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クマにおそわれ被害ひがい 4つき以降いこう全国ぜんこくで138にん 過去かこ最悪さいあくのペース

2020-11-10 07:20:10

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全国ぜんこくでツキノワグマにおそわれてけがをするなどひとへの被害ひがい相次あいつなか、ことし4つき以降いこう被害ひがいにあったひとかずは、くに統計とうけいはじめて以降いこうもっとおおくなった昨年度さくねんどの154にんせま、138にんのぼことがわかりました。これ去年きょねんおな時期じき上回うわまわ過去かこ最悪さいあくのペースで、今月こんげつはいっても被害ひがい相次あいついでいることから、専門せんもんなど注意ちゅうい対策たいさく徹底てっていびかけています。
動画どうがは、先月せんげつから今月こんげつにかけて各地かくち出没しゅつぼつしたクマの様子ようすです)
NHKがツキノワグマの出没しゅつぼつ確認かくにんされている全国ぜんこく33都府県とふけん取材しゅざいしたところ、ことし4つき以降いこうクマにおそわれてけがをするなど被害ひがいにあったひとは21府県ふけんの138にんのぼり、このうち2にん死亡しぼうしました。

昨年度さくねんどは154にん環境省かんきょうしょう統計とうけいはじめて以降いこうもっとおおくなりましたが、今年度こんねんど先月せんげつまつ時点じてん去年きょねんおな時期じきをすでに9にん上回うわまわっていて、過去かこ最悪さいあくのペースで被害ひがい相次あいついでいることになります。

けんべつでは岩手いわてが28にんもっとおおく、新潟にいがたが16にん(1にん死亡しぼう)、石川いしかわが14にん福井ふくいが12にん長野ながのが10にん秋田あきたが9にん(1にん死亡しぼう)、福島ふくしまも9にんなどとなっています。

被害ひがいは8つきは28にん、9つきは25にんでしたが、先月せんげつは44にん急増きゅうぞうしていて今月こんげつはいっても7府県ふけんで10にん被害ひがい相次あいついでいます。

クマの生態せいたいくわしい石川いしかわ県立けんりつ大学だいがく大井おおいとおる教授きょうじゅは「ことしは去年きょねんより深刻しんこくやまのえさ不足ふそくおちいっている可能かのうせいがあるとかんがえられる。クマの異常いじょう出没しゅつぼつ今月こんげつ下旬げじゅんまではつづとみられ、クマが冬眠とうみんする来月らいげつまでは住宅じゅうたくちかかき除去じょきょや、やぶの草刈くさかなど対策たいさく徹底てっていつづける必要ひつようある」としています。

市街しがい中心ちゅうしんでも出没しゅつぼつ相次あいつ

ことしは各地かくち市街しがい中心ちゅうしんなどへの出没しゅつぼつ相次あいついでいます。

先月せんげつ19にちには石川いしかわけん加賀かがのショッピングセンターにクマが侵入しんにゅうしたほか福井ふくいでも先月せんげつ商業しょうぎょう地区ちくにクマがあらわれ、発見はっけんの6時間じかん捕獲ほかくされました。

やまからはなれた場所ばしょなぜクマがあらわれるのか。
大井おおい教授きょうじゅは「おお場合ばあい、クマがかくしやすく、クマのえさもみのっている河川かせん用水路ようすいろとおってているとかんがえられる」と指摘してきしています。

かわ」に着目ちゃくもく対策たいさく

こうしたなか中心ちゅうしんへの出没しゅつぼつふせため、かわ着目ちゃくもくした対策たいさくはじまっています。

福井ふくいけん大野おおのでは、やまから市内しないながれる2つのかわ目撃もくげき情報じょうほうはいと、職員しょくいんりょうともかいのメンバーが現場げんば直行ちょっこうし、おりを仕掛しかけてクマをらえます。

去年きょねん市内しない捕獲ほかくしたクマ50とうのうち半数はんすう以上いじょう河川敷かせんしき捕獲ほかくしたもので、そのさき中心ちゅうしんへクマがすすのを食い止くいとめたかたちです。

大野おおの担当たんとうしゃは「クマはかわ用水路ようすいろとおって、いきなりまちなかにぽこっとてくる場合ばあいあるので、やはり人身じんしん被害ひがいこさないためにはかわから市街しがいはいらないよう取り組とりくんでいます」とはなしています。

最新さいしん技術ぎじゅついち早いちはやつける取り組とりく

市街しがいやって来やってくクマを、最新さいしん技術ぎじゅつ使つかっていち早いちはやつけ、人的じんてき被害ひがい抑止よくしにつなげようという取り組とりくみもはじまっています。

石川いしかわけんでクマへの対策たいさく活用かつようされているのが、小型こがた無人むじんのドローンです。

加賀かが観光かんこう山代やましろ温泉おんせんではこんシーズンひとがクマにおそわれてけが人けがにん相次あいついだほか、ショッピングセンターにクマが侵入しんにゅうしてみせ営業えいぎょうできなくなるなど被害ひがいつづいています。

こうしたなか今月こんげつ8にち、ドローンを活用かつようした上空じょうくうからのパトロールがはじまりました。

毎朝まいあさ通勤つうきん通学つうがく時間じかんたいやまあい市街しがいのエリアの上空じょうくう80メートルたかさからリアルタイムで映像えいぞう確認かくにんできます。

ドローンには通常つうじょうカメラくわえて赤外線せきがいせんカメラも搭載とうさいされ、温度おんど変化へんか感知かんちしてかげなどひそクマも発見はっけんできるということです。

加賀かが経済けいざい環境かんきょう山田やまだ圭一けいいち部長ぶちょうは「上空じょうくうからふかんすることでひろ範囲はんい短時間たんじかんでパトロールできます。地上ちじょうでの警戒けいかい強化きょうかして住民じゅうみん安全あんぜんまもりたい」とはなしています。

石川いしかわ県内けんないでは金沢かなざわでもドローンを使つかったパトロールがおこなわれているほか小松こまつではクマの出没しゅつぼつつづ地区ちくに、動物どうぶつうごねつ感知かんち自治体じちたい担当たんとうしゃ自動じどう通報つうほうするカメラ設置せっちされるなど、クマ対策たいさく現場げんば最新さいしんテクノロジーの活用かつようすすんでいます。

出没しゅつぼつ対策たいさく「ゾーニング」が重要じゅうよう 課題かだい

一方いっぽう出没しゅつぼつ根本こんぽんてきふせためには、クマの生息せいそくいき人間にんげん生活せいかつけんける「ゾーニング」とばれる対策たいさくをとることが重要じゅうようですが、地域ちいき住民じゅうみん協力きょうりょく負担ふたん必要ひつようなことから、取り組とりく地域ちいきによってあるのが実情じつじょうです。

福井ふくいけん鯖江さばえ河和田かわわだまちでは、ことし、クマの出没しゅつぼつえたことから先月せんげつ31にちきゅうきょ山際やまぎわの600メートルあま出没しゅつぼつふせための電気でんきしがらみ設置せっちおこないました。

設置せっち作業さぎょうには地区ちく住民じゅうみん16にん参加さんかし、平日へいじつ仕事しごとかかえるひとおおことから週末しゅうまつおこなわれましたが、やま斜面しゃめんに3時間じかんはんかかってしがらみ体力たいりょくてききびしい作業さぎょうに、参加さんかしゃからは「なかなか大変たいへんです」「あしがちょっとつらいです」といったこえがあがっていました。

しかしこれわりではなく、設置せっちしがらみたおれたりくさびたりしていないか、住民じゅうみん協力きょうりょくして定期ていきてき点検てんけんしていく必要ひつようがあります。

住民じゅうみんいえを1けんずつまわって電気でんきしがらみ設置せっちびかけた地元じもと区長くちょうのうむら和弘かずひろさんは、「みなさん安全あんぜん安心あんしんでいるために、点検てんけん作業さぎょうについてもどういうふうに分担ぶんたんしていくかが今後こんご課題かだいです」とはなしていました。

33都府県とふけん調査ちょうさ 対策たいさく地域ちいき 被害ひがいおおきくなることも

ツキノワグマの出没しゅつぼつ確認かくにんされている33都府県とふけんへの取材しゅざいでも、高齢こうれい人口じんこう減少げんしょうすすなかで、地域ちいき住民じゅうみんがクマの出没しゅつぼつふせ対策たいさくすすめるむずかしさが浮き彫うきぼになっています。

出没しゅつぼつふせための対策たいさくに「取り組とりくんでいる」と回答かいとうした31都府県とふけんうち、クマを引き寄ひきよせる柿の木かきのき伐採ばっさいや、やぶの草刈くさか補助ほじょきんなど具体ぐたいてき支援しえんさくすすめているのは19の都県とけんでした。

この19都県とけん対策たいさく実施じっし状況じょうきょうについていたところ、68%にあたる13の都県とけんが「地域ちいきによってある」や「すすんでいない地域ちいきおお」と回答かいとうしました。

理由りゆうとしては、6つのけんが「住民じゅうみん意識いしきある」、5つのけんが「少子しょうし高齢こうれいなど地域ちいき協力きょうりょくことがむずかしい」と回答かいとうしました。

大井おおい教授きょうじゅは「クマが出没しゅつぼつする地域ちいき対策たいさくあると、対策たいさくをしていない地域ちいきのほうにクマが集中しゅうちゅうし、被害ひがいおおきくなることもかんがえられる。今回こんかい結果けっかと、その認識にんしきひろがっていないようなので、対策たいさくすすめるために行政ぎょうせい経済けいざいてき技術ぎじゅつてき支援しえん実態じったいについての周知しゅうち取り組とりくべきだ」とはなしていました。
ソース:NHK ニュース