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わかがん患者かんじゃ 卵子らんし精子せいし凍結とうけつ保存ほぞん希望きぼう 年間ねんかん7000にん試算しさん

2020-11-03 12:25:49

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わかがん患者かんじゃうち経済けいざいてき支援しえんがあればがんの治療ちりょうども可能かのうせいのこために卵子らんし精子せいしなど凍結とうけつ保存ほぞん希望きぼうするひと年間ねんかんおよそ7000にんのぼとする試算しさん厚生こうせい労働ろうどうしょう研究けんきゅうはんがまとめました。

試算しさんおこなったのは聖マリアンナ医科大学せいまりあんないかだいがく鈴木すずきただし教授きょうじゅらでつく厚生こうせい労働ろうどうしょう研究けんきゅうはんです。

わかがん患者かんじゃこうがんざい放射線ほうしゃせん治療ちりょうける副作用ふくさよう不妊ふにんなるそれがあり、卵子らんし精子せいしなど凍結とうけつ保存ほぞん将来しょうらいどもつく可能かのうせいのこ重要じゅうよう手段しゅだんとなっていますが、高額こうがく費用ひようかかることが課題かだいとなっています。

研究けんきゅうはんでは、40さい未満みまんのがんの患者かんじゃかず実際じっさい卵子らんし凍結とうけつ保存ほぞんをした患者かんじゃかずなどデータもとに、卵子らんし精子せいしなどの凍結とうけつ保存ほぞん希望きぼうする患者かんじゃかず試算しさんしました。

その結果けっか経済けいざいてき支援しえんがあった場合ばあい卵子らんし精子せいし凍結とうけつ保存ほぞん希望きぼうする男女だんじょおよそ4400にん受精卵じゅせいらん凍結とうけつ保存ほぞん希望きぼうする結婚けっこんしている女性じょせいは2400にんなどわせて年間ねんかんおよそ7000にんのぼとみられるということです。

これら患者かんじゃかかる費用ひよう全額ぜんがく公費こうひ負担ふたんした場合ばあい総額そうがくは、凍結とうけつ保存ほぞんする回数かいすうことなるものの、年間ねんかんで20おくえんあまから39おく5000まんえん試算しさんされるということです。

聖マリアンナ医科大学せいまりあんないかだいがく鈴木すずきただし教授きょうじゅは、がんの治療ちりょう優先ゆうせんされるためすべての患者かんじゃ凍結とうけつ保存ほぞんできるわけではないとしたうえで「医学いがくてきには凍結とうけつ保存ほぞんできる患者かんじゃでも経済けいざいてきかべによってあきらめざるをえない患者かんじゃがいるのが現状げんじょうだ。

将来しょうらい可能かのうせいしんじて凍結とうけつ保存ほぞん希望きぼうする患者かんじゃくにからのサポートが必要ひつようだ」とはなしていました。

卵子らんし凍結とうけつ断念だんねんした患者かんじゃ

山口やまぐちけんしゅう南市みなみいち井上いのうえひろし香子きょうこさん(39)は4ねんまえの35さいときにゅうがん手術しゅじゅつけました。

手術しゅじゅつこうがんざい治療ちりょう必要ひつようでしたが、治療ちりょう副作用ふくさようどもてなくなるかもしれないことをりました。

将来しょうらいども可能かのうせいのこしたい、そうかんがえた井上いのうえさん卵子らんし凍結とうけつ保存ほぞん検討けんとうしました。

しかしかべとなったのは高額こうがく費用ひようでした。

井上いのうえさんは、仕事しごとつづけながらがんの治療ちりょうまかなっていましたが、東京とうきょう広島ひろしま病院びょういんへの交通こうつう宿泊しゅくはくなどもかかり、経済けいざいてきにも不安ふあんかかえた状態じょうたいでした。

卵子らんし凍結とうけつ保存ほぞんにはさらに100まんえんちか費用ひようかかるとみられましたが、当時とうじ公的こうてき助成じょせいはありませんでした。

主治医しゅじいとも話し合はなしあいましたが、がんの治療ちりょうさきばしにすることもできず、選択せんたくせまられた井上いのうえさんは、なやんだすえ卵子らんし保存ほぞん断念だんねんしました。

それから4ねん井上いのうえさんのがんの治療ちりょう順調じゅんちょうすすんでいますが、当時とうじ選択せんたくただしかったのか、いまなやんでいます。

井上いのうえさんは「当時とうじはがんの診断しんだんけて、妊娠にんしんのことや仕事しごとのこと、それお金おかねのことなど突然とつぜんおお問題もんだいきつけられ、だれにも相談そうだんできなかった。自分じぶんくなる直前ちょくぜんまで、どもみたかったというおもずっとえないのではないかとおも」とはなしていました。

井上いのうえさんは、経済けいざいてき支援しえんひろがり、患者かんじゃ負担ふたんすこでもかるくなれば、自分じぶんおななやみを患者かんじゃすくなくなるのではないかとかんがえています。

井上いのうえさんは「生殖せいしょく機能きのう温存おんぞんするかどうかは患者かんじゃにとってはおおきな決断けつだんで、もしそのための助成じょせいがあれば、患者かんじゃ負担ふたんひとクリアできるおも患者かんじゃ自分じぶんなりの決断けつだんための選択肢せんたくしえたほうがいい」とはなしていました。

公的こうてき支援しえん地域ちいき

政府せいふは、不妊ふにん治療ちりょうについては現在げんざい保険ほけん適用てきよう拡大かくだい目指めざともそれまでの助成じょせい制度せいど大幅おおはば拡充かくじゅうすることで支援しえんしていく方針ほうしんしめしています。

一方いっぽうで、わかがん患者かんじゃ治療ちりょうども可能かのうせいのこための卵子らんし精子せいしなど凍結とうけつ保存ほぞんについてはくにによる全国ぜんこく一律いちりつ支援しえんはなく、地域ちいきによってあるのが現状げんじょうです。

がんの患者かんじゃ卵子らんし精子せいしなど凍結とうけつ保存ほぞん公的こうてき保険ほけん対象たいしょうではなく、精子せいし保存ほぞんする場合ばあいで5まんえん程度ていど卵子らんし卵巣らんそうなどを保存ほぞんする場合ばあいは40まんえんから100まんえん程度ていどかかるとされています。

妊娠にんしん確率かくりつたかめるためには卵子らんしなどでは複数ふくすうかい凍結とうけつ保存ほぞんおこな必要ひつようあるため、実際じっさいにはさらに負担ふたんおおきくなるとされています。

こうした状況じょうきょうけて、自治体じちたいなかには必要ひつよう費用ひよう一部いちぶ助成じょせいする制度せいど独自どくじもうけて経済けいざいてき支援しえんおこなところが徐々じょじょえていますが、先月せんげつまでにこうした助成じょせい制度せいどもうけているのは全国ぜんこくの21の府県ふけんと4つのにとどまっています。

制度せいどがない自治体じちたいでは全額ぜんがく自費じひ負担ふたんする必要ひつようがあります。

3ねんまえ調査ちょうさでは、およそ2わり患者かんじゃ経済けいざいてき理由りゆうから凍結とうけつ保存ほぞん断念だんねんしたという結果けっかもあり、くに支援しえんもとめるこえていました。
ソース:NHK ニュース