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いちおくえん以上いじょうじょそめ事業じぎょう ななぜろちょういちしゃ応札おうさつ

2017-03-09 09:46:23

福島ふくしまだいいち原発げんぱつ事故じこじょそめ事業じぎょうで、くに発注はっちゅうした契約けいやくがくいちおくえん以上いじょう入札にゅうさつのうち、価格かかくめん競争きょうそうおこなわれないままひとつのゼネコンや共同きょうどう企業きぎょうたいだけが参加さんかして落札らくさつする「いちしゃ応札おうさつ」が全体ぜんたいななぜろ以上いじょうのぼっていることがNHKえぬえいちけい取材しゅざいでわかりました。環境省かんきょうしょうはおととし、この問題もんだい解消かいしょうするため改善かいぜん計画けいかくさだめましたが、それ以降いこうのすべての入札にゅうさつで「いちしゃ」のみの参加さんかつづいていて、専門せんもんは「ゼネコン各社かくしゃ競争きょうそうせずにすみける構図こうずになっている。じょそめには巨額きょがく費用ひようつぎ込つぎこまれており、コストをやすくするために競争きょうそう入札にゅうさつ機能きのうさせる取り組とりくみが必要ひつようだ」と指摘してきしています。
NHKえぬえいちけい原発げんぱつ事故じこのあと、平成へいせいよん年度ねんどから今年度こんねんどにかけて環境省かんきょうしょう発注はっちゅうした、契約けいやくがくいちおくえん以上いじょうじょそめ事業じぎょうわせてよんきゅうけんについて入札にゅうさつ状況じょうきょうくわしく調しらべました。

業者ぎょうしゃ選定せんてい価格かかくめんなどを競い合きそいあ競争きょうそう入札にゅうさつおこなわれましたが、全体ぜんたいななさん%にあたるさんろくけんが、ひとつのゼネコンや共同きょうどう企業きぎょうたいだけが入札にゅうさつ参加さんかして落札らくさつする「いちしゃ応札おうさつ」だったことがわかりました。

入札にゅうさつは、原発げんぱつ周辺しゅうへんにあるいちいち自治体じちたいごとに別々べつべつおこなわれましたが、このうちはち自治体じちたいでは、複数ふくすうかいにわたっておこなわれた事業じぎょうおなじゼネコンやその共同きょうどう企業きぎょうたいが、ほぼ独占どくせんてき受注じゅちゅうしていました。
また、なな自治体じちたいでは先行せんこうしておこなわれたモデル事業じぎょう請け負うけおったゼネコンが、本格ほんかくてきじょそめ事業じぎょうもそのまま受注じゅちゅうしていました。
予定よてい価格かかくに対にたいする落札らくさつりつは、全体ぜんたいはちわり以上いじょうきゅう%をえていて、このうちいちけん落札らくさつりつきゅうきゅう%をえていました。

この問題もんだい解消かいしょうするため、環境省かんきょうしょうはおととし4月しがつ、「予算よさん適正てきせい使つかうため競争きょうそうせい確保かくほ取り組とりくむ」などとした改善かいぜん計画けいかく」をさだめましたが、それ以降いこうおこなわれたいちけん入札にゅうさつすべてで「いちしゃ」のみの参加さんかつづいていました。

NHKえぬえいちけい取材しゅざいに対にたいし、じょそめ事業じぎょう受注じゅちゅうしたゼネコン各社かくしゃは「入札にゅうさつには適切てきせつ対応たいおうしている」などとコメントしています。

自治体じちたいごとにすみけの構図こうず

環境省かんきょうしょう発注はっちゅうしたじょそめ事業じぎょうは、ゼネコンどうしの競争きょうそうがほとんどおこなわれず自治体じちたいべつにすみける構図こうずになっています。

内訳うちわけますと、楢葉ならはまちではかい入札にゅうさつおこなわれた事業じぎょうをいずれも前田まえだ建設けんせつ工業こうぎょうなどのJVが受注じゅちゅうしています。

みなみ相馬そうまではかい入札にゅうさつおこなわれた事業じぎょうを、いずれも大成たいせい建設けんせつなどのJVが受注じゅちゅうしています。

大熊おおくままちではよんかい入札にゅうさつおこなわれた事業じぎょうを、いずれも清水しみず建設けんせつやそのJVが受注じゅちゅうしています。

浪江なみえまちではよんかい入札にゅうさつおこなわれた事業じぎょうを、いずれも安藤あんどうかんなどのJVが受注じゅちゅうしています。

川俣かわまたまちではさんかい入札にゅうさつおこなわれた事業じぎょうを、いずれも大成たいせい建設けんせつなどのJVが受注じゅちゅうしています。

葛尾くずおむらではさんかい入札にゅうさつおこなわれた事業じぎょうを、いずれも奥村おくむらぐみやそのJVが受注じゅちゅうしています。

双葉ふたばまちではさんかい入札にゅうさつおこなわれた事業じぎょうを、いずれも前田まえだ建設けんせつ工業こうぎょうやそのJVが受注じゅちゅうしています。

また飯舘いいたてむらではななかい入札にゅうさつおこなわれた事業じぎょうのうちろくかいを、大成たいせい建設けんせつなどのJVが受注じゅちゅうしています。

専門せんもん「すみけの構図こうず あまりにもおかしい」

公共こうきょう事業じぎょう入札にゅうさつ制度せいどくわしい、法政ほうせい大学だいがく大学院だいがくいん武藤むとう博己ひろみ教授きょうじゅは「ゼネコン各社かくしゃ自治体じちたいべつに、これだけうまくすみけている構図こうず偶然ぐうぜんにしてはあまりにもおかしい。じょそめ国民こくみん負担ふたんすすめられている巨額きょがく事業じぎょうであり、入札にゅうさつ業者ぎょうしゃ競争きょうそうさせてコストをやすくさせる必要ひつようがあるが、原発げんぱつ事故じこのあとなんねんおな状況じょうきょうつづいており、環境省かんきょうしょう改善かいぜんへの姿勢しせいられない」と指摘してきしています。

そのうえでじょそめ住宅じゅうたく屋根やねみず洗い流あらいながしたり、山林さんりんをはいだりする作業さぎょうで、それほどむずかしい技術ぎじゅつ必要ひつようない。大手おおてゼネコンだけではなく、地元じもと中小ちゅうしょう業者ぎょうしゃ受注じゅちゅうすることも可能かのうなはずで、複数ふくすう業者ぎょうしゃ入札にゅうさつ参加さんかできるようにして、競争きょうそうせい確保かくほする取り組とりくみが必要ひつようだ」とはなしています。

モデル事業じぎょう地域ちいきごとに随意ずいい契約けいやく

じょそめ効果こうかてき方法ほうほうたしかめるモデル事業じぎょうは、本格ほんかくてきじょそめまえ内閣ないかく日本にっぽん原子力げんしりょく研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう委託いたくし、平成へいせいさん年度ねんどおこなわれました。
対象たいしょうとなったのは、放射線ほうしゃせんりょうたか警戒けいかい区域くいき計画けいかくてき避難ひなん区域くいきだった福島ふくしま県内けんないいち自治体じちたいです。

日本にっぽん原子力げんしりょく研究けんきゅう開発かいはつ機構きこうは、ゼネコンから提案ていあんされたじょそめ方法ほうほうをもとに業者ぎょうしゃ選定せんていし、▽みなみ相馬そうま川俣かわまたまち浪江なみえまち飯舘いいたてむら事業じぎょうを、大成たいせい建設けんせつなどのグループに、▽田村たむら双葉ふたばまち富岡とみおかまち葛尾くずおむら事業じぎょう鹿島かしま建設けんせつなどのグループに、▽広野こうのまち大熊おおくままち楢葉ならはまち川内せんだいむら事業じぎょうを、大林おおばやしぐみなどのグループに、それぞれ随意ずいい契約けいやく発注はっちゅうしていました。

地元じもと業者ぎょうしゃなかなかれない仕組しくみ」

じょそめ事業じぎょう受注じゅちゅうした大手おおてゼネコンの下請したう業者ぎょうしゃは「じょそめ事業じぎょう発注はっちゅうがくすうじゅうおくえん以上いじょうのものがおおいので、大手おおてゼネコンしか受注じゅちゅうできず、地元じもと業者ぎょうしゃはなかなかれない仕組しくみになっている。受注じゅちゅうさいには過去かこ実績じっせき重視じゅうしされるため、先行せんこうしておこなわれたモデルじょそめなどを請け負うけおった業者ぎょうしゃが、つぎ入札にゅうさつでも有利ゆうりになる。このため、べつ業者ぎょうしゃあらたに参入さんにゅうするには障壁しょうへきがあり、おな自治体じちたい事業じぎょういちしゃ独占どくせんする構図こうずつづいたのだとおもう」とはなしています。

またたか落札らくさつりつについてはじょそめ事業じぎょう予定よてい価格かかく積算せきさん基準きじゅんなどがある程度あるていど公表こうひょうされているので、積算せきさんソフトを使つかえば、予定よてい価格かかくちか価格かかく算出さんしゅつできる。ライバルがいれば、そこから値引ねびきをするが、いちしゃしか入札にゅうさつ参加さんかしないので、いちぜろぜろちかたか落札らくさつりつ受注じゅちゅうできる」とはなしています。

環境省かんきょうしょう対策たいさく改善かいぜんされず

じょそめ事業じぎょうで「いちしゃ応札おうさつ」やたか落札らくさつりつつづいている状況じょうきょうについて、外部がいぶ大学だいがく教授きょうじゅ弁護士べんごしなどでつくる、環境省かんきょうしょう入札にゅうさつ監視かんし委員いいんかいさんねんまえ、「競争きょうそう確保かくほできる取り組とりくみを検討けんとうすべき」などと意見いけんしました。

このため環境省かんきょうしょうはおととし4月しがつ予算よさん適正てきせい使つかうため「いちしゃ応札おうさつ」の解消かいしょうけて取り組とりくむなどとした「改善かいぜん計画けいかく」をさだめ、入札にゅうさつ参加さんかしなかった業者ぎょうしゃにアンケート調査ちょうさおこなって原因げんいん把握はあくつとめたり、入札にゅうさつさい過去かこ受注じゅちゅう実績じっせきがある特定とくてい業者ぎょうしゃだけが有利ゆうりにならないような評価ひょうか基準きじゅんさだめるなどの対策たいさくったということです。

しかし、それ以降いこうおこなわれた入札にゅうさつでもいちけんすべてで「いちしゃ」のみの参加さんかつづいていて、状況じょうきょう改善かいぜんされていません。

これについて環境省かんきょうしょう担当たんとうしゃは「じょそめ事業じぎょう規模きぼおおきくすうせんにん単位たんい作業さぎょういん確保かくほする必要ひつようがあるため、入札にゅうさつ参加さんかできる業者ぎょうしゃはおのずとかぎられる事情じじょうがあった。またはじめに落札らくさつした業者ぎょうしゃ地元じもととの信頼しんらい関係かんけいきずいているので、おな自治体じちたい事業じぎょうつづけて受注じゅちゅうしやすい状況じょうきょうもあったのではないか」と説明せつめいしています。
そのうえで「今後こんごは、事業じぎょう規模きぼ小分こわけにするなどして、多数たすう企業きぎょう入札にゅうさつ参加さんかできるよう改善かいぜんしていきたい」としています。
ソース:NHK ニュース