Show Furigana
中国 きょうから全人代 経済成長率の目標引き下げ焦点
2017-03-04 20:19:09

中国の向こう1年の重要政策を話し合う全人代=全国人民代表大会が5日から始まります。経済の減速に加えて、アメリカのトランプ大統領が中国との貿易不均衡を是正する考えを強調しているため、輸出に影響が出ることも予想されていて、経済成長率の目標を引き下げるかどうかが焦点です。
全人代は5日から今月15日まで、北京の人民大会堂で開かれます。
初日は、李克強首相が政府活動報告を行い、ことしの経済成長率の目標を示す見通しです。
中国経済は去年、政府が構造改革を進めるなかで、企業の設備投資が大きく伸び悩むなどしたため、成長率がおととしより0.2ポイント低い、6.7%のプラスにとどまり、目標としていた6.5%から7%の範囲にはおさまったものの、減速が一段と鮮明になりました。
中国政府は、ことしも構造改革を進めながら、財政出動を強化するなどして、景気の安定を図りたいとしていますが、重要な貿易相手であるアメリカのトランプ大統領が、中国との貿易不均衡を是正する考えを強調しているため、輸出に影響が出ることも予想されています。
このため、今回の全人代では、成長率の目標を引き下げるかどうかが焦点で、引き下げれば3年連続となり、中国経済の先行きへの懸念が広がる可能性も指摘されています。
中国はことし後半に、指導部の大幅な交代を伴うと見られる5年に1度の共産党大会を控えていますが、貧富の格差や汚職、それに深刻な大気汚染をはじめとする環境問題など、いくつもの大きな課題を依然として抱えています。このため、指導部としては党大会に向けて、国民の支持をつなぎとめるため、全人代で経済と社会の安定を最優先し、雇用対策や汚職撲滅にさらに積極的に取り組む姿勢を強調すると見られます。
初日は、李克強首相が政府活動報告を行い、ことしの経済成長率の目標を示す見通しです。
中国経済は去年、政府が構造改革を進めるなかで、企業の設備投資が大きく伸び悩むなどしたため、成長率がおととしより0.2ポイント低い、6.7%のプラスにとどまり、目標としていた6.5%から7%の範囲にはおさまったものの、減速が一段と鮮明になりました。
中国政府は、ことしも構造改革を進めながら、財政出動を強化するなどして、景気の安定を図りたいとしていますが、重要な貿易相手であるアメリカのトランプ大統領が、中国との貿易不均衡を是正する考えを強調しているため、輸出に影響が出ることも予想されています。
このため、今回の全人代では、成長率の目標を引き下げるかどうかが焦点で、引き下げれば3年連続となり、中国経済の先行きへの懸念が広がる可能性も指摘されています。
中国はことし後半に、指導部の大幅な交代を伴うと見られる5年に1度の共産党大会を控えていますが、貧富の格差や汚職、それに深刻な大気汚染をはじめとする環境問題など、いくつもの大きな課題を依然として抱えています。このため、指導部としては党大会に向けて、国民の支持をつなぎとめるため、全人代で経済と社会の安定を最優先し、雇用対策や汚職撲滅にさらに積極的に取り組む姿勢を強調すると見られます。
経済運営に行き詰まりも
中国は輸出と国有企業による投資に頼ってきたこれまでの経済運営が、人件費などのコストの上昇や、過剰な投資による膨大な在庫や設備が重荷となって行き詰まっています。
このため習近平指導部は、成長の量ではなく、質と効率性を重視する経済を目指し、鉄鋼や石炭などの過剰な生産能力の削減といった構造改革を進めています。
その一方で、ゆとりある社会の実現に向けて、2020年までにGDP=国内総生産と国民の平均収入を2010年の2倍にするために、経済成長率の目標を年平均6.5%以上にするとしています。
こうした政策のもと、去年は経済成長率が6.7%となり、26年ぶりの低い水準となって、景気の減速が続いています。
これは構造改革で民間の投資が伸び悩んだ一方、インフラ投資の拡大や住宅の販売促進策などの景気下支えをした結果によるものですが、その副作用として大都市の住宅に投資マネーが集中して高騰し、不動産バブルの懸念が出ています。
さらに、最近では中国経済への先行き不透明感やアメリカ経済への期待から、海外に資産を求めようと、通貨・人民元を売る動きが広がり、通貨安の圧力も強まっています。
このため習近平指導部は、成長の量ではなく、質と効率性を重視する経済を目指し、鉄鋼や石炭などの過剰な生産能力の削減といった構造改革を進めています。
その一方で、ゆとりある社会の実現に向けて、2020年までにGDP=国内総生産と国民の平均収入を2010年の2倍にするために、経済成長率の目標を年平均6.5%以上にするとしています。
こうした政策のもと、去年は経済成長率が6.7%となり、26年ぶりの低い水準となって、景気の減速が続いています。
これは構造改革で民間の投資が伸び悩んだ一方、インフラ投資の拡大や住宅の販売促進策などの景気下支えをした結果によるものですが、その副作用として大都市の住宅に投資マネーが集中して高騰し、不動産バブルの懸念が出ています。
さらに、最近では中国経済への先行き不透明感やアメリカ経済への期待から、海外に資産を求めようと、通貨・人民元を売る動きが広がり、通貨安の圧力も強まっています。
米との外交関係を重視
中国の習近平指導部は、アメリカとの大国どうしの関係の構築を外交面でもっとも重視していて、トランプ政権との良好な関係づくりを模索しています。
世界最大の経済大国であるアメリカとの関係構築は、経済成長の基盤であるうえ、ことし後半に予定されている5年に1度の共産党大会に向けて、習近平国家主席が政治基盤をより強固なものにするためにも欠かせないからです。
ところが、トランプ大統領が就任前、正式な外交関係がない台湾の蔡英文総統と電話会談を行ったり、「1つの中国」政策の見直しを示唆したりしたことで、両国の高官どうしの交流は一時、停滞しました。
しかし、先月9日、習主席とトランプ大統領による初の電話会談が実現し、トランプ大統領が「1つの中国」政策を尊重する考えを示したことで、交流が活発化しました。
先月27日には、中国の外交を統括する楊潔チ※国務委員が中国の高官としては初めてトランプ大統領と短い時間会談し、ハイレベルの交流を増やしていくことを確認しました。
ただ、トランプ大統領は中国の貿易や為替政策、南シナ海の軍事拠点化の動きなどを強く批判しており、中国政府としては、できるだけ早い時期に首脳会談を実現させ、米中関係を安定させたい考えです。
※チは竹冠に雁垂、その中に虎。
世界最大の経済大国であるアメリカとの関係構築は、経済成長の基盤であるうえ、ことし後半に予定されている5年に1度の共産党大会に向けて、習近平国家主席が政治基盤をより強固なものにするためにも欠かせないからです。
ところが、トランプ大統領が就任前、正式な外交関係がない台湾の蔡英文総統と電話会談を行ったり、「1つの中国」政策の見直しを示唆したりしたことで、両国の高官どうしの交流は一時、停滞しました。
しかし、先月9日、習主席とトランプ大統領による初の電話会談が実現し、トランプ大統領が「1つの中国」政策を尊重する考えを示したことで、交流が活発化しました。
先月27日には、中国の外交を統括する楊潔チ※国務委員が中国の高官としては初めてトランプ大統領と短い時間会談し、ハイレベルの交流を増やしていくことを確認しました。
ただ、トランプ大統領は中国の貿易や為替政策、南シナ海の軍事拠点化の動きなどを強く批判しており、中国政府としては、できるだけ早い時期に首脳会談を実現させ、米中関係を安定させたい考えです。
※チは竹冠に雁垂、その中に虎。
北朝鮮に厳しい態度
中国は核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対して、厳しい態度を示しています。
中国政府は先月、国連安全保障理事会の制裁決議に基づく措置として、北朝鮮からの石炭の輸入をことしいっぱい停止すると発表し、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に厳しい態度を示し、これに対して北朝鮮が強く反発しています。
一方で、中国は北朝鮮との間で、高官どうしの往来を続けており、去年10月に劉振民外務次官をピョンヤンに派遣して水害の人道支援などを協議し、今月1日には、王毅外相が北京に招いた北朝鮮のリ・ギルソン外務次官と会談し、両国の友好関係を強調しました。
中国は北朝鮮の体制が揺らぐような状況になれば、国境を接する自国にも影響が及ぶおそれがあると考えているほか、北朝鮮への対応をアメリカとの外交交渉の材料のひとつにしているとも指摘されています。
このため、中国は核・ミサイル開発を続ける北朝鮮とぎくしゃくした関係を続けながら、最大の後ろ盾として支える姿勢を崩していません。
中国政府は先月、国連安全保障理事会の制裁決議に基づく措置として、北朝鮮からの石炭の輸入をことしいっぱい停止すると発表し、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に厳しい態度を示し、これに対して北朝鮮が強く反発しています。
一方で、中国は北朝鮮との間で、高官どうしの往来を続けており、去年10月に劉振民外務次官をピョンヤンに派遣して水害の人道支援などを協議し、今月1日には、王毅外相が北京に招いた北朝鮮のリ・ギルソン外務次官と会談し、両国の友好関係を強調しました。
中国は北朝鮮の体制が揺らぐような状況になれば、国境を接する自国にも影響が及ぶおそれがあると考えているほか、北朝鮮への対応をアメリカとの外交交渉の材料のひとつにしているとも指摘されています。
このため、中国は核・ミサイル開発を続ける北朝鮮とぎくしゃくした関係を続けながら、最大の後ろ盾として支える姿勢を崩していません。
人民大会堂の周辺は厳戒態勢
ソース:NHK ニュース