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ファイザー「90%ちょう予防よぼう効果こうか専門せんもんもっと情報じょうほう必要ひつよう

2020-11-10 10:49:38

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アメリカ製薬せいやく大手おおて「ファイザー」は、開発かいはつちゅう新型しんがたコロナウイルスのワクチンについて「90%をえる予防よぼう効果こうかある」とする暫定ざんていてき結果けっか発表はっぴょうしました。ファイザーは、効果こうか割合わりあい今後こんご臨床りんしょう試験しけんすすにつれてわる可能かのうせいがあるとしています。
感染かんせんしょう対策たいさく専門せんもんは、今回こんかいのワクチンの結果けっかについて非常ひじょう有望ゆうぼうだとおもとしたうえで「いまは90%の効果こうかわれているが、もっと情報じょうほう必要ひつようだ」とはなしていました。

アメリカ製薬せいやく大手おおて「ファイザー」がドイツの企業きぎょう「ビオンテック」と開発かいはつしているワクチンはアメリカをはじめとした各国かっこく最終さいしゅう段階だんかいなる臨床りんしょう試験しけんおこなっています。

これについてファイザーは9にち外部がいぶ独立どくりつした委員いいんかい臨床りんしょう試験しけんデータ分析ぶんせきした、暫定ざんていてき結果けっか発表はっぴょうしました。

それによりますと、臨床りんしょう試験しけん対象たいしょうとなった4まん3538にんのうち、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん確認かくにんされたのは94れいでした。

そのうえでこの94れいについて実際じっさいにワクチンを接種せっしゅしたひととしなかったひと比較ひかくして、分析ぶんせきした結果けっか予防よぼう効果こうかは90%をえるとしています。

また接種せっしゅしたひと深刻しんこく健康けんこうへの影響えいきょうはみられなかったとしています。

今回こんかい発表はっぴょうでは、くわしいデータあきらかになっていないほかだいさんしゃ審査しんさけた正式せいしき科学かがく論文ろんぶんとはなっていませんが、ファイザーは今後こんご臨床りんしょう試験しけん結果けっか審査しんさ必要ひつよう科学かがく雑誌ざっし投稿とうこうするとしています。

ファイザーは効果こうか割合わりあい試験しけんすすにつれてわる可能かのうせいがあり、今後こんご感染かんせんれいが164れいたっしたところで最終さいしゅうてき分析ぶんせきおこなとしています。

また、ファイザーは安全あんぜんせいのデータがそろう今月こんげつだい3しゅう以降いこう、FDA=アメリカ食品しょくひん医薬品いやくひんきょくに対にたい緊急きんきゅう使用しよう許可きょか申請しんせいするとしています。

ワクチン供給きょうきゅう見通みとおについてファイザーは年内ねんないに5000まん回分かいぶん来年らいねんには最大さいだい13おく回分かいぶん生産せいさんできるとしていて、日本にっぽん政府せいふ来年らいねん6つきまつまでに、6000まんにんぶん供給きょうきゅうけることで基本きほん合意ごういしています。

分析ぶんせき対象たいしょう方法ほうほう

今回こんかい分析ぶんせき対象たいしょうとなっただい3段階だんかい臨床りんしょう試験しけんには4まん3538にん参加さんかしています。

ファイザーによりますと参加さんかしゃは、開発かいはつちゅうのワクチンか、このワクチンとはべつのプラセボとばれる偽薬ぎやくそれぞれ2かい接種せっしゅされます。

そして2かい接種せっしゅから一定いってい期間きかんたったあと新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしたひと調しらべ、ワクチンを接種せっしゅしたひと偽薬ぎやく接種せっしゅしたひとがそれぞれどの程度ていどいるのかをみてワクチンの効果こうか調しらべるということです。

今回こんかい感染かんせん確認かくにんされたのは、94れいでワクチンを接種せっしゅしたひと偽薬ぎやく接種せっしゅしたひと割合わりあい調しらべた結果けっか、ファイザーはワクチンの予防よぼう効果こうかは90%をえるとしました。

感染かんせんしょう対策たいさく専門せんもんもっと情報じょうほう必要ひつよう

感染かんせんしょう対策たいさく専門せんもんのニューヨーク大学だいがくのマイケル・マーソン教授きょうじゅは、今回こんかいのワクチンの結果けっかについて非常ひじょう有望ゆうぼうだとおもとしたうえで「ワクチンの効果こうかだけでなく、安全あんぜんせいのデータについても必要ひつようあるいまは90%の効果こうかわれているが、それなに意味いみするのかはっきりとはわからない。重症じゅうしょうふせげるという意味いみなのか。またウイルスに感染かんせんしたひとがワクチン接種せっしゅによってべつひとにウイルスをひろげるのをふせこともできるのか、もっと情報じょうほう必要ひつようだ」とはなしていました。

ワクチン開発かいはつ専門せんもん慎重しんちょうべき」

ワクチン開発かいはつ専門せんもんは「事実じじつであれば好意こういてき受け止うけとめたいが、中間ちゅうかん評価ひょうかでしかないので慎重しんちょうるべきだ」とはなしています。

ワクチン開発かいはつくわしい東京とうきょう大学だいがく科学かがく研究所けんきゅうじょ石井いしいけん教授きょうじゅは、ワクチンの有効ゆうこうせい評価ひょうかするさいにはワクチンを接種せっしゅしたひと接種せっしゅしなかったひとくらべて、どれだけ発症はっしょうふせことができたかをしめす「有効ゆうこうりつ」とばれる数値すうち指標しひょうになるとしたうえで、「90%という数値すうちが、『有効ゆうこうりつ』をしめしているならば非常ひじょう歓迎かんげいすべきで、この数値すうち本当ほんとうなら病気びょうきをコントロールできる印象いんしょうだ。ただいま段階だんかいでは、発症はっしょうふせいだのか、感染かんせんふせいだのかなどはっきりしていない。あくまで中間ちゅうかん評価ひょうかのプレスリリースなので、すこ慎重しんちょういく必要ひつようある」と指摘してきしました。

そして石井いしい教授きょうじゅは「従来じゅうらいのワクチン開発かいはつでは臨床りんしょう試験しけん最終さいしゅう段階だんかいまで行き着いきつには、非常ひじょう時間じかんがかかっていたが今回こんかい短期間たんきかんすすんでいる。一方いっぽうで、安全あんぜんせいかるんじてはいけないので、あわてずいそがず、冷静れいせい開発かいはつ研究けんきゅう見守みまもべきだ」とべました。

ワクチンに期待きたいされる効果こうか

厚生こうせい労働ろうどうしょうによりますと、ワクチンに期待きたいされる予防よぼう効果こうかは3つあります。感染かんせんそのものをふせ効果こうかと、発症はっしょうふせ効果こうかそれ重症じゅうしょうふせ効果こうかです。

これまでのワクチンは、病原びょうげんせいをなくしたウイルスを接種せっしゅすることで免疫めんえきつけるかつワクチン」とばれるものが一般いっぱんてきでした。

これに対にたい、「ファイザー」が開発かいはつすすめているのは「mRNA」とばれる物質ぶっしつ使つかったあら手法しゅほうによるワクチンです。

体内たいない新型しんがたコロナウイルスの遺伝いでん情報じょうほう取り入とりいれてウイルスの一部いちぶつくり、免疫めんえき獲得かくとくすることを目指めざしています。

厚生こうせい労働ろうどうしょうは、ファイザーが開発かいはつ成功せいこうした場合ばあい来年らいねん6つきまつまでに6000まんにんぶん供給きょうきゅうけることで基本きほん合意ごういしていて、最終さいしゅうてき契約けいやくけて協議きょうぎすすめています。

また、ファイザーは、先月せんげつから日本にっぽん国内こくないでも臨床りんしょう試験しけんはじめています。

有効ゆうこうせい安全あんぜんせい確認かくにんできれば、海外かいがい臨床りんしょう試験しけんデータわせて国内こくないでの製造せいぞう販売はんばい承認しょうにん申請しんせいする方針ほうしんです。

ファイザーが、臨床りんしょう試験しけんで「90%をえる予防よぼう効果こうかある」とする暫定ざんていてき結果けっか発表はっぴょうしたことについて、田村たむら厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんは10にち閣議かくぎのあとの会見かいけんで「中間ちゅうかん解析かいせき結果けっかなので、どうコメントしていいかまだからないが、承認しょうにん申請しんせいれば安全あんぜんせい有効ゆうこうせいをしっかり確認かくにんする」とべ、承認しょうにん申請しんせいがあれば慎重しんちょう審査しんさおこなかんがしめしました。

大量たいりょうのワクチンをどうはこ課題かだい

新型しんがたコロナウイルスのワクチンは、複数ふくすう候補こうほ開発かいはつ最終さいしゅう段階だんかいむかえていますがいま課題かだいになりつつあるのが、大量たいりょうのワクチンをどうはこぶかです。

こうしたワクチンには、これまでとはことなるあら方法ほうほう製造せいぞうされるものがあり、アメリカのCDC=疾病しっぺい対策たいさくセンター会議かいぎしめされたデータによりますとアメリカの製薬せいやく大手おおてファイザーのワクチンは一定いってい期間きかん以上いじょう保存ほぞんしようとすると、マイナス60から80冷凍れいとう保存ほぞんが、またアメリカのモデルナのワクチンもマイナス20での保存ほぞん必要ひつようとされています。

専門せんもんによりますといずれのワクチンにも「mRNA」といういたみやすい成分せいぶんはいっているためで適切てきせつ温度おんど管理かんりができないと接種せっしゅしても効果こうかうしなわれるそれあるということです。

このためアメリカでは、完成かんせいしたワクチンを品質ひんしつそこなわないかたちどのように病院びょういんなど接種せっしゅ現場げんばにまでとどけるのか、サプライチェーンの構築こうちく急務きゅうむとなっていてアメリカの物流ぶつりゅう大手おおて「UPS」は、全米ぜんべい各地かくちにワクチンを輸送ゆそうする戦略せんりゃくてき拠点きょてんなる巨大きょだい冷凍れいとう施設しせつ南部なんぶケンタッキーしゅう建設けんせつしています。

施設しせつには、マイナス80という低温ていおんでワクチンを保存ほぞんできる冷凍庫れいとうこ最大さいだいすうひゃくだい設置せっち現在げんざい300まん回分かいぶん以上いじょう保存ほぞんできますが、その容量ようりょうは、需要じゅようおうじてこのすうばいにまでやせます。

医療いりょう分野ぶんやのサプライチェーンの課題かだいくわしいメリーランド大学だいがくのサンダー・ボイソン研究けんきゅう教授きょうじゅは、「列車れっしゃでも飛行機ひこうきでも、海上かいじょう輸送ゆそう場合ばあいでも、注意深ちゅういぶか管理かんりされた環境かんきょう必要ひつようだ。新型しんがたコロナウイルスワクチンの配布はいふのスケールは巨大きょだいで、これまでにない官民かんみんのパートナーシップが必要ひつようだ」とべ、民間みんかん企業きぎょうのノウハウを活用かつようした協力きょうりょく態勢たいせい強化きょうかかせないというかんがしめしました。
ソース:NHK ニュース