盗ぬすみの疑うたがいで女性じょせいを誤認ごにん逮捕たいほ 弁護士べんごしが会見かいけんで捜査そうさを批判ひはん

先月せんげつ、松山まつやま市しの20代だいの女性じょせいがタクシーから現金げんきんなどを盗ぬすんだ疑うたがいをかけられ誤認ごにん逮捕たいほされました。これについて１いち日にち、弁護士べんごしが会見かいけんを開ひらき「就職しゅうしょくも決きまってるなら大だいごとにしたくないよね？」などと言いわれて自白じはくを迫せまられたと警察けいさつの捜査そうさを批判ひはんしたうえで、補償ほしょうを求もとめていることを明あきらかにしました。

先月せんげつ８はち日にち、松山まつやま市しで、タクシーの中なかから現金げんきんおよそ５ご万まん4000円えんやセカンドバッグなどを盗ぬすんだとして、20代だいの女性じょせいが松山東まつやまひがし警察けいさつ署しょに逮捕たいほされ、その後そのごの捜査そうさで誤認ごにん逮捕たいほだと分わかりました。

これについて１いち日にち、弁護士べんごしが記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、女性じょせいが任意にんいで事情じじょうを聴きかれた段階だんかいから書き留かきとめていたという内容ないようをＡえい４よんの用紙ようし２にページ分ぶんにまとめた手記しゅきを公開こうかいしました。

手記しゅきには、一貫いっかんして容疑ようぎを否認ひにんしていたにもかかわらず「犯人はんにんなら目めの前まえにいる」とか「就職しゅうしょくも決きまってるなら大だいごとにしたくないよね？」といった、自白じはくを迫せまるような取り調とりしらべの内容ないようなどが詳くわしく書かかれています。

弁護士べんごしは警察けいさつの取り調とりしらべについて、ときどき大声おおごえをあげ威圧いあつ的てきな態度たいどだったと指摘してきしたほか、午前ごぜん10時じごろから午後ごご５ご時じごろまで長時間ちょうじかんにおよぶこともあったと述のべました。

そのうえで「女性じょせいの人格じんかくを否定ひていし自白じはくをとるためだけの捜査そうさに怒いかりを感かんじる」と批判ひはんしました。

女性じょせいは、現在げんざい、日常にちじょうの生活せいかつに戻もどっているものの、精神せいしん的てきなダメージを受うけているということで、補償ほしょうを求もとめているということです。

警察けいさつは、今回こんかいの誤認ごにん逮捕たいほを受うけて、窃盗せっとう事件じけんなどを扱あつかう本部ほんぶの刑事けいじ部ぶや各かく警察けいさつ署しょに対にたいして捜査そうさを尽つくすよう通達つうたつするなど再発さいはつ防止ぼうし策さくを進すすめているとしています。

女性じょせいは否認ひにんも防犯ぼうはんカメラの人物じんぶつに似にているとして逮捕たいほされる

警察けいさつによりますと、事件じけんが起おきたのは、ことし１月いちがつでした。

松山まつやま市し清水しみず町まちの路上ろじょうで、タクシーの中なかから現金げんきんおよそ５ご万まん4000円えんやセカンドバッグなどが盗ぬすまれ、松山東まつやまひがし警察けいさつ署しょは、タクシーのドライブレコーダーや現場げんば近ちかくの防犯ぼうはんカメラの映像えいぞうを基もとに捜査そうさを進すすめていました。

その結果けっか、ドライブレコーダーに写うつった人物じんぶつとよく似にているなどとして、今回こんかい誤認ごにん逮捕たいほした女性じょせいに疑うたがいをかけ、任意にんいで取り調とりしらべをしていましたが、弁護士べんごしによりますと、女性じょせいは一貫いっかんして容疑ようぎを否認ひにんしていたということです。

しかし、事件じけんから半年はんとしほどたった先月せんげつ８はち日にち、女性じょせいは窃盗せっとうの疑うたがいで逮捕たいほされました。

その２に日にち後ご、裁判所さいばんしょが女性じょせいの勾留こうりゅうを認みとめず、女性じょせいは釈放しゃくほうされました。

その後そのご、女性じょせいと同おなじアパートに住すんでいる別べつの女性じょせいが「ドライブレコーダーに写うつっているのは自分じぶんだ」と話はなし、警察けいさつが裏付うらづけを進すすめた結果けっか、逮捕たいほした女性じょせいが事件じけんと無関係むかんけいだったことが判明はんめいしたということです。

警察けいさつは、先月せんげつ22日にち、女性じょせいに謝罪しゃざいしました。

「何なにを言いってもむだだった」「手錠てじょうのショックは今いまでもつらい」

今回こんかい公表こうひょうされた手記しゅきによりますと、女性じょせいは最初さいしょから一貫いっかんして容疑ようぎを否認ひにんしたにもかかわらず、捜査そうさに関かかわった刑事けいじ全員ぜんいんが話はなしに耳みみを傾かたむけることはなかったということです。

たとえば、女性じょせいが「本当ほんとうの犯人はんにんを捕つかまえてください」と訴うったえたところ、「犯人はんにんなら目めの前まえにいるけど」と言いわれたということです。

他たにも「やってないことを証明しょうめいできないよね？」とか、「タクシーに乗のった記憶きおくないの？ 二に重じゅう人格じんかく？」「いつ言いうのか待まってるんだけど」「罪つみと向き合むきあえ」などということばを浴あびせられたということです。

また「就職しゅうしょくも決きまってるなら大だいごとにしたくないよね？」とか、「ごめんなさいをすれば済すむ話はなし」「また取り調とりしらべか、とか思おもってるんだろう。認みとめないと終おわらないよ」など自白じはくを強要きょうようされることもあったということです。

こうした捜査そうさに女性じょせいは「本当ほんとうに悔くやしかった」と述のべたうえで、「自分じぶんたちが正ただしいと過信かしんしている警察けいさつには、何なにを言いってもむだだと気付きづき、ただひたすら真犯人しんはんにんが出でてくることを祈いのるしかなかった」と胸むねの内うちを明あかしています。

最後さいごの取り調とりしらべから１いちか月かげつ後ご、突然とつぜん、逮捕たいほされたということで、女性じょせいは「手錠てじょうをかけられたときのショックは忘わすれることができず今いまでもつらい」と心境しんきょうをつづっています。

誤認ごにん逮捕たいほと分わかったあと、警察けいさつからは「真相しんそうの解明かいめいに必要ひつような逮捕たいほだった」と説明せつめいを受うけたということですが、担当たんとう刑事けいじからは直接ちょくせつの謝罪しゃざいはいまだにないということです。

女性じょせいは、手記しゅきの最後さいごに「犯人はんにんと決きめつけて自白じはくを強要きょうようするかのような取り調とりしらべを受うけ続つづけ、実名じつめいで報ほうじられたことを絶対ぜったいに許ゆるすことはできない」としたうえで、「今回こんかいの誤認ごにん逮捕たいほは、適正てきせいな捜査そうさを行おこなっていれば起おこらないはずだった。私わたしのような思おもいをする人ひとを二度にどと出ださないためにも、口先くちさきだけの謝罪しゃざいで済すませるのではなく、今後こんごどのような指導しどうを行おこない再発さいはつ防止ぼうしに努つとめるのか具体ぐたい的てきに公表こうひょうしてほしい」と締しめくくっています。

ソース：NHK ニュース