戦前せんぜん最大さいだいの右派うは新聞しんぶん 約やく10年ねん分ぶん見みつかる

昭和しょうわ初期しょきに発行はっこうされ、戦前せんぜん、最大さいだいの右派うはメディアとも呼よばれた日刊にっかん紙し、「日本にっぽん新聞しんぶん」の紙面しめん、およそ10年間ねんかん分ぶんがほぼ完全かんぜんな形かたちで残のこされていたことが分わかりました。

これまで多おおくが失うしなわれたとされていて、日本にっぽんが戦争せんそうへと向むかっていった道筋みちすじを解き明ときあかす貴重きちょうな資料しりょうとして研究けんきゅう者しゃの間まで注目ちゅうもくを集あつめています。

見みつかったのは、大正たいしょう14年ねんから昭和しょうわ10年ねんまで発行はっこうされていた日刊にっかん紙し、「日本にっぽん新聞しんぶん」です。

元もと総理そうり大臣だいじん、平沼ひらぬま騏一郎きいちろうが設立せつりつした団体だんたいの、資料しりょうの収蔵しゅうぞう庫こに保管ほかんされていたもので、創刊そうかんから休刊きゅうかんするまでの10年間ねんかん、およそ3000日にち分ぶんの紙面しめんがほぼ完全かんぜんな形かたちで残のこされていました。

日本にっぽん新聞しんぶんは、発行はっこう部数ぶすうおよそ１いち万まん6000部ぶと多おおくはないものの、政官せいかん財ざいに幅広はばひろい読者どくしゃを持もち、戦前せんぜん最大さいだいの右派うはメディアとして右派うは思想しそうを広ひろめたとされていましたが、現在げんざいは多おおくが失うしなわれ、初期しょきの数すう年間ねんかんについては内容ないようもほとんど知しられていませんでした。

紙面しめんは見開みひらき４よんページで、創刊そうかん号ごうには編集へんしゅう方針ほうしんとして天皇てんのう中心ちゅうしんの国家こっか体制たいせいを絶対ぜったいのものにする「日本にっぽん主義しゅぎ」と呼よばれる思想しそうが掲かかげられています。見出みだしには「共産きょうさん主義しゅぎの致命ちめい的てき欠陥けっかん」や「赤化せっか売国ばいこく派はを掃蕩そうとうせよ」などの激はげしいことばが並ならんでいます。

日本にっぽんは、昭和しょうわの初はじめから急速きゅうそくに国家こっか主義しゅぎ的てきな風潮ふうちょうが広ひろがったとされていますが、日本にっぽん新聞しんぶんを詳くわしく分析ぶんせきすることで当時とうじの言論げんろんや思想しそうの移り変うつりかわりをひもとく手てがかりになると期待きたいされています。

日本にっぽんの近代きんだい思想しそう史しが専門せんもんの京都大きょうとだい学がく大学院だいがくいんの福家ふけ崇たかし洋よう 准じゅん教授きょうじゅは「記事きじを分析ぶんせきすることで、大正たいしょうデモクラシーで自由じゆうをおう歌おうかしていたはずの日本にっぽん社会しゃかいがどのように変化へんかしていったのか、クリアに把握はあくできるはずだ」と話はなしています。

日本にっぽん新聞しんぶんとは

「日本にっぽん新聞しんぶん」は、大正たいしょうから昭和しょうわ初期しょきにかけて司法しほう大臣だいじんや鉄道てつどう大臣だいじんを務つとめた政治せいじ家か、小川おがわ平吉へいきちが大正たいしょう14年ねんに創刊そうかんしました。当時とうじ、気鋭きえいの国粋こくすい主義しゅぎ者しゃや民族みんぞく主義しゅぎ者しゃらが社説しゃせつや記事きじを執筆しっぴつし、およそ１いち万まん6000部ぶが発行はっこうされました。

創刊そうかんの際さいには、支持しじ者しゃとしてのちに総理そうり大臣だいじんを務つとめる近衛このえ文麿ふみまろや東条とうじょう英機ひできなど政治せいじ家かや軍人ぐんじん、財界ざいかいトップらが名前なまえを連つらね、当時とうじの右派うはメディアの中なかでは異例いれいの日刊にっかん紙しとして国くにの中枢ちゅうすうから地方ちほうの有力ゆうりょく者しゃまで幅広はばひろい支援しえん者しゃ、読者どくしゃを獲得かくとくしていました。

日本にっぽん新聞しんぶんは10年間ねんかんにわたっておよそ3000日にち分ぶんが発行はっこうされ、昭和しょうわ10年ねんに休刊きゅうかんとなりました。残のこされた紙面しめんは戦争せんそう中ちゅうに多おおくが焼失しょうしつしたほか、戦後せんごは右派うはメディアへの厳きびしい風当かぜあたりなどから失うしなわれてしまい、現在げんざいは後半こうはんのおよそ５ご年ねん分ぶんしか見みつかっていませんでした。

ソース：NHK ニュース