは当初とうしょの９きゅう６ろく億おく円えんから２に．３さん倍ばいの２に２に２に億おく円えん余あまりにそれぞれ引き上ひきあげられています。

環境省かんきょうしょうと岩手いわて県けんはネット公表こうひょうせず

国くにや自治体じちたいなどが発注はっちゅうした公共こうきょう事業じぎょうの当初とうしょの契約けいやく額がくは透明とうめい性せいを確保かくほするためホームページなどで公表こうひょうされていますが、その後そのごの契約けいやく変更へんこうの内容ないようを公表こうひょうするかどうかは自治体じちたいによって対応たいおうが分わかれています。

宮城みやぎ県けんはがれき処理しょりについて「多額たがくの支出ししゅつを伴ともなう事業じぎょうでありすべてをオープンにする必要ひつようがある」としてゼネコンとの当初とうしょの契約けいやくを変更へんこうする際さいには議会ぎかいの議決ぎけつを経へたうえでその内容ないようをホームページで公表こうひょうしています。

一方いっぽう、岩手いわて県けんは今回こんかい、ＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに対にたいし契約けいやく変更へんこうの内容ないようを初はじめて明あきらかにしましたが、それまで変更へんこうされた事業じぎょうの契約けいやく額がくを議会ぎかいに報告ほうこくせずホームページや県けん報ほうなどでも公表こうひょうしていませんでした。

岩手いわて県けんは建設けんせつ関連かんれんの事業じぎょうについては契約けいやく変更へんこうの理由りゆうや金額きんがくを公表こうひょうするよう県けんのルールで定さだめていますが、「がれき処理しょり事業じぎょうは価値かちのない廃棄はいき物ぶつを処理しょりする『役務えきむ』であり建設けんせつ関連かんれんの事業じぎょうではない」などとして公表こうひょうの対象たいしょうにしていなかったということです。

岩手いわて県けんの担当たんとう者しゃは「県けんのルールに照てらしてがれき処理しょりの契約けいやく変更へんこうは公表こうひょうする必要ひつようがないということだった。公金こうきんは１いち円えんであっても大切たいせつなお金おかねなので適切てきせつに使つかっている」と話はなしています。

また環境省かんきょうしょうは除じょ染そめや中間ちゅうかん貯蔵ちょぞう施設しせつの整備せいびなどの契約けいやく変更へんこうについて福島ふくしま市しの事務所じむしょの閲覧えつらん室しつにあるファイルに資料しりょうを挟はさむ形かたちで公表こうひょうしています。しかしホームページなどでは見みることができないため、契約けいやく変更へんこうの情報じょうほうを知しるには福島ふくしま市しの事務所じむしょまで足あしを運はこぶ必要ひつようがあります。

環境省かんきょうしょうの担当たんとう者しゃは「書面しょめんの閲覧えつらんによる公表こうひょうは会計かいけい上じょうのルールで認みとめられており方法ほうほうに問題もんだいがあるという認識にんしきはない」としたうえで、ホームページなどで情報じょうほう公開こうかいを進すすめるかについて「指摘してきがあったので課題かだいとして受け止うけとめる」と話はなしています。

専門せんもん家か「契約けいやく変更へんこうの情報じょうほう公開こうかいが必要ひつよう」

公共こうきょう事業じぎょうの入札にゅうさつや契約けいやくの問題もんだいに詳くわしい上智じょうち大学だいがく法科ほうか大学院だいがくいんの楠くすのき茂樹しげき教授きょうじゅは復興ふっこう事業じぎょうで契約けいやく額がくの増額ぞうがくが相次あいついでいることについて「誰だれも経験けいけんしたことのない震災しんさい後ごの事業じぎょうなのでどうしても事前じぜんの見込みこみと違ちがうという状況じょうきょうは発生はっせいしうるが、契約けいやく額がくの増額ぞうがくがここまで激はげしく行おこなわれるのには違和感いわかんを感かんじるし契約けいやく額がくが２に倍ばい３さん倍ばいになるのは通常つうじょうならありえない話はなしだ。最初さいしょの入札にゅうさつでは予定よてい価格かかくを１いち円えんでも上回うわまわれば無効むこうになるのに、お金おかねを使つかえば使つかうほど契約けいやく変更へんこうで予算よさんがつくということになれば歯止はどめがかからなくなり公金こうきんの有効ゆうこう利用りようの観点かんてんからも検証けんしょうし直なおす必要ひつようがある」と指摘してきしています。

また契約けいやく変更へんこうの情報じょうほう公開こうかいについては「最初さいしょの契約けいやくの透明とうめい性せいは確保かくほされているが、その後そのご、契約けいやくがどのように変化へんかしたのかについては情報じょうほう公開こうかいが不十分ふじゅうぶんだ。契約けいやく額がくが当初とうしょの２に倍ばい３さん倍ばいになっているケースがあるのにその情報じょうほうが積極せっきょく的てきに公表こうひょうされなければ税金ぜいきんが有効ゆうこう利用りようされたかどうか議論ぎろんすることもできず市民しみんの不信ふしんを招まねくことになる。不透明ふとうめいな部分ぶぶんは不正ふせいや癒着ゆちゃく、甘あまえが生しょうじやすく情報じょうほう公開こうかいを徹底てっていする必要ひつようがある」と話はなしています。

そして、震災しんさいから６ろく年ねんとなった今いまも復興ふっこう事業じぎょうで契約けいやく額がくの増額ぞうがくが続つづいていることについて「これだけ長ながい期間きかん、事業じぎょうを行おこなっているのだから、改善かいぜんが進すすむはずなのに今いまも繰り返くりかえされているのは不信ふしん感かんを招まねく。復興ふっこう事業じぎょうには現在げんざい進行しんこう形がたで税金ぜいきんが投入とうにゅうされており有権者ゆうけんしゃはもっと厳きびしくこの問題もんだいを見みていく必要ひつようがある」と話はなしています。

ソース：NHK ニュース