東京とうきょう五輪ごりん・パラの暑あつさ対策たいさく 逆ぎゃく効果こうかの可能かのう性せいも

東京とうきょうオリンピック・パラリンピックに向むけた暑あつさ対策たいさくが、「逆ぎゃく効果こうか」になる可能かのう性せいもあるという研究けんきゅう結果けっかです。

道路どうろの表面ひょうめん温度おんどを下さげるとして整備せいびが進すすめられている「遮さえぎ熱性ねっせい舗装ほそう」の効果こうかを専門せんもん家かが検証けんしょうした結果けっか、人ひとが立たつ高たかさの気温きおんは通常つうじょうの舗装ほそうよりも上あがるケースがあったことがわかりました。専門せんもん家かは「選手せんしゅや観客かんきゃくの熱中ねっちゅう症しょうのリスクが高たかまるおそれがある」としています。

道路どうろの「遮さえぎ熱性ねっせい舗装ほそう」は、路面ろめんに白しろなどの塗装とそうを施ほどこし太陽光たいようこうを反射はんしゃさせることで表面ひょうめん温度おんどの上昇じょうしょうを抑おさえる対策たいさくで、東京とうきょう都とや国くには、オリンピックのマラソンコースを含ふくむ100キロを超こえる道路どうろで整備せいびを進すすめています。

熱中ねっちゅう症しょうの対策たいさくに詳くわしい東京とうきょう農業のうぎょう大学だいがくの樫村かしむら修おさむ生なま教授きょうじゅの研究けんきゅうグループは先月せんげつと今月こんげつ、晴はれた日ひの日ひ中ちゅうに「遮さえぎ熱性ねっせい舗装ほそう」と「通常つうじょうの舗装ほそう」の路面ろめんで、気温きおんの差さを比較ひかくする調査ちょうさを行おこないました。

その結果けっか、「遮さえぎ熱性ねっせい舗装ほそう」を施ほどこした表面ひょうめん温度おんどは、「通常つうじょうの舗装ほそう」に比くらべて10度ど前後ぜんご低ひくくなり、これまでの国くになどの調査ちょうさと同おなじような傾向けいこうでした。

しかし、高たかさ50センチと１いちメートル50センチ、それに２にメートルの空間くうかんの気温きおんを計測けいそくした結果けっか、「遮さえぎ熱性ねっせい舗装ほそう」のほうが、いずれも平均へいきんの気温きおんが高たかくなっていたことがわかりました。

「遮さえぎ熱性ねっせい舗装ほそう」の上うえの空間くうかんは、特とくに日射にっしゃが強つよかった日ひには平均へいきんの気温きおんが1.5度ど前後ぜんご高たかくなり、最大さいだいで３さん度ど以上いじょう高たかい時間じかん帯たいもあったほか、熱中ねっちゅう症しょうを予防よぼうするための指標しひょうとなる「暑あつさ指数しすう」も高たかくなりました。

樫村かしむら教授きょうじゅは、「遮さえぎ熱性ねっせい舗装ほそう」は太陽光たいようこうを反射はんしゃさせやすいため、表面ひょうめん温度おんどは下さがる一方いっぽう、反射はんしゃした熱ねつの影響えいきょうで、人ひとが立たつ高たかさでは気温きおんが上昇じょうしょうしたと分析ぶんせきしています。

そのうえで、「遮さえぎ熱性ねっせい舗装ほそうは熱中ねっちゅう症しょうのリスクを減へらすと言いわれてきたが、昼間ひるまの日射にっしゃがあるときには逆ぎゃく効果こうかで、オリンピックでは、選手せんしゅや観客かんきゃくなどのリスクを高たかめることが考かんがえられる。国くにや東京とうきょう都とは、このデータを受け止うけとめ、遮さえぎ熱性ねっせい舗装ほそうの効果こうかを検証けんしょうするとともに対策たいさくを立たててほしい」と指摘してきしています。

一方いっぽう、国土こくど交通こうつう省しょうは、「遮さえぎ熱性ねっせい舗装ほそう」と「通常つうじょうの舗装ほそう」の違ちがいについて、平成へいせい28年ねんにそれぞれの道路どうろ上じょうの空間くうかんの「暑あつさ指数しすう」を調査ちょうさして比較ひかくした結果けっかを公表こうひょうしています。

公表こうひょうされた暑あつさ指数しすうのグラフでは時間じかん帯たいによって「遮さえぎ熱性ねっせい舗装ほそう」のほうが高たかくなっているものの、調査ちょうさで誤差ごさが出でやすく、おおむね１いち度ど以内いないの差さで収おさまっているなどとして、「有意ゆういな差さとは言いえない」と結論けつろんづけています。

そのうえで、国土こくど交通こうつう省しょうは、「アスリートが実際じっさいに走はしって温度おんどを低ひくく感かんじたと評価ひょうかされるなど、さまざまな調査ちょうさを総合そうごうすると、遮さえぎ熱性ねっせい舗装ほそうには暑あつさを緩和かんわする効果こうかがあると考かんがえている」とコメントしています。

ソース：NHK ニュース