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全国学力テスト結果公表 初めての英語に課題
2019-07-31 08:03:05

ことしの「全国学力テスト」の結果が公表されました。初めて実施された英語では、「話す力」や「書く力」に課題があることが分かり、専門家は「結果から見れば、これまでの英語教育で十分な成果があがったとは言えず、国は結果を分析して検証する必要がある」と指摘しています。
ことしの「全国学力テスト」には小学6年生と中学3年生、合わせて200万人余りが参加し、7月31日結果が公表されました。
各教科別の平均正答率をみると、小学校は国語が64%、算数が66.7%、中学校は国語が73.2%、数学が60.3%、今回初めて行われた英語は「読む、聞く、書く」の問題が56.5%、「話す力」の問題が30.8%(参考値)でした。










各教科別の平均正答率をみると、小学校は国語が64%、算数が66.7%、中学校は国語が73.2%、数学が60.3%、今回初めて行われた英語は「読む、聞く、書く」の問題が56.5%、「話す力」の問題が30.8%(参考値)でした。
小学校
都道府県別に最も正答率が高かったのは、小学校の▼国語が秋田県で74%、次いで、石川県と福井県が72%、▼算数が石川県で72%、次いで、秋田県と東京都で70%でした。

中学校
中学校は▼国語が秋田県で78%、次いで石川県と福井県で77%、▼数学が福井県で66%、次いで石川県と富山県、それに秋田県で65%、▼英語は福井県と神奈川県、それに東京都がいずれも59%でした。
現在、英語は、小学校高学年で必修となっていますが、来年度からは、通知表で評価もされる教科に格上げされます。
現在、英語は、小学校高学年で必修となっていますが、来年度からは、通知表で評価もされる教科に格上げされます。

専門家「これまでの英語教育 分析を」
今回の英語の結果について英語教育に詳しい立教大学の鳥飼玖美子名誉教授は「今回テストを受けた子どもたちは、小学生の時に英語が導入された最初の世代で、この期間の英語教育の成果が問われたと言えるが、結果から見れば十分な成果があがったとは言えない。国はこの結果を分析して、あらためて本当の英語を身につけるにはどうしたらいいのか、これまでの英語教育が正しかったのか、今一度立ち止まって考え直すべきだ」と指摘しています。

また、再来年から始まる大学入学共通テストに英語の民間試験が導入されたり、来年度から小学校高学年で英語が教科とされたりすることについては「子どもたちも先生も英語がプレッシャーになると、みんなが不幸になってしまう。本当のコミュニケーションとは何なのか冷静に考えて英語教育を再考した方がいいのではないか」と話していました。
夏期講習で英語の特訓
大きく変わる英語教育。学校現場では夏休みも対応に追われています。
東京 狛江市の狛江第三中学校で、先週、夏期講習が開かれました。
東京 狛江市の狛江第三中学校で、先週、夏期講習が開かれました。

生徒たちは、それぞれパソコンに向かいインターネットを通じてフィリピン人の英語講師から1対1で指導を受けて、英会話に取り組みました。

この中学校では、こうしたオンラインの英語教育に3年前から取り組んでいるということです。
小島弘靖教諭は「日本人の教員だけでは、英語のコミュニケーションを教えることは難しい。オンラインでの学習は英語を学ぶいいきっかけになっています」と話していました。
小島弘靖教諭は「日本人の教員だけでは、英語のコミュニケーションを教えることは難しい。オンラインでの学習は英語を学ぶいいきっかけになっています」と話していました。

参加した男子生徒は「ふだんは話す機会が少ない外国の人から教えてもらえて勉強になります」と話していました。文部科学省は、今の学習指導要領で、英語教育を充実させるため、こうした情報通信機器を活用した取り組みを進めるよう求めていますが、公立学校ではなかなか普及していないのが実情です。

教員も
一方、子どもを教える教員の英語力も課題となっています。7月26日、東京 新宿区で大手英会話教室が開いた英語研修会です。

小学校の教員60人余りが参加して、授業で使いやすい英語のフレーズを練習したり、英文を音読したりして、意味を理解するポイントを学んでいました。
小学校では、来年度から高学年で英語が教科となりますが、国の調査では英語の免許を持つ教員は6%にとどまるなど、指導力の向上は大きな課題です。
教師歴15年という男性教員は「教師になった頃は英語を教えると思っていませんでしたが頑張ります」と話していました。
小学校では、来年度から高学年で英語が教科となりますが、国の調査では英語の免許を持つ教員は6%にとどまるなど、指導力の向上は大きな課題です。
教師歴15年という男性教員は「教師になった頃は英語を教えると思っていませんでしたが頑張ります」と話していました。

講師を担当した菅井幸子さんは「苦手意識を持つ教員は多いですが、子どもとともに学んでいくことが大事だと思います」と話していました。

英語教育 「これまで」と「これから」
日本の英語教育は戦後長く、中学校以上で行われてきましたが、受験で出題される文法や読解が中心で、実際に使える英語力が身につかないとされてきました。
このため、国はこの10年ほどで英語教育のあり方を大きく見直しました。
まずは、小学校で英語を学ぶ「外国語活動」を2011年から小学5年生と6年生で必修化。来年度(2020年度)からは、それを小学3年生に前倒します。
さらに、小学校の高学年は教科に格上げし聞く、話す力だけでなく、教科書を使って、読んだり書いたりする力も養い、通知表で評価もされます。
また、大学入試でも再来年1月から始まる「大学入学共通テスト」に英語の民間検定試験を導入し、「読む力」「聞く力」「話す力」「書く力」のいわゆる4技能を測定することにしています。
こうしたさまざまな改革に対してはグローバル社会で生きる子どもたちにとって必要だとする意見がある一方、早くからの英語教育の実効性や、増加する教員の負担を懸念する意見もあります。
このため、国はこの10年ほどで英語教育のあり方を大きく見直しました。
まずは、小学校で英語を学ぶ「外国語活動」を2011年から小学5年生と6年生で必修化。来年度(2020年度)からは、それを小学3年生に前倒します。
さらに、小学校の高学年は教科に格上げし聞く、話す力だけでなく、教科書を使って、読んだり書いたりする力も養い、通知表で評価もされます。
また、大学入試でも再来年1月から始まる「大学入学共通テスト」に英語の民間検定試験を導入し、「読む力」「聞く力」「話す力」「書く力」のいわゆる4技能を測定することにしています。
こうしたさまざまな改革に対してはグローバル社会で生きる子どもたちにとって必要だとする意見がある一方、早くからの英語教育の実効性や、増加する教員の負担を懸念する意見もあります。
ソース:NHK ニュース