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米最高裁判事にトランプ大統領指名の保守派バレット氏 承認
2020-10-27 02:52:44

アメリカ大統領選挙の投票日が1週間後に迫る中、議会上院はトランプ大統領が連邦最高裁判所の新しい判事に指名した、保守派のバレット判事を賛成多数で承認しました。
アメリカ議会上院は日本時間の27日午前、本会議で、先月死去したリベラル派のギンズバーグ連邦最高裁判事の後任として、トランプ大統領が指名した、保守派のバレット判事を賛成多数で承認しました。
これを受けてトランプ大統領は、ホワイトハウスで式典を開き、「きょうはアメリカと、合衆国の憲法、そして法の支配にとって非常に重要な日となった。バレット判事はアメリカで最も優れた法学者であり、すばらしい最高裁判所の判事になるだろう」と述べました。
これに続いてバレット氏は宣誓を行い「連邦最高裁判所の判事として指名していただいたトランプ大統領に感謝したい。何者も恐れず、味方もせず、政治から独立して職務を全うしたい」と決意を述べました。
バレット氏の就任で、連邦最高裁判所の判事は9人のうち6人が保守派となり、アメリカ社会を二分する問題の司法判断にも、保守的な価値観がより強く反映されると指摘されています。
アメリカ大統領選挙の投票日が1週間後に迫る中、トランプ大統領は保守層の支持拡大を図りたい考えですが、民主党側は強く反発しています。


これを受けてトランプ大統領は、ホワイトハウスで式典を開き、「きょうはアメリカと、合衆国の憲法、そして法の支配にとって非常に重要な日となった。バレット判事はアメリカで最も優れた法学者であり、すばらしい最高裁判所の判事になるだろう」と述べました。
これに続いてバレット氏は宣誓を行い「連邦最高裁判所の判事として指名していただいたトランプ大統領に感謝したい。何者も恐れず、味方もせず、政治から独立して職務を全うしたい」と決意を述べました。
バレット氏の就任で、連邦最高裁判所の判事は9人のうち6人が保守派となり、アメリカ社会を二分する問題の司法判断にも、保守的な価値観がより強く反映されると指摘されています。
アメリカ大統領選挙の投票日が1週間後に迫る中、トランプ大統領は保守層の支持拡大を図りたい考えですが、民主党側は強く反発しています。
バレット氏の承認めぐる経緯

トランプ大統領はリベラル派の最高裁判事、ギンズバーグ氏が先月18日に87歳で死去した直後に速やかに後任の判事を指名する意向を示しました。
そして、8日後の先月26日に保守派で、高等裁判所に当たる連邦控訴裁判所の判事を務めるエイミー・バレット氏の指名を発表。
11月3日の大統領選挙より前の承認を目指す考えを示し、与党・共和党もこれに同調しました。
一方、野党・民主党の大統領候補のバイデン氏や議会幹部は、大統領選挙の選挙戦が終盤にさしかかるなかでの指名に猛反発し、選挙で国民によって選ばれた次の大統領が指名すべきだと主張しました。
さらに4年前の2016年に保守派の判事が死去した際、当時のオバマ大統領が後任にリベラル派の判事を指名したのに対し、当時、共和党が「8か月後に大統領選挙を控えている」として、承認の手続きを進めなかったことも持ち出して、撤回を要求しました。
しかし、議会上院で多数派である共和党は、司法委員会で今月22日、民主党の議員が抗議のために欠席する中、人事案を可決。
そして翌23日からは上院本会議で審議を開始し、民主党が手続きを延期するよう求める中、25日に審議時間を制限する動議を可決。
26日に本会議で承認されることが確実な情勢となりました。
そして、8日後の先月26日に保守派で、高等裁判所に当たる連邦控訴裁判所の判事を務めるエイミー・バレット氏の指名を発表。
11月3日の大統領選挙より前の承認を目指す考えを示し、与党・共和党もこれに同調しました。
一方、野党・民主党の大統領候補のバイデン氏や議会幹部は、大統領選挙の選挙戦が終盤にさしかかるなかでの指名に猛反発し、選挙で国民によって選ばれた次の大統領が指名すべきだと主張しました。
さらに4年前の2016年に保守派の判事が死去した際、当時のオバマ大統領が後任にリベラル派の判事を指名したのに対し、当時、共和党が「8か月後に大統領選挙を控えている」として、承認の手続きを進めなかったことも持ち出して、撤回を要求しました。
しかし、議会上院で多数派である共和党は、司法委員会で今月22日、民主党の議員が抗議のために欠席する中、人事案を可決。
そして翌23日からは上院本会議で審議を開始し、民主党が手続きを延期するよう求める中、25日に審議時間を制限する動議を可決。
26日に本会議で承認されることが確実な情勢となりました。
トランプ大統領・バイデン氏の思惑

今回、正式に承認されたエイミー・バレット判事は、これまでの発言や法廷での判断から、トランプ政権の考えに極めて近いとされています。
バレット氏は、人工妊娠中絶や銃規制に反対する一方で、オバマ前大統領が導入した医療保険制度や移民政策などの見直しを進めるトランプ大統領に賛同する姿勢を示しています。
トランプ大統領は、保守派の象徴と位置づけられるバレット氏を指名することで、大統領選挙に向けて保守層の支持拡大につなげたいという思惑があるとみられます。
また、トランプ大統領は、空席となった最高裁判事の補充を急ぐ理由として、「大統領選挙で不正が行われようとしている」と主張し、大統領選挙に関連する訴訟で速やかに判断ができるようにしておく意義を強調しました。
トランプ陣営は、大統領選挙に関連した法廷闘争に備えて大規模な弁護団を雇って準備しているとも伝えられており、票の数え方などをめぐる訴えが起こされた場合、最高裁判所で有利な判断を得ようという思惑もあるのではないかと指摘されています。
一方、民主党のバイデン前副大統領は、保守派のバレット氏が最高裁判事に就任すれば、司法の最終的な判断が一段と保守化し、女性やマイノリティーの権利が脅かされるとして、リベラル層に危機感を訴え、求心力を高めようとしています。
ギンズバーグ氏は、先月亡くなる前に、「後任は、次の選挙で選ばれた大統領によって指名されることを望む」という遺言を残したとされています。
民主党は、伝記がベストセラーになったり、その半生を描いた映画も製作されたりするなど、人気が高かった異例の判事の遺志を共和党は無視していると批判してきました。
バレット氏は、人工妊娠中絶や銃規制に反対する一方で、オバマ前大統領が導入した医療保険制度や移民政策などの見直しを進めるトランプ大統領に賛同する姿勢を示しています。
トランプ大統領は、保守派の象徴と位置づけられるバレット氏を指名することで、大統領選挙に向けて保守層の支持拡大につなげたいという思惑があるとみられます。
また、トランプ大統領は、空席となった最高裁判事の補充を急ぐ理由として、「大統領選挙で不正が行われようとしている」と主張し、大統領選挙に関連する訴訟で速やかに判断ができるようにしておく意義を強調しました。
トランプ陣営は、大統領選挙に関連した法廷闘争に備えて大規模な弁護団を雇って準備しているとも伝えられており、票の数え方などをめぐる訴えが起こされた場合、最高裁判所で有利な判断を得ようという思惑もあるのではないかと指摘されています。
一方、民主党のバイデン前副大統領は、保守派のバレット氏が最高裁判事に就任すれば、司法の最終的な判断が一段と保守化し、女性やマイノリティーの権利が脅かされるとして、リベラル層に危機感を訴え、求心力を高めようとしています。
ギンズバーグ氏は、先月亡くなる前に、「後任は、次の選挙で選ばれた大統領によって指名されることを望む」という遺言を残したとされています。
民主党は、伝記がベストセラーになったり、その半生を描いた映画も製作されたりするなど、人気が高かった異例の判事の遺志を共和党は無視していると批判してきました。
専門家「大統領選にも影響」
カリフォルニア大学のジェームズ・ワグスタッフ教授は「今回の承認は、多くの有権者に影響を与えるだろう。最高裁の判事を指名する大統領を選ぶということがいかに重要かを再認識させるきっかけになったからだ」と述べ、大統領選挙にも影響するという見方を示しました。
また、今後バレット氏が最高裁の判事に就任することの影響については「オバマ前大統領が導入した医療保険制度をめぐる判断などで変化は比較的早い段階で表れるだろう。そのほかにも長期的には、人工妊娠中絶や言論をめぐる権利について保守的な判断が示されることになるだろう」と分析しました。
また、今後バレット氏が最高裁の判事に就任することの影響については「オバマ前大統領が導入した医療保険制度をめぐる判断などで変化は比較的早い段階で表れるだろう。そのほかにも長期的には、人工妊娠中絶や言論をめぐる権利について保守的な判断が示されることになるだろう」と分析しました。
野党・民主党「今回の承認は権利の制限につながる」
アメリカ議会上院、野党・民主党のトップ、シューマー院内総務は声明で「今回の判事の承認は、共和党は議会で達成できなかったことを、裁判所を保守化させることによって実現しようとしている。今回の判事の承認は地球温暖化、労働者の軽視、政治汚職、それにさまざまな権利の制限につながる。民主党はアメリカ国民の社会保障と生活そして自由のために戦い続ける」と述べました。
ソース:NHK ニュース