News
Show Furigana

インク詰め直つめなお商品しょうひん排除はいじょ”リサイクル会社かいしゃがキヤノンを提訴ていそ

2020-10-27 09:52:26

avatar
play
大阪おおさかのリサイクル会社かいしゃが、大手おおて電子でんし機器ききメーカーのキヤノンに対にたい、「プリンターのインクカートリッジをさい利用りようできないような仕様しよう変更へんこうしたのは、リサイクルひん市場しじょうから排除はいじょするためのもので不当ふとうだ」と主張しゅちょうして損害そんがい賠償ばいしょうなどもとめるうった大阪おおさか地方ちほう裁判所さいばんしょこしました。
うったこしたのは大阪おおさかのリサイクル会社かいしゃ「エコリカ」です。

この会社かいしゃは、使用しようになった純正じゅんせいひん家庭かていようプリンターのインクカートリッジを回収かいしゅうしてインクを詰め直つめなお、リサイクルひんとして純正じゅんせいひんより2わりから3わりほどやす価格かかく販売はんばいしています。

しかし、3ねんまえにキヤノンが発売はつばいしたカートリッジは、インクざんりょう記録きろくするICチップ仕様しよう変更へんこうされたため、さい利用りようできなくなったということです。

これについて「リサイクルひん市場しじょうから排除はいじょするための仕様しよう変更へんこうで、独占どくせん禁止きんしほう違反いはんする行為こういだ」と主張しゅちょうして、キヤノンに3000まんえん損害そんがい賠償ばいしょうなどもとめています。

エコリカのそうひろしむねさん社長しゃちょう会見かいけんひらき、「ユーザーの選択肢せんたくしうば行為こうい不当ふとうだ。品質ひんしつ純正じゅんせいひん環境かんきょうにやさしく値段ねだんやすリサイクルひんのどちらえらかをユーザーがめられるようにすべきだ」とはなしています。

一方いっぽう、キヤノンは「訴状そじょうとどいていないのでコメントできない。とど次第しだい精査せいさしたい」とはなしています。

ICチップ複雑ふくざつ暗号あんごう リサイクルひん認識にんしきされず

エコリカは、家電かでん量販りょうはんてんなど回収かいしゅうしたメーカー純正じゅんせい使用しようインクカートリッジに自社じしゃせいのインクをなおしたリサイクルひん販売はんばいしています。

純正じゅんせいひんのカートリッジには、インクざんりょう記録きろくするICチップがついているため、さい利用りようするにはインクのだけでなくチップのデータ初期しょきする必要ひつようがあります。

しかし、キヤノンが3ねんまえ発売はつばいしたカートリッジは、ICチップデータをより複雑ふくざつ暗号あんごうする仕様しよう変更へんこうおこなわれていて、技術ぎじゅつてきにデータの初期しょき不可能ふかのうになったということです。

カートリッジの形状けいじょうわっていないため、従来じゅうらいのリサイクルひんをプリンターにセットすることはできますが、正常せいじょう認識にんしきされず使つかえないということです。

この仕様しよう変更へんこうについてエコリカは、市場しじょうからリサイクルひん排除はいじょするのが目的もくてき不当ふとう行為こういだと主張しゅちょうしてキヤノンに対応たいおうもとめましたがおうじてもらえず、商品しょうひん製造せいぞうができない状況じょうきょうつづいているということです。

販売はんばいてんでは リサイクルひんえら消費しょうひしゃ

エコリカによりますと、先月せんげつ時点じてんインクカートリッジの家電かでん量販りょうはんてんなど店頭てんとう販売はんばいのシェアは、大手おおてメーカー純正じゅんせいひんが85%、リサイクルひん互換ごかんひんが15%だということです。

純正じゅんせいひんとリサイクルひん両方りょうほう販売はんばいしている大阪おおさか住吉すみよし家電かでん量販りょうはんてんでは、どちらえら用途ようとなどによってめるきゃくおおということです。

店長てんちょう森下もりした英則ひでのりさんは「価格かかく純正じゅんせいひんのほうがおよそ1.5ばいしますが、リサイクルひんよりもれています。写真しゃしん使用しようするひと純正じゅんせいひん文書ぶんしょ印刷いんさつだけにしか使つかわないひとはリサイクルひんをそれぞれ購入こうにゅうしていることがおおおもいます」とはなしていました。

みせおとずれた70だい男性だんせいは「仕事しごとではキレイに印刷いんさつしたいし気分きぶんてき安心あんしんするので純正じゅんせいひんを、趣味しゅみ俳句はいくではやすのにこしたことはないのでリサイクルひんというように両方りょうほう使つかっています」とはなしていました。

一方いっぽう、20だい女性じょせいは「リサイクルひんでは機械きかいこわれることもあるいたので、純正じゅんせいひん使つかっています。リサイクルひんやすくていいかもしれませんが、純正じゅんせいひんのメーカーからすればおこっているとおもいます」とはなしていました。

専門せんもん業界ぎょうかい全体ぜんたいじり貧じりひんなるのをふせことが重要じゅうよう

パソコン周辺しゅうへん機器きき市場しじょう動向どうこうなどくわしい家電かでんジャーナリスト安蔵あぞう靖志やすしさん今回こんかい提訴ていそどうはなしきました。

安蔵あぞうさんはキヤノンのうごについて「家庭かていようプリンターのメーカーは、本体ほんたいやす価格かかくおさえる一方いっぽうで、消耗しょうもうひんのインクカートリッジをおおって利益りえきげるビジネスモデルをとっている。今回こんかい仕様しよう変更へんこうはシェアをこれ以上いじょううしなわず、利益りえき確保かくほするためにリサイクル製品せいひん排除はいじょすることが目的もくてきとみられ、企業きぎょう活動かつどうとしてはにかなっている」とはなしています。

一方いっぽう、エコリカの提訴ていそについて「しん商品しょうひん開発かいはつ出来できないことは事業じぎょう継続けいぞくにとって死活しかつ問題もんだいで、裁判さいばんこすのも理解りかいできる」とはなしています。

そのうえで、消費しょうひしゃ選択肢せんたくしあることが業界ぎょうかい全体ぜんたいのメリットになる指摘してきし、「スマートフォンの普及ふきゅうや、年賀状ねんがじょうひと減少げんしょうなどかみ印刷いんさつという市場しじょう縮小しゅくしょうするなかでは、安心あんしん純正じゅんせいひん安価あんかのリサイクルひん双方そうほうつよしっかりアピールして業界ぎょうかい全体ぜんたいじり貧じりひんになるのをふせことが重要じゅうようではないか」とはなしています。

過去かこ裁判さいばんでもあらそ

プリンターのインクカートリッジをめぐっては、純正じゅんせいひん販売はんばいするメーカーとリサイクルひん販売はんばいする会社かいしゃとの過去かこにも司法しほう舞台ぶたいにしたあらそいがきています。

平成へいせい19ねんにはキヤノンとセイコーエプソンが、使用しよう純正じゅんせいひん加工かこうしてさい利用りようできるようにしたリサイクルひんはメーカー特許とっきょけん侵害しんがいしているとうったえた2けん裁判さいばんで、最高さいこう裁判所さいばんしょが、「メーカーの特許とっきょ使つかった製品せいひんあらつくったとみなせる場合ばあい特許とっきょ侵害しんがいにあたる」という判断はんだんしめしました。

そして1けんはリサイクルひん廃棄はいき販売はんばい禁止きんしなどめいじましたが、もう1けん特許とっきょ侵害しんがいにはあたらないと判断はんだんして販売はんばいみとめました。

今回こんかい提訴ていそしたエコリカによりますと、最高裁さいこうさい判決はんけつのあとメーカーがわはインクの注入ちゅうにゅうむずかしくするなどさい利用りようしにくいカートリッジを製造せいぞうするようになったということですが、キヤノンが今回こんかいのカートリッジを発売はつばいするまでは、さい利用りよう実質じっしつてき不可能ふかのうなる商品しょうひんはなかったということです。
ソース:NHK ニュース